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遺産相続で嫌がらせを受けた場合の対処法と弁護士に依頼するメリット

長谷川 達紀・日吉 加奈恵
監修記事
遺産相続で嫌がらせを受けた場合の対処法と弁護士に依頼するメリット
ベンナビ

遺産相続では、親族間の過去の問題が蒸し返されたり、相続人間で感情や意見が対立したりして、話し合いがこじれることがよくあります。特定の相続人の身勝手な主張や要求が嫌がらせに感じられ、精神的に疲弊する方も少なくありません。

身勝手な主張・要求を受け入れる必要はありません。法律上のルールを正しく理解していれば、適切に対処できます。

本記事では、遺産相続で見られる嫌がらせの典型例と嫌がらせを受けた場合の対処法を解説します。嫌がらせを放置・看過するデメリットや弁護士のサポートを受けるメリットも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

遺産相続で見かけることが多い嫌がらせの事例9選

本章では、遺産相続で見られる嫌がらせの典型例を9つ紹介します。

1.不公平な遺産分割案を提示される

共同相続人から不公平な遺産分割案を提示されるケースです。民法は、相続人の構成に応じて各相続人が相続できる割合(法定相続分)を、以下のとおり定めています。

相続人の構成 法定相続分
配偶者のみ 全部
配偶者と子 配偶者:2分の1
子:2分の1
配偶者と直系尊属(父母・祖父母など) 配偶者:3分の2
直系尊属:3分の1
配偶者と兄弟姉妹 配偶者:4分の3
兄弟姉妹:4分の1
子のみ 全部
直系尊属(父母・祖父母など)のみ 全部
兄弟姉妹のみ 全部

※同順位の相続人が複数いる場合は、上記の各割合を人数で均等に割る。

しかし、「長男が遺産を多く引き継ぐべきだ」「嫁に行った娘に遺産を渡す必要はない」などと誤解している方も少なくないでしょう。誤ったルールを信じ込み、特定の相続人に不利な遺産分割を成立させようとするケースは珍しくありません。

また、親族間で強い発言力を持っている相続人が、自分に有利な内容をほかの相続人に押し付ける場合もあります。相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合での遺産分割が可能なため、力関係を利用して強引に合意を迫るケースも少なくありません。

不公平な遺産分割案を提示された場合は安易に合意せず、法定相続分をベースとした公平な遺産分割を求めましょう。

2.遺産分割協議に参加してくれない

一部の相続人が、遺産分割協議に参加してくれないケースです。遺産分割協議には、相続人全員の参加が必要です。ひとりでも参加しない相続人がいると、遺産分割協議は進められません。

顔を合わせたくない相続人がいる、相続放棄を予定しているといった理由なら、理解できるでしょう。しかし、相続手続を遅延させる目的で、遺産分割協議への参加を拒否するケースも稀に見受けられます。たとえば、以下のような場合です。

  • 自分の思い通りにならないなら、遺産分割協議が長引いて構わないと考えている
  • 手続きを引き延ばして再婚相手や再婚相手との子(あるいは前配偶者との子)を困らせたい

遺産分割協議への参加を拒否する相続人がいる場合は、家庭裁判所の遺産分割調停・審判で解決を図りましょう。

3.被相続人の遺産を開示してくれない

被相続人の遺産を開示してくれないケースです。公正な遺産分割をおこなうためには、共同相続人全員が遺産の全体像を把握する必要があります。

貸金庫の開扉などの一部の例外を除き、遺産の調査は、各相続人が単独でできます。また、法律上、遺産を管理している相続人が、ほかの相続人に対して遺産の内容を開示しなければならない義務を負うわけでもありません。

しかし、相続人の中には、被相続人との関係が希薄だった方もいるでしょう。遺産の全容を把握している相続人の協力がなければ、しらみ潰しに調査をしなければならず、多大な手間と時間を要します。

遺産を開示してもらえない場合は、遺産分割調停・審判による解決を図りましょう。裁判所が相手方に開示を促したり、裁判所を通じて金融機関・公的機関に調査を依頼できる可能性があります。

