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相続に関する時効・期限を20個紹介!重要な時効がひと目でわかる一覧付き

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相続をめぐるさまざまな手続きには、時効や期限が設けられていることに注意しなければなりません。

本記事では、遺産相続に関連する手続きの時効や期限について、手続きごとにポイントをわかりやすく解説します。

消滅時効が完成したあとに起こりうるデメリットについても触れるので、ぜひ参考にしてください。

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相続に関連する時効は多い!主な時効の一覧表

相続が発生すると、さまざまな手続きに対応しなければいけません。

しかし、相続に関連する手続きには期限・時効が多いので注意が必要です。

まずは、相続関連の重要な時効制度一覧をみてみましょう。

【相続手続きで特に重要な時効一覧】

項目

時効・期限

相続権・遺産分割請求権

時効なし

遺留分侵害額請求権

・相続の開始および遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知ったときから1年

・相続開始のときから10年

限定承認・相続放棄

自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月

死亡保険金の請求

保険給付を請求できるときから3年(かんぽ生命は5年)

遺族年金・寡婦年金の請求

支給すべき事由が生じた日から5年

相続税の申告・納付

期限から5年もしくは7年

贈与税の申告・納付

期限から6年もしくは7年

相続登記

相続によって所有権の取得を知った日、もしくは遺産分割が成立した日から3年

相続の権利に関する時効

時効に配慮する必要がある相続の権利は、以下のとおりです。

  • 相続権・遺産分割請求権
  • 相続回復請求権
  • 遺留分侵害請求権
  • 寄与分と特別受益の請求権
  • 特別寄与料の請求権

1.相続権・遺産分割請求権|時効なし

相続権とは、故人の金銭や不動産などの財産を承継することができる権利のことです。

また、遺産分割請求権とは複数の相続人の間で遺産の分割方法を話し合う協議を請求する権利を意味します。

いずれも時効はないため、相続人である以上は、相続から何年経過しても主張することができます。

(遺産の分割の協議又は審判)

第九百七条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

2.相続回復請求権|5年間または20年

相続回復請求権とは、相続権を有する真正相続人が、相続人の権利を侵害している表見相続人に対して、相続財産の取り戻しを請求することです。

相続人ではない人物が、根拠もなく勝手に遺産を管理・処分している状態を是正する目的で行使されます。

相続回復請求権を行使できるタイムリミットとして、時効が以下のとおり定められています。

  • 相続人または法定代理人が相続権を侵害された事実を知ってから5年間相続回復請求権を行使しないとき
  • 相続開始から20年間が経過したとき

相続回復請求権を行使する際はまず、相手方との話し合いや内容証明郵便を送付するなど、当事者同士で任意の解決を目指すのが一般的です。

また、表見相続人との話し合いで合意が得られない場合には、占有・支配の回復のために民事訴訟を提起することになります。

(相続回復請求権)

第八百八十四条 相続回復の請求権は、相続人又はその法定代理人が相続権を侵害された事実を知った時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から二十年を経過したときも、同様とする。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

3.遺留分侵害額請求権|1年間または10年

遺留分侵害学請求権とは、相続人の遺留分が侵害されている場合に、侵害されている遺留分の額を請求できる権利のことをいいます。

一定範囲の法定相続人には、最低限度の遺産取得分(遺留分)が保障されています。

遺言書によってこの遺留分が侵害される状態になると、遺留分侵害請求権を行使することで遺留分を取り戻すことができます。

遺留分が侵害されているときは、まず遺留分侵害状態を回復するために相続人間で話し合いの機会を作ります。

場合によっては、遺留分を侵害している受贈者・受遺者に対して内容証明郵便を送付しなければいけません。

そのうえで、相手方が遺留分侵害分の回復に相手方が同意してくれないときには、調停・訴訟という裁判手続きで決着を目指すことになります。

遺留分侵害請求権を行使する期限である時効・除斥期間は以下のように定められています。

  • 相続の開始及び遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知ったときから1年間遺留分侵害額請求権を行使しないとき
  • 相続開始の時から10年間が経過したとき

