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事業承継で悩んだときの相談先|専門家から公的機関まで
2019年02月22日

事業承継で悩んだときの相談先|専門家から公的機関まで

CST法律事務所
細越 善斉 弁護士
監修記事
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事業承継は、単なる経営者の変更ではありません。まずは承継先の検討に始まり、次に株式移転の実施やそのための資金調達、さらには従業員や取引先からの理解獲得など、さまざまな課題を乗り越えなければ、円滑な事業承継は実現できません。

 

円滑な事業承継を実現するためには、事前に専門家に相談することをおすすめします。専門家が最初から関与することで、会社にとって最善の選択肢を無理なく実現することができ、理想的な事業承継を実現することが可能となります。

 

ここでは、事業承継の相談先や全面サポートが可能な専門機関をご紹介します。

 

ほかの経営者は誰に事業承継の相談をしている?

事業承継の相談相手

 

参考:2017年版中小企業白書 概要(23ページ)

 

事業承継を検討している経営者の方は、具体的な計画を立てる前に、まずは専門機関などへ相談することをおすすめします。それでは、事業承継を検討している経営者は、誰に事業承継のことを相談しているのでしょうか。

 

事業承継の相談先はさまざまですが、統計上、多くの経営者は、普段から接触機会の多い、顧問の公認会計士・税理士、親族や知人・友人、取引金融機関などに相談しているようです。

 

事業承継を検討するにあたっては、事業承継により発生する税務をしっかりと理解し、税制上の優遇を考慮した事業承継計画を策定していくことが重要です。公認会計士・税理士に相談することで、最新の事業承継税制の特例の適用や、M&Aで得た売却益の申告・親族内承継に関する生前贈与などのアドバイスを受けることができます。

 

そのうえで、最良の事業承継計画の立案や事業承継の実行及びそのフォローなど、税務の専門家としての立場から、多岐にわたるサポートを受けることが可能となります。

 

親族や知人・友人への相談では、承継先候補に対する率直な意見、例えば長男、もしくは親族ではない専務取締役に承継させたいと考えている場合に、その候補が適任と考えるか否か、その理由について第三者の意見を聞くことができ、慎重に承継先を検討することができます。

 

また、事業承継は社内の人にはなかなか相談しづらい内容であり、経営者が孤独に検討しなければならない事柄であるため、親族や友人などの身近な人に相談できると、気持ちが安らぐというメリットもあります。

 

これに対し、あまり利用されていない相談先としては、商工会・商工会議所、事業引継ぎ支援センター、よろず支援拠点などが挙げられています。これらの相談先も、事業承継の相談先として十分な受け皿になり得ますが、相談先上位3つと比べ、経営者との日常的な関わりが少ないため、気軽に相談できず、結果として相談相手として選ばれることが少ないものと思われます。

 

事業承継サポートが可能な相談窓口

事業承継のサポートが可能な相談先は多数あるため、自分ないし自社に合った相談先を選ぶことが大切です。

 

どの相談先がよいかについては、会社の状況や相談したい内容によって異なります。さまざまな相談先に相談してみるというのも一つの方法ですが、相談先を回るごとに、会社の状況などを最初から説明する必要があるため、その方法だと時間が余計にかかってしまいます。そのため、相談先は一つに絞り、膝を突き合わせてじっくりと相談するのがよいでしょう。

 

それでは、事業承継の相談窓口のそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

 

中小企業事業引継ぎセンター

中小企業庁は、北海道、宮城、東京、静岡、愛知、大坂、福岡の全国7ヶ所に事業引継ぎ支援センターを設置しています。これらの地域は、事業承継の支援の需要が多いとされています。

 

業務内容は、後継者不在による親族外承継、M&Aに関する情報提供やマッチング、アドバイスなどの支援です。公的機関が実施している取り組みのため、安心して相談できるという方もいるでしょう。

 

また、事業承継の検討段階で相談できる事業引継ぎ相談窓口が全国47都道府県の商工会議所などに設置されています。居住地に事業引継ぎ支援センターがない場合は、まず事業引継ぎ相談窓口を利用し、より専門的なサポートを受けたいという場合には、事業引継ぎセンターに相談するといいでしょう。

 

各都道府県の事業引継ぎ支援センターの相談先は、こちらをご覧ください。

 

税理士法人チェスター

事業承継にあたり、事業承継税制の特例の適用や相続対策などのサポートを行ってくれる専門機関です。

 

まずは、現状での自社株を評価し、このまま事業承継した場合にかかる相続税を試算します。そして、納税資金や後継者問題など、事業承継に関する問題点を抽出し、その解決案の提示を行うなど、徹底的な現状分析と問題点の抽出・解決を繰り返し行うため、最良の事業承継計画の策定とその実行のサポートが受けられます。

 

また、チェスターグループには、公認会計士や弁護士、司法書士なども在籍しているため、株価算定から遺言書作成、さらには株主権確認請求など、事業承継に関する総合的な支援を受けることが可能です。事業承継に関する問題点や課題に応じ、適切な専門家のサポートを受けられるため、円滑な事業承継が実現しやすいでしょう。