4.被相続人の遺産を独り占めしている

相続人のひとりが遺産を独り占めしているケースです。遺産分割の対象となる財産は、遺産分割が完了するまでの間、相続人全員の共有状態に置かれます。

しかし、ほかの相続人の同意を得ず、遺産を占有する事例は少なくありません。たとえば、以下のようなケースです。

  • 被相続人の自宅から無断で現金や貴重品を持ち出して、自分の支配下に置く
  • 被相続人の自宅の鍵を勝手に変えて、ほかの相続人が入れなくする

被相続人の生前から同居していたり、配偶者居住権が成立していたりする場合は、自宅に住み続けること自体は問題にはならないでしょう。

一方、被相続人の死後から遺産の占有管理を開始する場合、共有持分を超える残部の使用には、ほかの相続人の同意がない限り、賃料相当額の支払が必要です。相続人のひとりが権限なく遺産を占有している場合は、明け渡しを求めたり、賃料相当額の請求を行いましょう。

5.根拠なく遺産の使い込みを疑われる

根拠なく遺産の使い込みを疑われるケースです。被相続人と同居していた相続人に遺産の使い込みが発覚する事例は、残念ながら実際に存在します。しかし、同居の相続人の全てが不正をおこなっているわけではありません。

遺産の使い込みが争われる事例では、同居の相続人が被相続人の財産を管理していた事実を、ほかの相続人も知っていた場合が多いです。ところが、予想に反して相続開始時の預金残高が少ないと、疑いの目を向けてくるケースは少なくありません。

遺産の使い込みを疑われた場合は、使途を証明できる資料(家計簿・領収証など)を添えて反論しましょう。

離れて暮らす相続人が、被相続人の財産・お金の状況を正しく把握できていないのは、ある意味当然です。相手も当然わかっているという前提ではなく、丁寧かつ正確に説明しましょう。

6.被相続人の介護などの貢献を認めてくれない

被相続人の介護への貢献を認めてくれないケースです。被相続人の看護・介護に尽くした相続人は、貢献の度合いに応じて、ほかの相続人よりも遺産を多く受け取れる可能性があります。貢献度に応じて相続分に加えて受け取れる加算分を、寄与分といいます。

寄与分の主張は遺産分割協議の中でもおこなえますが、ほかの相続人が認めてくれないケースは少なくありません。寄与分を認めると、ほかの相続人の相続分が減るためです。

寄与分の成立要件を満たすことが証拠上明らかであるにもかかわらず、共同相続人が認めない場合は、調停・審判での解決を図りましょう。

共同相続人全員の合意が見込める場合は、遺産分割調停・審判の中で寄与分を確定できます。遺産分割調停・審判とは別に、寄与分を定める調停・審判を申し立てるのも可能です(遺産分割調停・審判が係属している場合は併合されます)。

7.自分が受けた生前贈与を認めない

被相続人から多額の生前贈与を受けた相続人が、事実を認めないケースです。以下のような贈与・援助は、遺産の前渡しと捉えられる贈与(特別受益)にあたります。

  • 結婚の際の支度金
  • 居住用不動産(または購入資金)の贈与
  • 事業資金の援助

特別受益を考慮せずに法定相続分に応じて遺産を分けると、相続人間の公平を欠きます。特別受益者である相続人は他の相続人より遺産を多く受け取ることになるためです。

生前贈与を受けていない相続人は遺産分割協議の中で、特別受益の持ち戻しを主張できます。しかし、生前贈与を受けた相続人は、素直に贈与を受けた事実を認めない方も少なくありません。自分の取り分が減るのを避けるためです。

本人が頑なに認めない場合は、遺産分割調停・審判での解決を目指しましょう。

8.相続放棄を強要される

共同相続人から相続放棄を強要されるケースです。共同相続人の中で立場が弱い相続人や被相続人と疎遠だった相続人が、ほかの相続人から相続放棄を求められる場面は少なくありません。

たとえば、叔父(叔母)の相続が開始し、甥姪などの代襲相続人が共同相続人になるパターンです。甥姪は被相続人の兄弟姉妹と比べて関係性が薄く、場合によっては生前にまったく関わりがなかったケースもあるでしょう。

被相続人の兄弟姉妹から、疎遠であることを理由に相続放棄を促されるケースも稀にあります。しかし、相続放棄は、本人の自由な意思のもとおこなわれるべきものです。自分の意思に反して、相続放棄をする必要はありません。断固として拒否しましょう。

拒否しても執拗な要求が続く場合は、弁護士に相談してください。

9.相続人以外の親族が口を出してくる

相続人以外の親族が口を出してくるケースです。たとえば、相続人の配偶者が遺産分割協議に同席するのが典型例です。相続人自身が「配偶者の同席を許可しないなら、話し合いに応じない」という態度を貫くこともあります。

