自分の会社(株式)を妻や夫に相続させる場合、手続きや税金のことで課題を感じる経営者の方もいるでしょう。
生前にしっかりと対策をしていないと、相続が始まった際に後継者が苦労する可能性があるので注意が必要です。
本記事では、会社を配偶者に相続させたいと考えている経営者の方に向けて、以下の内容について説明します。
また、株式を相続することになった配偶者の方向けの対処法についても解説しています。
本記事を参考に、円滑に自分の会社(株式)を配偶者に相続させされるようになりましょう。
上図のとおり、被相続人の妻(夫)は常に相続人になります(民法第890条)。
そのため、遺産分割協議の内容次第では、妻(夫)が被相続人の会社を相続することが可能です。
ただし、内縁の妻(夫)は法律上の配偶者とはならないため、相続させたいならほかの方法を取る必要があります。
ここでは、妻(夫)に会社を相続させるための方法を2つ紹介します。
1つ目は、遺言書を使う方法です。
「妻○○に株式を全て相続させる」と記載した遺言書を残せば、配偶者に会社を相続させることができます。
遺言があれば遺産分割協議をおこなう必要がないため、被相続人の意向に沿った相続を実現させることが可能です。
2つ目は、遺産分割協議で株式を取得してもらう方法です。
生前「妻(夫)に自分が亡くなったら会社を引き継いでほしい」と説明しておくことで、相続発生後に妻(夫)が株式を相続してくれる可能性が高まるでしょう。
ただし、妻(夫)に会社を相続する意思がない場合や、ほかの相続人が株式の取得を主張した場合には、配偶者に相続してもらえないおそれがあります。
ここでは、妻(夫)に会社を相続させるためのポイントを説明します。
まずは、妻(夫)に会社を経営する意思があるかどうかを確認しておきましょう。
妻(夫)に話をしたうえで会社を継ぐ意思があるなら、事業承継に向けた準備を進めるとよいでしょう。
一方、経営者が「妻に会社を相続させたい」と思っていても、配偶者にその意思がなければ困難となります。
配偶者に会社を継ぐ意思がまったくない場合は、ほかの後継者を探すこともひとつの方法です。
妻(夫)を後継者にする場合は、後継者にさせるための育成・教育にも取り組みましょう。
育成・教育には大きく社内教育と社外教育の2種類があり、それぞれ以下のような具体的な方法があります。
こうした経験を通じて、後継者は知識、技術、意欲・自覚などを身につけることができます。
また、積極的に後継者育成をおこなうことで、従業員や取引先などからも事業承継の理解が得やすくなります。
妻(夫)に株式を相続させる際は、相続税にも注意すべきでしょう。
配偶者の場合は、相続税の配偶者控除(1億6,000万円または法定相続分)を適用できます。
また、法人版事業承継税制を利用できれば、非上場株式の承継による贈与税・相続税が猶予または免除されます。
配偶者に会社(株式)を相続させることを検討している場合は、事前に相続税のシミュレーションをおこない、対策することをおすすめします。
ここでは、会社を相続することになった配偶者の方向けに対処法を3つ紹介します。
会社を引き継ぐ場合は経営者となり、経営に携わりましょう。
経営者になるには、まず株主総会で取締役に選任される必要があります。
取締役に選任されるための株主総会の要件は、以下のようになっています。
その後、取締役会や定款に規定された手続きを経て、代表取締役に就任するという流れになります。
被相続人から十分な株式を相続している場合は、スムーズに代表取締役に就任することができるでしょう。
経営する意思がない場合は、相続した株式を会社や第三者に売却する選択肢も考えられます。
相続した株式を売却する候補としては、以下の3種類があります。
中小企業の株式の多くは譲渡制限株式であり、会社の承認がなければ株式を売却することができません。
会社が承認しなかった場合には、会社が指定する買取人や会社自身に買い取るよう請求することになります。
株式を相続したくない場合は相続放棄を検討するのもよいでしょう。
相続放棄とは、家庭裁判所の許可を得て相続人としての権利・義務を全て放棄する手続きことです。
株式などのプラスの財産に加え、借金や連帯保証人などのマイナスの財産も相続する必要が亡くなります。
3ヵ月を超えてしまうと相続放棄ができなくなるので、余裕を持って手続きをしましょう。
相続放棄の流れやポイントは、以下のページで詳しく解説しています。
現在、経営している会社を妻(夫)に相続させたい場合は、事前に経営する意思があるか確認しておきましょう。
妻(夫)に経営する意思があるなら、後継者候補として育成・教育に力を入れることをおすすめします。
一方、経営する意思がないなら、子どもや従業員などほかの後継者候補を探す必要があります。
自分が亡くなったあとに会社を存続させられるよう、しっかりと対策を取ってきましょう。
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