不動産相続に関する弁護士相談をご検討中の方へ
相続登記の申請を検討している方の中には、手続きにかかる日数に不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
相続登記にかかる期間・日数は、相続人の人数や不動産の数、取得すべき戸籍謄本の数によって大きく異なります。
また、有効な遺言書の有無や遺産分割協議の状況によっても変動します。
そこで本記事では、相続登記にかかる期間や長引く原因、対処法について解説します。
記事を最後まで読むことで、状況に合わせた最適な進め方がわかり、不安や手間を減らすヒントが得られるでしょう。
相続登記にかかる期間・日数は、相続人の人数や不動産の数、取得すべき戸籍謄本の数などによって大きく異なります。
例えば、相続人がひとりだけで不動産の数が少なければ必要書類の取得がスムーズに進みやすいため、それほど時間はかからないでしょう。
その日のうちに書類を揃えて申請すれば、1週間〜2週間程度で完了する場合もあります。
しかし、相続人が多いときや相続人同士で連絡が取りづらい場合、不動産が複数の市区町村にあるケースなどは、協議や必要書類の収集に時間がかかりやすく、手続きが長期化する傾向にあります。
また、相続人が少なくても、意見が合わず遺産分割協議が進まないときはさらに長い期間がかかるでしょう。
そのため、できるだけ早く準備に取り掛かり、対応が難しいと感じたら専門家への相談を検討することが重要です。
遺産相続開始から相続登記完了までにかかる、工程ごとの期間・日数の目安は以下のとおりです。
ただし、相続登記にかかる期間・日数はケースによるため、必ずしもこのとおりに進むとは限りません。
あくまでも目安であることを念頭に置いておきましょう。
被相続人が亡くなってから相続登記手続きを開始するまでには、数ヵ月から数年、もしくはそれ以上かかる場合があります。
期間に幅があるのは、ケースによって「誰がどのように相続するか」を決定するまでに時間がかかる場合があるためです。
とくに長期化しやすいのは、遺言書がないケースです。
遺言がない相続では、相続人同士意見が合わず、遺産分割協議が進まないケースがあるため、手続き開始までに数年かかることもあります。
ここでは、遺産相続開始から相続登記手続開始までにかかる期間について、遺言書がある場合とない場合に分けて解説します。
遺言書がある場合、どの程度かかるかは遺言書の検認が必要かどうかによって異なります。
検認が必要なときは数ヵ月かかることがありますが、不要であれば期間を短縮できるでしょう。
ただし、遺言書の有無にかかわらず相続人調査や相続財産調査は必要であるため、状況によっては時間がかかることもあります。
なお、「検認」とは、遺言書の偽造や変造を防ぐための手続きです。
遺言書を見つけた人が相続人全員に遺言書の存在・内容を知らせるため、遺言書を家庭裁判所に提出して開封・確認します。
検認は全てのケースで必要になるのではなく、以下の場合のみ必要です。
公正証書遺言や法務局の保管制度を利用していた自筆証書遺言は、検認不要です。
遺言書の種類については以下の記事を参考にしてください。
遺言書がない場合、相続登記の手続きを開始できるまで数ヵ月から数年、もしくはそれ以上かかる可能性があります。
遺言書がある場合、原則遺言通りの相続となりますが、遺言書がなければ遺産分割協議をおこなう必要があるためです。
「遺産分割協議」とは、遺産の分け方を相続人全員で話し合うことです。
相続人が1人だけの場合や遺産分割協議がすぐにまとまるケースであれば、相続人調査や相続財産調査を含めても、2ヵ月程度を目安に相続登記に移行できるでしょう。
しかし、相続人が多く遺産分割協議で揉めるようなケースなら、遺産の分け方を決めるのに3ヵ月〜数年かかることも珍しくありません。
遺産分割協議の進め方や期限、話し合いがまとまらないときの対処法については、以下の記事を参考にしてください。
相続登記に必要な書類の収集と登記申請には、1ヵ月〜2ヵ月程度見ておくとよいでしょう。
