不動産相続に関する弁護士相談をご検討中の方へ
このように、相続時に田舎の土地があることを知り、悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
「土地」と聞くと、相続して損はないようにも思えますが、実は安易な気持ちで相続するのは避けるべきです。
本記事では、田舎の土地を相続するときの注意事項、相続しないときの対処法、弁護士に遺産相続問題を相談するメリットなどについて、わかりやすく解説します。
田舎の土地の相続でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
相続財産に田舎の土地が含まれていた場合の対処法は大きく2つに大別されます。
まずは、田舎の土地を相続した場合と相続したくない場合、それぞれについて解説します。
相続財産に含まれる田舎の土地を相続する場合には、相続手続きにしたがって田舎の土地の所有権を取得する必要があります。
以下では、田舎の土地の相続人がひとりのケースと複数人いるケースそれぞれについて、見ていきましょう。
まずは、以下のように、田舎の土地を相続するのがひとりだけのケースについてです。
このように田舎の土地を相続するのが自分ひとりに決まっている場合には、遺産分割協議は不要です。
法務局にて、田舎の土地の所有権を取得するために、相続登記の手続きをおこないましょう。
ただし、相続登記をする際には、田舎の土地を取得するときの状況によってさまざまな必要書類・添付書類が求められるため、不備や漏れがないように注意をしてください。
田舎の土地の相続権を複数人が有する場合には、誰がどのような割合で田舎の土地を取得するのかを決めるために、遺産分割協議をおこなう必要があります。
遺産分割協議を経て田舎の土地を相続することが決まったら、法務局で相続登記手続きを済ませましょう。
ただし、田舎の土地のように資産価値が低いものが相続財産に含まれているケースでは、現物分割・換価分割・代償分割・共有分割のどの方法で土地を分けるのかについて話し合いが難航することも少なくありません。
土地の相続に不安がある場合は、弁護士などの専門家へ相談し、アドバイスをもらいましょう。
田舎の土地を相続したくない場合には、すみやかに相続放棄の手続きを進めましょう。
相続放棄とは、被相続人の相続財産全てを放棄する手続きのことです。
プラスの財産だけではなくマイナスの財産も相続しなくてよくなるので、田舎の土地をめぐる相続問題と関わらずに済みます。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
第九百十六条 相続人が相続の承認又は放棄をしないで死亡したときは、前条第一項の期間は、その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時から起算する。
(相続の放棄の方式)
第九百三十八条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
(相続の放棄の効力)
第九百三十九条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
引用元:民法|e-Gov法令検索
相続放棄をするには、相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に、家庭裁判所で相続放棄手続きをおこなわなければいけません。
ただし、相続放棄をすると田舎の土地以外の財産も全て承継できなくなる点に注意が必要です。
事前に財産調査を正確におこなったうえで、相続放棄をするべきか否かを慎重に判断してください。
田舎の土地を相続するメリットは以下3つです。
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
田舎の土地を相続するメリットは、通常よりも安く土地が手に入ることです。
一般的に、不動産市場で土地を購入するよりも、相続によって土地を取得したほうが、費用は安く済みます。
なぜなら、相続で土地を入手すると以下のようなメリットがあるからです。
相続で田舎の土地を取得すれば、その土地を有効活用して、収益を上げることができます。
たとえば、土地を賃貸に出せば毎月固定で賃料が発生しますし、駐車場として収益化する、アパートを立てて不動産経営をする、太陽光発電用地として活用するなどの選択肢も考えられるでしょう。
さらに、田舎の土地の活用方法が思いつかない場合には、売却をして代金を手にすることも可能です。
田舎の土地を相続するかどうか迷っているのなら、一度は相続したうえで有効活用の方法を模索するのも間違いではないでしょう。
田舎の土地を先祖代々受け継いできた場合には、あなたが土地を相続することで、土地を守りつづけることができます。
田舎の土地に対して家族・親族の思い入れがあるのなら、多少の経済的なデメリットはあったとしても、土地を相続することに意義は生まれるでしょう。
