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固定資産税の名義人が死亡したら?そのまま放置するデメリットとケース別の必要な対応

山本 一貴・山越 勇輝
監修記事
固定資産税の名義人が死亡したら?そのまま放置するデメリットとケース別の必要な対応
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  • 「相続開始後に固定資産税の名義人がそのままになっている…」
  • 「家族が亡くなってから役所から固定資産税の納税通知書が届いた…」

不動産の持ち主(名義人)が亡くなった場合、その固定資産税は相続人が引き継ぐことになります。

また、そのまま放置することはできず、現所有者申告や相続登記といった手続きをおこなう必要があります。

もし固定資産税の通知書を無視したり、手続きを放置したりするとペナルティを受けるリスクがあるでしょう。

そこで本記事では、相続財産に不動産が含まれていた相続人の方向けに、以下の内容について説明します。

  • 固定資産税の名義人が死亡したのに手続きをしないデメリット
  • ケース別の固定資産税の名義人が死亡した際に必要になる手続き
  • 相続の発生から相続登記が完了するまでの固定資産税の納付の流れ など

本記事を参考に固定資産税をそのまま放置するリスクを理解し、必要な手続きをおこなえるようになりましょう。

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固定資産税の名義人が死亡したら?そのまま手続きをしないデメリット

固定資産税の名義人が死亡した場合にそのまま放置するデメリットは、以下のとおりです。

  • 相続人全員が共同で固定資産税を支払うことになる
  • 地方税法違反等により10万円以下の過料を科される可能性がある

ここでは、固定資産税の名義人が死亡した場合にそのまま放置する2つのデメリットについて説明します。

1.相続人全員が共同で固定資産税を支払うことになる

固定資産税の名義人が亡くなった場合、その納税義務は相続人が共同で負うことになります。

固定資産税の納税通知書は、一般的には毎年4月~5月頃に市町村から届くため支払う必要があります。

支払わずにいると滞納状態となってしまい、延滞税を課されたり、差押えを受けたりするリスクがあるでしょう。

2.地方税法等の違反により10万円以下の過料を科される可能性がある

不動産の所有者が亡くなった場合、不動産の所有権を取得した相続人は、相続登記の申請が義務付けられています。

また、役所に現所有者の申告をする必要がある場合もあります。

正当な理由がなく現所有者が自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記申請をおこなわない場合、10万円以下の過料を科される可能性があります(不動産登記法164条1項)。

また、現所有者は、自己が現所有者であることを知った日の翌日から3か月以内に相続登記が完了できないときは、下記条文のとおり、固定資産の現所有者に関する申告が各自治体へ必要となり、正当な理由なく申告しない場合には、10万円以下の過料を科される可能性があります。

現所有者に関する申告の申告期限は「自分が現所有者であることを知ったときから3ヵ月以内」ですので早めの手続きが必要になります。

第三百八十四条の三 市町村長は、その市町村内の土地又は家屋について、登記簿又は土地補充課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に所有者として登記又は登録がされている個人が死亡している場合における当該土地又は家屋を所有している者(以下この条及び第三百八十六条において「現所有者」という。)に、当該市町村の条例で定めるところにより、現所有者であることを知つた日の翌日から三月を経過した日以後の日までに、当該現所有者の住所及び氏名又は名称その他固定資産税の賦課徴収に関し必要な事項を申告させることができる。

(中略)

第三百八十六条 市町村は、固定資産の所有者(第三百四十三条第九項及び第十項の場合には、これらの規定により所有者とみなされる者とする。第三百九十三条及び第三百九十四条において同じ。)が第三百八十三条若しくは第三百八十四条の規定により、又は現所有者が第三百八十四条の三の規定により申告すべき事項について正当な事由がなくて申告をしなかつた場合には、その者に対し、当該市町村の条例で十万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。