遺産分割協議に相続人以外の親族が関与すると、話し合いがこじれて協議が長期化するおそれがあります。

相続人以外の親族には、遺産分割協議に参加する権限はありません。相続権のない人が同席を求めた場合は、相続人だけで話し合う旨を伝えて退席を求めてください。

しつこく口を出してくる場合は、家庭裁判所の遺産分割調停・審判の申立ても積極的に検討しましょう。調停・審判期日には相続人以外の親族は出席・同席できません。

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遺産相続について嫌がらせを受けた場合の5つのデメリット

遺産相続で嫌がらせが続くと、進行に遅れが出て相続税の申告期限が過ぎてしまう可能性があります。やり取りに疲弊して不利な条件での遺産分割に応じてしまったり、親族関係がさらに悪化したりするおそれもあるでしょう。

協議がなかなかまとまらず、遺産分割前に相続人が亡くなってしまい、相続関係がさらに複雑になるケースもあります。

1.遺産分割の進行に遅れが出る

相続人間の合意を妨げるような嫌がらせが続けば、いつまでたっても遺産分割協議は成立しません。とはいえ、嫌がらせをする相続人を除いて話し合いを進めることもできません。

嫌がらせに都度対応・反論しても、相手は次から次へと争点を変えて、合意形成を妨げるでしょう。当事者だけでの解決にこだわると時間だけが過ぎていき、徒労に終わるケースも少なくありません。

早期に弁護士を通じた交渉や遺産分割調停に切り替えなかったために、相続開始から数年が経過しても決着がつかない事例もよく見受けられます。

2.不利な内容で遺産分割協議が成立するおそれがある

嫌がらせに疲弊した結果、不利な内容の遺産分割協議に合意してしまうおそれがあります。

嫌がらせをおこなう相続人の狙いは、相手を消耗させて不利な分割案に合意させること。繰り返される理不尽な主張・不当な要求に疲れ果て、「もう関わりたくない。早く終わらせたい」と妥協してしまうケースは少なくありません。

相手に暴力を振るわれたり、「合意しなければ危害を加える」と脅されて合意に至った場合は、合意の意思表示を取り消せる可能性があります。しかし、相手の要求に応じた形とはいえ、自らの意思で遺産分割案に合意した場合は、原則としてあとから撤回できません。

3.親族との関係が悪化する

嫌がらせをする相続人との対立が続くと、親族全体の関係が悪化するおそれがあります。対立している相続人の配偶者や子どもなど、周りの親族も次第にどちらかの味方につくためです。

対立が長引くほど、関係を修復できない状態まで進んでしまいます。たとえば、法事や冠婚葬祭への出席を拒まれたり、当事者以外の家族も連絡が取れなくなるケースも少なくありません。

4.相続税の申告期限が過ぎてしまう

嫌がらせによって遺産分割に遅れが出た結果、相続税の申告期限が過ぎてしまう可能性があります。相続税の申告・納税期限は、相続開始を知った翌日から10ヵ月以内です。期限を過ぎると無申告加算税や延滞税などが課される可能性があります。

申告期限内に遺産分割が完了しない場合は、各相続人が法定相続分で遺産を相続したと仮定して、申告(未分割申告)しなければなりません。未分割申告時に、申告期限後3年以内の分割見込書を添付すれば、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例なども適用できます。

さらに申告が遅れる場合は、遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書を提出します。提出期限は、申告期限から3年を経過した日の翌日から2ヵ月以内です。嫌がらせによる紛争の長期化により、度重なる手間が発生します。

5.相続関係が複雑になる

嫌がらせによって解決までの期間が長引くと、相続関係が複雑になる可能性があります。

遺産分割が未了の状態で相続人が死亡すると、死亡した人の相続人を協議に参加させなければいけません。当事者の数が増えるほど、合意を得るのは一段と難しくなるでしょう。

たとえば、法定相続人が被相続人の兄A・弟B・姉Cの3名で、遺産分割協議中にAが死亡したとします。Aの相続人が配偶者D・子Eおよび子Fの場合、B・C・D・E・Fの5名で、遺産分割協議をおこなわなければなりません。

遺産相続で嫌がらせを受けた場合の対処法

遺産相続で嫌がらせを受けた場合は、遺産分割調停・審判の利用や弁護士への依頼を積極的に検討しましょう。嫌がらせの内容次第では、損害賠償請求を検討できる場合もあります。

