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相続手続きは自分でできる?手続きの流れやプロに頼むべきケースも解説

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人が亡くなると、人の死亡に伴う手続きや相続手続きをおこなわなければなりません

相続手続きは専門家に依頼するのが一般的ですが、相続手続きを自分でおこなうことはできないのでしょうか。

本記事では、相続手続きを自分でおこなうことはできるのか、自分でおこなう場合の流れや注意点について解説します。

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相続手続き等を自分でおこなうことはできるのか

相続手続きについては弁護士・税理士・司法書士・行政書士などの専門家が手続きの代行を業務としておこなっています。

相続手続きは、難しい法律や税金がかかわるため、誤りがあると深刻な不利益を被る可能性があることから、専門家に依頼するのが無難です。

しかし、専門家しか相続手続きができないという法律はないため、相続手続き等を自分でおこなうこと自体は問題ありません。

ここからは、相続手続きを自分でおこなうメリット・デメリットについて見ていきましょう。

自分で相続手続きをおこなうメリット

自分で相続手続きをおこなうメリットとしては、専門家に依頼するために必要となる費用を節約できることでしょう。

相続手続きについて専門家に依頼する場合、たとえば相続放棄のように5万円程度~依頼できるものもあれば、数億円に及ぶような遺産がある場合の相続税申告を依頼する場合には数百万を超えることもあります。

自分で相続手続きをおこなうと、これらの費用を節約することができます

自分で相続手続きをおこなうデメリット

一方、自分で相続手続きをおこなうデメリットには次のようなものがあります。

  • ミスをすると深刻な不利益を被ることがある
  • 時間や労力が必要となる
  • 家族間でトラブルとなる

順番にどういうデメリットか詳しく見てみましょう。

ミスをすると深刻な不利益を被ることがある

相続手続きを自分でおこなうと、深刻な不利益を被る可能性があります。

人が死亡したあとにやらなければならない手続きは厳格であり、期限が定められているものも多いです。

適切な手続きをおこなわなければ、次のような深刻な不利益を被る可能性も否定できません。

  • 作成した遺産分割協議書では有効なものとして手続きがおこなえない
  • 遺産分割調停で自分に不利な流れになってしまう
  • 相続放棄の期限を経過してしまい被相続人の債務を負わなければならなくなる
  • 適切な相続税申告をおこなったといえず税務調査を受けて追徴課税を受ける
  • 作成した遺言書が法律の形式を満たしておらず無効となる
  • 必要な手続きを怠ったとして行政罰である過料を支払わなければならない
  • 悪質な脱税行為とみなされ刑事罰を受ける

専門家に依頼せず自分でおこなうからといって、期限の定めや、作成すべき書類・収集しなければならない書類について大目に見てもらえるということはないので、注意が必要です。

時間や労力が必要となる

相続手続きを自分でおこなう場合、時間や労力が必要となります。

相続手続きで必ずおこなうものとして戸籍謄本の収集がありますが、被相続人の現在の戸籍はもちろん、生まれたときまでの戸籍を遡って集める必要があります。

戸籍謄抄本等の交付申請書を作成するだけでなく、役所に出向いたり、郵送で請求したりといった対応を繰り返す必要があり、非常に手間がかかるでしょう

役所や法務局・税務署・裁判所などの営業時間は平日の日中に限られるケースも多く、人によっては仕事を休んで手続きをおこなうことになる点にも注意が必要です。

家族間でトラブルとなる

相続手続きを自分でおこなうと、家族間でトラブルとなってしまう可能性があります。

相続手続きには、遺産分割協議など相続人間で話し合わなければならない手続きがあります。

協議を無理に進めようとして、他の相続人の反発を招いてしまった結果、トラブルとなってしまうことがあるでしょう。

相続トラブルは家族間で起こることがほとんどなので、相続に関する手続きが終わったあとも疎遠になるなどで尾を引く可能性があります。

トラブルにならないためにも、専門家へ依頼するのが無難といえるでしょう。

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自分で相続手続きをおこなっても良いケース

次のような場合には自分で相続手続きをおこなっても良いでしょう。

  • 手続きに取り組む時間と根気がある
  • 単独相続・共同相続人が手続きに協力的である
  • 複雑な相続ではない

以下では、どのような観点から相続手続きを自分でおこなっても良いのか確認してみましょう

手続きに取り組む時間と根気がある

手続きに取り組む時間と根気がある場合、相続手続きは自分でおこなっても良いでしょう。

相続手続きは量が膨大です。

それらに対してきちんと書面を作成して添付書類を収集し、手続きをする必要があります。

これらの手続きに取り組む時間があることはもちろんですが、根気よく最後までやり遂げることができるのであれば相続手続きを自分でおこなっても良いでしょう

単独相続・共同相続人が手続きに協力的である

単独相続の場合や、共同相続で相続人が手続きに協力的である場合には、相続手続きは自分でおこなっても良いでしょう

相続人が一人である単独相続の場合には遺産分割協議は不要ですし、共同相続の場合でも共同相続人が協力的で遺産分割がスムーズである場合には、手続きをスムーズに終えられる可能性があります。

