家族信託に関する弁護士相談をご検討中の方へ
被相続人の方が家族信託を利用していた場合、相続手続きに加えて「信託の手続き」も必要になります。
また、相続税申告をおこなう際は、受益権や残余財産を相続財産に含んで計算することがポイントになります。
このように被相続人が家族信託を利用していた場合、相続手続きも相続税申告も複雑になるため注意が必要です。
本記事では、このような家族信託の承継・相続のことで困っている方に向けて、以下の内容について説明します。
本記事を参考に、被相続人の方が家族信託をしていた場合でも安心して相続手続きをできるようになりましょう。
家族信託とは、自身の財産を受託者に預けて、自分(受益者)のために管理・運用してもらう仕組みのことです。
相続対策は相続税対策・遺産分割対策・認知症対策などに分類でき、家族信託は「認知症対策」に分類されます。
認知症対策には成年後見制度という有名な制度もありますが、こちらは最低限の財産の管理しかおこなえません。
一方、家族信託では積極的な財産の運用なども認められており、その使い勝手のよさから注目を集めています。
家族信託の基本情報・メリット・デメリット・手続きなどについては、以下のページで詳しく解説しています。
家族信託の契約中に、以下のように関係者が亡くなるということはあるでしょう。
ここでは、家族信託の契約中に関係者が亡くなった場合の相続のポイントを確認しましょう。
委託者が亡くなった場合の相続のポイントは、以下のとおりです。
財産の管理・運用を任せる委託者が亡くなっても、原則として家族信託は継続されます。
また、委託者が亡くなった場合、相続人はその委託者の地位を相続することになります。
なお、委託者の死亡により委託者の権利は消滅する旨を定めることも可能で、その場合は契約終了となります。
受託者が亡くなった場合のポイントは、以下のとおりです。
委託を受けて財産の管理・運用をする受託者が亡くなった場合、そこで受託者の任務は終了となります。
そのため、委託者が亡くなった場合と異なり、受託者の相続人がその地位を相続することはありません。
なお、家族信託は継続しており、契約書に定められた次の受託者が引き継ぐか、新たに受託者が選任されます。
受益者が亡くなった場合の相続のポイントは、以下のとおりです。
信託財産から利益を得ている受益者が亡くなった場合、その相続人が受益者の地位を相続します。
また、信託契約内で次の受益者を指定することも可能であり、その場合は次の受益者が権利を取得します。
受益者の死亡によって契約が終了する旨の定めがある場合には、その家族信託は終了することになります。
家族信託の受益者が亡くなった場合の相続手続きのパターンには、以下の4通りがあります。
ここでは、家族信託の受益者が亡くなった場合に必要になる相続手続きについて説明します。
なお、以下で紹介するケースについては「委託者=受益者」という自益信託を前提としています。
家族信託で次の受益者が指定されている場合の流れは、以下のとおりです。
まずは家族信託の契約内容を確認し、信託の内容や委託者の情報などを確認しましょう。
もし信託財産に不動産が含まれている場合は、法務局で変更登記が必要になるので対応してください。
また、税務署に「信託に関する受益者別調書」「信託に関する受益者別調書合計表」の提出も必要になります。
なお、実際には受託者が対応してくれたり、顧問の司法書士などが担当してくれたりすることが多いでしょう。
家族信託は継続しつつも、次の受益者が指定されていない場合の流れは、以下のとおりです。
一般的に、契約上で第二受益者が指定されていない場合、遺言書で指定されていることが多いです。
しかし「遺言書が残っていない」「遺言書はあるが受益者が指定されていない」というケースもあります。
そのような場合は、相続人と相続財産の調査をおこない、遺産分割協議で受益者を決めることになります。
受益者が決定したあとは、不動産がある場合は変更登記をおこない、税務署に信託に関する書類を提出します。
受益者の死亡によって家族信託が終了する場合の流れは、以下のとおりです。
信託契約書で信託終了時の帰属権利者が指定されている場合もあります。
そのときは、帰属権利者が残余財産を取得するための手続きをおこなうことになります。
家族信託が継続する場合と異なり、不動産については所有権移転登記と信託の抹消登記をおこないます。
また、税務署に対しては「信託に関する受益者別調書」と「信託に関する受益者別調書合計表」を提出します。
受益者の死亡によって家族信託が終了するが、帰属権利者が指定されていない場合の流れは、以下のとおりです。
家族信託は終了するものの、帰属権利者が指定されていない場合、その帰属先は委託者になります。
しかし「委託者=受益者」の自益信託では委託者も亡くなっているため、その相続人が信託財産を承継します。
ただし、残余財産は相続財産には含まれず、相続人全員の共有財産として扱われることになる点に注意が必要です。
つまり、個人の所有物にするためには、遺産分割協議とは別の話し合いを相続人全員でおこなう必要があるのです。
家族信託がある場合の相続税のポイントは、以下のケースごとに異なります。
ここでは、2つのケースに分けて家族信託がある場合の相続税のポイントを説明します。
家族信託が継続する場合は、次の受益者が相続税を支払うことになります。
家族信託の受益権の評価額は、一般的には「その信託財産の評価額」と同じものになります。
また、「相続財産の評価額+受益権の評価額」が基礎控除額を上回った場合に相続税が課されるでしょう。
家族信託が終了する場合は、帰属権利者が相続税を支払うことになります。
残余財産の評価方法や、相続税の計算方法については、前述した家族信託が継続する場合と同じです。
なお、相続税ではありませんが、相続人全員の共有状態を解消する際に譲渡所得が発生する場合があります。
家族信託は相続対策(認知症対策)として注目を集めており、活用している方も年々増加傾向にあります。
しかし、この家族信託の受益権などを相続する場合、通常よりも手続きが複雑になるため注意が必要です。
特に本記事では説明できていない例外も多くあるため、実際の手続きでは迷ってしまうことも考えられます。
もし被相続人が家族信託を利用していた場合は、司法書士、弁護士、税理士に相談することをおすすめします。
専門家に相談することで、自分たちの家族信託の状況に合ったアドバイスやサポートを受けることができます。
初回無料相談を受け付けている専門家も多くいるため、ベンナビ相続などで相談先を探してみるとよいでしょう。
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