相続財産の中に、土地や家などの不動産が含まれる場合は、相続登記をおこなう必要があります。
相続登記は、自分でおこなうこともできますが、手間がかかるため、司法書士などの専門家にいらしいたい方も多いのではないでしょうか。
とはいえ、相続登記を依頼する際の費用が気になる方も多いはずです。
本記事では、相続登記にかかる費用について、自分でおこなう場合の費用と司法書士に依頼した際の費用を紹介します。
相続登記の手続きでお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
相続登記をご検討中の方へ |
相続登記手続きは、一般的に司法書士へ依頼することが多いです。
しかし、相続人の間でトラブルなどが発生しているような場合は、紛争の解決はもちろん相続登記も出来る弁護士に相談することをおすすめします。
仮に司法書士に頼んだ方が良いケースにおいても、相談した弁護士が司法書士を紹介してくれることも多いです。
まずは、無料相談などを活用してあなたのお悩みが解決できそうか確かめてみましょう。 |
相続登記にかかる費用には、主に下記の4つがあります。
自分で相続登記をする際にかかる費用は①~③だけで済みますが、司法書士に依頼する場合は別途で司法書士報酬がかかってきます。
なお、実際の費用は相続した不動産の価格に応じて発生する「登録免許税」によって大きな差がでることが多いでしょう。
登記簿謄本とは、土地や建物などの情報が記載されたもので、全部事項証明書とも呼ばれています。
相続登記をおこなう際はこの登記簿を取得して、一緒に法務局に提出する必要があります。
以前は全て役所に足を運んで取得する必要がありましたが、今は法務局のホームページからオンライン請求したうえで、以下の方法で受け取れるようになりました。
なお、登記簿謄本を発行するのにかかる手数料は以下のとおりです。
登記事項証明書 |
窓口で受け取る場合 |
送付で受け取る場合 |
1通480円 |
1通500円 |
|
(注)1通の枚数が50枚を超えるものについては,その超える枚数50枚までごとに100円を加算した額。 |
||
地図証明書 |
窓口で受け取る場合 |
送付で受け取る場合 |
1筆430円 |
1筆450円 |
|
図面証明書 |
窓口で受け取る場合 |
送付で受け取る場合 |
1事件430円 |
1事件450円 |
不動産に対する相続登記をする場合は、「登記事項証明書」だけあればよいので、480円〜500円プラス送料だと考えておくとよいでしょう。
【参考】オンラインによる登記事項証明書等の交付請求(不動産登記関係)について
相続登記の際は、相続人である方全員の「出生から死亡まで連続した戸籍謄本」が必要になります。
戸籍謄本の取得にかかる主な手数料は下記の表のとおりです。
証明書の種類 |
手数料 |
説 明 |
戸籍全部事項証明書(戸籍謄本) |
450円 |
戸籍に記載されている全部の方(除籍された方を含む)を証明するもの |
戸籍個人事項証明書(戸籍抄本) |
450円 |
戸籍内の一部の方を証明するもの |
戸籍一部事項証明書 |
450円 |
戸籍内の一部の事項(出生・婚姻等)を証明するもの |
除籍全部事項証明書(除籍謄本) |
750円 |
戸籍に記載されている全部の方が除籍されていることを証明するもの |
除籍個人事項証明書(除籍抄本) |
750円 |
除籍内の一部の方を証明するもの |
除籍一部事項証明書 |
750円 |
除籍内の一部の事項(出生・婚姻等)を証明するもの |
改製原戸籍謄本 |
750円 |
法令の改正等により編製様式が改められる前の戸籍内の全部の方を証明するもの ※新宿区では、大きな改製として、[1]昭和32年法務省令第27号による改製、[2]平成7年4月1日の戸籍のコンピュータ化による改製があります |
改製原戸籍抄本 |
750円 |
改製原戸籍内の一部の方を証明するもの |
300円 |
戸籍が編製されてからの住民登録の履歴を証明するもの |
|
300円 |
禁治産・準禁治産・破産宣告・後見の登記の通知の有無について証明するもの |
|
350円 |
戸籍の届出が受理されたことを証明するもの(上質紙仕様 1,400円) |
|
350円 |
戸籍の届書に記載されている内容を証明するもの |
地域によって手数料が異なるケースもあるので、正確な費用は住んでいる市区町村のホームページを確認しましょう。
なお、戸籍謄本は定期的にフォーマットが改正されており、一番最新の戸籍謄本だけを持って行っても、出生時当時のものと書式が違うと受け取ってもらえないケースもあります。
相続手続きにおいてはこの作業が一番面倒な手続きではありますが、戸籍謄本は郵送でも取り寄せられるので、ぜひ参考にしてください。
被相続人から相続した建物や土地などの相続登記の際には、登録免許税という税金が発生します。
相続登記手続きそのものに発生する費用という訳ではありませんが、必ず発生する費用なので、算出方法をおさえておきましょう。
登録免許税を算出するには、まずは固定資産税を把握する必要があります。
1年に一度、住んでいる市区町村から送られてくる納税通知書を確認し、別途役場に「固定資産評価証明書」を請求することで、固定資産税がいくらなのかを知ることができます。
もし事前に知りたい場合は「固定資産課税台帳の縦覧制度」を利用すれば、納税通知書を待たずに確認することもできます。
