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相続手続きは代理人に依頼できる?依頼方法や依頼先の選び方を解説

関口 英紀 弁護士
監修記事
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相続手続きは、代理人に依頼することが可能だということをご存じでしょうか。

非常に複雑なだけでなく、専門的な知識が必要になることもあるのが相続手続きです。

たとえば相続人が未成年であるケースや親族内での相続争いが起こっているケースなどは、対応が困難になることは想像に難くありません。

とはいえ、相続に関する手続きは避けては通れないため、専門知識をもった代理人への依頼が重要になります。

本記事では、相続手続きにおける代理人の種類をはじめ、相続手続きを代理人に依頼すべきケースや実際の手続き、必要書類や費用などについて詳しく解説します。

相続手続きをスムーズに進めるためにも、まずは基本的な知識を身につけましょう。

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相続手続きは代理人に依頼できる

親族の遺産を相続することになった場合、相続手続きは代理人を通じて進めることが可能です。

手続きを依頼できる代理人は「法定代理人」「任意代理人」「特別代理人」の3つに分類され、それぞれが異なる役割をもちます。

以下では、これらの代理人を適切に選ぶために、それぞれの違いについて解説します。

法定代理人とは

法定代理人とは、未成年者の親権者や成年後見人など、法律によってその地位が定められた代理人です。

本人の法的行為を代行し、未成年者や判断能力が不十分な成年者の利益を守る役割を担います。

法定代理人は相続手続きにおいても重要な役割を果たし、未成年者や認知症の方が相続人となるケースでは、相続手続きを代行して進めることが可能です。

なお、法定代理人には親権者・未成年後見人・成年後見人などがあり、それぞれが特定の条件下で代理権を行使します。

任意代理人とは

任意代理人とは、本人の意思に基づいて選ばれる代理人を指し、特に資格を必要としません。

家族や友人、または相続手続きの専門知識をもつ弁護士や司法書士などがこの役割を担うことがあります。

任意代理人は、相続人間のトラブルを避けるためや、スムーズな手続きを進めるために依頼されることが一般的です。

具体的な役割としては、相続に関する複雑な手続きや交渉を代行し相続人の負担を軽減することが挙げられます。

任意代理人には、相続手続き全般にわたる広範な業務を委託することができ、専門家に依頼することで法的な問題の解決や適切な手続きの進行が期待できます。

特別代理人とは

特別代理人とは、相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合に利益相反の問題を避ける目的で設けられる代理人です。

特別代理人は家庭裁判所によって選任されることがあり、特定の手続きに限り代理権を行使することができます。

遺産分割協議など、特定の相続手続きにおいて相続人の利益を守ることが大きな役割です。

利益相反が生じる可能性のあるケースでは、特別代理人が選任されることで公平な手続きが保証され、相続人全員の利益が守られます。

特別代理人の選任は、相続手続きにおける複雑な問題を解決するための有効な手段となります。

相続手続きを代理人に依頼すべきケース

相続は避けては通れないものですが、複雑かつ心理的負担も大きい手続きです。

法律的な知識はもちろん、時間やエネルギーが必要になるほか、相続に関するトラブルの発生なども考えられます。

個人で手続きをおこなうのが難しいケースで頼りになるのが、代理人です。

専門的な知識をもった代理人に依頼することで相続における法的な落とし穴を避け、遺産分割の公平性を保つことができるでしょう。

以下では、相続手続きを代理人に依頼すべきケースについて解説します。

自力で相続手続きを進められる自信がない場合

相続手続きは、戸籍謄本の収集から遺産分割協議書の作成、不動産の名義変更に至るまで多岐にわたります。

さらに、手続きには法律的な知識を要するため、細心の注意を払わなければなりません。

自力で手続きを進める自信がないケースでは、専門家に依頼することで手続きの誤りを避け、時間と労力を節約できます。

また、専門家は遺産分割における税務上の最適な解決策の提案もできるため、たとえば相続税の申告を税理士に任せるなどした場合には、相続税の負担軽減も期待できるでしょう。