遺産の全体像を把握したうえで、金銭面も含めて関わりを断ちたいと思うなら、相続放棄の申述を視野に入れてもよいでしょう。

1.家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

嫌がらせのせいで遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。

調停手続では、家庭裁判所の調停委員を介して合意形成を目指すため、嫌がらせをしてくる相続人と直接やり取りする必要はありません。次のような態度を取り続ける相続人がいる場合、調停委員が調停の成立が難しいと判断し、調停が不成立に終わる可能性が高いです。

  • ほかの相続人の主張にまったく耳を貸さず、自分の希望を押し通そうとする
  • ほかの相続人を罵倒するような言動・感情的な主張を繰り返す

調停が不成立により終了すると、自動的に審判に移行します。審判では、裁判官が当事者の主張や証拠に基づいて、遺産分割の方法を独断で判断します。審判まで進めば、嫌がらせによって合意形成を阻む相続人がいても、決着をつけることが可能です。

2.嫌がらせの内容次第では損害賠償請求を検討する

特定の相続人が遺産を使い込んでいた場合は、不法行為に基づく損害賠償請求または不当利得返還請求を検討できます。損害賠償請求とは、故意または過失によって権利や利益を違法に侵害された側が、損害を与えた側に対して賠償を求める手続きです。

相続人のひとりが自分の利益のために、遺産を処分したり隠したりした場合は、不法行為が成立します。損害を受けた側は、使い込んだ相続人に対し、自己の法定相続分の限度で損害賠償を請求できます。

不当利得返還請求とは、法律上の原因なく他人の財産や労務によって利益を得た側に対し、損失を受けた側が当該利益の返還を求める手続きです。遺産が使い込まれた場合、共同相続人は使い込んだ相続人に対し、自己の法定相続分の限度で不当利得の返還を請求できます。

3.金銭面も含めて関わりを絶ちたいなら相続放棄を検討する

「何も貰えなくてよいから、一切の関わりを断ちたい」と思う場合には、相続放棄の申述を視野に入れるのもひとつの方法です。

相続放棄が認められると、放棄した相続人は最初から相続人ではなかったとみなされます。遺産分割協議に参加する必要もなくなるため、嫌がらせをする相続人と顔を合わせる機会を減らせるでしょう。

ただし、相続放棄をすると借金などのマイナスの財産だけでなく、不動産や預貯金などのプラスの財産も一切受け取れなくなります。相続放棄が向いているかどうかは、相続財産を正確に把握したうえで、慎重な判断が必要です。

4.弁護士に依頼して交渉してもらう

弁護士に依頼すれば、嫌がらせをしてくる相続人と直接やり取りをせずに済みます。依頼後は、弁護士が連絡窓口となってくれるためです。

弁護士なら、相続人全員の納得を得やすい公平な分割案を検討できるため、早期に遺産分割協議を成立させられる可能性が高まります。弁護士の介入により、嫌がらせを繰り返していた相続人が態度を改めるケースも少なくありません。

調停や審判に移行した場合も、手続きを弁護士に任せられるので安心です。

遺産相続で嫌がらせを受けた場合に弁護士に依頼するメリット5つ

遺産相続について嫌がらせを受けた場合には、なるべく早く弁護士への相談・依頼をおすすめします。弁護士に依頼する主なメリットは、以下のとおりです。

1.嫌がらせをしてくる相手と直接やり取りしなくて済む

弁護士に依頼すれば交渉を代理してもらえるため、嫌がらせをしてくる相手と直接やり取りをする必要がなくなります。

長期にわたって嫌がらせを受けていると、関わること自体が苦痛になり、不利な条件を受け入れてしまいがちです。「不利な内容を受け入れるべきではなかった」と後悔しても、相続人全員の合意がなければ遺産分割協議はやり直せません。

弁護士が代理人として介入すると、嫌がらせをしていた相手が態度を改めるケースは少なくありません。法的根拠のない理不尽な主張・要求にも、的確に対処してもらえます。

嫌がらせをしてくる相手と直接対峙する必要がなくなれば、精神的な負担も大幅に軽減できるでしょう。

2.相続財産の調査を任せられる

弁護士に依頼すれば、相続財産の調査を任せられます。公平な遺産分割協議を実現するためには、相続財産の範囲を正確に把握し、適切に評価する必要があります。

一部の相続人が遺産を隠したり、資料の開示に非協力であったりすると、相続財産の調査に多大な手間や時間がかかるでしょう。弁護士に依頼すれば、相続財産の有無や内容を正確に把握し、適切な評価額を算定できます。

