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父の再婚相手は相続人になる?よくあるトラブルと3つの対処法について解説

長谷川 達紀・日吉 加奈恵
監修記事
父の再婚相手は相続人になる?よくあるトラブルと3つの対処法について解説
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  • 「父の再婚相手に相続権はあるの?」
  • 「父の再婚相手のことは良く知らないのに、相続権を主張してきていて困っている」

このように、父親の再婚相手の相続権について悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。

実際、法律上は父の再婚相手も相続権を有すものの、遺産分割協議でほかの相続人とトラブルになるケース少なくありません。

そのため、父の再婚相手やその子どもがいる場合には、トラブルを避けるために事前に知識を身に付けたり、対策を講じたりしておくことが大切です。

本記事では、父の再婚相手がいる場合の相続関係、よく起こる相続トラブルの具体例、弁護士に相談するメリットなどについてわかりやすく解説します。

離婚経験がある父親の相続について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

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父親の再婚相手(後妻)は相続人になる

民法第890条では、被相続人の配偶者の相続権について以下のルールを定めています

(配偶者の相続権)

第八百九十条 被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

引用元:民法|e-Gov法令検索

そのため、被相続人である父が死亡した時点において、再婚相手(後妻)との間で婚姻関係が継続している場合、父の再婚相手は配偶者である以上、常に相続人になります

父親の再婚相手がいる場合に誰が相続人になるか?

父親に離婚・再婚の経験がある場合は、前妻や後妻、その子どもなどさまざまな人が相続にかかわります

ここでは、父親に再婚相手がいる場合に誰が相続人になるのかについて、詳しく見ていきましょう。

1.前妻|相続人にはならない

まず、父親の前妻は相続人にはなりません

配偶者として相続人になることができるのは、被相続人が死亡した時点で法的な婚姻関係にある者に限られます。

そして、前妻は過去に父親と婚姻関係があったものの、死別や離婚が成立した時点で、夫婦間の法的な婚姻関係は解消されています。

つまり、いくら前妻であっても、父親の相続権を有することはないのです。

2.前妻との間の子ども|相続人になる

父親の前妻には相続権はありませんが、前妻との間にできた子どもには法定相続人としての権利が認められます

なぜなら、親子関係は親同士の婚姻関係があるかどうかに関わらず、血縁によって判断されるからです。

前妻と父親との間の婚姻関係が解消されたとしても、父親と前妻との間の子どもの親子関係がなくなるわけではありません

そのため、前妻との間の子どもは、父親が死亡したときの法定相続人としての地位を与えられるのです。

3.後妻との間の子ども|相続人になる

父親と再婚相手との間に生まれた子どもは、父親が死亡したときの法定相続人になります

なぜなら、父親との間に血縁関係が存在するからです。

4.後妻の連れ子|養子縁組の有無で異なる

父親の再婚相手に連れ子がいる場合、その連れ子に相続権が認められるかどうかは養子縁組の有無で決まります

養子縁組とは、血縁関係がない者同士の間に法律上の親子関係を成立させる制度のことです。

父親と再婚相手の連れ子が養子縁組をしていた場合、法律上の親子関係が生じるため、父親が死亡したとき、後妻の連れ子は法定相続人になります

一方、養子縁組をしていない場合には、父親と再婚相手の連れ子の間には法律上の親子関係が存在せず、連れ子に法定相続人の地位は与えられません。

父親の再婚相手がいる場合の相続で多いトラブル3選

父親の再婚相手がいると、相続関係が複雑になる可能性が高いです。

ここでは、父親の再婚相手が原因で発生することが多いトラブルを3つ紹介します。

1.相続財産の取り分が減って揉めてしまう

遺産相続は、相続人の数が増えるほど各相続人の取り分が減るという性質があります。

たとえば、相続人が子どもだけなら子どもが遺産を全て承継できますが、父親の再婚相手が存在すると相続分が半分になってしまいます。

なぜなら、再婚相手は配偶者として常に父親の相続人となるからです。

このように再婚相手やその子どもの存在によって相続分が目減りすると、不満のある相続人同士の話し合いが難航し、遺産分割協議がスムーズに進みにくくなる危険性があります。