(遺留分侵害額請求権の期間の制限)

第千四十八条 遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

4.寄与分と特別受益の請求|10年間

寄与分とは、被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人に対して、遺産分割で決定した相続分に加えて、貢献の度合いに応じた相続分を加算できる制度のことです。

たとえば、親が経営していた会社を無給で手伝っていたり、故人の療養介護を献身的に継続していたりする場合などに、寄与分を主張できます。

また、特別受益とは相続人の中に被相続人から遺贈・生前贈与によって特別の利益を受けた者がいる場合に、その相続人の受けた利益のことです。

特別受益に該当する利益は、相続財産の額に持ち戻しをしたうえで、各相続人の相続分を決定しなければいけません。

寄与分の請求および特別受益の持ち戻しについては、相続開始から10年を経過するまでの遺産分割までに実施する必要があります。

(期間経過後の遺産の分割における相続分)

第九百四条の三 前三条の規定は、相続開始の時から十年を経過した後にする遺産の分割については、適用しない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

5.特別寄与料の請求権|6ヵ月または1年間

特別寄与料とは、被相続人の介護などに無償でおこなうなどの労務を提供する方法で相続財産の維持・増加に貢献していた相続人以外の親族(特別寄与者)が、相続人に対して寄与度に応じた金銭を請求できる制度のことです。

寄与分は相続人を対象にしたものですが、特別寄与料は相続人以外の親族が利用できる点で異なります。

特別寄与者に該当するのは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族です。

特別期初者が自ら貢献した特別寄与料を請求するには、以下の時効・除斥期間に注意が必要しなければいけません。

  • 特別寄与者が相続の開始及び相続人を知ってから6ヵ月を経過したとき
  • 相続開始から1年を経過したとき

特別寄与料について争うときには、まずは当事者間で交渉をするのが一般的です。

そして、当事者間の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の調停・審判手続きを利用します。

さらに、審判内容に不服がある場合には、民事訴訟で終局的な解決を目指すことになります。

第千五十条 

2 前項の規定による特別寄与料の支払について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、特別寄与者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、特別寄与者が相続の開始及び相続人を知った時から六箇月を経過したとき、又は相続開始の時から一年を経過したときは、この限りでない。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

相続税などに関する時効

相続が発生すると、贈与税・相続税の申告などに関する手続きを履践しなければいけません。

1.相続税の申告・納付|5年または7年

相続税とは、被相続人から相続人が財産を引き継いだ際、その受け取った財産に課税される税金のことです。

本来、相続税の申告・納付は、「被相続人が死亡したことを知った日(通常は、被相続人が死亡した日)の翌日から10ヵ月以内」におこなわなければいけません。

加えて、相続税の申告内容は相続人自身で相続税を計算・納付する必要があります。

しかし、相続財産に不動産や金融商品などが含まれていたり、相続関係が複雑だったりすると、相続税の申告内容に誤りがあったり、申告漏れや無申告の事態が生じかねません。

このようなケースが発覚した場合、税務署の更正決定により修正申告や追徴課税の負担を強いられます。

ただし、相続税に関する更正決定については以下のとおり時効(除斥期間)が設けられているので、これらの期間を徒過すれば相続税を申告・納付する必要がなくなります

  • 法定申告期限(死亡日の10ヵ月後)から原則5年
  • 悪意もしくは不正がある場合は7年

(国税の更正、決定等の期間制限)

第七十条 次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。

引用元:国税通則法 | e-Gov法令検索

5 次の各号に掲げる更正決定等は、第一項又は前二項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。

一 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等

引用元:国税通則法 | e-Gov法令検索

2.贈与税の申告・納付|6年または7年

日本の相続税は諸外国に比べて高いといわれているため、節税対策として生前贈与などを実施するケースが少なくありません。

このような場合には、相続税ではなく贈与税の申告・納付手続きを履践する必要があります。

原則として、贈与税の申告・納付期限は「財産を贈与された年の翌年の2月1日~3月15日」です。

しかし、相続税と同じように、贈与税についても申告漏れが起こる可能性が考えられます。

そして、贈与税の更正や賦課決定については、以下のように時効が設けられています。

この期間を経過したあとは、贈与税の追徴課税などの措置を命じられることはありません。

  • 贈与の発生から6年
  • 悪意もしくは不正がある場合は7年

(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)

