不動産相続に関する弁護士相談をご検討中の方へ
相続が発生した際に、相続財産に不動産が含まれているというケースは多くあります。
しかし、その不動産が実は価値が一切ない「負動産」だった場合、相続放棄を選択するのがおすすめです。
相続放棄をおこなえば負動産を引き継ぐ必要がなくなり、将来の相続トラブルを防止することができます。
本記事では、相続財産に負動産があったという方に向けて、以下の内容について説明します。
本記事を参考に、相続放棄をするかどうか判断できるようになり、手続きを進められるようになりましょう。
負動産とは、一般的には以下のような不動産のことを指します。
「不動産」と「”負”動産」をかけて、マイナスの価値しかない不動産を表現している言葉です。
万が一、負動産を相続してしまった場合、その維持・管理・処分でトラブルになることが考えられます。
そのため、ほかの相続財産にもよりますが、一般的に負動産がある場合は相続放棄することが望ましいです。
負動産(不動産)があり相続放棄したい場合の流れは、以下のとおりです。
ここでは、相続放棄をする際の大まかな流れについて確認しましょう。
まずは以下の表を参考に、相続放棄に必要な書類を集めましょう。
|
必要書類 |
被相続人の配偶者 被相続人の子ども |
被相続人の父母 |
被相続人の兄弟姉妹 |
|
相続放棄の申述書 |
○ |
○ |
○ |
|
被相続人の住民票除票 または戸籍附票 |
○ |
○ |
○ |
|
申述人の戸籍謄本 |
○ |
○ |
○ |
|
被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本 |
○ |
○ |
○ |
|
被相続人の子どもの 死亡の記載のある戸籍謄本 |
○ (※孫の場合) |
○ |
○ |
|
被相続人の出生から死亡時までの 全ての戸籍謄本 |
× |
○ |
○ |
|
被相続人の子ども・孫などの 出生時から死亡時までの全ての戸籍謄本 |
× |
○ |
○ |
|
被相続人の親(父・母)の 死亡の記載のある戸籍謄本 |
× |
○ (※祖父母の場合) |
○ |
|
兄弟姉妹の死亡の記載のある戸籍謄本 |
× |
× |
○ (※甥・姪の場合) |
相続放棄に必要な書類については、被相続人との関係によって変わります。
自身と被相続人との関係を確認したうえで、必要な書類を集めることをおすすめします。
なお、「被相続人の全ての戸籍謄本」などが必要になるケースもあるため、早めに手続きを進めましょう。
相続放棄の資料を準備できたら、家庭裁判所に対して相続放棄の申述をおこないます。
書類・資料の提出方法には、窓口に持参するか、郵送で提出するかの2通りがあります。
裁判所の「申立書提出先一覧(家庭裁判所)」で提出先を確認し、必要書類を提出するとよいでしょう。
また、郵便切手の金額と内訳は、裁判所により異なりますので、事前に管轄の裁判所を確認するようにしましょう。
相続放棄の手続きをすると、1週間~2週間後に家庭裁判所から照会書(回答書)が届きます。
照会書では以下のようなことを確認されるため、該当する項目について正直に回答しましょう。
なお、相続放棄の照会書(回答書)の名称や様式などについては、家庭裁判所ごとに異なります。
家庭裁判所から封筒が届く可能性があることを覚えておき、忘れずに照会書の回答をしましょう。
照会書を返送すると、1週間~2週間後に家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。
この申述受理通知書が届いた場合は、無事に相続放棄の手続きが完了したことを意味します。
なお、申述受理通知書は再発行ができないため、受け取った際は大切に保管しておきましょう。
相続放棄申述受理証明書とは、相続放棄が受理されたことを証明するための書類です。
たとえば、不動産の管理責任から外れたことを証明する際などにこの書類が役立ちます。
相続放棄申述受理証明申請書を作成し、手続きした家庭裁判所に対して提出しましょう。
負動産(不動産)を相続放棄するメリットは、以下のとおりです。
ここでは、負動産を相続放棄するメリットについて確認しましょう。
仮に負動産(不動産)を相続する場合、以下のような手続きや支払いが必要になります。
そのため、ただでさえマイナスの財産なのに、多くの手間と費用をかける必要があるのです。
相続放棄をすれば負動産を引き継がずに済むため、当然、これらの手続きや支払いは不要になるでしょう。
負動産を相続した場合、以下のようなトラブルに巻き込まれる可能性があります。
また、上記のようなトラブルを理由に、損害賠償請求をされるリスクも高まるでしょう。
相続放棄をすれば原則として管理責任はなくなるため、これらのトラブルを回避することが可能です。
負動産を相続し、そのまま所有し続けるケースもあるでしょう。
この場合、自身が亡くなった際に「自分の相続人たちが負動産を相続する」ことになってしまいます。
自身が相続放棄をしておけば負動産を所有することがないため、相続人への迷惑を防ぐことができます。
負動産(不動産)を相続放棄する際は、以下の点に注意する必要があります。
ここでは、負動産を相続放棄する際に知っておくべき注意点を説明します。
相続放棄をする場合、被相続人の全ての財産を相続することができなくなります。
仮に現金や預貯金などの財産が十分ある場合は、相続放棄をするかどうか慎重に判断するべきです。
相続放棄の手続きをする前には相続財産調査をおこない、しっかりと財産を特定しておきましょう。
なお、相続財産調査については以下のページで詳しく解説しています。
相続放棄には「相続の開始を知ったときから3ヵ月以内」という期限が設けられています。
そのため、期限に間に合わなかった場合は相続放棄が認められなくなるので注意しましょう。
もし期限に遅れそうな場合は「相続放棄の期間の伸長」という手続きをおこなうことをおすすめします。
この手続きをしておくことで、事案によって異なりますが1ヵ月~3ヵ月ほど期限を延ばすことができます。
相続放棄をしても、現に占有している場合は不動産の管理義務を負うことになります。
ここでいう「現に占有している場合」というのは、主に以下のような状況を指します。
上記に該当する場合は、相続放棄をしたあとも負動産の維持や管理をおこなわなければなりません。
なお、ほかの相続人に引き渡したり、相続財産清算人を選任したりした場合は管理義務がなくなります。
相続財産に負動産が含まれている場合、一般的には相続放棄を選択するのがおすすめです。
しかし、相続財産の内容によっては、負動産を含めて相続したほうが有利になる場合もあります。
適した選択肢は状況ごとに変わるため、負動産がある場合は弁護士に相談するのが望ましいでしょう。
弁護士に相談すればおすすめの選択肢を教えてくれますし、依頼すれば手続きの多くを任せられます。
まずは「ベンナビ相続」で最寄りの弁護士を探し、無料相談を利用してアドバイスを受けるとよいでしょう。
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