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遺産相続の手続きに必要な戸籍謄本とは?種類や取り方を詳しく解説

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親族が亡くなり遺産相続をおこなう際は、手続きに戸籍謄本が必要です。

「どの種類の戸籍を、何通集めればいいの?」「本籍地が遠い場合はどうするの?」など、途方に暮れてしまう人も少なくありません。

本記事では、遺産相続で必要な戸籍謄本の種類や取得方法、費用を詳しく解説します。

手続きを大幅に効率化できる、便利な制度も紹介するので、参考にしてください。

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遺産相続で戸籍謄本が必要な手続き

戸籍謄本は「誰が法的な相続人か」を証明するための客観的な書類です。

自分が「故人の長男です」と口頭で伝えても、それだけでは法的な証明にはなりません。

戸籍法に基づき発行される戸籍謄本によって、故人との関係性やほかの相続人の有無を確認する必要があります。

戸籍謄本は、以下のようなときに提出を求められます。

手続き 手続きの概要 提出先
相続人の調査 被相続人の法定相続人を確定する手続き 各市区町村役場
公正証書遺言の作成 公証人に、法的効力をもつ遺言書を作成してもらう手続き 公証役場
遺言書の検認 家庭裁判所で遺言書を開封し、内容を確認する手続き 家庭裁判所
預貯金や有価証券の名義変更・解約 金融資産を相続人の名義に移転する手続き 各金融機関・証券会社
相続税の申告 相続税額を計算し、申告する手続き 税務署
不動産の相続申告 不動産を相続人の名義にする手続き 法務局
死亡保険金の請求 死亡保険金を受け取る手続き 生命保険会社

親族が亡くなったあと多様な場面で必要になるため、入手方法がわからない人は、後述する「遺産相続で必要な戸籍謄本の取り方は3種類」を参考にしてください。

遺産相続で必要な戸籍謄本の2つの種類

遺産相続の手続きでは「被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本」と「相続人全員の現在の戸籍謄本」が必要です。

戸籍謄本にはさまざまな種類があるため、どのような謄本が必要なのかを確認し、間違いのないように準備しましょう。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本

法定相続人が誰にあたるかを証明できる戸籍謄本です。

被相続人の両親や兄弟姉妹、結婚歴、子どもなどの情報が記載されています。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本により、親族が知らなかった婚姻外の子や養子が発覚し、法定相続人が増えるケースもあります。

相続順位が第1順位の人がいる場合、後順位にあたる父母や兄弟姉妹は、遺産相続ができません。

なお、代襲相続や兄弟姉妹が相続人になる場合は、数十通の戸籍謄本が必要になる可能性があります。

代襲相続の場合

本来相続人となるはずだった子や兄弟姉妹が、すでに亡くなっていることがあります。

その場合、被相続人からみて孫や甥・姪にあたる人物が、代わりに相続することを「代襲相続」といいます。

代襲相続が発生した場合、本来の相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を追加で集めなければなりません。

よって、通常よりも必要な戸籍謄本の数が多くなるというわけです。

兄弟姉妹が相続人になる場合

被相続人に子がおらず、両親や祖父母といった直系尊属も亡くなっている場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。

兄弟姉妹が相続人になる場合、被相続人の父・母それぞれの出生から死亡までの戸籍謄本が必要です。

もしも被相続人に子がいて、先に子が亡くなっていた場合は、子の出生から死亡までの戸籍謄本も必要になります。

このように、被相続人本人だけでなく、その親や被相続人の子の戸籍まで遡って収集する必要があるため、戸籍謄本の枚数が増えてしまいます。

相続人全員の現在の戸籍謄本

相続人全員の現在の戸籍謄本は、相続手続をおこなう時点で、法定相続人が「生存していること」を証明するための書類です。

遺産分割協議や不動産の相続登記といった重要な法律行為は、当然ながら生存している人が実施する必要があります。

ただし、被相続人が記載された戸籍謄本に載っている相続人については、改めて取り寄せる必要がありません。

遺産相続で必要な戸籍謄本の取り方は3種類

戸籍謄本の取得方法は、以下のとおりです。

  • 最寄りの市区町村役場の窓口で手続きする
  • 本籍地の市区町村役場に郵送で請求する
  • 代理人が請求する

いずれの方法も必要書類が異なるため、次章で解説する「遺産相続で戸籍謄本が必要なもの」を確認してください。

被相続人の本籍地も住所もわからない場合は、被相続人の直系尊属(父母や祖父母など)の戸籍をたどっていくと、本籍地が確認できます。

遺産相続で戸籍謄本が必要なもの

戸籍謄本の取得には、戸籍交付申請書や本人確認書類などが必要です。

ここでは、戸籍謄本の取得方法ごとに必要な書類と、かかる費用について解説します。

市区町村役場の窓口で手続きする場合

市区町村役場の窓口で戸籍謄本を請求する場合は、以下3点が必要です。

  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 戸籍に関する証明書交付申請書
  • 印鑑(地域によって不要な場合もある)