第三十七条 税務署長は、贈与税について、国税通則法第七十条(国税の更正、決定等の期間制限)の規定にかかわらず、次の各号に掲げる更正若しくは決定(以下この項及び第四項において「更正決定」という。)又は賦課決定(同法第三十二条第五項(賦課決定)に規定する賦課決定をいう。以下この条において同じ。)を当該各号に定める期限又は日から六年を経過する日まで、することができる。この場合において、同法第七十一条第一項(国税の更正、決定等の期間制限の特例)の規定の適用については、同項中「日が前条」とあるのは「日が前条及び相続税法第三十七条第一項から第四項まで(贈与税についての更正、決定等の期間制限の特則)」と、「同条」とあるのは「前条及び同法第三十七条第一項から第四項まで」とする。

引用元:相続税法 | e-Gov法令検索

3.準確定申告と納付|5年または7年

準確定申告とは、被相続人の生前の所得に対する確定申告のことです。

そもそも、所得税は毎年1月1日~12月31日までの1年間に生じた所得に対して課税されるものです。

所得金額に対する所得税を納税者自身で計算をして、翌年2月16日~3月15日までの間に申告・納税をしなければいけません。

しかし、年度途中で死亡した人の場合、翌年の確定申告を自分自身で処理することができません。

そのため、被相続人に代わって相続人が1月1日から死亡した日までに確定した所得金額および税額を計算したうえで、「相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内」に申告・納税をおこなう必要があります。

なお、準確定申告の申告・納付の時効(除斥期間)は、以下のように定められています。

  • 準確定申告の期限の翌日から5年
  • 脱税などの不正行為によって申告を免れた場合には、準確定申告の期限の翌日から7年

これらの期限を徒過した後に税務署に申告漏れなどが発覚しても被相続人の所得に対する課税を受けることはありません

また、重加算税などのペナルティが課される可能性もゼロになります。

(国税の更正、決定等の期間制限)

第七十条 次の各号に掲げる更正決定等は、当該各号に定める期限又は日から五年(第二号に規定する課税標準申告書の提出を要する国税で当該申告書の提出があつたものに係る賦課決定(納付すべき税額を減少させるものを除く。)については、三年)を経過した日以後においては、することができない。

引用元:国税通則法 | e-Gov法令検索

5 次の各号に掲げる更正決定等は、第一項又は前二項の規定にかかわらず、第一項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、同項各号に定める期限又は日から七年を経過する日まで、することができる。

一 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、又はその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等

引用元:国税通則法 | e-Gov法令検索

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相続財産の取得権などに関する時効

相続が発生すると、さまざまな財産を取得することになります。

相続権や遺産分割請求権には時効が存在しないので、本来相続開始後ならいつでも自らの相続権を主張して財産を承継できるはずです。

しかし、以下の相続財産については取得できる期間が限られているため、消滅時効が完成するまでに諸手続きを済ませる必要があります。

  • 民間の死亡保険金
  • 健康保険の葬祭費・埋葬料
  • 高額療養費
  • 遺族年金・寡婦年金
  • 労災保険の遺族補償給付
  • 一般的な債権・債務
  • 遺産の取得時効

1.民間の死亡保険金|3年間(かんぽ生命は5年間)

故人が生命保険に加入していた場合、保険事故(被保険者の死亡)が発生することによって、保険金受取人は保険会社に対して生命保険金の支払いを請求する権利が発生します。

そして、生命保険金を受け取るには、受取人として指定されている人物が各保険会社の指定する方法・手続きによって、死亡保険金の支払い請求をしなければいけません。

しかし、相続当時の状況次第では、故人が契約していた生命保険の存在に受取人が気付かないケースも考えられます。

民間の保険会社の大半は、生命保険金の支払い請求権が発生した時点から3年間が経過した段階で時効が完成して当該権利が消滅してしまうため、必ずこの期間内に生命保険会社に連絡をして手続きを履践しましょう。

