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遺品整理はいつから始めるべき?タイミングと注意点を解説

かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人
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家族や親族が亡くなったら、故人が残した遺品を整理する必要があります。

遺品整理には明確な期限は設けられていませんが、一般的には葬儀直後、諸手続き後、四十九日法要後、相続税の申告前など、区切りのよいタイミングでおこなうことが多いでしょう。

しかし、いつから始めればよいのかは、遺品の量や作業者の人数などで変わってきます。

この記事では、遺品整理を始める時期に迷っている方に向けて、遺品整理をするのに最適なタイミング、開始時期を見極めるときのポイント、遺品整理の大まかな流れとスケジュール、始めるのが遅くなってしまった場合のデメリットなどについて解説しています。

自分たちに合った、ベストなタイミングを見極められるようになりましょう。

遺品整理はいつから始めるべき?最適なタイミング

遺品整理には法律上の期限がないため、タイミングは相続人の任意となっています。

ただし、故人が賃貸物件に住んでおり、住居の明け渡しが必要な場合は、できる限り早く取り組むほうがよいでしょう。

また、そのほかの場合でも以下のような区切りのよいタイミングで遺品整理を始めることをおすすめします。

葬儀直後|亡くなってから1週間以内

一般的に、通夜は故人が亡くなった翌日におこない、葬儀・告別式はその翌日におこないます。

葬儀・告別式の直後に遺品整理を始める利点は、相続人や親族などが集まった状態で整理を始められることです。

しかし、葬儀直後はやることが多く、精神的にも辛い状況にあるため、集中して遺品整理をするのは難しいかもしれません。

【葬儀直後の遺品整理がおすすめのケース】

  • 故人が賃貸物件に住んでいた場合
  • 相続人が遠方に住んでいる場合
  • 孤独死などの事情がある場合 など

諸手続き後|亡くなってから1週間後~1ヵ月程度

人が亡くなった直後は、役所への死亡届の提出、年金・健康保険・介護保険などの届出、公共料金・金融機関に関する手続きなどが必要になります。

そのため、これらがひと段落して落ち着いたタイミングで、遺品整理を始めるケースは多くあります。

時間にも余裕がある段階なので、自分たちのペースでゆっくりと遺品整理に取り組めるでしょう。

【諸手続き後の遺品整理がおすすめのケース】

  • 故人が賃貸物件に住んでいた場合
  • 相続人同士が疎遠で集まりにくい場合
  • 早い段階で遺言書や相続財産を把握したい場合 など

四十九日法要後|亡くなってから2~3ヵ月程度

四十九日法要とは、故人が亡くなった日から49日目におこなわれる法要のことで、この日をもって喪に服していた期間も終了となります。

相続人や親族が多く集まることや、各種の手続きが完了して落ち着いていることなどが関係して、一般的には「四十九日法要後」に遺品整理を開始するようおすすめされます。

【四十九日法要後の遺品整理がおすすめのケース】

  • 相続人同士が疎遠で集まりにくい場合
  • 形見分けなども同時におこないたい場合
  • ある程度落ち着いてから遺品整理を始めたい場合 など

相続税の申告前|亡くなってから7~8ヵ月程度

相続税の納税義務者になっている場合は、「被相続人が死亡したことを知ったの翌日から10ヵ月以内」に相続税の申告手続きをする必要があります。

そのため、相続財産を特定するためにも、故人が亡くなってから7~8ヵ月以内には遺品整理をおこないましょう。申告が遅れると加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。

【相続税の申告前の遺品整理がおすすめのケース】

  • 相続税の申告が必要になる場合
  • 十分気持ちが落ち着いてから遺品整理を始めたい場合 など

遺品整理を始めるタイミングの見極め方

遺品整理には時間がかかることが多いため、開始するタイミングは遺品の量や作業者の人数なども考慮して決めるのが望ましいです。

ここでは、遺品整理を始めるタイミングを決めるときのポイントについて解説します。

遺品の量や種類

遺品整理にかかる時間は、故人が残した遺品の量や種類などによって変わります。

遺品が多かったり、大型の家具があったりする場合は整理に時間を要しますし、遺品が少なければ短い時間で終えることができます。

一般的に「ワンルームであれば1週間程度で片付けられる」とされているため、これを目安に作業にかかる時間を考えるとよいでしょう。

作業者の年齢・人数

遺品整理にかかる時間は、作業者の年齢や人数などによっても変わります。

作業者が体力に自信がある場合はスムーズに作業は進みますが、そうでなければ時間がかかってしまうでしょう。

また、人手が多ければ早く片付けられますが、少なければ作業に時間を要します。事前に「誰が遺品整理に対応するのか」を決めておくのもポイントです。

遺品整理の大まかな流れとスケジュールの立て方

遺品整理の全体的な流れが把握できていないと、いつから始めたらよいのかがわからないでしょう。

そこで、遺品整理の開始時期を明確にするためにも、遺品整理の大まかな流れとスケジュールの立て方について解説します。

遺品整理の大まかな流れ

遺品整理の大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 遺品整理のスケジュールや役割分担を決める
  2. 遺言書やエンディングノートなどを確認する
  3. 相続人・親族全員の合意を取るようにする
  4. 実際に遺品整理を始める
  5. 不用品を処分する