 

経営承継支援

中小企業の事業承継やM&Aの仲介を行っている専門機関です。最初からM&Aを勧めるのではなく、親族内承継と親族外承継のメリットやデメリットも踏まえ、現状どの方法が最適かについてアドバイスを受けられます。

 

また、M&Aの成立の可能性、M&Aの進め方、従業員や取引先への対応方法などトータルサポートも可能です。アドバイスは無料で、相談時間は1~2時間と厳密に決められていないため、気軽に相談できるでしょう。

 

M&Aの場合は、売却先に相応しい会社を選ぶ必要があります。経営承継支援は、全国1,000以上の税理士事務所や商工会議所などと連携しているため、売り手の要望に沿った企業を選定できます。

 

M&Aのサポートの料金は、着手金なしの完全成功報酬型のため、契約が成立しなかった場合に損をすることがありません。ただし、着手金がない分、成功報酬が若干高めに設定されているため、事業承継の失敗による損失が不安だ、という方にはおすすめといえるでしょう。

 

商工会議所

商工会議所は全国各地にあります。経営者向けのさまざまなサポートを行っており、都道府県によっては事業引継ぎ支援センターも設置されています。そのほか、弁護士や税理士、公認会計士などに事業承継の相談をすることも可能です。

 

また、商工会議所に登録している企業との交流会も開催されているため、買い手企業を探す際にも役立ちます。入会金は商工会議所によって異なりますが、年会費で約2~3万円となっています。

 

また、大阪商工会議所では、M&Aの仲介業者のあっせんも行っているため、スムーズに仲介業者を見つけることも可能となります。商工会議所ごとによって取り組みが異なるため、所在地の商工会議所に問い合わせましょう。

 

弁護士

弁護士は、スムーズな事業承継に向けた遺言書の作成、事業承継の前に解決しておくべき法的課題の抽出及び解決の支援、事業承継計画の立案や実行についてサポートすることが可能です。

 

例えば、同族会社内で株式の帰属に争いがある場合、親族役員に不正行為がある場合などは、事業承継の実行に先立ち、それらの法的課題を解決しておかなければいけません。また、事業承継の前に、定款を整備し、株主総会などにおける法令・定款の遵守状況を確認して、適法な組織運営を確保しておく必要があります。

 

弁護士は、事業承継に先立ち解決しておくべき法的課題を発見し、解決することをサポートする役割を担います。

 

さらに、承継先についての経営者の意向を尊重しつつ、会社法を活用し税務上の視点も加えた最良の事業承継計画を税理士と一緒に立案し、株式譲渡の契約書作成・交渉・契約締結など、事業承継の実行を全面的にサポートすることが可能です。

 

行政書士

行政書士は、事業承継の手続きや事業譲渡契約書の作成、遺言書や遺産分割協議書の作成などをサポートできます。

 

なかでも、事業譲渡契約書の作成は、行政書士など専門家に依頼することをおすすめします。事業譲渡の条件や引継ぎ日など重要な事項の記載が必要なため、内容にミスがあると大きな不利益に繋がる可能性があります。

 

行政書士は、書類作成や手続きの専門家のため、交渉で取り決めた内容を契約書に漏れなく記載し、確実な手続きすることが見込めます。行政書士によっては、税理士や公認会計士の資格を保有している場合もあるため、その場合にはトータルサポートを受けることも可能です。

 

事業承継はM&Aが増加傾向に

事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会によると、外から後継者を選定する中小企業は増加傾向にあります。

 

従来では、多くの中小企業が親族から後継者を選定していましたが、近年では経営者としての実力を重視するケースが増えています。親族内に経営者の資質と意欲を兼ねそろえた人物がいるケースは、それほど多くありません。そのため、実力主義で後継者を選定する場合、親族外承継となるケースが多くなるのです。

 

参考:事業承継を中心とする事業活性化に関する検討会(33ページ)

 

M&AのWEBマッチングサービスも登場

専門家にM&Aを任せる以外には、希望に合った承継先を自分で探すために、インターネットサービスを利用するという方法もあります。

 

その一つ、ビズリーチサクシードは、転職サイトで有名なビズリーチが運営するM&Aのマッチングサービスです。売り手の情報や条件を細かく登録することで、それを閲覧した買収希望企業から連絡が入ります。実交渉は自ら行うことになるため、必要に応じて専門家に依頼するとよいでしょう。その場合、専門家費用はかかりますが、ビズリーチサクシードへの登録自体は、売り手側の企業は無料となります。

 

また、交渉が実際に始まるまでは会社名を明かさなくて済むため、匿名性が高いというメリットもあります。そして、登録時には審査があるため、質が高い買い手とのマッチングが期待できます。

 

ビズリーチサクシードについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。

 

