相続をおこなうにあたり、弁護士と司法書士のどちらに相談すべきか悩んでいる方は多いでしょう。
また「自分のケースに合っている専門家はどっち?」「弁護士と司法書士の違いは?」などの疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか?
本記事では、弁護士と司法書士の違い、弁護士・司法書士に依頼したほうがよいケースなどについて解説します。
相続に関するトラブルや手続きで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
弁護士と司法書士とでは、対応できる業務がそれぞれ異なります。
下表に対応可能業務をまとめているので、どちらに依頼すべきか考える際の参考にしてください。
【遺産相続において弁護士と司法書士が対応できる業務内容の比較】
業務内容 |
弁護士 |
司法書士 |
相続人の調査 |
◯ |
◯ |
相続財産の調査 |
◯ |
◯ |
遺産分割協議の調整 |
◯ |
× |
遺産分割調停・審判の代理 |
◯ |
× |
遺産分割協議書の作成 |
◯ |
△ ※登記に関するものに限る |
遺留分侵害額請求 |
◯ |
△ ※請求額が140万円以下の場合に限る |
不動産の名義変更(相続登記) |
△ ※司法書士に委任するケースが多い |
◯ |
相続放棄の代理・サポート |
◯ |
△ ※代理提出は不可、書類の作成アドバイスは可能 |
遺言書の作成サポート |
◯ |
◯ |
遺言執行者への就任 |
◯ |
◯ |
相続税申告 |
△ ※税理士に委任するケースが多い |
× |
遺産相続において、弁護士に依頼したほうがよいケース・司法書士に依頼したほうがよいケースをそれぞれ紹介します。
弁護士に依頼したほうがよいのは、相続に関する総合的なサポートを受けたい場合や、相続人の間でトラブルが発生している場合です。
具体的には、以下のようなケースが挙げられます。
相続人同士でのトラブルがとくになく、以下に挙げたような手続きや書類作成のサポートをお願いしたい場合は、司法書士に依頼するのがおすすめです。
弁護士と司法書士のどちらに依頼すべきかわからない場合は、以下3つのポイントを参考に検討するとよいでしょう。
弁護士のほうが対応できる業務範囲が広いため、総合的なサポートを受けられます。
弁護士には代理権があるため、遺産分割協議に代理人として参加してもらったり、手続きを代行してもらったりすることが可能です。
相続手続き全般について相談・依頼をしたいなら、弁護士に頼るのが確実でしょう。
弁護士や司法書士の両方に相談してみるのもよいでしょう。
法律・司法書士事務所で実際に話を聞いてみることで、どちらに依頼すべきか判断しやすくなります。
無料相談を実施している事務所は数多く存在するので、まずは気軽に相談してみるとよいでしょう。
弁護士に無料で相談できる窓口は、いくつかあります。
いま現在置かれている状況に合わせて、自分に合った窓口を見つけて相談してみてください。
窓口 |
URL |
ベンナビ相続 |
|
弁護士会の法律相談センター |
|
法テラス |
上記のほか、地方自治体の役所・役場などでも無料相談を実施している場合があります。
自宅の近くで相談したい方は、これらの方法を活用してみるとよいでしょう。
司法書士に無料で相談できる窓口も複数あります。
窓口 |
URL |
司法書士総合相談センター |
|
法テラス |
|
市区町村主催の法律相談 |
https://www.city.minato.tokyo.jp/kouchou/kurashi/sodan.html ※URLは東京都港区のものです。 |
司法書士総合相談センターは全国150ヵ所に設置されていますが、相談料はセンターによって異なります。
最寄りのセンターの相談料が無料かどうか、ホームページで事前に確認するようにしてください。
家族が亡くなった際のサポートは、基本的に葬儀屋にお願いすることになります。
そのサポートの一環として相続に関する専門家を紹介してもらえる場合もあるので、自分で探すのが難しい場合は相談してみてください。
葬儀屋と専門家の間の連携体制が整っているので、スムーズに相談できるでしょう。
相続人の間でトラブルが発生している場合は弁護士に依頼しましょう。
ここからは、相続トラブルについて弁護士に相談・依頼するメリットを3つ紹介します。
弁護士は対応できる業務範囲が広いため、幅広い相続トラブルに対処できます。
たとえば、遺言書が有効なものかわからない場合に、法的助言を受けられる弁護士に相談すると心強いでしょう。
また、遺留分を侵害された場合の対応や相続放棄の手続きのサポートもお願いすることが可能です。
司法書士は相続人同士でトラブルが発生しているケースは一切対応できないので、相続トラブルを抱えているなら弁護士に依頼しましょう。
弁護士は、相続人の代理人として、遺産分割協議に参加することができます。
相続人同士の仲が悪かったり、面識がまったくなかったりすると、遺産分割協議がまともに進まず、結論がまとまらないこともあるでしょう。
このようなケースでは、弁護士が代理人として関与することで遺産分割協議が円滑に進む可能性が高くなります。
また、遺産分割協議がまとまらなかったとしても、弁護士であれば、その後の遺産分割調停、審判にも対応してもらえるので、最終的に遺産分割問題を解決することができます。
司法書士は、相続トラブルが発生しているケースを取り扱うことは一切できません。
そのため、司法書士に依頼してからトラブルが起こった場合、弁護士に依頼し直す必要があります。
弁護士に再度依頼するとなると、弁護士を探す手間や相談する時間がさらにかかってしまうので非効率です。
トラブルに発展する可能性がある場合は、最初から弁護士に依頼しておいたほうがよいでしょう。
相続財産に不動産が含まれる場合は登記が必要ですが、相続トラブルをすべて解決しない限り登記はできません。
弁護士に早めに相談しておけば登記手続きまでスムーズに進められるため、相続問題を効率的に解決できます。
ここでは、相続トラブルについて弁護士や司法書士に依頼する際に注意してほしいポイントを紹介します。
弁護士と司法書士は、それぞれ対応できる業務と対応できない業務が異なります。
たとえば、弁護士は遺産分割協議への代理参加や遺留分侵害額請求はできますが、不動産の登記手続きをおこなうことは一般的に得意ではありません。
一方、司法書士は不動産の登記手続きをおこなうことは可能ですが、遺産分割協議の代理人・遺留分侵害額請求の代理人となることは不可能です。
このようにそれぞれ強み・弱みが異なるので、自分が相談したい内容に対応できる専門家に頼ることが大切です。
依頼にかかる費用は、相談する事務所によって異なるので注意しましょう。
一般的に、弁護士のほうが司法書士よりも費用が高額になることが多いといえます。
しかし、事務所によっては司法書士に依頼するよりも安くなる場合もあります。
相談する際に費用体系について説明してもらったり、費用の見積もりを出してもらったりして、きちんと比較したうえで決めましょう。
弁護士・司法書士とひと口にいっても、得意分野は人それぞれです。
弁護士・司法書士だからといって、必ずしも遺産相続が得意とは限らないので注意してください。
事務所のWebサイトなどで、その専門家の解決実績や得意分野をあらかじめ確認しておくとよいでしょう。
遺産相続に関するトラブルが発生している、または発生しそうなら、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士なら相続トラブル全般に対処できるので、スムーズかつ円満に相続できる可能性が高くなりますよ。
遺産相続が得意な弁護士は「ベンナビ相続」で簡単に検索できます。
お住まいの地域やお悩みの内容を選択するだけで希望の条件に合った弁護士を探せるので、忙しい方でも気軽に利用できます。
相続問題で少しでも悩んでいるなら、ぜひ一度活用してみてください。
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