相続人の数や、これまでの相続人同士の関係性から自分で手続きをおこなうかどうかを検討しましょう。

複雑な相続ではない

複雑な相続ではない場合には、相続手続きを自分でおこなうことも検討しましょう

複雑な相続である場合、必要な手続きが多いうえ、相続の方法を慎重に精査する必要があるなど、素人判断で物事を進めると自体が悪化する可能性があります。

遺産が預金・自動車程度で種類も少なかったり、相続人が少なくて手続きが簡単だったりする場合には、相続手続きを自分でおこなっても良いでしょう

自分で相続手続きをおこなわないほうが良いケース

相続手続きを自分でおこなわないほうが良いケースとして、次のものが挙げられます。

  • 多忙で時間に余裕がない・知識がなく不安である
  • 遺産分割について共同相続人の間で争いがある
  • 相続が複雑な場合

それぞれのケースについて、以下で詳しく見ていきましょう。

多忙で時間に余裕がない・知識がなく不安である

多忙で時間に余裕がなかったり、相続や法律などの知識がなかったりする場合には、相続手続きを自分でおこなうのではなく、専門家に依頼したほうが良いでしょう。

相続手続きは、平日に正社員として勤務をしていることや、時間がないことを理由に期限が猶予されるものではありません。

手続きには時間がかかることが多いので、自分で手続きできる自信がない場合は、ためらわずに専門家に相談しましょう。

遺産分割について共同相続人の間で争いがある

遺産分割について共同相続人の間で争いがある場合には、相続手続きを自分でおこなうのではなく、専門家に依頼したほうが良いでしょう

単独相続である場合や、共同相続人が協力的で遺産分割がスムーズに進む場合には、その後の手続きにすぐに移行できるので、相続手続きを自分でおこなっても問題ありません。

しかし、遺産分割について共同相続人の間で争いとなっている場合、協議が進まずその後の相続手続きが全く進まないということもあり得ます。

このような場合、専門家に依頼することで適切なサポートを受けられるでしょう。

また、第三者が遺産分割に加わってくれることで、感情的な交渉になってしまうことなく、冷静に話し合うことができる点もメリットです。

相続が複雑な場合

相続が複雑な場合、相続手続きを自分でおこなうのではなく、専門家に依頼したほうが良いでしょう。

相続が複雑な場合に自分で手続きをおこなおうとすると、遺産分割がうまくいかずに手続きが進まない恐れがあります。

また、トラブルになる可能性や期間を経過してしまってペナルティを受ける、手続きで不利を受けてしまうということになりかねません。

書籍やインターネットの情報は一般的な情報にとどまるため、個々のケースにおける最適な手続き方法や解決方法は入手できないこともあるでしょう。

とくに次のような事例では、相続手続きを専門家に依頼することを検討しましょう。

  • 代襲相続が生じている
  • 相続人が行方不明である
  • 再婚しており前婚の配偶者との間に子がいる
  • 相続放棄をした相続人がいる
  • 不動産を相続する
  • 会社のオーナーであり非上場株式を相続する
  • 被相続人の個人事業を相続する
  • 寄与分の計算が必要となる
  • 争いになっており遺産分割調停などの法的手続きが必要
  • 生前に相続対策をしたい
  • 相続税対策をしたい
  • 相続税の申告が必要である
  • 遺言の無効を主張したい
  • 遺留分の支払いをしてもらえない
  • 遺留分の支払いを拒みたい
  • 相続開始から3ヵ月を経過した後に見つかった債務について相続放棄をしたい
  • 限定承認をしたい
  • 家族信託を利用したい