相続トラブルが不安・すでに揉めている場合

相続で発生しがちなのが、遺言の有無や遺産の分配、特定の相続人の存在などによって引き起こされる相続トラブルです。

すでに争いが生じている、または争いが起こることが予想されるケースでは、弁護士などの専門家を代理人として立てることで公平な解決を図ることができる場合もあります。

当事者たちが望めば、専門家は中立的な立場から問題の解決を図り、相続人間の関係を保ちながら適切な解決策の提案することも可能です。

専門家が介入することで親族間での感情的な対立を避け、合理的な解決につなげることができます。

相手方が弁護士を立てている場合

相手方が弁護士を代理人として立てているケースでは、自身も専門家のサポートを受けることが重要です。

相手方が専門家の知識と経験を背景に交渉を進めるときは、法律的な知識が乏しいと不利な立場に立たされるおそれがあります。

自身も弁護士や専門家を代理人として選任することで、対等な立場で交渉を進めることができ、適切な遺産分割が実現します。

相続手続きを代理人に依頼する場合の手続き

相続手続きは、遺産分割協議から不動産の名義変更、銀行口座の解約や移行に至るまで、多岐にわたります。

手続きは専門的な知識を要するため、弁護士や司法書士などの専門家を代理人として依頼するのが一般的です。

以下では、相続手続きを代理人に依頼するケースの手続きについて解説します。

代理人に依頼する際は委任状が必要

相続手続きを代理人に依頼する際には、その代理権の範囲を明確にするために委任状が必要です。

委任状は、代理人がおこなう手続きの種類や範囲を具体的に記載し、依頼者が署名・捺印します。

委任状によって、代理人は依頼者に代わって相続手続きをおこなえるようになります。

委任状は、相続手続きの代理権があることを証明するものになります。

委任状が不要なケースもある

相続手続きを代理人に依頼する場合でも、一部の手続きでは委任状が必要ないこともあります。

具体的には、以下のようなケースであれば委任状は必要ないことが多いため、手続きを簡略化し迅速に進めることができるでしょう。

  • 相続人全員の合意がある遺産分割協議
  • 遺言執行者が遺言の内容に従って行動する場合
  • 特定の金融機関の手続き
  • 小規模遺産の簡易手続き
  • 法定相続情報証明制度を利用する場合

委任状の書き方・サンプル

委任状は、相続手続きにおいて代理人に特定の業務をおこなう権限を与える重要な文書です。

以下は、相続手続きにおける一般的な委任状のサンプルです。

なお、委任状の具体的な内容は依頼する手続きや個々の状況に応じて変わります。

委任状

代理人住所 〇〇〇 〇〇〇〇

代理人氏名 〇〇 〇〇

 

私は、上記の依頼者として、以下の業務について上記の代理人に全権を委任します。

 

 

1.相続に関する遺産分割協議の代理

2.相続財産に関する各種名義変更手続きの代理

3.相続税申告に関する業務の代理

4.その他、上記に関連する一切の手続き

 

この委任状は、上記業務に関連するすべての法的行為において有効とします。

 

