相続に関する弁護士相談をご検討中の方へ
被相続人が死亡すると、死亡した事実を知ってから原則7日以内に死亡届を提出しなければいけません。
死亡届の提出は、相続手続きや各種行政手続きなどの起点になる重要なステップなので、滞りなく済ませましょう。
また、死亡届を提出したあとは、遺言書の執行、遺産分割協議、遺品整理、相続税の処理などの手続きに対応する必要があります。
この記事では、相続における死亡届の役割や手続きの流れ、相続発生時に弁護士に相談するメリットなどについてわかりやすく解説します。
「死亡届はいつまでに出せばいいの?」「死亡届を出したあとはどうしたらいいの?」という悩みを抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
被相続人が亡くなったときは相続が発生しますが、相続手続きの前におこなわなければならないのが、「死亡届の提出」です。
人の出生・死亡は本籍地の市区町村が管理していますが、人が生まれたり死亡したりした事実を行政側が自動的に把握することはできません。
病院や警察から各市区町村に連絡がいくことはないからです。
そのため、人が死亡したときには、最初に死亡した人の本籍地である市区町村に死亡の旨を報告し、人が亡くなったことを申告する必要があるのです。
死亡届は、原則として届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内に、市区町村まで提出しなければいけません。
ただし、日本国外で人が死亡したケースでは、例外的に、死亡届の提出期限は届出義務者が死亡の事実を知った日から3ヵ月以内までに延長されます。
死亡届は誰が届け出をしてもいいわけではありません。
戸籍法第87条では、死亡届の届出権者について、以下の規定を置いています。
第八十七条 次の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。ただし、順序にかかわらず届出をすることができる。
第一 同居の親族
第二 その他の同居者
第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人
② 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も、これをすることができる。
引用元:戸籍法|e-Gov法令検索
死亡届を提出できる人をわかりやすく成立すると、以下のようになります。
中でも、同居の親族、その他の同居者、家主・地主または家屋・土地の管理人は届出義務者と呼ばれ、それ以外の人物は届出権利者と呼ばれます。
また、これらの届出義務者がいない場合や、すぐに連絡がとれない場合には、病院の院長や老人ホームの施設長など、公設所の長が届出人になることも可能です。
正当な理由がないのに、届出期限までに死亡届を提出しない場合には、5万円以下の過料に処されます。
第百三十七条 正当な理由がなくて期間内にすべき届出又は申請をしない者は、五万円以下の過料に処する。
引用元:戸籍法|e-Gov法令検索
死亡届の提出は相続手続きでも重要な意味をもちます。
ここでは、相続手続きにおける死亡届の3つの意義について解説します。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
民法第882条では、相続開始日について以下の定めを置いています。
(相続開始の原因)
第八百八十二条 相続は、死亡によって開始する。
引用元:民法|e-Gov法令検索
そして、被相続人がいつ死亡したのかを示すのが、死亡届です。
相続開始は実際の死亡時で決まり、死亡届はその報告(届出)をするものです。
死亡届には、その人が亡くなった日付を記載する欄があるため、そこに記載された日時をもってその人が死亡したと戸籍に記載されることとなります。
人が死亡した場合、日本で火葬をおこなうのが一般的です。
しかし、火葬をする際には、市区町村が発行する火葬許可証を用意しなければいけません。
火葬許可証とは、死亡した人の遺体の火葬を許可する公的書類のことです。
また、火葬許可証を入手するには、市区町村で火葬許可証の申請手続きをおこなう必要があります。
火葬許可証の申請書類への記載事項は以下のとおりです。
|
死亡した人に関する情報 |
本籍地 |
|---|---|
|
火葬に関する情報 |
火葬場所に関する情報 |
|
申請者の情報 |
住所 |
火葬許可証の発付審査の際には、これらの事項がチェックされるので、被相続人が死亡している事実を客観的に証明する死亡届が提出済みでなければいけません。
