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婿養子には実親・養親の相続権がある!相続権・相続割合を解説

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婿養子は、妻の親と養子縁組を結ぶことで実親と養親の両方から相続権を有しているのが特徴です。

実子と同等の相続分を受けることができる婿養子ですが、離婚や特定の条件下では相続権が影響を受けることもあります。

本記事では、婿養子の相続に関する基本情報をはじめ、相続割合や離婚時の相続権、そして相続できないケースについて詳しく解説します。

婿養子という立場は非常に特殊であるため、相続の際には不透明な点が多いことが一般的です。

まずは本記事で、相続についての重要なポイントについて把握しておきましょう。

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婿養子は実親・養親の両方から相続できる

婿養子となることで、その男性は妻の家族と法的な親子関係を結び、相続の際には実親だけでなく養親からも遺産を受け継ぐ権利を得ます。

「婿養子」というこの制度は、特に家業をもつ家庭や家名を継がせたいと考える家庭において重要な役割を果たしています

婿養子になることで相続の範囲が広がり、実子と同等の相続権を確保できるため、家族内の財産継承がより柔軟におこなえることが特徴です。

婿養子制度は、家族の絆を法的にも強化し、相続におけるさまざまな可能性を広げるものだといえるでしょう。

婿養子は代襲相続人にもなれる

代襲相続とは、直接の相続人が亡くなった際にその子どもが相続権を引き継ぐ制度であり、婿養子もこの制度の恩恵を受けることができます。

たとえば、実親や養親が亡くなった際、本来の相続人が先に亡くなっていたケースでも、婿養子であれば相続権を継承することが可能です。

代襲相続によって家族内での財産の継承がスムーズにおこなわれ、遺産分割の公平性が保たれるのは大きなメリットだといえます。

婿養子が代襲相続人となることで、家族の財産を守り、次世代へと継承することができます。

婿養子にも遺留分が認められる

遺留分は、故人の法定相続人が最低限受け取るべき遺産の割合を保証する制度であり、婿養子も実子と同様にこの保護を受けられます。

たとえ被相続人の遺言によって相続から除外された場合でも、婿養子は一定の遺産を請求できるため、経済的な保護が得られます

遺留分の存在は、婿養子が養家においても実家においても不当に相続から排除されることなく、公平な遺産分割を受けるための重要な仕組みです。

遺留分制度により、婿養子の権利が守られ、相続におけるトラブルを未然に防ぐことができます。

婿養子は相続放棄することも可能

相続放棄は、相続人が故人からの遺産を一切受け取らない選択をする法的手続きです。

相続放棄は故人の負債の引き継ぎを防ぐためにおこなわれることが多く、婿養子も相続放棄の選択が可能です。

相続放棄をすることで、婿養子は故人の借金などの負債から自己を守ることができ、経済的なリスクを避けることができます。

なお、相続放棄の手続きは相続開始を知った日から3カ月以内におこなう必要があり、家庭裁判所への申し立てが必要です。

【ケース別】婿養子の相続割合

婿養子は、法律上の手続きを経て妻の実家と自分の実家の両方から相続権を有することが特徴です。

この独特な立場は相続割合にも影響を及ぼし、相続人の構成や遺言の内容など、ケースによって異なります。

以下では、婿養子が実親または養親から相続する際の割合について、ケース別に解説します。

婿養子の実親が亡くなった場合

婿養子となった方の実親が亡くなった際、婿養子は実の子としての相続権をもちます

このときの相続分は他の実子と等しく分配されるため、婿養子の相続分は実の兄弟姉妹と同等です。

実親の遺産に対する権利は、養子縁組の有無にかかわらず確立されています。

実親の財産を相続する際は、他家の婿養子になっていても財産管理や遺産分割において重要な役割を果たすことになります。

ケース例

実の父が亡くなり、実の母と実の兄、そして婿養子が相続人となった

法定相続分

母が2分の1、残りの2分の1を婿養子と兄で等分

具体的な割合

母が2分の1、婿養子と兄それぞれが4分の1を相続

婿養子の養親が亡くなった場合

婿養子が養親から相続する際には、養子縁組によって法律上の親子関係が成立しているため、婿養子であっても養親の相続人となります。

このケースでは、婿養子は妻の実家の財産を相続する権利を有しますが、相続割合は養親の遺言や法定相続人の数によって変動します。

ケース例

妻の父である養父が亡くなり、養母、婿養子、妻、妻の兄弟が相続人となった

法定相続分

養母が2分の1、残りの2分の1を婿養子、妻、妻の兄弟で等分

具体的な割合

具体的な割合:養母が2分の1、婿養子、妻、妻の兄弟それぞれが6分の1を相続

婿養子が妻と離婚した場合も相続権は残る

婿養子制度は、日本特有の家族制度のひとつであり、相続においても独特のルールが存在します。