必要書類の収集に2週間〜1ヵ月程度、書類作成に数日〜2週間程度、余裕をもたせて合計1ヵ月〜2ヵ月程度という計算です。
相続登記の必要書類は以下のとおりです。
戸籍関係は取得に時間がかかることがありますが、通常は相続人調査の際に取得するため、申請前の段階で揃っているでしょう。
そのほか、遺産分割協議をおこなった場合は遺産分割協議書を作成し、相続人全員の印鑑証明書を添付する必要があります。
上記のうち、不足している書類があれば申請前に取得しておきましょう。
必要書類については、以下の記事も参考にしてください。
相続登記を法務局に申請したあと、完了までには通常1週間〜1ヵ月半程度かかります。
ただし、法務局の混雑状況や申請内容の複雑さによっては、それよりも早く完了したり反対に日数がかかったりする場合もあるため、ケースバイケースと考えておきましょう。
また、申請書類に不備があり、途中で補正が発生したときは、補正が完了するまでの間審査がストップします。
補正に時間がかかると、そのぶん完了までの時間が延びる点に注意しましょう。
手続きをスムーズに終えるためには、申請前に申請書類を確認し、記入ミスや添付漏れがないようにすることが重要です。
なお、登記が完了しても、法務局から完了の連絡は入りません。
登記完了証や登記識別情報通知といった完了後の書類を直接受け取りに行く際は、法務局に連絡を入れ、完了したことを確認したうえで受け取りに行くと無駄がないでしょう。
相続登記の完了予定日は、管轄の法務局によって異なります。
法務局によって申請件数や処理能力に差があるためです。
例えば、都市部の法務局には申請が集中しやすく、地方の法務局より完了までに時間がかかる傾向にあります。
なお、登記の完了予定日は、各法務局のホームページで確認可能です。
必ずしも予定通りに完了するとは限りませんが、目安として申請時に確認しておくとよいでしょう。
相続登記に時間がかかってしまう主な原因として、以下のことがあげられます。
このような状態に陥ると相続登記の申請が遅れ、完了までに時間がかかってしまいます。
ここでは、それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。
相続人調査や相続財産調査に時間がかかると、相続登記全体のスケジュールが大きく遅れる可能性があります。
例えば、相続人調査については、全国どこの市区町村役場でも戸籍謄本や除籍謄本が取得できる「広域交付制度」によって、以前よりも戸籍収集に手間がかからなくなりました。
しかし、被相続人の戸籍謄本は出生から死亡までの一連のものを全てさかのぼる必要があり、ケースによっては膨大な量になることもあります。
戸籍のつながりを確認する作業に時間を取られたり、古い改製原戸籍・除籍謄本の解読に手間取ったりといったこともあるでしょう。
また、財産調査に関しても、相続財産が多く全ての財産を把握するのが難しい場合や、不動産を複数の市区町村に所有しているケースなどは調査に時間がかかりやすいです。
相続人・相続財産が複雑な場合は、専門家への相談・依頼も検討すべきでしょう。
遺産分割協議で意見がまとまらない場合、そもそも不動産の相続方法を決められないので、相続登記の手続きも遅れることになります。
相続人同士でもめてしまうケースには、例えば以下のことがあげられます。
遺産分割協議でもめていると、いつまで経っても相続登記ができません。
相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続発生から3年以内におこなわなければ10万円以下の過料が科されるおそれがあるため、もめている場合やもめそうなときはできるだけ早期に弁護士に相談することをお進めします。
なお、どうしても相続登記の期限に間に合わない場合は、「相続人申告登記」を検討してください。
相続人申告登記は、相続登記の申請義務を履行したとみなされるための手続きで、遺産分割協議がまとまらない場合などの理由で、相続登記の期限に間に合わない場合に有効です。
ただし、これはあくまでも一時的な措置なので、遺産分割協議が終わったら、正式に相続登記をおこなわなければなりません。
