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相続登記で原本還付はできる?できる・できない書類、請求の手順と注意点を解説

ソルバ司法書士事務所
塩谷 賢一朗
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遺産分割協議が終わり、相続手続きを始めたものの相続登記や金融機関の手続きが終わっておらず困っていませんか?

実は、相続登記の際に原本のコピーをとり、手続きをすれば原本を返してもらうことができます。

本記事では、相続登記における原本還付の方法や手順について解説し、何度も役所に足を運ばずスムーズに相続手続きを進めることができます。

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相続登記における原本還付とは?そのメリット

「原本還付」とは、一度提出した原本を返還してもらえる仕組みをいいます。

相続登記の手続きでは、戸籍謄本や住民票などたくさんの書類が必要です。

相続手続をすすめるなかで、同じ書類を何度も使用することがあり、そのたびに書類を発行するのは手間も費用もかかります。

そこで、書類を返還してもらい手間や費用を節約できる原本還付について紹介します。

原本還付のメリット

原本還付とは、一度提出した原本を返還してもらえる制度です。

コピーとともに法務局に提出し、原本とコピーを照らし合わせ、内容が正しいと確認できれば原本の還付を受けることができます。

原本還付のメリットは、大きく3つあります。

  1. 交付手数料の節約:
    何度も使用する書類をそのたび発行すると発行手数料が発生します。原本還付を利用すれば、費用を抑えることができます。
  2. 取得の手間を省ける:
    せっかく集めた書類も提出してしまうと再度集めなければなりません。しかし、原本を返還してもらえば繰り返して利用でき、役所へ行く手間を省くことができます。
  3. 重要書類を保管できる:
    大切な書類も提出してしまうと、あとから確認することができなくなります。後日重要書類が必要なときに備えて、原本還付制度を利用し、手元に残すようにしましょう。

相続登記で原本還付をしない場合はどうなる?

相続登記で原本還付をしないと、ほかの相続手続きで書類が使用できなくなります

戸籍謄本や住民票、印鑑証明書などは発行の手続きを繰り返しおこなわなくてはなりません。

また遺産分割協議書は、再度作成し、相続人全員に署名捺印をしてもらわなくてはなりません。

つまり、原本還付をしないと手間や費用がもう一度発生してしまいます

相続登記で原本還付ができる書類

相続登記で原本還付ができる書類は以下のとおりです。

  • 戸籍謄本・抄本
  • 除籍謄本
  • 改製原戸籍謄本
  • 戸籍の附票
  • 住民票・住民票の除票
  • 遺産分割協議書
  • 遺言書
  • 相続放棄申述受理証明書
  • 印鑑証明書
  • 固定資産評価証明書
  • 登記事項証明書

これらの書類は、相続登記以外の相続手続きでも使用します

そのため、忘れずに原本還付するようにしましょう

相続登記で原本還付ができない書類

相続登記のために限り作成された、以下書類は原本還付ができません

  • 相続関係説明図
  • 登記申請書
  • 上申書

これらの書類は、不動産登記規則55条によって原本還付できないことになっています。

全ての書類が返還されないことに注意が必要です。

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相続登記における原本還付手続きのやり方

相続登記における原本還付手続きのやり方を紹介します。

1.原本還付をしてほしい書類のコピーをとる

原本還付してほしい書類は、全て原寸大でコピーします。

同じサイズでないと認められないため、必ず同じ大きさでコピーするようにしましょう。

2.余白に原本と相違ない旨を記載・署名捺印する

原本還付を希望する原本のコピーの余白に「原本と相違ない」と記載し、署名押印します。

コピーが複数枚ある場合は、1枚目に上記の記載をして残りのコピーには綴り目ごとに割印(契印)をしてください。

3.登記申請書にコピーをホチキス留めし、原本とあわせて法務局へ提出

登記申請書にコピーをホチキス留めします。

このとき、コピーをホチキス留めしたか、チェックしてください。

登記申請書を含めホチキス留めをした書類の束を提出します。

そのため、原本をホチキス留めしてしまうと原本還付を受けられなくなる可能性があります。

あわせて法務局で原本とコピーを照らし合わせ、内容が正しいか確認するため、かならず原本も持っていくようにしましょう

4.登記完了後に還付を受ける

登記完了後、法務局の窓口で原本の還付を受けます。

申請した日から1~2週間後に原本を受け取ることができます。

つまり、登記が完了するまでは原本を返却してもらえません。

そのため、原本をそのほかの相続手続きで使用したい場合では、相続登記手続きをおこなう時期をしっかり確認しておきましょう

相続登記で郵送にて原本還付を受ける方法

原本還付は、法務局の窓口受け取りだけでなく、郵送にて受け取れます。

郵送を希望する場合には、申請書に「送付の方法により原本還付書類の返却を希望する」と記載し、切手を貼った返信用封筒をつける必要があります。

そうすれば、法務局に出向く必要もなく、原本還付を受けることができます

相続関係説明図を提出すれば戸籍謄本などのコピーは不要

相続関係説明図とは、亡くなった方が誰で、その法定相続人は誰にあたり、何人いるのか、相続人との続柄などを示した書類をいいます。

家系図によく似たものですが、家系図の中から相続関係のみを抜き出した書類です。

相続関係説明図があると、戸籍謄本・抄本のコピーの提出をしなくても、原本還付を受けられます。

相続人がたくさんいる場合やすでに亡くなっている方がいる場合、添付する戸籍謄本も何十通になり、コピーや押印がとてもたいへんです。

コピーや押印の手間を省くためにも相続関係説明図を作成し、添付するようにしましょう。

ただし、あくまで原本還付を受けられるのは、戸籍謄本・抄本など一部の書類に限られるため、そのほかの書類はかならずコピーするようにしましょう

相続登記での原本還付についての注意点

手間を省き、費用を節約できる便利な原本還付制度ですが、以下の2点に注意が必要です。

原本還付までには1週間〜1ヵ月程度かかる

原本還付を受けるまでに、1週間~1ヵ月程度かかることがあります。

原本還付は、相続登記完了後に受け取ることができ、申請時には返却してもらえません

そのため、早ければ1週間、遅いと1ヵ月程度、相続登記手続きが終わらず、原本還付を受けられないことがあります。

申請書類を郵送する場合は追跡可能な方法で

申請書類を郵送する場合には、追跡可能な方法で送ると安心です。

相続登記は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内におこなわなければなりません。

郵便局の不備で配送されていなかった場合でも追跡可能な方法であれば、期限に遅れてしまうことを防止できます。

たとえば、書留郵便やレターパックプラスで送付するのがおすすめです。

郵送の際には、封筒に「不動産登記申請書在中」と記載するようにしましょう。

そうすることで、書類の追跡が可能でしっかり法務局に届いたか、確認することができます!

さいごに

相続登記には、たくさんの書類が必要となり、同じ書類を何度も使うこともあります

手続きごとに書類の原本を提出すると、何度も役所で発行する手間や発行手数料がかかってしまいます。

そこで、原本還付制度を利用して、スムーズに相続手続きを進めましょう。

書類収集や相続手続きにお悩みの場合は、司法書士に相談することをおすすめします。

司法書士であれば、スムーズに手続きを進めてくれるだけでなく、トラブルが発生した場合にも対応することができます。

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この記事の監修者
ソルバ司法書士事務所
塩谷 賢一朗
都内某司法書士法人へ入所後、グループのマネージャーや統括責任者等を歴任し、2023年4月独立開業。ベストな道を案内し、100%安心・喜んでいただける仕事を追求することをモットーに取り組んでいます。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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