戸籍に関する証明書交付申請書は、地域によって「戸籍証明書等請求書」や「戸籍に関する証明書の請求書」など、名称が異なります。

申請書の様式も異なるので、必ず最寄りの市区町村役場のWebサイトを確認してからダウンロードしてください。

地域によっては戸籍謄本の請求理由を別紙にて記載する場合もあります。

申請書や請求理由の記載に不安がある人は、最寄りの市区町村役場の窓口で疑問を解消してから書類の準備をおこないましょう。

なお、本籍地ではなく、最寄りの市区町村役場の窓口で手続きができる人は「本人・配偶者・直系尊属・直系卑属」に限られます。

本籍地の役所に郵送で請求する場合

戸籍謄本を、本籍地の役所に郵送で請求する場合は、以下の3点が必要です。

  • 本人確認書類のコピー(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 戸籍に関する証明書交付申請書
  • 返信用封筒と切手

上記以外に、地域によっては請求者と被相続人の親族関係を確認できる戸籍謄本が必要な場合があります。

戸籍謄本が何枚必要かがわからない場合は、余分に請求する必要があるため、返信用封筒は大きめのものを用意し、余裕のある金額の切手を送ってください。

戸籍謄本の郵送での請求は、わざわざ本籍地に行く必要がないため便利ですが、戸籍謄本が届くまでに10日前後かかります。

遺産相続で急いでいる人もいるとは思いますが、できるだけ余裕をもって請求しましょう。

代理人が請求する場合

代理人が戸籍謄本を請求する場合は、市区町村役場の窓口や郵送での請求に必要な書類にくわえて、以下4点が必要です。

  • 委任状
  • 委任者の本人確認書類
  • 代理人の本人確認書類
  • 戸籍謄本の請求理由

委任状と戸籍謄本の請求理由は、各地域のWebサイトから書式をダウンロードできる場合がほとんどです。

委任状には、委任者と代理人の「住所・氏名・生年月日」のほか、委任者の電話番号や委任する理由を記載します。

委任者本人が記載する必要があるので、代理人や第三者が記入しないように注意してください。

戸籍謄本の取得にかかる費用

戸籍謄本を取得するには、戸籍謄本の交付手数料と郵送の場合の料金がかかります。

まずは戸籍謄本の交付手数料です。

市区町村役場に直接出向いて取得する場合は、交付手数料だけで済みます。

手数料代は、自治体によって異なる可能性があるため、念の為市区町村役場のWebサイトで確認しておきましょう。

  • 戸籍謄本:450円 / 枚
  • 除籍謄本:750円 / 枚
  • 改製原戸籍謄本:750円 / 枚

出生から死亡までの戸籍謄本は、現在の戸籍謄本だけでなく、除籍謄本や改製原戸籍謄本も含まれるため、何通かにわかれて発行されます。

必要枚数は人によって異なりますが、今必要な枚数にプラス3枚程度を取得しておけば、追加で取得する必要性を抑えられるでしょう。

次に、郵送で戸籍謄本を取得する場合の費用です。

  • 定額小為替:戸籍謄本の交付手数料と同額
  • 返信用封筒用の切手代:110円

定額小為替は、郵便局で入手できます。

切手代は、通常は110円ですみますが、定型封筒50gを超えると追加で費用が必要になります。

残額が生じた場合は返還されるため、貼付せずに封筒に入れて送付するとよいでしょう。

遺産相続の手続きなら「法定相続情報一覧図」の利用がおすすめ

「法定相続情報一覧図」とは、被相続人の相続関係を1枚の紙に記載した公的な書類です。

戸籍謄本の代わりに提出可能で、申請や発行の手数料がかからず、何度でも発行できるメリットがあります。

相続する遺産が多く、何度も戸籍謄本を取得する必要がある人にとっては欠かせない書類です。

法定相続情報一覧図を取得するには、以下の手順をふむ必要があります。

  1. 必要書類の準備
  2. 法定相続情報一覧図を作成
  3. 申出書の記入、登記所へ申し出る

法定相続情報一覧図は、自分で作成する必要がありますが、一度完成したら5年間は法務局に保存されます。

作成する際の様式や記載例は、以下のページに詳細が記載されているので、参考にしてみてください。

法定相続情報一覧図の取得に必要な書類

法定相続情報一覧図の取得に必要な書類は、以下のとおりです。

必ず用意する書類
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 申出人の本人確認書類
必要となる場合がある書類
  • 各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し)
  • 戸籍の附票 ※被相続人の住民票の除票を取得できない場合
  • 委任状、申出人と代理人が親族関係にあることがわかる戸籍謄本