2.再婚相手やその子どもに財産を隠される

再婚相手やその子どもが父親の遺産を隠してしまうというトラブルも少なくありません

父親の再婚相手やその子どものなかには、前妻の子どもなどへ遺産を相続されることを嫌がる人も多いです。

そのため、前妻やその子どもが気付かないうちに遺産を費消されたり、隠匿されたりすることがあるのです

この場合、遺産分割協議書などの話し合いで解決するのは難しいため、不当利得返還請求などの法的手続きを取る必要があります。

3.実子にとって不利な遺言書が残されている

父親が再婚相手との家庭を大切にしているケースでは、「再婚相手やその子どもの今後のために多くの財産を残してやりたい」などと考えることもあるでしょう。

このような場合には、実子にとって不利な内容の遺言書が残されている可能性があります。

もちろん、遺留分が侵害されているなどの状況であれば最低限の取り分を確保するために法的に対抗することも可能ですが、遺産分割協議などが難航することは覚悟しなければいけません。

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父親の再婚相手がいる場合におすすめの3つの対処法

父親の再婚相手がいる場合、相続でトラブルになる可能性が高いため、事前に対策を講じる必要があります。

ここからは、具体的な対処法として以下3つを紹介します。

  • 遺産分割調停などの手続きを活用する
  • 相続放棄をおこなって一切の関係を断つ
  • 相続トラブルが得意な弁護士に依頼する

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

1.遺産分割調停などの手続きを活用する

前妻の子ども、父親の再婚相手やその子どもなど、相続人同士の利害が衝突する可能性が高いケースでは、遺産分割調停などの裁判所手続きを活用するのがポイントです。

遺産分割協議における話し合いがスムーズに進まなかったり、遺留分侵害や生前贈与、寄与分などの争点が生じたりしたとしても、家庭裁判所の調停委員が関与してくれるので、円滑な合意形成を目指しやすいでしょう。

2.相続放棄をおこなって一切の関係を断つ

父の再婚相手と話し合いをすること自体が面倒だと感じる場合には、相続放棄をするのも選択肢のひとつです。

相続放棄とは、プラス・マイナスに関わらず全ての遺産を一切承継しない手続きのことです。

相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったと扱われるので、遺産分割協議などの相続手続きに関与しなくて済みます。

ただし、相続放棄には以下の注意点が存在します。

  • 父親の思い出の品なども一切受け取ることができない
  • 家庭裁判所の申述手続きを済ませなければいけない
  • 父親の死亡を知った日から3ヵ月以内に手続きを済ませなければいけない

相続放棄は原則として撤回することができないので、おこなう場合は慎重な判断が必要です。

3.相続トラブルが得意な弁護士に依頼する

父親の再婚相手がいるなど、遺産相続トラブルが生じる可能性があるときには、事前に弁護士に相談するのがおすすめです。

というのも、遺産相続問題が得意な弁護士に相談すれば、以下のメリットを得られるからです。

  • 父の再婚相手との協議を代理してくれる
  • 遺言書に不自然な点がないかを確認して、必要であれば、遺言無効を主張してくれる
  • 不利な遺言書が残されていた場合や、父の再婚相手に生前贈与されていた場合には、自らの相続分や遺留分を確保するための法的措置を尽くしてくれる
  • 調停の申立てや調停期日への出頭などの裁判手続きを代行してくれる
  • 相続関係をめぐる事情を客観的に分析して、相続放棄するべきか否かを判断してくれる
  • 相続人調査・相続財産調査を適切におこなったうえで、どのような方針で遺産分割協議に参加するべきかをアドバイスしてくれる など

なお、最近は遺産相続問題について初回相談を無料で対応してくれる弁護士も多いです。

相続関係の各手続きには制限時間が設けられていることが多く、注意事項も少なくないため、念のために一度は弁護士に相談すると良いでしょう。

さいごに|父親が再婚している場合の相続はトラブルが多いので注意しよう

父親が再婚をしていると、父親が死亡したときの相続関係が複雑になる可能性が高いです。

状況次第では、本来受け取ることができたはずの相続財産を承継できないなど、理不尽な状況を強いられかねません。

そのため、父親が再婚しているケースでは、相続が発生する前から父親とコミュニケーションをとって公平・公正な相続が実現されるように働きかけたり、相続発生後は速やかに弁護士に相談するなどして円滑な遺産分割協議の実現を目指したりするべきでしょう。

なお、ベンナビ相続では、離婚・再婚によって遺産相続が複雑になった事案への対応が得意な弁護士を多数紹介中です。

法律事務所の所在地、具体的な相談内容、初回の相談料無料などのサービス面から24時間無料で専門家を検索できるので、できるだけ早いタイミングで信頼できる弁護士の話を聞くようにしてください。

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新静岡駅前法律事務所
長谷川 達紀・日吉 加奈恵 (静岡県弁護士会)
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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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