なお、かんぽ生命については、死亡保険金の支払い請求権の消滅時効期間が5年に延長されています。

これは、もともと国営郵政事業の一環として郵便局で販売していた簡易保険をかんぽ生命が引き継いだ名残です。

また、消滅時効の完成による効力を主張するには「時効の援用」という手続きが必要とされるので、仮に保険事故から3年以上の期間が経過していたとしても、生命保険の受取人が客観的に明らかであるような状況であれば、保険会社側が消滅時効の援用をすることなく、死亡保険金の支払いに応じてくれる場合も少なくありません。

「うっかり忘れていたから」「随分昔の生命保険証書が今更見つかったから」という状況でも死亡保険金を請求できる場合があるので、速やかに生命保険会社までお問い合わせください。

(消滅時効)

第九十五条 保険給付を請求する権利、保険料の返還を請求する権利及び第六十三条又は第九十二条に規定する保険料積立金の払戻しを請求する権利は、これらを行使することができる時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。

引用元:保険法 | e-Gov法令検索

(時効)

第五十四條 保險金、還付金及び剩余金の支拂義務並びに保險料の返還義務は五年、保險料の拂込義務は一年を経過したときは、時効に因つて消滅する。

引用元:簡易生命保險法 | e-Gov法令検索

2.健康保険の葬祭費・埋葬料|2年間

健康保険制度に基づいて、健康保険加入者は葬儀費用に関わる公的な補助金が支給されます。

現在の日本では、全ての国民に健康保険への加入義務が課されているので、健康保険の葬祭費・埋葬料は原則として全員が受給できると考えてよいでしょう。

制度の詳細は加入先によって異なり、健康保険であれば「埋葬料」、国民健康保険であれば「葬祭費」として支給され、葬祭費・埋葬料(埋葬費)のいずれも、全て「保険給付を受ける権利を行使することができる時から2年」で消滅以降にかかります。

具体的には、以下のとおりです。

  • 葬祭費:葬祭をおこなった日の翌日から2年
  • 埋葬料(家族埋葬料):死亡した日の翌日から2年
  • 埋葬費:埋葬した日の翌日から2年

(時効)

第百十条 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。

引用元:国民健康保険法 | e-Gov法令検索

(時効)

第百九十三条 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によって消滅する。

引用元:健康保険法 | e-Gov法令検索

3.高額療養費|2年間

高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費の自己負担額がひと月で上限額を超えた場合に、その超過分を還元する制度のことです。

還元対象になる上限額は年齢・所得によって定められており、医療費の家計負担軽減を目的としています。

高額医療費制度は、被相続人が存命中の期間から利用可能です。

また、被相続人が亡くなったあとでも、生前支出した医療費について相続人が諸手続きを利用すれば還付を受けることができます。

ですから、被相続人が生前病院にかかって高額な医療費を支払っていた場合には、期限内に手続きをおこないましょう。

なお、高額医療費制度で還付されたお金は相続財産に組み込む必要がある点には注意しましょう。

(時効)

第百十条 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。

引用元:国民健康保険法 | e-Gov法令検索

(時効)

第百九十三条 保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によって消滅する。

引用元:健康保険法 | e-Gov法令検索

4.遺族年金・寡婦年金|5年間

遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)とは、国民年金または厚生年金保険の被保険者が死亡したときに、当該人物によって生計を維持されていた遺族が受け取ることができる年金のことです。

また、寡婦年金は国民年金の第1号被保険者としての納付済期間が10年以上ある夫が年金を受給せずに死亡した際、その夫に生計を維持されていた婚姻期間が10年以上ある妻に、60歳から65歳までの間に支給される年金を意味します。

遺族年金・寡婦年金を受け取る権利は、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過した時点で消滅します。