特に自分でおこなわず専門家に依頼したほうが良いもの

手続きの中でも次のものについては、特に自分でおこなわず専門家に依頼したほうが良いしょう。

交渉を要する手続き

交渉を要する相続手続きについては専門家に依頼するのが良いでしょう。

たとえば、遺産分割・遺留分侵害請求権の行使はまずは当事者間で交渉をおこない、合意ができない場合に調停・審判・裁判・強制執行といった法的手続きをおこないます。

裁判所での手続きまで進んでしまうと、手続きが複雑であるうえに、ケースによっては家族関係にヒビが入ることもあるでしょう。

一方で、専門家に依頼して当事者間の交渉の段階で話し合いを終わらせられれば、時間をかけることなく、スムーズに手続きをおこなうことができます。

裁判所を利用する手続き

裁判所を利用する手続きについては専門家に依頼するのが良いでしょう。

遺産分割や遺留分侵害額請求が上手くいかない場合の調停・審判・裁判・強制執行のほか、遺言の無効・相続放棄・限定承認・不在者の財産管理人の選任など、相続において裁判所を利用しなければならないケースは多いです。

裁判所での手続きをおこなうためには、民法などの権利関係に関する法律を把握していることはもちろん、手続きに関する知識も必要です。

知識がないと手続きに失敗して取り返しがつかなくなることもあります。

裁判所を利用する手続きについては専門家に依頼するほうが良いでしょう。

税金に関わる手続き

税金に関わる手続きについては専門家に依頼するのが良いでしょう。

相続にまつわる税金としては相続税申告がありますが、そのほかにも準確定申告や生前贈与をする場合の贈与税の申告など、以外に手続きは多いものです。

税金に関する法令の仕組みは非常に複雑かつ難解で、申告や納税については期限をすぎると加算税や刑事罰の対象となります。

また、相続税対策をするにあたっては、控除・非課税の制度はもちろん、トータルで支払う税金を念頭に入れないと適切な対策ができないおそれもあるでしょう。

適切な手続きをおこなうためにも、税金に関する手続きや税金対策については税理士に依頼するほうが良いでしょう。

不動産の相続登記

不動産の相続登記については専門家に依頼するのが良いでしょう。

不動産を相続した場合には、相続した不動産について相続登記をする必要があります

従来は不動産の相続手続きは義務ではなく、登記をしないことで相続人が不利益を被る可能性があるにとどまるものでした。

しかし、現在では所有者が不明となり管理ができなくなる不動産が増えたことが社会問題化し、相続した不動産について相続登記をすることが義務されています。

不動産登記をおこなうには、不動産登記申請書を作成するほか、必要書類を集める必要があり、その手続きは厳格です。

また、不動産は価値が大きく、遺産分割の際にどのように分割するかで苦労することもあります

不動産の相続登記が必要となる場合には、専門家である司法書士に依頼するほうが良いでしょう。

相続手続きなどを自分でやる場合のチェックリスト

相続手続きを自分でやる場合のチェックリストを用意したので活用してください。

ここでは、相続の開始(=被相続人の死亡)からの日数別に整理しました。

相続開始7日以内におこなうこと

  • 死亡届の提出
  • 死体(胎)埋火葬許可申請書の取得

これらについては葬儀社がおこなってくれることが多いです。

相続開始から10日~14日でおこなうこと

  • 受給権者死亡届(報告書)の提出(国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内)
  • 国民健康保険資格喪失届の提出および保険証を提出
  • 介護保険の資格喪失届
  • 世帯主の変更届

相続開始から原則として3ヵ月以内におこなうこと

  • 相続放棄
  • 限定承認

期限を延長する手続きがあり、3ヵ月経過後でも申述できる場合があります。

相続開始から4ヵ月以内におこなうこと

  • 準確定申告

相続開始から10ヵ月以内におこなうこと

  • 相続税申告

相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内におこなうこと

  • 遺留分侵害額請求

相続開始から2年以内におこなうこと

  • 高額療養費の申請
  • 葬祭費・埋葬料(費)の申請

相続開始から3年以内におこなうこと

  • 相続登記

改正により相続登記が義務化されていることに注意が必要です。

さいごに

相続手続きを自分でおこなうことはできるのか、自分でおこなう場合に注意することなどについてお伝えしました。

相続手続きは、法律上は自分でもできますが、相続財産の内容や必要な手続きによっては非常に難解となり、ケースによってはペナルティの対象となりかねません

スムーズな手続きを望む場合や、自分で手続きをするのに不安がある場合は、遠慮なく専門家に頼りましょう。

費用はかかるものの、ストレスなく相続手続きを終えるためのサポートを得られます。

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この記事の監修者
グリーンクローバー法律会計事務所
日下 貴弘 (東京弁護士会)
税理士資格を持っており、「相続に強い弁護士」として、遺産分割の問題/遺留分侵害額請求の問題/遺言の有効性の問題/相続の生前対策など、相続に関する問題を数多く扱っています。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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