不動産相続に関する弁護士相談をご検討中の方へ
「不動産の相続登記をしたいと考えているけれど、どんな書類が必要なんだろう」
不動産の相続登記をするためには、さまざまな書類が必要です。
そこで本記事では、不動産登記のための必要書類の紹介から収集方法までわかりやすく解説します。
本記事を通じて、不動産登記の手続きを進められるようになりましょう。
相続後におこなう不動産登記には、さまざまな書類が必要となります。
まずは、下記の早見表を基に必要書類及び取り寄せ先をそれぞれ確認してみましょう。
|
書類名 |
遺産分割協議の場合 |
法定相続分に従う場合 |
遺言書に従う場合 |
|---|---|---|---|
|
被相続人の戸籍謄本 |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
|
被相続人の除籍謄本 |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
|
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票 |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
|
遺言 |
× |
× |
必要 |
|
相続人の戸籍謄本 |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
|
相続人の印鑑証明 |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
市区町村役場で取り寄せ |
|
相続人の固定資産課税明細書 |
毎年4月ごろに市区町村から送付 |
毎年4月ごろに市区町村から送付 |
毎年4月ごろに市区町村から送付 |
|
所有者になる人の住民票 |
市区町村役場で取り寄せ |
不要 |
不要 |
|
登記申請書 |
新しい所有者が作成 |
新しい所有者が作成 |
新しい所有者が作成 |
|
委任状 |
代理人がいる場合は作成 |
代理人がいる場合は作成 |
代理人がいる場合は作成 |
|
遺産分割協議書 |
法定相続人が作成 |
× |
× |
|
相続関係説明図 |
新しい所有者が作成 |
新しい所有者が作成 |
新しい所有者が作成 |
のちほど詳しく解説しますが、2024年3月1日より広域交付制度が開始したことで、本籍地以外の市区町村役場の窓口でも、戸籍謄本や除籍謄本の請求が可能となりました。
ただし、対象となるのは、本人及び配偶者、直系尊属(父母・祖父母など)、直系卑属(子・孫など)で、かつ窓口での請求に限られます。
そのため、兄弟姉妹やおじ・おば、委任による代理人が戸籍謄本を取り寄せたい場合には、これまでと同様に、被相続人の本籍地がある市区町村の役所へ出向く必要がある点には注意しましょう。
上記の早見表で確認してもらったように、相続後の相続登記にはさまざまな書類が必要です。
ここからは、各書類の概要や取得方法について解説します。
相続登記申請書は、相続後におこなう不動産登記(相続登記)の申請にあたり作成が必要な書類です。
この書類は、法務局で入手することができるほか、法務省のWebサイトでもダウンロードすることが可能です。
なお、相続登記申請書は相続の方法によって記入方法が異なるため、作成時には注意が必要です。
相続関係説明図は、亡くなった方(被相続人)を中心に、相続発生にともない相続人の人数や続柄などを記した、いわば家系図のようなものです。
この相続関係説明図には、被相続人(故人)とそれぞれ相続人がどのような関係になるのか、わかるように作成する必要があります。
なお、不動産登記の申請時にこの相続関係説明図を提出した場合、戸籍謄本の原本をあとで返却してもらうことができます。
もっとも、相続人が数多くいる場合には、相続関係説明図の作成が難しい場合もあるため、行政書士や司法書士、弁護士といった専門家に依頼することをおすすめします。
戸籍謄本は、被相続人の出生から死亡まで連続した内容が記載されたものを用意しなければなりません。
戸籍謄本は、これまで被相続人の本籍地を管轄する市区町村役場に行くか、郵送で取り寄せる必要がありました。
しかし、後述するように2024年3月から「戸籍の広域交付制度」が開始され、相続人の居住する最寄りの市区町村役場の窓口でまとめて申請できるようになっています。
ただし、取得者の兄弟姉妹の戸籍謄本や電子化されていない戸籍謄本の場合には、従来どおり本籍地の市区町村役場に行くか、郵送で請求しなければなりません。
住民票の除票は、登記簿上の被相続人と戸籍上の被相続人が同一人物であるかどうかを証明するために必要です。
ただし、被相続人の死亡時の住所と登記された住所が異なる場合、前の住所で記録された住民票の除票か戸籍の附票が必要です。
住民票の除票は、被相続人の住所地の市区町村役場で取得します。
