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亡くなった人(親)の借金は時効になる?相続人が知っておくべき法的対策まとめ

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亡くなった人に借金があったことが発覚し、困っている方もいるでしょう。

なかには、「時効で借金がなくならないかな?」「そもそも、借金に時効はあるの?」などと、疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、借金の時効、借金を相続しない方法などを解説します。

借金の相続について悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

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亡くなった人の借金には時効がある

まずは、亡くなった人の借金の時効について確認していきましょう。

時効が成立するまでの期間は原則5年、もしくは10年

亡くなった人の借金の時効は、個人間の貸し借りの場合は5年です。

ただし、令和2年3月31日以前の貸し借りについては、時効は10年です。

また、貸主もしくは借主のいずれかが商法上の商人である場合(貸主が貸金業者や銀行の場合や、個人から事業資金を借り入れた場合)の時効は5年です。

時効のスタートは最後に返済したときが起算点となる場合が多いため、相続開始時にすでに時効が成立しているケースもあります。

ただし、返済期限を定めていた場合には、返済期限が到来した日以降でなければ時効計算をスタートしませんので、どのような約束だったのかにも留意する必要があります。

時効を成立させるためには「時効援用」が必要

時効援用とは、借金の時効が成立したときに、借主が「時効が成立しているので借金の返済をしません」と主張することです。

時効援用をしないと時効成立の効果が発生せず、返済義務が残ったままになってしまうので注意しましょう。

時効援用の方法

時効援用の手続きをおこなうには、「時効援用通知書」を作成する必要があります。

口約束でもかまいませんが、後日「そんな話は聞いていない」と言われてトラブルになる可能性があるので、必ず書面で手続きしましょう。

時効援用通知書には、以下に挙げた項目を記載するのが一般的です。

  • 時効を援用する日付
  • 債権を特定する情報(債権者、債務者、債権の内容)
  • 消滅時効を援用すること

時効援用通知書を作成したら、配達証明付きの内容証明郵便で送付しましょう。

これにより、どのような文書を送り、いつ到着したのかをあとで証明できるため、貸主の言い逃れを防ぐことができます。

時効援用通知書が貸主に届いた時点で時効が成立し、借金の返済義務がなくなります。

時効が中断・更新されている可能性もある

時効が中断・更新されていた場合、最後の返済時から5年または10年経っていても時効成立とはなりません。

時効の中断・更新とは、時効がリセットされて最初からやり直しになることです。

以下のいずれかの事由が起こると、時効が中断・更新されます。

  1. 裁判上の請求:貸主が借主に対して訴訟や支払督促をおこない権利を確定させること。
  2. 差し押さえ:強制執行を完了させること。新法では仮差押えや仮処分には時効の完成猶予の効果しかなく時効の更新はありません。
  3. 承認:借金の取り立てを受けた借主が「払います」などと言って、債務の存在を認めること。

なお、中断は旧民法、更新は改正民法の制度を指し、効果はほとんど同じです。

亡くなった人(親)の借金は、原則として相続人(子どもなど)に返済義務がある

相続人は、相続開始から3ヵ月以内に単純承認・相続放棄・限定承認のうち、いずれかの相続方法を選択しなければなりません。

この期間のことを「熟慮期間」といいます。

熟慮期間内に相続放棄や限定承認の手続きをとらないと、「単純承認」をしたとみなされます。

単純承認をした場合、相続人は預金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も相続しなければなりません。

亡くなった人の代わりに、相続人が借金の返済義務を負うことになります。

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時効援用でなく、相続放棄によって借金(負債)を相続しない方法もある

借金を負いたくない場合の対処法として、時効援用のほかに相続放棄という選択肢もあります。

相続放棄とは | 借金を含め被相続人の遺産を一切相続しないこと

相続放棄とは、亡くなった人の財産を一切相続しないことです。

マイナスの財産がプラスの財産よりも多い場合や、借金を一切負いたくない場合に有効な方法といえます。

相続放棄をする場合、相続開始から3ヵ月以内に家庭裁判所で所定の手続きをおこなう必要があります。

時効援用と相続放棄の比較

時効援用と相続放棄の違いは、以下のとおりです。

  相続放棄 時効援用
期限 相続開始から3ヵ月 なし
プラスとなる財産の相続可否 できない できる
2つ以上の負債がある場合の対応 一度の手続きで解決できる それぞれの負債で、個別に手続きをする必要がある
借金の相続を確実に避けられるか
単純承認をせず、きちんと手続きをすれば避けられる

・必ず時効が成立しているとは限らない
・あとから別の債務が発覚した場合、改めて時効援用が可能か確認する必要がある
手続き方法 家庭裁判所で申し立てをする 内容証明郵便で時効援用通知書を送る