固定資産課税台帳の縦覧制度を使うには(東京都の場合)
1.縦覧できる方
(1) 当該固定資産税(土地・家屋)の納税者
(2) 納税者から縦覧することについて委任を受けている方
2.縦覧期間
平成29年4月3日(月)から6月30日(金)まで
(ただし、土曜日、日曜日、休日を除きます。)
次に、「固定資産評価証明書」によって知った「固定資産評価額」に対して、税率をかけることで実際の登録免許税を算出します。
登録免許税の計算式 |
登録免許税の費用(税金)=固定資産税評価額×0.4% |
表:土地の所有権の移転登記
内容 |
課税標準 |
税率 |
土地の売買 |
不動産の価額 |
2% |
相続や法人の合併 |
不動産の価額 |
0.4% |
贈与・交換・収用・競売等 |
不動産の価額 |
2% |
【参考】登録免許税の税額表
表:建物の登記
内容 |
課税標準 |
税率 |
所有権の保存 |
不動産の価額 |
0.4% |
売買又は競売による所有権の移転 |
不動産の価額 |
2% |
相続又は法人の合併による所有権の移転 |
不動産の価額 |
0.4% |
その他の所有権の移転(贈与・交換・収用等) |
不動産の価額 |
2% |
【参考】登録免許税の税額表
たとえば、不動産の評価額が3,000万円だった場合・・・
3,000万円 × 0.4% = 12万円
登録免許税として支払う税金は12万円になります。
【参考】登録免許税の計算方法と税額表|登録免許税を軽減させる為の豆知識
ここまでは自分で相続登記をする際にかかる費用を紹介してきましたが、もし面倒であったり、手続きが難しい場合は、司法書士や弁護士に依頼することで相続登記手続きを代行してくれます。
相続登記を司法書士などの専門家に依頼する場合にかかる費用は以下のとおりです。
専門家 |
費用・報酬 |
司法書士 |
5万円~10万円程度(下記の要件によって増減)
|
弁護士 |
|
弁護士は司法書士業務も代行できますが、一般的に費用は高くなりますので、相続人間でトラブルになっていない、書面作成だけの業務を依頼したい場合は、司法書士に依頼することで費用は安く抑えられるでしょう。
自分でやる場合:1,500円+登録免許税 |
専門家に依頼する場合:1,500円+登録免許税+5万円から10万円 |
ここからは、相続登記を具体的にどのように進めるのかについて解説します。
相続登記の手順を簡単にまとめると、下記のようになります。
まず初めに「不動産の登記事項証明書」を取得しましょう。
法務局のホームページからオンライン手続きをするのが便利なので、確認しながら進めていきましょう。
【参考】オンライン請求手続きの流れ
相続登記には、戸籍謄本、住民票、固定資産税評価証明書などの書類が必要になります。
相続登記の必要書類の集め方は、「簡単に全ての戸籍を取得する方法」を確認しましょう。
手数料が納付されたことを確認したあと、受取先登記所又は請求先登記所で登記事項証明書等を作成します。
最後に、登録事項証明書等の交付を受けます。
窓口と郵送にて受け取ることができるので、それぞれの受け取り方を押さえておきましょう。
登記所の窓口で受け取る場合、下記の情報を提供する必要があります。
【参考】オンラインにより交付請求された証明書を登記所で受け取る場合の取扱いについて
請求先登記所で登記事項証明書等を作成したあと、指定された住所に送付します。
ここまで相続登記の費用や手続きについてみてきましたが、相続登記を専門家に依頼すべきか迷う方も多いでしょう。
相続登記の手続き自体は難しい作業ではないので、やろうと思えば自分で進めることは可能です。
費用に関しても、トータルでおそらく5,000円未満になる可能性が高いので、専門家に依頼するよりははるかに安い費用でおこなえるでしょう。
そのうえで、専門家に依頼すべきかどうか迷っている方は、下記の内容をみて判断するのがおすすめです。
専門家に依頼した場合 |
自分で進めた場合 |
メリット |
メリット |
|
|
デメリット |
デメリット |
|
|
相続登記が発生するのは、相続で不動産などの財産が含まれている場合です。
相続財産に現金しかなければ気にする必要はありませんが、問題になるのは相続登記以前の、「誰が不動産を相続するのか」で話し合うタイミングです。
不動産は物理的に分けられないので、「換価分割」や「代償分割」といって、不動産を売って現金に変えるか、何か不動産と同等の財産を渡す必要があります。
考えなければいけないことが多い分、トラブルに発展するケースはよくあります。
すでに相続人同士の遺産分割協議で話しが済んでいるなら問題はないのですが、万が一揉めそう、あるいは揉めている状況であれば、相続が得意な弁護士などの専門家に相談しておくと安心でしょう。
相続登記をご検討中の方へ |
相続登記手続きは、一般的に司法書士へ依頼することが多いです。
しかし、相続人の間でトラブルなどが発生しているような場合は、紛争の解決はもちろん相続登記も出来る弁護士に相談することをおすすめします。
仮に司法書士に頼んだ方が良いケースにおいても、相談した弁護士が司法書士を紹介してくれることも多いです。
まずは、無料相談などを活用してあなたのお悩みが解決できそうか確かめてみましょう。 |
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