相続登記の申請に必要な書類のうち、戸籍関係や固定資産評価証明書などは相続人・相続財産調査の際に取得しますが、そのほかの書類で手続きが滞るケースもあります。
考えられるのは、遺産分割協議書に添付する印鑑証明書の取得です。
相続人の中に印鑑登録をしていない人がいる場合、市区町村役場で印鑑登録をおこなう必要がありますが、高齢で市区町村役場まで足を運ぶのが難しいケースや海外に住んでいる相続人がいるときも、印鑑証明書の取得に日数を要することがあります。
また、遺産分割協議書自体の作成も、全員の署名・押印が揃うまでに時間がかかる場合があります。
必要書類をスムーズに収集するためには、事前に必要書類や印鑑登録状況を確認し、早めに準備を進めておくことが重要です。
相続登記をスムーズに進めるためには、以下の3つのポイントを意識することが大切です。
相続は相続人全員に関わる問題です。
不動産を取得する人だけでなく、相続人同士が連絡を取り合い、協力して進めることが重要です。
ここからは、それぞれのポイントを順番に解説します。
相続登記をスムーズに進めるために、遺産分割協議はできる限り早く始めましょう。
先延ばしにすると相続人が亡くなって相続が発生するなど、協議がさらに難航する可能性があります。
また、早いうちに進めておけば、2024年4月1日から義務化された相続登記の期限や、相続税申告の期限にも余裕をもって対応できます。
相続人調査と相続財産調査にも早い段階で取りかかり、早期に話し合いの場を設けるよう心がけましょう。
相続人全員が協力して必要書類を集めることで、手続きをスムーズに進めやすくなります。
書類収集をひとりに任せると負担が集中しがちですが、戸籍謄本や住民票などを分担して取得すれば、負担を分散でき作業時間も大きく短縮できます。
なお、以前は本籍地以外で戸籍・除籍・改製原戸籍謄本を取得できませんでしたが、2024年3月から始まった「広域交付制度」により、現在は全国どこの市区町村役場でも直系親族の戸籍関係を取得できるようになりました。
広域交付制度を利用すると、よりスムーズに収集できるでしょう。
なお、戸籍謄本や印鑑登録証明書には法律上使用期限がないので、取得から申請までに期間が空いても問題なく使用できます。
自力で相続登記をおこなうのが難しいと感じたら、弁護士や司法書士といった専門家への相談・依頼も検討してください。
専門家に相談・依頼するメリットは以下のとおりです。
弁護士であれば、もめている相手方との交渉や遺産分割に関する具体的なアドバイスも可能です。
なお、弁護士・司法書士のどちらに相談すべきかは、状況によって異なります。
ほかの相続人と何かしらのトラブルになっているなら弁護士、トラブルにはなっておらず、相続登記の手続きのみを依頼したいなら司法書士に相談するとよいでしょう。
弁護士と司法書士どちらに依頼すべきかについて詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
本記事では、相続登記にかかる期間について、ケースごとの目安と長引く主な原因、対処法を解説しました。
相続登記にかかる期間・日数は、相続人の数や不動産の数、取得すべき戸籍謄本の数などによって大きく異なります。
また、遺言書の有無や遺産分割協議の進み具合にもよっても変動するため、ケースバイケースである点を理解しておきましょう。
相続登記が長引く主な原因としては、相続人調査や相続財産調査に時間がかかる場合や、遺産分割協議でもめてしまうことなどがあげられます。
このような事態を避けるためには、遺産分割の話し合いを早めに始め、相続人同士で協力しながら必要書類を集めることが重要です。
また、もし自分たちでは対応が難しいと感じたら、弁護士や司法書士といった専門家に相談・依頼することをおすすめします。
専門家のサポートを受けることで安心して進められ、手続きが遅れたりトラブルに巻き込まれたりするリスクを減らせるでしょう。
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