時効援用に比べ相続放棄を選ぶメリット・デメリット

相続放棄を選ぶメリットとして、現時点で把握していない借金も含めて丸ごと放棄できることがあります。

亡くなった人の借入状況は信用情報で確認できますが、全ての借金が記載されているとは限りません。

個人間の借金は信用情報に記載されないほか、債権譲渡によって信用情報から削除されていることもあります。

相続放棄していれば、あとから新しい借入が発覚しても返済義務を負う必要がないので安心です。

一方、デメリットとして預金や不動産などのプラスの財産も相続できない点が挙げられます。

また、熟慮期間内に手続きをしなければならず、手間がかかる点にも注意が必要です。

相続放棄に比べ時効援用を選ぶメリット・デメリット

一方、時効援用を選ぶメリットは、プラスの財産を相続できることです。

亡くなった人の財産のうち、マイナスの財産は時効援用によって消滅するため、預金・不動産などのプラスの財産のみを相続することができます。

ただし、信用情報に記載されていない借入があとで発覚した場合に、返済義務を負う必要がある点はデメリットといえるでしょう。

また、時効が中断・更新されていた場合も、借金の返済義務を負わなければなりません。

相続放棄でなく限定承認によって、借金返済の負担を軽減する方法もある

限定承認とは、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続することです。

プラスの財産を超える借入は相続する必要がなく、プラスの財産だけで完済できます。

返済後に余った財産はそのまま相続できるため、プラスの財産がマイナスの財産より多い場合に有効な方法です。

ただし、限定承認には煩雑な手続きが多く、困難な対応となる場合が少なくないため、一般的にはおすすめできる方法ではありません。

限定承認について詳しく知りたい方や、相続放棄と限定承認のどちらを選ぶべきか悩んでいる方は、以下の記事をチェックするとよいでしょう。

借金の相続について弁護士に相談・依頼することが推奨される理由

亡くなった人に借金があった場合の相続については、弁護士に相談・依頼するのがおすすめです。

ここからは、弁護士に相談・依頼するメリットを3つ紹介します。

時効援用・相続放棄を含め、状況に合う解決策を提示してくれる

弁護士に相談すれば、ご自身の状況に合った最適な解決策を提示してもらえます。

亡くなった人に借金があった場合、時効援用・相続放棄・限定承認など、さまざまな選択肢のなかから適切なものを選ばなければなりません。

どれがベストなのか自分で判断するのは難しいので、弁護士に相談して希望に合った選択肢を提案してもらいましょう。

本当に時効が成立しているか判断してもらえる

時効が成立しているかを確認してもらえる点もメリットのひとつです。

時効が中断・更新されていた場合、最終返済時からかなりの時間が経っていたとしても時効が成立していないことがあります。

法律の知識がないと、時効が中断・更新されたことがあるのかや、その事由まで確認するのは難しいでしょう。

時効援用を成功させるためにも、弁護士に依頼して時効が成立しているかを確認してもらうのがおすすめです。

時効援用や相続放棄の手続きを弁護士に代行してもらえる

時効援用や相続放棄の手続きをお任せできる点も大きなメリットでしょう。

時効援用をおこなう場合は、時効援用通知書の作成が必要ですが、不備があると時効援用に失敗するおそれがあります。

また、相続放棄をおこなうには亡くなった人の戸籍謄本を集めたり、相続人が誰なのかを調査したりと、かなりの手間がかかります。

弁護士に依頼すれば、これらの面倒な手続きを代行してもらえるため、負担を大幅に軽くできるでしょう。

さいごに | 借金の相続で困ったら弁護士に相談を!

亡くなった人に借金があった場合、原則として相続人は返済義務を負わなければなりません。

借金を相続したくない場合は、所定の書類を作成したり、複雑な手続きをおこなったりする必要があります。

借金の相続で困ったことがあれば、弁護士に相談・依頼しましょう。

弁護士に依頼すれば、適切な解決策を提示してもらえたり、手続きを代行してもらえたりと、さまざまなメリットがあります

借金の相続に詳しい弁護士は、「ベンナビ相続」で簡単に検索できます。

ベンナビ相続では、お住まいの地域や相談内容を選択するだけで、自分の希望に合った弁護士をすぐに見つけることが可能です。

ぜひ気軽に利用してみてください。

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この記事の監修者
ルーセント法律事務所
磯田 直也 (兵庫県弁護士会)
多くの相続トラブルを解決に導いた実績と経験を活かし、あらゆる選択肢から最適な解決策を提案しています。他士業と連携し、複雑な案件や遺産額が大きい案件も一括サポートが可能です。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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