不動産を相続するとき、おそらくは誰もが名義変更や登記について考えると思います。
名義変更はするべきなのか、税金はかかるのかなど不安はいくつもあるでしょう。
本記事では、不動産を相続したときに名義変更をする必要性と不動産の種類ごとに必要な手続き、そして何に課税されるのかを解説します。
相続手続きを控えている方は、ぜひ参考にしてください。
*本記事の専門家による監修日は2023年6月28日です。
不動産の名義は、「その不動産が誰のものか」ということを証明するために必要です。
もしも自分の建物が公的に誰のものか証明できないものだったとしたら、誰かに奪われてしまう可能性だってあります。
それゆえに不動産の登記は義務付けられているのです。
さて、不動産を相続するとなったとき、その不動産の名義はもともとの持ち主である被相続者です。
この名義は変更しなくてはいけないのでしょうか?
2024年4月1日以降は、不動産の相続による名義変更が義務化されることが決まっています。
また、義務が無かったとしても名義変更をしなければ不動産の売却等をおこなうことができません。
そのため、不動産をお持ちの方が亡くなった場合には、遺産分割協議と登記をおこなって、新しい所有者に名義変更をおこないましょう。
2024年3月より前までは、いつまでに名義を変えなければいけないというルールはありません。
しかし、親が亡くなって長期間経ったあと、その子供が亡くなったり孫、ひ孫に相続されてしまうと、所有者の確定や話し合いがむずかしくなってしまいます。
そのため、相続税の申告等のタイミング(亡くなってから10か月以内)と合わせておこないましょう。
なお、2024年4月1日以降は相続登記が義務化されるため、相続で不動産を取得した場合は、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の手続きをおこなう必要があります。
名義変更をしていないデメリットを3つ紹介します。
たとえば、【相続人の話し合いで不動産①を相続人Aが相続する】というかたちで話がまとまっているときです。
この状態でほかの相続人(仮に相続人B)が死亡した場合、相続人Cの妻や子が相続人として新たに追加されます。
遺産相続の対象である不動産は、名義が変更されるまで法律上は相続人全員で共有している状態ですから、相続人Bの妻や子が【相続人Aの不動産①を相続すること】に同意しなければ、それまでの相続できるという内々の決め事は意味をなさなくなります。
また名義を変更しない期間が長くなればなるほど、新たに相続人が追加される可能性があがっていき、同意を得なければいけない人数が増えます。
死亡した人物の住民票の除票は昔のものは5年、戸籍の場合昔のものは80年、時期によっては50年まで保存されています。
ですがいつまでも保存してくれるわけではないため、時間が経てば経つほど、書類収集が大変になる可能性がでてきます。
相続人の誰かが借金を返せない場合、その不動産を差し押さえられてしまうかもしれません。
差し押さえられるのは法定相続分だけですが、債権者が所有権を得ることになります。
不動産相続の手続き 種別 | |||
種類 |
土地・家屋 |
農地・山林 |
借地・借家権 |
届け先 |
地方法務局 |
地方法務局、農業委員会 、市町村長 |
地主・家主 |
手続き |
所有権移転登記 |
所有権移転登記 |
契約書の書き換え |
必要な書類 |
・所有権移転登記申請書 ・戸籍謄本(相続人) ・除籍謄本(被相続人) ・住民票抄本 ・固定資産課税台帳謄本 |
・所有権移転登記申請書 ・戸籍謄本(相続人) ・除籍謄本(被相続人)住民票抄本 ・固定資産税台帳謄本 など |
・戸籍謄本 ・除籍謄本を求められるときもある |
費用(登録免許税) |
不動産価格の0.4% |
不動産価格の0.4% |
かからない(地主が対応) |
表のうちの所有権移転登記とは、法務局に登録してある名義を変更することです。
借地の場合、地主さんに相続しました、という旨を伝えればよくて、基本的には書類などはいらず費用もかかりません。
相続により地主が変わっても、借地人(借りている側)が地主へ名義変更料を払う必要はありません。
不動産相続をしたとき「登録免許税」と「相続税」が発生します。
不動産を相続したとき「所有権移転登記」をします。
この際に「登録免許税」が発生するのです。
基本的に登録免許税の算出方法は以下のとおりです。
固定資産税に関してはこちらの東京都主税局のリンクを参照ください。
取得した遺産が一定の額を超えることで「相続税」が発生します。
相続税の算出方法を簡単に示すと以下のとおりです。
ご覧のとおり、相続財産額の合計が基礎控除額を上回っている場合のみ相続税が発生します。
このうち、自身が引き継いだ遺産額に応じて相続税が課税されます。
不動産取得税とは、不動産を購入したときや贈与されたときなどにかかる税金です。
そのため、相続で不動産を取得した場合は不動産取得税は発生しません。
ただし、相続人以外の人が遺言書による特定遺贈を受けた場合、不動産取得税がかかります。
また、死因贈与といって生前に契約を交わすことで特定の相手に特定の財産を与える場合も、不動産取得税が発生します。
不動産の登記変更は義務化が予定されています。
もちろん、義務化がされなくても遺産相続における争いのもとになりますので、相続時の名義変更は早めにおこないましょう。
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