受け取る年金の種類によって手続きは異なるので、必ず期限内に亡くなった方の住所地があった市区町村役場や年金事務所・年金相談センターまでお問い合わせください。

(時効)

第百二条 年金給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から五年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該年金給付の支給に係る第十八条第三項本文に規定する支払期月の翌月の初日から五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。

引用元:国民年金法 | e-Gov法令検索

(時効)

第九十二条 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したとき、保険給付を受ける権利は、その支給すべき事由が生じた日から五年を経過したとき、当該権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる保険給付の支給を受ける権利は、当該日の属する月の翌月以後に到来する当該保険給付の支給に係る第三十六条第三項本文に規定する支払期月の翌月の初日から五年を経過したとき、保険給付の返還を受ける権利は、これを行使することができる時から五年を経過したときは、時効によつて、消滅する。

引用元:厚生年金法|e-Gov法令検索

一時死亡金の場合は2年間

死亡日の前日において第1号被保険者として36ヵ月以上保険料を納付した人物が老齢基礎年金・障害基礎年金を受給しないまま死亡したときには、当該人物と生計を同じくしていた遺族は死亡一時金を受け取ることができます。

死亡保険金の金額は、保険料を納付した月数によって12万円~32万円の範囲で決定されます。

死亡一時金を受け取る権利は、死亡日の翌日から2年のため、期限までに市区町村役場の窓口もしくは年金事務所で請求手続きをおこないましょう。

なお、死亡一時金は遺族基礎年金の支給を受けられるときには受給できません。

また、寡婦年金と死亡一時金は併給できないため、いずれか一方を選択します。

(時効)

第百二条

4 保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利及び死亡一時金を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によつて消滅する。

引用元:国民年金法 | e-Gov法令検索

5.労災保険の遺族補償給付|5年間

労災保険では、労働者が業務または通勤による傷病で死亡したときに、被災労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していたご家族に、遺族補償給付・複数事業労働者遺族給付・遺族給付が支給されます。

遺族補償給付等は、被災労働者が亡くなった日の翌日から5年間を経過したタイミングで消滅時効が完成します。

労災保険に関する手続きは、被相続人が就労していた事業所を所轄する労働基準監督署まで期限内にお問い合わせください。

第四十二条 療養補償給付、休業補償給付、葬祭料、介護補償給付、複数事業労働者療養給付、複数事業労働者休業給付、複数事業労働者葬祭給付、複数事業労働者介護給付、療養給付、休業給付、葬祭給付、介護給付及び二次健康診断等給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したとき、障害補償給付、遺族補償給付、複数事業労働者障害給付、複数事業労働者遺族給付、障害給付及び遺族給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から五年を経過したときは、時効によつて消滅する。

引用元:労働者災害補償保険法 | e-Gov法令検索

6.一般的な債権・債務|5年または10年

相続財産には、被相続人に属する一切の権利義務が含まれます。

たとえば、被相続人が第三者にお金を貸していたなら相続人が貸金返還請求権を承継することになりますし、逆に、被相続人に金融機関などからの借入があるなら借金の返済義務を負担しなければいけません。

これらの一般的な債権・債務の消滅時効は、被相続人(債務者)が亡くなった日ではなく、債権者が権利を行使できる時期から換算します。

なお、債務が生じた時期によって消滅時効期間が異なる点には注意しましょう。

具体的には、2020年4月1日以降に発生した債権は、権利を行使できることを知ったときから5年、権利を行使できるときから10年のいずれかが経過した時点で時効消滅します。

一方、それより前(2020年4月1日以前)に発生した債権の時効期間は、権利を行使できるときから10年となっています。

したがって、相続財産に借金が含まれていることがあとから判明したようなケースでは、更新事由・完成障害事由に注意をしながら手続きを進める必要があります。

また、相続財産に債権が含まれていることが発覚したときには、消滅時効期間が徒過して相手方に援用される前に訴訟提起などの措置を検討する必要があります。

相続をめぐる借金問題に消滅時効が絡むとトラブルが深刻化・複雑化する可能性が高いので、できるだけ早い段階で借金問題に強い弁護士まで相談してください。

(債権等の消滅時効)

