不動産相続に関する弁護士相談をご検討中の方へ
被相続人の土地の権利証を紛失しても、相続手続きを進めることは可能です。
ただし、権利証がない以上、被相続人がどのような土地を所有していたかを丁寧に調査しなければいけません。
遺産の調査漏れがあると、遺産分割協議のやり直しを迫られるなどの手間を強いられかねないからです。
この記事では、土地の権利証を紛失したときの相続手続きの流れ、相続登記の方法、土地の権利証がないときに弁護士に相談・依頼するメリットなどについてわかりやすく解説します。
土地の権利書をなくして困っている方は、ぜひ参考にしてください。
結論からお伝えすると、土地の権利証を紛失したとしても、相続手続きを進めることは可能です。
そもそも土地の権利証とは、不動産の登記手続きが終了したときに法務局から交付される登記済証のことです。
不動産売買や担保設定などの際の本人確認書類として活用されます。
しかし、土地の権利証はあくまでも権利などを証明するための書類であり、土地の権利証を紛失したからといって土地の所有権が無効になったり権利が制限されたりすることはありません。
また、2005年に不動産登記法が改正されて、土地の権利者には登記識別情報が通知されるようになりました。
この改正によって、土地の権利証を紛失したとしても、登記識別情報がはっきりしていれば、土地の権利関係の手続きを進めることができます。
ここからは、土地の権利証を紛失した場合の相続手続きの流れについて解説します。
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
被相続人が死亡して相続が発生したら、できるだけ早いタイミングで相続財産と相続人の調査をおこないましょう。
被相続人に属していた財産は全て相続の対象です。
不動産や預貯金、現金、貴金属類、株式などのプラスの財産だけではなく、借金やローン、税金滞納分などのマイナスの財産も遺産に含まれます。
漏れがあると遺産分割協議のやり直しを強いられる可能性があるので、入念な調査が必要です。
次に、遺産分割協議は全ての相続人が参加しなければいけないので、被相続人の戸籍謄本などをチェックして、相続人の洗い出しをおこないます。
特に、被相続人が離婚・再婚を繰り返している場合には相続人の連絡先を入手するのが大変なので、時間があるうちに着実に調査を進めてください。
相続財産と相続人の調査が終わったら、相続人全員で遺産分割協議をおこないます。
遺産分割協議では、誰がどの財産をどのような割合で相続するかについて話し合いがおこなわれます。
話し合いで合意に至った場合には、遺産分割協議書を作成して、合意内容通りに財産を承継します。
一方、遺産分割協議が不成立に終わったときには、遺産分割調停を申し立てて、家庭裁判所のサポートを受けながら遺産の相続方法を決定します。
被相続人が所有していた土地を相続するかが決まったら、法務局で相続登記の手続きをおこないます。
以前は相続登記は義務ではありませんでしたが、2024年の不動産登記法の改正によって、相続によって土地を取得した場合の相続登記が義務化されました。
正当な理由がないのに、相続によって土地の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請しなければ10万円以下の過料に処されるので、できるだけ早いタイミングで相続登記手続きを済ませましょう。
土地の権利証を紛失している場合、被相続人がどのような不動産を所有していたかがすぐには判明しません。
ここでは、土地の権利証を紛失したときの不動産の調査方法について解説します。
それぞれの調査方法について、詳しく見ていきましょう。
被相続人が土地を所有していた場合、毎年4月~5月頃に固定資産税納付書が送付されます。
固定資産税納付書には被相続人が所有している土地などの不動産情報が記載されているため、固定資産税納税通知書を見れば、被相続人がどこに土地を所有しているかが判明します。
ただし、共同で土地を所有しているようなケースでは、被相続人ではなくほかの所有者に対して固定資産税納税通知書が送付されている可能性もあります。
そのため、固定資産税納税通知書だけで被相続人が所有する不動産を全て把握するのには限界があると理解しておきましょう。
被相続人が所有する土地の権利書を紛失したとしても、評価証明書や名寄帳を確認すれば、被相続人がどの土地を所有していたかがわかります。
評価証明書とは、土地や家屋の評価額を証明する公的な書類のことです。
名寄帳とは、個人や法人が所有する土地・家屋の一覧が記載された書類のことです。
登記簿謄本とは違って相続人が所有する土地などの不動産情報が一覧で表示されているので、被相続人の所有資産の見落としを防止できます。
評価証明書と名寄帳の写しは、市区町村役場の資産税課に問い合わせをすれば入手できます。
申請資格は被相続人と相続関係にある人だけに認められている点に注意が必要です。
さいごに、権利証を紛失した土地の相続登記をするときの手続きの流れを説明します。
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
まずは、相続登記に必要な書類を用意します。
相続登記の必要書類は以下のとおりです。
相続登記の必要書類は相続の状況によって異なります。
必要書類に漏れがあると相続登記手続きがスムーズに進まなくなるので、事前に必要書類などについて確認することを強くおすすめします。
相続登記の申請書類が用意できたら、土地の住所地を管轄する法務局に申請書類を提出してください。
相続登記の申請方法は以下3つです。
利用しやすい方法で申請をおこないましょう。
相続登記手続きが終了すると、法務局から登記識別情報通知などの書類が送付されます。
登記識別情報通知などの書類は土地の売買や担保設定などのタイミングで必要になります。
また、登記識別情報通知を紛失しても再発行はされないため、厳重に保管してください。
被相続人が所有していた土地の権利証を紛失しても相続手続きを進めることは可能です。
ただし、土地の権利証がないと、そもそも被相続人がどのような不動産を所有していたのかを調査するのが大変です。
相続放棄や限定承認の判断には期限が設けられているので、できるだけ早いタイミングで被相続人が所有していた不動産の有無を調査してください。
そして、被相続人が所有していた土地の情報をひとりで調査するのが難しいときには、弁護士に相談・依頼することを強くおすすめします。
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