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家族信託の相続方法・相続税申告の完全ガイド!信託契約のパターンを分けて詳しく解説

山本 一貴・山越 勇輝
監修記事
家族信託の相続方法・相続税申告の完全ガイド!信託契約のパターンを分けて詳しく解説
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  • 「家族信託の財産をどう相続すればいいのか?」
  • 「家族信託がある場合に相続税はかかるのか?」

被相続人の方が家族信託を利用していた場合、相続手続きに加えて「信託の手続き」も必要になります。

また、相続税申告をおこなう際は、受益権や残余財産を相続財産に含んで計算することがポイントになります。

このように被相続人が家族信託を利用していた場合、相続手続きも相続税申告も複雑になるため注意が必要です。

本記事では、このような家族信託の承継・相続のことで困っている方に向けて、以下の内容について説明します。

  • 家族信託の契約中に関係者が亡くなった場合の相続ポイント
  • 家族信託の契約中に受益者が亡くなった場合の必要な手続き
  • 家族信託がある場合の相続財産の評価方法と相続税の計算方法 など

本記事を参考に、被相続人の方が家族信託をしていた場合でも安心して相続手続きをできるようになりましょう。

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近年、相続対策として注目を集めている「家族信託」とは何か?

家族信託とは、自身の財産を受託者に預けて、自分(受益者)のために管理・運用してもらう仕組みのことです。

相続対策は相続税対策・遺産分割対策・認知症対策などに分類でき、家族信託は「認知症対策」に分類されます。

認知症対策には成年後見制度という有名な制度もありますが、こちらは最低限の財産の管理しかおこなえません。

一方、家族信託では積極的な財産の運用なども認められており、その使い勝手のよさから注目を集めています。

家族信託の基本情報・メリット・デメリット・手続きなどについては、以下のページで詳しく解説しています。

【ケース別】家族信託の契約中に関係者が亡くなった場合の相続のポイント

家族信託の契約中に、以下のように関係者が亡くなるということはあるでしょう。

  • 委託者が亡くなった場合
  • 受託者が亡くなった場合
  • 受益者が亡くなった場合

ここでは、家族信託の契約中に関係者が亡くなった場合の相続のポイントを確認しましょう。

1.委託者が亡くなった場合の相続のポイント

委託者が亡くなった場合の相続のポイントは、以下のとおりです。

  • 原則として家族信託は継続する
  • 委託者の相続人は「委託者の地位」を相続する

財産の管理・運用を任せる委託者が亡くなっても、原則として家族信託は継続されます

また、委託者が亡くなった場合、相続人はその委託者の地位を相続することになります。

なお、委託者の死亡により委託者の権利は消滅する旨を定めることも可能で、その場合は契約終了となります。

2.受託者が亡くなった場合の相続のポイント

受託者が亡くなった場合のポイントは、以下のとおりです。

  • 原則として家族信託は継続する
  • 受託者の相続人は「受託者の地位」を相続しない
  • 次の受託者に引き継がれる(または新たに選任される)

委託を受けて財産の管理・運用をする受託者が亡くなった場合、そこで受託者の任務は終了となります。

そのため、委託者が亡くなった場合と異なり、受託者の相続人がその地位を相続することはありません。

なお、家族信託は継続しており、契約書に定められた次の受託者が引き継ぐか、新たに受託者が選任されます。

3.受益者が亡くなった場合の相続のポイント

受益者が亡くなった場合の相続のポイントは、以下のとおりです。

  • 原則として家族信託は継続する
  • 受益者の相続人は「受益者の地位」を相続する
  • 契約内で次の受益者を誰にするか決めることもできる

信託財産から利益を得ている受益者が亡くなった場合、その相続人が受益者の地位を相続します。

また、信託契約内で次の受益者を指定することも可能であり、その場合は次の受益者が権利を取得します。

受益者の死亡によって契約が終了する旨の定めがある場合には、その家族信託は終了することになります。

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家族信託の契約中に受益者が亡くなった場合の必要な相続手続き|4パターン

家族信託の受益者が亡くなった場合の相続手続きのパターンには、以下の4通りがあります。

  • 家族信託が継続し、次の受益者が指定されている場合
  • 家族信託が継続するが、次の受益者が指定されていない場合
  • 受益者の死亡に伴い家族信託が終了し、帰属権利者が指定されている場合
  • 受益者の死亡に伴い家族信託が終了するが、帰属権利者が指定されていない場合