第百六十六条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。

二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

7.遺産の取得時効|10年または20年

相続財産に含まれている不動産などを誰かが占有をし続けているような状況では、取得時効に注意しなければいけません。

取得時効とは、物を一定期間継続して占有したことを条件に、その物の所有権を取得できる制度のことをいいます。

たとえば、遺産分割が終わっていない状態で、一部の相続人や第三者が住み続けているような状態が挙げられます。

遺産の取得時効は、占有開始から10年または20年が経過したときと民法で定められています。

取得時効が完成すると、それ以降は本来の相続人が自らの相続権を主張することはできなくなってしまいます。

取得時効が成立するのは、遺産を占有している人物が「遺産分割が終わっていないことを知らないとき時」に限られます。

当事者の認識を客観的証拠によって丁寧に主張立証する必要があるので、必ず遺産相続問題に強い弁護士のサポートを受けましょう

(所有権の取得時効)

第百六十二条 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。

2 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

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相続の手続きで注意すべきその他の時効・期限

相続が発生すると、時効以外にもさまざまな場面で期限に注意をしなければいけません。

  • 遺言書の検認
  • 相続分の取戻し
  • 限定承認・相続放棄の申述
  • 遺産分割協議の取消し
  • 相続登記

1.遺言書の検認|遅滞なくおこなう

遺言書が自筆証書遺言・秘密証書遺言の形式で作成された場合、公正証書遺言と比べると偽造・変造・改ざんなどのおそれがあります。

そのため、自筆証書遺言・秘密証書遺言の内容を執行するときには、速やかに家庭裁判所で検認手続きをおこなわなければいけません。

検認とは、家庭裁判所が遺言の状態や内容を確認し、保存する手続きのことです。

検認をせずに遺言書を勝手に開封すると、5万円以下の過料を課される可能性があります。

検認は、遺言者が死亡したことを知った時点から速やかにおこなう必要があります。

ただし、遺言書の内容どおりに不動産や株式の名義変更をするには、検認手続きが完了している必要がある点に注意しなければいけません。

したがって、検認について決められた期限は存在しませんが、可能な限り早いタイミングで家庭裁判所に検認手続きを申し立てましょう。

(遺言書の検認)

第千四条 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

2.相続分の取戻し|1ヵ月以内

共同相続人のひとりが遺産分割前に自身の相続分を第三者に譲渡した場合、他の共同相続人は、譲渡を受けた者に対して、譲渡済みの相続分を取り戻すことができます。

これを相続分取戻権と呼ばれます。

相続分取戻権が認められているのは、遺産分割協議に相続人以外の第三者が介入することによって円滑に手続きが進まなくなる事態を回避するためです。

たとえば、相続人から相続分の譲渡を受けた第三者と他の共同相続人の関係が険悪な状態だと、遺産分割協議がなかなか整わず、場合によっては裁判に発展する可能性も否定できません。

相続分取戻権を行使することによって当該第三者は譲渡された財産分の価額・費用を受け取ることができ、同時に遺産分割協議をスムーズに実施することが可能になります。

相続分取戻権の除斥期間は、譲渡時から1ヵ月以内です。

法律関係の早期安定のために短い除斥期間が定められているので、円滑な遺産分割協議を希望する場合には、速やかに相手方に対して権利行使の手続きを進めてください。

(相続分の取戻権)

第九百五条 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。

2 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

3.限定承認・相続放棄の申述|3ヵ月以内

相続財産に借金などのマイナス財産が含まれている場合には、相続人が財産の承継を拒否したいケースも少なくありません。

相続放棄とは、相続人が被相続人からの権利義務の承継を全て拒否する旨の意思表示のことです。

限定承認とは、相続によって承継するプラスの財産(積極財産)の限度でマイナス財産(消極財産)を引き受けることを意味します。

相続放棄または限定承認をすることによって、相続人は負債を負担することなく相続手続きから離脱することが可能となります。

ただし、相続放棄・限定承認ができるのは「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内」が原則です。