書類の準備が少し大変に感じるかもしれませんが、一度認証を受ければ、その後の手続きが飛躍的に楽になります。

相続手続をおこなう金融機関などが複数ある場合は、ぜひ活用を検討してみてください。

戸籍謄本の収集が難しいときは弁護士に依頼しよう

自分で戸籍謄本を集めるのが難しいと感じた場合は、無理をせず弁護士に依頼するのがおすすめです。

弁護士には事件処理の必要範囲内で戸籍や住民票が取得できる「職務上請求」という権限があり、委任状がなくてもスムーズに戸籍謄本を取得できます。

被相続人の本籍地や住所がわからない、集めるべき戸籍謄本が多すぎるなど、困った状況にある人は弁護士の利用を検討しましょう。

ただし、弁護士は戸籍謄本を取得するだけの業務を請け負うことはできません。

相続に関する悩みごとが発生した場合に、戸籍謄本の収集も合わせて依頼できます。

そのため遺産相続手続に不安がある人や、相続人同士のトラブルを解決したい人などは、弁護士に相談してサポートしてもらいましょう。

ベンナビ相続」は、相続問題に強い弁護士が多数掲載されているポータルサイトです。

無料相談や夜間相談など、項目ごとに該当する弁護士を、最寄りから探しだせます。

「ベンナビ相続」は無料で利用できるため、気軽に検索してみてください。

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遺産相続で戸籍謄本を取る際によくある質問

最後に、戸籍謄本の有効期限やコピーの扱い、戸籍謄本と戸籍抄本や改製原戸籍謄本などとの違いについて解説します。

遺産相続で戸籍謄本を取る前に、不安を解消しておきましょう。

戸籍謄本に有効期限はありますか?

戸籍謄本そのものに、法律で定められた有効期限はありません。

しかし、遺産相続で戸籍謄本を利用する際は、提出先にもよりますが取得から3ヵ月以内のものを求められるのが一般的です。

理由は、税務署や金融機関などは正確な法定相続人を確認する必要があるからです。

せっかく取得した戸籍謄本が無駄にならないよう、必要になってから取得しましょう。

戸籍謄本はコピーでも大丈夫ですか?

遺産相続では、基本的には戸籍謄本のコピーは認められません。

戸籍謄本は、相続人を法的に確定させるための極めて重要な公文書です。

そのため、偽造や改ざんの可能性が考えられるコピーでは、その証明力を認めてもらえません。

ただし、相続税申告の添付書類として利用する場合は、コピーの提出でも問題ありません。

複数の金融機関で手続きが必要な場合は、面倒でもその数だけ戸籍謄本の束を取得するか「法定相続情報一覧図」の制度を活用しましょう。

戸籍謄本と戸籍抄本・改製原戸籍謄本・除籍謄本の違いはなんですか?

戸籍謄本と似た言葉に「戸籍抄本」「改製原戸籍謄本」「除籍謄本」がありますが、それぞれ意味が異なります。

以下に各言葉の意味をまとめたので、参考にしてください。

戸籍謄本 戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するもの。
戸籍抄本 戸籍に記載されている人のうち一人または複数人の身分事項を証明するもの。
改製原戸籍謄本 1994年以前の古い様式で戸籍情報の写しが記載されているもの。
除籍謄本 結婚・死亡・転籍などにより、その戸籍に誰も属していないことを証明したもの。

以上から、遺産相続で必要となるのは「戸籍謄本」以外に「改製原戸籍謄本」と「除籍謄本」です。

「戸籍抄本」は相続ではなく、年金の請求や生命保険の請求などで使われます。

さいごに|遺産相続の手続きが不安なら「ベンナビ相続」をご利用ください

本記事では、遺産相続における戸籍謄本の種類や取得方法、費用について解説しました。

戸籍謄本は、市区町村役場の窓口か郵送で取得可能ですが、必要枚数によっては費用がかさむ可能性もあります。

取得までに時間がかかる場合もあるため、余裕を持って準備するようにしましょう。

遺産相続に関する手続きに不安がある人は、弁護士に相談するのもひとつの手段です。

相続問題に強い弁護士を探せるポータルサイト「ベンナビ相続」なら、遺産分割や不動産登記といった相談内容から、自分に合った弁護士を見つけられます。

無料相談に対応している法律事務所も多く掲載されているので、気軽に相談してみましょう。

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この記事の監修者
金森総合法律事務所
金森 将也 (愛知県弁護士会)
23年以上のキャリアを持ち、高度な専門知識で安心のアドバイスを提供。「話しやすさ」と「的確な見通しの提示」を大切にしています。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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