弁護士は、受任事件に必要な範囲で、所属弁護士会を通じて金融機関や公的機関にさまざまな照会をおこなえます。たとえば、被相続人が口座を開設していた金融機関がまったくわからなくても、全店照会によって情報を取得できるケースも少なくありません。

3.嫌がらせに対して適切な対処を講じてもらえる

弁護士に依頼すれば、嫌がらせをおこなう相手に適切な対処を講じてもらえます。

たとえば、相続人のひとりが遺産を隠したり、私的に費消したりしている場合は、遺産分割協議・調停の中で調整を求めます。訴訟に移行した場合のリスクを弁護士が示すと、強気の姿勢を崩さなかった相手が態度を軟化させるケースも少なくありません。

相手が誠実に対応しない場合は、不当利得返還請求訴訟や不法行為に基づく損害賠償請求訴訟による解決を図ります。

4.自己の権利を適切に主張してもらえる(特別受益・寄与分など)

弁護士に依頼すれば、自己の権利を適切に主張してもらえます。特別受益や寄与分は相続人間の公平を図る制度ですが、主張・立証の難易度が高いのも事実です。

たとえば、相続人のひとりが被相続人から生前贈与を受けていても、特別受益と認定されなければ、持ち戻しの主張は認められません。金額や贈与の趣旨などからみて、親族間の扶養的金銭援助の範囲内と評価されれば、遺産分割時に考慮してもらえない場合もあります。

被相続人の介護にあたっていても、仕事をしながら週末だけ介護をした、通院に付き添った程度では寄与分の主張は難しいでしょう。

弁護士に依頼すれば、あなたが権利を主張できるかどうかを適切に判断してもらえます。主張を裏付ける根拠となる資料の収集方法も、個別具体的なアドバイスを得られるでしょう。

5.調停・審判・裁判などの手続きも一任できる

弁護士に依頼すれば、遺産分割調停・審判など家庭裁判所の手続きも一貫して任せられます。遺産の一部を隠匿・費消した相続人がいる場合には、必要に応じて、不当利得返還請求訴訟や損害賠償請求訴訟なども検討してもらえるでしょう。

嫌がらせをする相続人がいる場合は、協議や調停での解決が望めず、審判にもつれ込むケースも少なくありません。

遺産分割審判は、裁判に近い審理方式で手続きが進められます。法律に基づく主張やその主張を裏付ける客観的な資料の提出が求められるため、書面作成能力や裁判官を説得するためのスキルが必要です。

弁護士に依頼すれば、主張書面や証拠書類の作成・提出も全て任せられるため、手間や時間も省けます。審判期日にも同席してもらえるので、ふとした発言内容が不利に働くリスクも軽減できます。

共同相続人からの嫌がらせにお悩みなら「ベンナビ相続」

共同相続人からの嫌がらせにお悩みなら、「ベンナビ相続」の活用をおすすめします。

「ベンナビ相続」は、相続トラブルの解決を得意とする弁護士を、地域や相談内容の条件から効率的に探せるポータルサイトです。初回相談無料に対応している弁護士も多数掲載されており、費用面の不安を抱えている方でも相談しやすいのが特徴です。

弁護士に依頼すれば、嫌がらせをしてくる相手との直接のやり取りを避けられます。遺産を開示してもらえない場合の財産調査から、調停・審判・訴訟まで一貫したサポートを受けられます。

まずは「ベンナビ相続」を活用のうえ、嫌がらせの状況を弁護士に話すことから始めてみてください。

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弁護士への依頼によりスムーズに遺産分割が成立した事例

本章では、「ベンナビ相続」を介して依頼した弁護士のサポートにより、スムーズに遺産分割が成立した事例を紹介します。

遺産の使い込みを否定したうえで調停が成立したケース

ほかの相続人から疑われた遺産の使い込みを否定し、遺産分割調停を成立させたケースです。依頼者である被相続人の妻Aと子BおよびCは、被相続人の子Dから、遺産の使い込みを疑われていました。