この流れの中で特に重要なのは、相続人・親族全員の合意を取ることです。

遺品整理を始めることを相続人や親族に伝えていない場合、あとから不満を言われて相続トラブルに発展する可能性があります。

相続人や親族と話し合って遺品整理の方向性を決めるのが望ましいですが、それが難しい場合は合意だけでも取っておきましょう。

遺品整理のスケジュールの立て方

遺品整理のスケジュールは、以下のようにして立てるのがおすすめです。

  1. 遺品整理を終わらせる時期を決める
  2. 具体的に遺品整理をする場所を決める

まず「遺品整理をいつまでに終わらせるか」という終了予定日を決めます。

終了予定日を決めることで、「いつまでにどこを整理すればいいのか」という具体的な目標が立てやすくなります。

具体的な目標を決める際には、キッチン周り、リビング、寝室などのように場所ごとに分けると、効率よく遺品整理を進めることができるでしょう。

遺品整理の開始時期が遅れるデメリット

遺品整理の開始時期が遅れると、賃料や固定資産税が発生したり、相続や相続税申告に支障が出たりする可能性があります。

ここでは、遺品整理を始めるタイミングが遅れた場合のデメリットについて確認しましょう。

賃料や固定資産税などが生じる

遺品整理のタイミングが遅れると、賃貸物件の場合は賃料が、持ち家の場合は固定資産税が発生するので注意が必要です。

通常、賃料は毎月発生しますし、固定資産税は1月1日時点の土地の所有者に課されます(所有者が亡くなっている場合は相続人が納税義務者になる)。

特に持ち家が「特定空家」に指定された場合は、固定資産税が最大で6倍になります。

無駄な支出を防ぐためにも、できる限り早く遺品整理をし、解約・売却するのが望ましいでしょう。

相続や相続税の申告に支障が出る

遺品の中に貴重品や宝石などの価値ある動産が含まれている場合、これらも相続の対象になります。

そのため、遺品整理が終わらないと、遺産分割協議を進めることができません。

遺産分割協議をおこなうことができないと、不動産の相続登記や預金の払い戻しなどができませんし、相続税の申告手続きもできないため、さまざまなデメリットにつながります。

空き巣や火災などのリスクが高まる

故人が住んでいた住宅が空き家になっている場合、空き巣、火災、倒壊などのリスクが生じるため危険です。

本格的な遺品整理が遅れてしまう場合には、現金や貴重品を持ち帰る、ブレーカーを落とす、ガスの元栓を閉めるなどの対応をするのがおすすめです。

また、トラブルにつながりそうな遺品は、できる限り早めに処分しておきましょう。

時間がないなら遺品整理業者に依頼するのもおすすめ

遺品整理をする時間や人手が足りていない場合は、遺品整理を専門にしている「遺品整理業者」に依頼するのもひとつの方法です。

遺品整理業者に依頼すると、必要品と不用品の仕分け、不用品の回収・処分、遺品整理後の清掃などに対応してくれるため、少ない負担で遺品整理をおこなうことができます。

遺品整理業者によって対応できるサービスや料金などが異なるため、複数の業者から見積もりを取り、納得のいく業者に依頼するとよいでしょう。

まとめ

遺品整理には期限がないため、相続人が「始めよう」と思ったタイミングで実施することができます。

しかし、遺品整理を始めるのが遅れてしまうと、賃料や固定資産税が発生したり、相続や相続税の申告に支障が出たりする可能性があるので注意が必要です。

遺品整理の時間や人手が足りていない場合は、遺品整理業者へ依頼するのもおすすめです。

自分たちに合ったタイミングや方法で、遺品整理をおこなうようにしましょう。

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この記事の監修者
かがりび綜合法律事務所
代表弁護士 野条 健人 (大阪弁護士会)
地元に根差した法律事務所で、地域とのつながりをベースにした親身な対応に定評あり。遺産分割などの相続トラブルのほか、生前対策にも力を入れ、財産管理や「終活」に関する豊富な知見を有する。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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