相談先を選ぶポイント

相談先は非常に多く、特徴もそれぞれに異なります。理想に近い事業承継やM&Aを実現するためにも、相談先については慎重に選ぶことをおすすめします。ここでは、相談先を選ぶ際のポイントを詳しくご紹介します。

 

税理士や公認会計士と連携している

事業承継の検討に税務上の視点は不可欠であるため、税理士や公認会計士のサポートは、事業承継を進めていくうえでは必須といえます。そのため、仲介業者に依頼する場合は、税理士や公認会計士と連携しているところの利用をおすすめします。自社株の評価は、希望売却額を決めるうえで重要な指標となります。

 

また、親族内承継の場合には、相続が発生した際にどれだけ相続税が発生するか試算しておき、その点を踏まえて生前対策もしておかなければいけません。

 

仲介業者に税理士や公認会計士が連携していない場合、税理士や公認会計士には別ルートで相談する必要があります。その場合、費用が余計にかかるとともに、情報共有もできておらず事情を一から説明する必要があるため、効率的ではありません。

 

事業承継・M&Aの実績が多数ある

事業承継・M&Aの取扱実績を確認しておきましょう。取扱実績が少ない場合、現在の状況を踏まえ、どのような方式で事業承継するのが最良かについて、適切なアドバイスを得られない可能性があります。会社の現状に合わない方法で事業承継を実行することは、経営者や後継者の不利益に繋がります。

 

また、取扱実績が少ない場合、事業承継やM&Aに際し発生したトラブルに適切に対処できない、という事態が考えられます。起こり得るトラブルはその企業ごとに異なりますが、事業承継やM&Aの取扱実績が豊富であれば、それだけ過去の経験値から、発生したトラブルに対処できる選択肢が広がります。

 

例えば、事業承継やM&Aで起こり得るトラブルとは、後継者が従業員や取引先から受け入れられてもらえない、契約条件について交渉が難航する、などが考えられますが、実際に相談する際に、過去に発生したそれらのトラブルに対し、どのように対処し事業承継を実現に導いたのか、過去の実例から確認してみるとよいかもしれません。

 

無料相談が可能

事業承継の相談内容は多種多様で、相談者ごとに千差万別です。1回の面談ですべて相談しきれればいいですが、後から追加で相談したいことが出てくる場合もあります。そのため、何回でも気軽に無料相談ができる相談先を確保しておけることに越したことはありません。

 

無料相談には応じてくれない専門機関もあると思いますが、その場合に何度も相談すると、相談料がかさんでしまいます。一方で、有料相談のほうが、会社の現状分析や課題抽出、具体的対策の提示など、無料相談に比べてアドバイスの内容が充実しているというケースもあるかもしれません。

 

無料と有料、どちらがよいとは一概に言えませんが、実際に事業承継のサポートを依頼した場合、専門家費用や仲介手数料が発生することから、相談についてはできるだけ無料で済ませたい、という方が多いのではないかと思います。

 

そこで、無料相談前には、無料相談の範囲で相談できる内容や制限時間、回数を確認しておくことをおすすめします。無料相談は、契約に繋がらなければ業者にメリットがないため、一定の制限がかけられている場合があります。制限時間がある場合、事前に相談したいことをまとめておくなどして、1度の相談の機会を充実させられるように準備しておきましょう。

 

事業承継について漠然とした不安を抱えているような場合には、会社の現状などをまとめたうえで、まずは専門機関に相談し、事業承継にあたっての問題点や解決方法のアドバイスを受けてみることをおすすめします。

 

まとめ

事業承継の計画を具体的に立てる前に、できるだけ疑問や不安を解消しておくことが大切です。そのためには、専門家が在籍している機関への相談をおすすめします

 

多くの方は、顧問の税理士や公認会計士、取引先の銀行、親族や友人に相談しているようですが、弁護士や商工会議所、M&Aの仲介業者なども、事業承継の相談の受け皿となれる存在ですので、相談先として検討してみてはいかがでしょうか。

 

さらに、インターネットの事業承継M&Aマッチングサービスの利用も検討をおすすめします。専門家のサポートと組み合わせることで、よりよい事業承継の実現が可能となるでしょう。

この記事の監修者
CST法律事務所
細越 善斉 弁護士 (第二東京弁護士会)
遺産分割に関する交渉・手続きや、事業承継(親族内承継・M&A等)のサポートに注力。相続問題を専門とする「チェスターグループ」の一員として、そのほかにも相続にまつわる各種問題にワンストップで対応する。

相続トラブルに巻き込まれてしまった方へ

何かと相続トラブルに発展するのは遺産の割合に不満がある・納得いかないケースです。

例えば、下記などが該当します。

・思ったより相続される遺産が少なかった
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遺産相続では法定相続分といって、民法で定められている割合の通りに遺産を公平に分割しましょうという一応の定めがありますが、生前に被相続人(亡くなった人)の介護をしていた、被相続人の事業を手伝っていれば寄与分という制度で多くの財産をもらう権利があります。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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