Dは、被相続人と疎遠だったにもかかわらず、「多額の使途不明金がある」「多額の現金などの相続財産が存在するはず」と主張。依頼者らが被相続人の通帳を開示したあとも、各出金履歴について依頼者の私的流用を執拗に疑いました。

弁護士は、出金当時の被相続人の健康状態などを根拠に、被相続人本人の意思と判断による払い戻しであった旨主張。被相続人の生活状況や賃貸物件の経営状況なども踏まえて、使途も具体的に説明しました。

最終的には、依頼者らの私的流用の事実がないという前提で、無事に調停が成立しました。

弁護士による遺産調査により遺産分割協議が成立したケース

遺産の内容を開示しない相続人との間で、遺産分割協議を成立させたケースです。

被相続人の娘である依頼者は、家業を継いでいた姉らから「口を出すな」と言われ、遺産内容をまったく教えてもらえていませんでした。

相続税申告の期限が迫る中、姉らから、僅かな金額しか受け取れない内容の遺産分割協議書が届き、泣き寝入りするしかないのかと弁護士に相談。

正式に依頼を受けた弁護士は、依頼者からの事情聴取をもとに、心あたりのある金融機関に照会をかけました。調査結果から、姉たちが提示した遺産分割案が、法定相続分を大きく下回る内容であることが判明。

調査内容をもとに相続財産目録を作成したうえで、遺産分割調停を申し立て、依頼者は最終的に法定相続分相当額の現金・有価証券を取得しました。

遺産相続における嫌がらせに関する質問

本章では、遺産相続に関する嫌がらせについて、よくある質問にQ&A形式で回答します。

Q.遺産相続について何も言ってこないときはどうすればいいですか?

共同相続人に連絡を取り、状況を確認してみるとよいでしょう。連絡がない理由はさまざまです。仕事や家庭の事情で忙しく、手続きに着手できないまま時間が経過しているケースも考えられます。ほかの相続人が、あなたからの連絡を待っている可能性もあります。

誰が主導して手続きを進めるのか決まっていない場合は、あなたから積極的に連絡を取り、遺産分割協議を申し入れるとよいでしょう。

Q.遺産相続の話し合いを求めても無視されるときはどうすればいいですか?

弁護士への依頼や遺産分割調停・審判の利用を検討しましょう。弁護士の介入により、相手が態度を軟化させるケースは少なくありません。

知識や交渉力の差から、自分が不利な立場に置かれないよう、相手も弁護士を立てる場合もあります。双方に代理人が就けば、感情的にならずに冷静に話し合いを進められるため、早期の解決も期待できます。

家庭裁判所への調停の申し立ても検討しましょう。裁判所から連絡があれば、誠実な対応が期待できるかもしれません。相手方が調停期日も無断欠席を続ける場合は、遺産分割審判に移行します。

審判期日も欠席し、書面や証拠資料も提出しなければ、裁判所は出席した当事者の主張や提出された証拠をもとに、遺産分割の方法を決定します。

Q.遺産相続で兄弟の嫁が口を出してくるときはどうすればいいですか?

兄弟の配偶者は相続人ではないため、遺産分割に関与する法的権限はありません。「相続人だけで話し合います」と伝えて、関与を断ちましょう。

相続人以外が介入して話し合いが混乱する場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる方法もあります。調停期日には、代理人弁護士を除き相続人以外の人は出席できません。

まとめ

遺産相続では、不公平な分割案の提示・遺産の非開示など、さまざまな嫌がらせを受ける場合があります。嫌がらせを放置すると、相続税の申告期限を過ぎてしまったり、精神的に疲弊して不利な条件で合意してしまったりするおそれがあります。

解決のためには、家庭裁判所への調停申立てや損害賠償請求、弁護士への依頼を検討しましょう。弁護士に依頼すれば、相手との直接交渉を避けられるうえ、煩雑な財産調査や相続財産一覧表等の書類の作成、法的手続を一任できます。

共同相続人からの嫌がらせでお悩みなら、「ベンナビ相続」の活用がおすすめです。相続トラブルに強い弁護士のサポートを得るために、まずは一度ご相談ください。

相続問題の解決事例

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この記事の監修者
新静岡駅前法律事務所
長谷川 達紀・日吉 加奈恵 (静岡県弁護士会)
幅広い相続に関するご相談に対応し、確かな実績と経験から、依頼者様の納得のいく解決に導くよう尽力しています。不動産の相続を司法書士などと連携して一貫して対応することも可能です。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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