引用元:地方税法 | e-Gov 法令検索

固定資産税の名義人が死亡後にそのまま放置はNG!ケース別の必要な手続き

固定資産税の名義人が亡くなったときに必要になる手続きは、以下のように異なります。

  • 相続人がひとりしかいない場合
  • 相続人が複数いて遺言書がある場合
  • 相続人が複数いて遺言書もない場合

ここでは、3つのケースに分けて固定資産税の名義人が死亡したときに必要になる手続きを説明します。

1.相続人がひとりしかいない場合|相続登記の手続きをする

相続人が子どもだけなど、ひとりしかいない場合は早めに相続登記をおこないましょう。

相続登記をすることで、不動産の名義人が変わり、固定資産税の納税者も自動的に変更されます。

相続登記の手続きについては、以下のページで詳しく解説しているため併せて確認してください。

2.相続人が複数いて遺言書がある場合|指定された人が相続登記の手続きをする

相続人が複数名いる場合でも、遺言書がある場合、これに従って相続登記の手続きを進められます。

相続登記の手続きを済ませると、不動産と固定資産税の名義人を自分に変更することができます。

なお、遺言書の内容に納得ができない場合は、全員の合意のもとで遺産分割協議をすることもあるでしょう。

3.相続人が複数いて遺言書もない場合|まずは現所有者の申告手続きをおこなう

相続人が複数いて遺言書がない場合は、相続登記の前に遺産分割協議をしておく必要があります。

遺産分割協議には数ヵ月から場合によっては数年間を要することもあるため、早めに現所有者の申告手続きを済ませておきましょう。

現所有者申告の大まかな流れ
  1. 現所有者申告書に必要事項を記入する
  2. 戸籍謄本や住民票などの必要書類を準備する
  3. 不動産の住所地を管轄する役所に書類を提出する

現所有者申告書は役所から送られてくることが多いほか、役所のWebサイトでも入手できます。

現所有者申告の手続きは地域ごとにルールが異なるため、質問がある場合は管轄の役所に相談しましょう。

固定資産税の名義人が死亡してから相続登記が完了するまでの納税の流れ

被相続人が亡くなってから相続登記が完了するまでの固定資産税の納付の流れは以下のようになります。

  1. 一般的には代表相続人が固定資産税を支払う
  2. 代表相続人が新しい所有者に支払いを求める
  3. 相続登記後は新しい所有者が固定資産税を支払う

ここでは、固定資産税の名義人が死亡してから相続登記が完了するまでの納税の流れについて説明します。

1.一般的には代表相続人が固定資産税を支払う

通常、相続が発生してから相続登記が完了するまでの間は、代表相続人が固定資産税を支払います

この代表相続人は、役所に対して「現所有者申告の手続きをおこなった人」がなることが一般的です。

代表相続人自身のポケットマネーで支払っても問題ないですし、相続財産の中から支払っても問題ありません。

2.代表相続人が新しい所有者に支払いを求める

代表相続人がポケットマネーで固定資産税を支払っていた場合、新所有者にその金額の支払いを請求できます

固定資産税の相場は一戸建てで10万円~15万円程度であり、そのままでいるのは大きな負担になるでしょう。

なお、代表相続人=新所有者の場合は、ほかの相続人に対して固定資産税を支払うよう求めるのは難しいです。

3.相続登記後は新しい所有者が固定資産税を支払う

相続登記が完了すると、その翌年からは新所有者に固定資産税の通知書が送られます。

不動産登記と固定資産税は連携しているため、固定資産税の名義人を変更する手続きは必要ありません。

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固定資産税の名義人が死亡したあとに相続放棄をすればそのままで問題ない

相続人は、相続するか、相続放棄をするかを選択することができます。

このうち相続放棄を選択した場合は、固定資産税の納税義務なども免除されます。

「固定資産税を支払うことができない」などの事情があるなら相続放棄を検討しましょう。

相続放棄の期限は相続開始を知った日から3ヵ月以内となっているので早めの対応が必要です。

なお、相続放棄後には役所から「相続放棄申述受理通知書」の提出を求められることがあります。

さいごに|固定資産税の名義人が死亡したときにそのまま放置はできない!

固定資産税の名義人が亡くなった場合に、そのまま放置をすることはできません。

何もしないでいても固定資産税は課されますし、手続き遅れでペナルティを科されることもあります。

そのため、不動産を相続する場合は現所有者申告や相続登記などの手続きを早めにおこないましょう

また、相続したくないときには相続の開始を知った日から3ヵ月以内に相続放棄の手続きをしてください。

もし相続手続きについて疑問点や不明点があるなら、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします

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この記事の監修者
Yz法律事務所
山本 一貴・山越 勇輝 (大阪弁護士会)
相談者様との信頼関係を大切にし、フットワークの軽さと素早いレスポンスで迅速に対応。弁護士だけでなく従業員もプライベートバンカーの資格を保有し、他士業連携で高額な遺産の相続問題にも対応可能。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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