田舎の土地を相続する際には、以下の3つのデメリットに注意をしなければいけません。
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
田舎の土地を相続すると、土地を維持管理するだけで以下のような費用が発生します。
相続した田舎の土地を使用する予定があれば、これらの費用負担については気にならない可能性もありますが、土地の使い道がない状況でもこれらの維持管理コストを避けることはできない点に注意が必要です。
令和6年4月1日からは、相続登記が義務化されている点にも注意が必要です。
そのため、相続によって田舎の土地を取得したときには所有権の取得を知った日から3年以内に、遺産分割を経て田舎の土地を取得したときには遺産分割成立日から3年以内に、法務局で相続登記をしなければいけません。
正当な理由がないのに相続登記手続きをしなかった場合には、10万円以下の過料に処されます。
また、相続登記をせずに田舎の土地の権利関係が複雑になると、売却や有効活用なども困難になり、いつまでも田舎の土地の維持管理コストだけを負担しつづけなければいけなくなります。
相続登記をすればこれらのリスクを回避できるものの、法務局での手続き負担や司法書士などの専門家への依頼料が発生する点に注意が必要です。
田舎の土地を相続すると、その土地が原因で近隣トラブルが発生する可能性があります。
田舎の土地がきっかけで発生する可能性がある近隣トラブルの具体例として、以下のものが挙げられます。
そのため、田舎の土地を取得した以上は、近隣住民とのトラブルを予防するために、定期的なメンテナンスが必要になることを覚えておきましょう。
さいごに、相続財産に田舎の土地が含まれていたときの3つのポイントを解説します。
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
田舎の土地を相続で取得する前に、取得したあとの有効活用方法や売却可能性をチェックしましょう。
たとえば、土地の借主や売主を見つけるのが難しい立地なのに、相続後に田舎の土地を賃貸したり売却したりする希望を抱いても意味がないのは明らかでしょう。
また、仮に売却できる状況であったとしても、希望売価と不動産市場の相場があまりにかけ離れていると、相続後の売却で満足できない可能性が高いです。
そのため、田舎の土地を相続で取得するときには、希望する有効活用の方法や売却などが現実的に可能かどうかを、事前にできるだけシミュレーションすることが大切です。
たとえば、不動産業者などから話を聞いてみるのも選択肢のひとつでしょう。
田舎の土地以外にどのような相続財産が含まれているかも重要なチェック項目です。
たとえば、田舎の土地と数百万円の預貯金のプラスの財産が遺産に含まれていたとしても、数千万円の負債が存在する場合には、田舎の土地だけではなく、負債も相続しなければいけません。
数千万円の借金を自己負担しても良いのであれば田舎の土地を相続しても問題はありませんが、借金の返済生活で苦労をしたくないのなら相続放棄を選択したほうが合理的でしょう。
また、田舎の土地の相続権を有する相続人が複数存在するときには、複数人で相続をすると、土地が共有状態になり、賃貸や売却などの処分がしにくくなる可能性が高いです。
誰かひとりだけが相続をするのなら、ほかの相続人に対して代償を支払ったりほかの相続財産を優先的に引き受けさせたりするなどの調整が必要になります。
このように、どのような形で相続を実現するべきかは、相続財産の構成内容や相続人の状況・希望などに大きく影響されます。
自分ひとりだけの希望が通るわけではないので、慎重に調査を尽くしたうえで丁寧に遺産分割協議を進めるべきでしょう。
相続が発生して、相続財産に田舎の土地が含まれていることが判明したときには、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談をしてください。
というのも、遺産相続問題が得意な弁護士に相談することで、以下のメリットを得られるからです。
遺産相続に関する法律相談は初回無料で受け付けてくれる弁護士は多いので、相続が発生したときには、念のために一度は専門家の話を聞いておくべきでしょう。
相続財産に田舎の土地がある場合には、そのまま相続をするべきか、相続放棄をするべきかを慎重に判断しなければいけません。
特に、田舎の土地は資産価値が低く、相続によって取得したあとにさまざまなコスト負担を強いられる可能性が高いので、安易な判断で相続をするのはハイリスクです。
もし相続をするのであれば、相続後の管理・維持の方法や有効活用の選択肢などについて、事前に専門家へ相談し、アドバイスをもらっておくとよいでしょう。
なお、ベンナビ相続では、田舎の土地のように相続判断が難しい遺産が含まれる場合の相続トラブルへの対応が得意な弁護士を多数紹介中です。
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