ここでは、家族信託の受益者が亡くなった場合に必要になる相続手続きについて説明します。

なお、以下で紹介するケースについては「委託者=受益者」という自益信託を前提としています。

1.家族信託が継続し、次の受益者が指定されている場合

家族信託で次の受益者が指定されている場合の流れは、以下のとおりです。

  1. 家族信託の契約内容を確認する
  2. 不動産がある場合は変更登記をおこなう
  3. 税務署に対して信託に関する書類を提出する

まずは家族信託の契約内容を確認し、信託の内容や委託者の情報などを確認しましょう。

もし信託財産に不動産が含まれている場合は、法務局で変更登記が必要になるので対応してください。

また、税務署に「信託に関する受益者別調書」「信託に関する受益者別調書合計表」の提出も必要になります。

なお、実際には受託者が対応してくれたり、顧問の司法書士などが担当してくれたりすることが多いでしょう。

2.家族信託が継続するが、次の受益者が指定されていない場合

家族信託は継続しつつも、次の受益者が指定されていない場合の流れは、以下のとおりです。

  1. 家族信託の契約内容を確認する
  2. 遺言書が残っていないか確認する
  3. 遺言書がある場合はその内容に従う
    ※遺言書がない場合は遺産分割協議をする
  4. 不動産がある場合は変更登記をおこなう
  5. 税務署に対して信託に関する書類を提出する

一般的に、契約上で第二受益者が指定されていない場合、遺言書で指定されていることが多いです。

しかし「遺言書が残っていない」「遺言書はあるが受益者が指定されていない」というケースもあります。

そのような場合は、相続人と相続財産の調査をおこない、遺産分割協議で受益者を決めることになります。

受益者が決定したあとは、不動産がある場合は変更登記をおこない、税務署に信託に関する書類を提出します。

3.受益者の死亡に伴い家族信託が終了し、帰属権利者が指定されている場合

受益者の死亡によって家族信託が終了する場合の流れは、以下のとおりです。

  1. 家族信託の契約内容を確認する
  2. 不動産がある場合は所有権移転登記などをおこなう
  3. 税務署に対して家族信託終了に関する書類を提出する

信託契約書で信託終了時の帰属権利者が指定されている場合もあります。

そのときは、帰属権利者が残余財産を取得するための手続きをおこなうことになります。

家族信託が継続する場合と異なり、不動産については所有権移転登記と信託の抹消登記をおこないます。

また、税務署に対しては「信託に関する受益者別調書」と「信託に関する受益者別調書合計表」を提出します。

4.受益者の死亡に伴い家族信託が終了するが、帰属権利者が指定されていない場合

受益者の死亡によって家族信託が終了するが、帰属権利者が指定されていない場合の流れは、以下のとおりです。

  1. 家族信託の契約内容を確認する
  2. 不動産がある場合は所有権移転登記などをおこなう
  3. 税務署に対して家族信託終了に関する書類を提出する
  4. 必要に応じて残余財産の帰属先を相続人同士で話し合う

家族信託は終了するものの、帰属権利者が指定されていない場合、その帰属先は委託者になります。

しかし「委託者=受益者」の自益信託では委託者も亡くなっているため、その相続人が信託財産を承継します。

ただし、残余財産は相続財産には含まれず、相続人全員の共有財産として扱われることになる点に注意が必要です。

つまり、個人の所有物にするためには、遺産分割協議とは別の話し合いを相続人全員でおこなう必要があるのです。

家族信託がある場合の相続税のポイント|誰が対象で、どう計算するのか?

家族信託がある場合の相続税のポイントは、以下のケースごとに異なります。

  • 家族信託が継続する場合
  • 家族信託が終了する場合

ここでは、2つのケースに分けて家族信託がある場合の相続税のポイントを説明します。

1.家族信託が継続する場合|次の受益者が相続税を支払うことになる

家族信託が継続する場合は、次の受益者が相続税を支払うことになります。

家族信託の受益権の評価額は、一般的には「その信託財産の評価額」と同じものになります。

また、「相続財産の評価額+受益権の評価額」が基礎控除額を上回った場合に相続税が課されるでしょう。

2.家族信託が終了する場合|帰属権利者が相続税を支払うことになる

家族信託が終了する場合は、帰属権利者が相続税を支払うことになります。

残余財産の評価方法や、相続税の計算方法については、前述した家族信託が継続する場合と同じです。

なお、相続税ではありませんが、相続人全員の共有状態を解消する際に譲渡所得が発生する場合があります。

さいごに|被相続人が家族信託を利用していた場合は専門家に相談しよう

家族信託は相続対策(認知症対策)として注目を集めており、活用している方も年々増加傾向にあります。

しかし、この家族信託の受益権などを相続する場合、通常よりも手続きが複雑になるため注意が必要です。

特に本記事では説明できていない例外も多くあるため、実際の手続きでは迷ってしまうことも考えられます。

もし被相続人が家族信託を利用していた場合は、司法書士、弁護士、税理士に相談することをおすすめします。

専門家に相談することで、自分たちの家族信託の状況に合ったアドバイスやサポートを受けることができます。

初回無料相談を受け付けている専門家も多くいるため、ベンナビ相続などで相談先を探してみるとよいでしょう。

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この記事の監修者
Yz法律事務所
山本 一貴・山越 勇輝 (大阪弁護士会)
相談者様との信頼関係を大切にし、フットワークの軽さと素早いレスポンスで迅速に対応。弁護士だけでなく従業員もプライベートバンカーの資格を保有し、他士業連携で高額な遺産の相続問題にも対応可能。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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