令和〇年〇月〇日

委任者住所 〇〇〇 〇〇〇〇

委任者氏名 〇〇 〇〇    

委任状を作成する際の注意点

委任状を作成する際には正確な内容を記載することはもちろん、文書の形式に関するいくつかの重要なポイントがあります。

以下では、委任状を作成する際の注意点を解説します。

白紙委任状は作成しない

白紙の状態で署名や捺印をした委任状を作成することは避けましょう。

白紙委任状は、後から内容を勝手に書き加えられるリスクがあります。

悪用されると、依頼者の意図しない権限が代理人に与えられるおそれがあるため、委任状には依頼する手続きの範囲や権限について明確に記載しておくことが重要です。

委任状が複数枚になる場合は契印を押す

委任状が複数ページにわたるケースでは、各ページに契印をすることが推奨されます。

契印は文書の一体性を保証し、後からページが入れ替えられたり、追加・削除されたりすることを防ぐためのものです。

文書が正確で完全であることを示すためにも、契印を活用しましょう。

書き間違えた場合は訂正印を使用する

委任状の作成中に書き間違いなどがわかったケースでは、訂正印を使用して正しい情報に訂正することが必要です。

訂正箇所には二重線を引き、正しい内容を明記した後で訂正印を押しましょう。

訂正印により、文書の変更が正式なものであることを示し、誤りがあったことを明確に記録します。

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相続手続きを代理人に依頼する際の選び方

相続に関わる手続きの際には、相続財産の種類や相続人間の関係性、税金の問題など、多岐にわたる要素を考慮する必要があります。

代理人の選択には、手続きの種類や特性に応じて、もっとも適した専門家を選ぶことが肝心です。

以下では、相続手続きを依頼する際の適切な代理人の選び方を解説します。

親族に依頼するのがおすすめなケース

相続手続きを親族に依頼するのが適しているケースは、遺産の規模が小さく相続人間の合意形成が容易な状況です。

親族間の強い信頼関係を背景に、財産分配の話し合いや必要書類の収集をスムーズにおこなえるでしょう。

簡便であり相続人同士のコミュニケーションを保ちやすい点が大きなメリットです。

ただし、専門的な知識が必要な相続税の申告や複雑な法的問題が絡む場合は、専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。