一方、戸籍の附票は、被相続人の本籍地の市区町村役場での取得が必要です。
そのため、被相続人の住所地と本籍地が異なる場合、2つの市区町村役場に問い合わせなければならない点には注意しましょう。
固定資産課税明細書は、不動産の所在地を管轄する市区町村役場や各税事務所で取得できます。
固定資産評価証明書も同様に市区町村役場等で取得することができ、いずれも郵送での取得が可能です。
ただし、固定資産評価証明書の請求には、登記名義人の死亡の記載がある戸籍謄本と請求者の相続関係がわかる戸籍謄本を添付しなければならない場合があるため、事前に不動産所在地を管轄する市区町村役場に問い合わせてみましょう。
なお、不動産の評価額は固定資産納税通知書にも記載されているため、固定資産納税通知書がある場合には固定資産評価証明書の取得は不要です。
相続登記には、相続人の戸籍謄本も必要です。
相続人の戸籍謄本も本籍地のある市区町村役場のほか、最寄りの役所でも取得が可能です。
加えて、相続人の場合は、現在の戸籍だけで手続きが可能なため、出生から死亡までの記載は必要ありません。
なお、遺産分割協議や遺言の場合には、新たに所有者になる相続人の戸籍謄本のみで手続きできます。
ただし、不動産を共有にする場合には相続人全員の戸籍謄本が必要になるため注意しましょう。
相続登記には、相続人の印鑑証明書も必要となり、各相続人の住所地のある役所で取得することができます。
印鑑証明書は、遺産分割協議書などにそれぞれの相続人が署名し、実印を押します。
そのため、印鑑が真正なものか証明するためには添付が必要です。
印鑑登録をしていない場合には登録手続きから必要となるため、早いうちから準備を始めましょう。
不動産を取得する場合には、取得する相続人の住民票も必要です。
住民票は、住所地のある市区町村役場での取得が可能です。
これまでみてきたように、相続後の不動産登記(相続登記)の際には、数多くの書類を集めなければなりません。
ここでは、必要書類を効率よく集めるためのコツを紹介します。
ここまで何度か紹介しましたが、2024年3月1日から戸籍謄本等の広域交付制度が始まりました。
従来、本籍地や住所地の市区町村役場へ行かなければ取得できなかった戸籍証明書や除籍証明書などの書類が、最寄りの役場で取得できるようになっています。
また、請求したい戸籍の本籍地が遠方ににあっても、1ヵ所の市区町村の窓口でまとめて請求がすること可能になりました。
なお、広域交付は、本人、配偶者、父母や祖父母などの直系尊属、子どもや孫などの直系卑属に限られます。
そのため、兄弟姉妹の証明書や、コンピュータ化されていない戸籍証明書を請求することはできません。
また、請求者が市区町村の戸籍担当窓口に直接出向く必要があり、郵送や代理人による請求はできないため注意が必要です。
相続人の資料は、市区町村役場のほか、コンビニなどで取得も可能です。
現在、マイナンバーカード、住民基本台帳カード、スマホ用電子証明書搭載済みスマートフォンのいずれかを利用すれば、市区町村が発行する証明書をキオスク端末(マルチコピー機)から取得することができます。
コンビニ交付では、住民票の写しや印鑑登録証明書など相続登記に必要な書類を取得できるほか、事前に申請することで戸籍証明書の取得も可能です(現在の住所地と本籍地が異なる場合)。
具体的には、以下のとおりです。
なお、取得できる証明書の種類は自治体に異なるため、詳細は以下のページを確認してください。
相続登記の必要書類ではないものの、遺産分割協議などで必要となる不動産の登記事項証明書は、窓口や郵送による請求のほかにも、オンラインによる交付請求が可能です。
オンライン請求を利用することで、登記所などに比べて手数料を安く抑えることができます。
また、オンライン収入印紙の用意も必要なく、その場で電子納付できる点もメリットといえるでしょう。
また、オンライン請求であれば平日8時30分~21時00分のあいだで利用できるため、日中は仕事や家事で忙しい方でも利用しやすいでしょう。
相続後の不動産登記には、さまざまな書類が必要で収集も難しい場合があります。
そのような場合には、弁護士や司法書士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば、相続全般のサポートから相続財産の調査、書類の作成までまとめて依頼することができます。
相続登記をしてほしい場合には、司法書士に相談するとスムーズに対応してもらうことができます。
不動産登記の手続きには厳格なルールがあり、遵守しなければ思わぬトラブルに発展してしまう可能性も否定できません。
そのため、できる限り早い段階で弁護士や司法書士といった専門家へ相談・依頼することをおすすめします。
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