そのため、実務上は、死亡届の提出と同時に火葬許可証の申請手続きをおこなうのが一般的です。
なお、火葬許可証の申請手続きについては、死亡届とは異なり法的な期限は設けられていません。
ただし、原則として火葬は人が死亡してから24時間以内はおこなうことができないとされている点に注意をしてください。
被相続人が死亡した場合には、年金の支給停止手続き、健康保険・介護保険の資格喪失手続き、住民票の抹消手続きなど、さまざまな行政手続きをおこなう必要があります。
ただし、これらの行政手続きは死亡届を提出しなければ進めることができません。
被相続人が死亡してから死亡届を提出するまでの流れについて解説します。
それぞれのステップごとに、詳しく見ていきましょう。
まず、被相続人が病院で死亡した場合には、病院で死亡届を受け取ります。
病院から死亡届を渡されるときには、死因や医師の初見、医師のサインなどが記載された死亡診断書とあわせて受け取るのが通常です。
次に、事件や事故で被相続人が死亡したケースでは、警察署で死亡届が手渡されます。
このときには、死亡診断書ではなく、死体検案書という書類が付いてきます。
また、被相続人の本籍地や所在地の役所の窓口で直接入手したり、自治体によってはホームページからダウンロードすることも可能です。
死亡届を受け取ったら、できるだけ早いタイミングで必要事項を記入してください。
死亡届に記入するべき主な事項は以下のとおりです。
死亡届の文字は戸籍上の漢字を記載します。
誤字などを訂正する必要があるときには、二重線を引いて捺印をし、修正してください。
また、死亡届に文字を記入する際には、消えにくいボールペンを使いましょう。
水性インクのペンや万年筆は厳禁です。
なお、法務省では死亡届の記載方法について、記載例を公開しているので、書き方がわからない場合は参考にしながら記載しましょう。
死亡届を記載したら、期限までに以下の行政窓口に提出をしてください。
なお、同居していない親族や後見人などの届出資格者が死亡届を提出する際には、その資格を証明する登記事項証明書などの添付が必要です。
死亡届の提出窓口や必要書類などの詳細については、該当する市役所の窓口まで直接問い合わせて確認しましょう。
さいごに、死亡届の提出や円滑な相続手続きについてよく寄せられる質問をQ&A形式で紹介します。
死亡届や死亡診断書は、提出をする前に複数枚コピーしておくのがおすすめです。
なぜなら、生命保険関係や金融機関での手続きなど、被相続人死亡後のさまざまな場面で、死亡届・死亡診断書の複製の提出が求められるからです。
死亡届・死亡診断書を市役所などに提出すると、原本は二度と返却されません。
事後的に死亡届・死亡診断書のコピーが必要になった場合には、死亡届の写し(死亡届記載事項証明書)の発付請求をするなどの手間がかかってしまいます。
市役所に死亡届を提出する際には、同時に、火葬許可証の申請手続きも済ませるのが通例です。
死亡届を提出しなければ火葬許可証を受け取れないうえ、火葬許可証関係の手続きを忘れると墓関係の手続きに支障が出るので注意しましょう。
被相続人が死亡すると、親族への連絡や自宅の片付けなどで忙しくなりますし、心痛もあって、行政関係の手続きをおこなうだけの余裕がないケースは少なくありません。
死亡届や火葬許可証申請書の提出手続きは葬儀屋が代行してくれることが多いので、必要に応じて一任するとスムーズでしょう。
被相続人が死亡した場合、念のために一度は弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士の話を聞くことで、以下のメリットを得られるでしょう。
死亡届などの提出書類に不備があったり、相続人同士の話し合いが難航したりすると、円滑な相続を実現できません。
相続に関する法律相談は初回無料で対応してくれる事務所も多いので、念のために一度は弁護士の話を聞いておきましょう。
相続手続きは死亡届の提出からスタートします。
期限内に死亡届を提出しなければ、行政関係の手続きや遺産相続に支障が出る可能性が高いです。
病院や警察から死亡届などの必要書類が手渡されるので、紛失することなく所定事項を記入し、市役所の窓口で手続きを済ませましょう。
なお、死亡届の提出を終えたあとは、相続手続きが必要です。
相続手続きでは、遺産分割や有遺言書など、さまざまな点で揉め事が生じる可能性があるので、不安な場合は事前に弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
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