弁護士に依頼するのがおすすめなケース

相続における紛争が生じているケースや、紛争が生じそうなケース、相続人間での合意が難しい状況では、弁護士に相談することが最適です。

弁護士は遺産分割の交渉をはじめ遺言の有効性の検証、相続放棄の手続きなど、法的側面からのサポートを提供できます。

また、たとえば、遺留分侵害額の請求や遺言書の解釈に関する問題では、弁護士の専門的な知識と経験が不可欠です。

弁護士は、法律的な枠組みの中でもっとも適正で有利な解決策を見出す戦略を提案できるため、複雑な相続問題の解決に向いています。

司法書士に依頼するのがおすすめなケース

不動産の相続財産の手続きには、司法書士の専門性が求められます。

不動産登記の変更や相続登記には適切な手続きが必要となるため、司法書士に依頼することが望ましいでしょう。

また、司法書士なら遺言書の正式な手続きや相続関連の契約書作成にも対応可能です。

司法書士に依頼することで、不動産の相続に関わる複雑な問題もスムーズに解決へと導けます。

行政書士に依頼するのがおすすめなケース

相続手続き一般において、特に法的に難しいことがない場合は行政書士に依頼することもあるでしょう。

行政書士は相続に伴う各種申請手続きを得意とし、預金の解約手続きなどをおこなうことがあります。

税理士に依頼するのがおすすめなケース

相続税の申告が必要なケースでは、税理士がもつ専門知識が役立ちます。

税理士は相続税の計算・節税対策・申告書の作成など、税に関する複雑な手続きができます。

遺産が大規模であるケースや、不動産、株式などさまざまな資産が含まれる複雑な相続では、税理士のアドバイスが不可欠です。

節税対策をはじめとする財産管理の最適化を図るためにも、税理士に相談することが推奨されます。

相続で特別代理人の選任が必要なケース

相続手続きは、ときに複雑なものとなり、特定のケースでは特別代理人の選任が必要になる場合があります。

特に、相続人が未成年者や認知症を患っている方など、法律的に代理人を必要とする状況がこれに該当します。

以下では、これらのケースにおける特別代理人の選任がなぜ必要となるのか解説します。

未成年者と親権者が相続人の場合

未成年者が相続人であるケースでは、通常は親権者が法定代理人として相続手続きを代行します。

しかし、親権者が同じく相続人であるとき、未成年者の利益を保護するために特別代理人の選任が必要になることがあります。

家庭裁判所による特別代理人の選任は、未成年者の財産の管理や相続権の行使において、利益相反の状況を避けるためにおこなわれるのが一般的です。

特別代理人の選任は、未成年者の財産と権利を保護し、すべての手続きが公正におこなわれるようにするために非常に重要です。

認知症の方と成年後見人が相続人の場合

認知症の方が相続人となるケースは、成年後見人が代理として手続きをおこなうことがほとんどです。

しかし、成年後見人自身も相続に関わるケースでは、認知症の方の利益を考慮し、利益相反となるため特別代理人の選任が必要となります。

特別代理人が認知症の相続人のために相続手続きや財産管理をおこなうことで、利益の衝突を防ぐことにつながります。

家庭裁判所による選任によって、認知症の方の権利を守り、相続手続きを適切に進めることが可能です。

相続で特別代理人を選任する場合の手続き

相続人の中に未成年者や認知症の方がいる場合に利益相反の問題を避ける目的で設けられるのが特別代理人です。

相続が発生した際、未成年者や判断能力が不十分な相続人がいるケースでは、特別代理人の選任が必要となることがあります。

以下では、特別代理人を選任する際に必要な手続きの流れ、必要書類、そしてかかる費用について解説していきます。

選任手続きの流れ

特別代理人の選任手続きには、相続人間の合意形成から始まり、家庭裁判所への申立て、審理と決定、そして選任通知と登記といった複数のステップがあります。

1.相続人全員の合意形成

選任手続きのためには、まず全相続人が特別代理人の選任に同意する必要があります。

2.家庭裁判所への申立て

全相続人による合意が形成されたら、家庭裁判所に特別代理人の選任を申立てます。

3.審理と決定

裁判所は申立てを審理し、特別代理人の選任を決定します。

4.選任通知と登記

選任が決定されたら、特別代理人に通知されて必要な登記手続きがおこなわれます。

選任手続きの必要書類

特別代理人の選任にあたっては、申立書や同意書など、複数の書類が必要になります。

事前に必要書類について把握しておくことで手続きがスムーズに進行し、適切な代理人が選ばれることにつながります。

書類

概要

申立書

特別代理人の選任を求める申立ての内容を記した文書です。

相続人の同意書

全相続人の署名が含まれる必要があります。

被相続人の死亡証明書

相続開始の証明として提出します。

戸籍謄本等

相続人関係を証明するための書類です。

代理人候補の同意書

選ばれる代理人の同意が必要となります。

選任時にかかる費用

特別代理人の選任には、申立て費用や代理人報酬をはじめとした諸費用がかかることも忘れてはいけません。

以下では、必要費用と具体的な金額の目安について解説します。

特別代理人の選任は、相続手続きを円滑に進める上で重要です。

適切な準備によって相続はスムーズに進み、関係者の権利を守ることにもつながるでしょう。

費用

概要

申立て費用

2,000円~3,000円

家庭裁判所に支払う手数料です。

代理人報酬

10万円~20万円

特別代理人に支払う報酬です。

依頼される業務の範囲や難易度に応じて変わります。

その他の費用

戸籍謄本の取得費用:1通あたり450円

相続登記の費用:数万円から数十万円

さいごに|相続手続きの代理人選びで困ったら、まずは無料相談がおすすめ

本記事では、相続手続きを代理人に依頼するための基本的な知識や流れについて解説しました。

相続手続きのための代理人を選ぶ際には、自身の状況に合った専門家を選ぶことが重要です。

弁護士は法律全般に対応可能で、特に親族間での紛争が予想されるケースには最適な選択肢です。

司法書士は不動産登記<が必要な場合、行政書士は戸籍収集や相続手続きの必要書類の作成、税理士は相続税に関する相談に適するなど、専門家による違いがあることを覚えておきましょう。

相続手続きにおける代理人選びは、スムーズな手続きのために非常に有効です。

しかし、どの専門家に依頼すべきか迷った場合は、まずは無料相談を利用することをおすすめします。

専門家に相談することで自分に合った代理人を見つけ、相続手続きを円滑に進めることができるでしょう。

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この記事の監修者
川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士 (神奈川県弁護士会)
遺産分割など揉めやすい問題の交渉、調停、訴訟から、生前の相続対策として遺言や家族信託の活用についてまで幅広く対応。相談者の事情に合わせたオーダーメイドの解決を目指しており、多くの実績がある。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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