婿養子になることで得られるメリットとしては妻の家族からの相続権の獲得がありますが、実は婿養子が妻と離婚してもその相続権が失われないという特徴があります。

たとえ離婚しても養子縁組が自動的に解消されることはなく、そのまま妻の親からの相続権を保持することになります。

婿養子が相続権を放棄したい場合は、養子縁組の解消手続きをおこなうことで放棄が可能です。

この手続きは、養親との合意のもとでおこなわれ、離縁届の提出によって正式に進められます。

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婿養子が相続できないケース

婿養子として家族に迎えられることで、相続権を含むさまざまな権利を得ることができます。

ただし、特定の状況下では婿養子が相続権を行使できないケースも存在することを覚えておく必要があるでしょう。

以下では、婿養子が相続できない2つパターンについて解説します。

養子縁組を解消した場合

婿養子としての立場を成立させるのは、養子縁組という制度です。しかし、養子縁組が何らかの理由で解消されてしまうと、婿養子は法的な相続人としての権利を失います

養子縁組の解消は養親と婿養子双方の合意によっておこなわれ、この手続きが完了すると婿養子は被相続人の法定相続人から外れることになります。

養子縁組の解消によって婿養子の相続権に大きな影響が出ることは把握しておきましょう。

被相続人が遺言書を作成していた場合

被相続人が「婿養子には遺産を渡さない」といった内容の遺言書を残していると、婿養子の相続権は制限される可能性があります。

しかし、法律によって法定相続人には遺留分という最低限保証されるべき相続分が定められており、遺言書によって相続から除外されたとしても婿養子は遺留分の請求をおこなうことが可能です。

ただし、遺留分の請求には時効が存在し、被相続人の死亡を知った日から1年、または遺言の存在を知ってから10年以内におこなわなければなりません。

婿養子の相続に関するよくある質問

日本の家族制度における婿養子は、家業や家名の継承において重要な役割を果たします。

婿養子となることで妻の家族から法的な相続権を得ることができるほか、家業をもつ家庭では継承者として期待されることもあるでしょう。

以下では、婿養子に関する相続の疑問に対して回答します。

婿養子と婿は何が違う?

婿養子と単なる婿の最大の違いは、法的な養子縁組の有無です。婿養子は妻の親と正式な養子縁組を結び、その家族の法的な一員となります。

養子縁組により、妻の家族の財産や家業に対する相続権を得られるのです。

一方で、一般的な婿は妻との結婚によって妻の姓を名乗ることはできますが、養子縁組を結んでいないため、法的には妻の家族からの相続権は認められません。

相続税の基礎控除はどのように計算する?

相続税の基礎控除額は、法定相続人の数に応じて増加します。婿養子は法定相続人として認められるため、基礎控除額の計算において考慮され、相続税の負担軽減に寄与します。

具体的な基礎控除額の計算式は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。

この法定相続人の数に婿養子が加わることで相続税の基礎控除額が増え、結果として相続税の負担軽減につながります。

相続税の2割加算の対象になる?

婿養子は相続税計算上で2割加算の対象外となります。

この2割加算は、亡くなった方の配偶者や一親等以内の親族を除く人物が遺産を相続する際に、相続税を2割増しで支払うことです。

たとえば、被相続人の兄弟姉妹や甥・姪などがこれにあたります。

婿養子は法的に養子と認められているため、2割加算の対象にはなりません。婿養子は実子と同等の扱いを受け、相続税の負担が軽減されるのが一般的です。

特に、家業や家名の継承を考える家庭では、婿養子制度を利用することで相続税の面でも有利な条件を得ることができるでしょう。

さいごに|婿養子の相続に関する疑問や不安は弁護士に相談!

本記事では、婿養子の相続に関する基本情報から相続割合や離婚時の相続権などについて解説しました。

実親と養親の両方からの相続権が認められ、実子と同等の扱いを受けられることが婿養子の大きなメリットです。

ただし、離婚や養子縁組の解消、遺言書の存在など、相続権に影響を及ぼす要因もあるため、注意が必要です。

相続に関する疑問や不安があるときは、専門家である弁護士に相談することで適切なアドバイスやサポートを受けられます

婿養子の相続における権利と義務、相続分の計算方法など、相続手続きをスムーズに進めるためにも、弁護士の協力を得ることをおすすめします。

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この記事の監修者
みとみらい法律事務所
後藤 直樹 (茨城県弁護士会)
弁護士歴30年以上。遺産分割や中小企業の跡継ぎトラブルまで、幅広い相続問題に対応。また、分割が複雑な不動産も長年の弁護士経験から他士業との連携を活かし、トータルサポートで問題の解決へと導く。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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