この熟慮期間内に家庭裁判所で手続きをしなければ、単純承認があったとみなされ、全ての財産を承継しなければいけなくなります

相続開始後は、速やかに財産調査を実施して単純承認するかどうかを判断するべきでしょう。

相続人自身だけで被相続人の財産関係を調査するのが難しい場合には、遺産相続問題に強い弁護士に依頼をするとスムーズです。

(相続の承認又は放棄をすべき期間)

第九百十五条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

4.遺産分割協議の取消権|5年または20年

遺産分割協議自体に期間制限はないので、相続人全員の合意がある場合に限って、いつでもやり直すことができます。

しかし、先行する遺産分割協議のやり直しに対して全ての相続人の同意が得られるとは限りません。

このような場合、先行する遺産分割協議段階で相続財産の構成内容について嘘をつかれていたのに、それに気付かずに不利な内容の遺産分割協議に同意をしてしまったときに、他の相続人の同意を得られないことを理由にやり直しができなくなってしまいます。

そこで、すでに成立した遺産分割協議に錯誤・詐欺・脅迫があった場合には、遺産分割協議の取消権を行使する方法が考えられます。

取消しが認められると、先行する遺産分割協議の効力がなくなるので、再び遺産分割協議を求めることが可能になります。

遺産分割協議の取消権の消滅時効期間は「追認をすることができる時から5年間行使しないとき」、除斥期間は「錯誤・詐欺・脅迫行為から20年が経過したとき」です。

他の相続人や受遺者全員に遺産分割協議取消権を行使する旨を伝える必要があるので、必ず内容証明郵便などの客観的証拠が残る方法で対応しましょう。

(取消権の期間の制限)

第百二十六条 取消権は、追認をすることができる時から五年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

引用元:民法 | e-Gov法令検索

5.相続登記(不動産の所有権移転登記)|3年以内(2024年4月1日より)

相続財産に含まれる不動産を承継した場合、第三者に所有権を主張したり売却をしたりするには、相続登記(所有権移転登記)が必要です。

従来、相続登記のタイミングについては期間制限が設けられていませんでした。

すると、所有権移転登記手続きを一切しない状態で長期間が経過し、さらに相続が発生して人物関係が複雑化したため、登記簿と実態関係に齟齬が生じる事態が頻発してしまいました。

このような事態を受けて、相続登記について2024年4月1日に法改正がおこなわれました。

その結果、相続によって不動産を取得した相続人は、「所有権の取得を知った日から3年以内」「遺産分割が成立した日から3年以内」に不動産の所有権移転登記手続きをする必要があります。

正当な理由なく相続登記をしなければ10万円以下の過料が課されるので、必ず法務局で手続きを済ませましょう。

(1)相続(遺言も含みます。)によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

(2)遺産分割が成立した場合には、これによって不動産を取得した相続人は、遺産分割が成立した日から3年以内に、相続登記をしなければなりません。

(1)と(2)のいずれについても、正当な理由(※)なく義務に違反した場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)の適用対象となります。

引用元:相続登記が義務化されます(令和6年4月1日制度開始)|東京都法務局

さいごに|相続の時効に関する悩みは弁護士に相談しよう

相続発生時には、相続財産の承継方法などをめぐってさまざまなトラブルが発生することが多くあります。

特に、相続財産の内容が多様だったり複数の相続人同士で意見が嚙み合わなかったりすると、時には裁判沙汰にまで発展しかねません。

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相続関係の手続きや権利が時効にかかる前に相談することで、幅広い選択肢からご自身の利益を守ることができるようになります。

少しでも不安・疑問がある場合には、可能な限り早いタイミングで信頼できる法律事務所までお問い合わせください。

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この記事の監修者
葛城法律事務所
葛城 繁 (大阪弁護士会)
相続問題を中心に分野を問わず幅広い法律問題に対応。
『ご依頼者の利益が最大限になるためのサポート』となることを心掛け、的確なアドバイスを伝えられるよう客観的視点を忘れず、日々、業務と向き合っている。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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