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遺産相続で嫌がらせをされた場合の対処法|あなたを守る知識と戦略を解説

ゆら総合法律事務所
阿部 由羅
監修記事
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遺産分割についてほかの相続人と話し合う中で、嫌がらせを受ける事例が多発しています。

遺産分割に関する嫌がらせは、親族同士で多額の遺産を奪い合うという問題の性質も相まって、精神的に大きな負担となってしまうでしょう。

相手の要求が正当なものであれば対応する必要がありますが、不当な嫌がらせに対しては断固として抗議しましょう。

どのように対応すべきか分からずお困りの場合は、弁護士へご相談ください。

本記事では、遺産相続に関する嫌がらせのよくあるパターンや、嫌がらせを受けた場合の対処法などを解説します。

ほかの相続人から嫌がらせを受けて困っている方は、本記事を参考にしてください。

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目次

遺産相続で見かけることが多い嫌がらせの事例7選

遺産相続に関しては、さまざまなパターンの嫌がらせがおこなわれることがあります。

よくある嫌がらせの事例としては、以下のようなパターンが挙げられます。

  1. 不公平な遺産分割案を提示される
  2. 遺産分割協議に参加してくれない
  3. 被相続人の遺産を開示してくれない
  4. 被相続人の遺産を独り占めしている
  5. 根拠なく遺産の使い込みを疑われる
  6. 相続放棄をするよう強要されている
  7. 相続人以外の親族が口を出してくる

1.不公平な遺産分割案を提示される

本来の相続分に比べて、相続できる遺産の額があまりにも少なくなるなど、不公平な遺産分割案を提示することは、遺産相続に関する典型的な嫌がらせ事例です。

相続人には、亡くなった被相続人との続柄に応じて、以下の割合による相続分が認められています。

ご自身の相続分を大幅に下回る遺産分割案を提示された場合には、拒否して正当な権利を主張しましょう。

  1. 配偶者のみが相続人の場合

    配偶者:100%

  2. 子のみが相続人の場合

    子:100%

    ※複数の子がいる場合は、人数に応じて按分

  3. 直系尊属のみが相続人の場合

    直系尊属:100%

    ※複数の直系尊属がいる場合は、被相続人との間の親等が近い人が優先。最上位者の間で人数に応じて按分

  4. 兄弟姉妹のみが相続人の場合

    兄弟姉妹:100%

    ※複数の兄弟姉妹がいる場合は、人数に応じて按分。ただし、父母のいずれか一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の両方を同じくする兄弟姉妹の半分

  5. 配偶者と子が相続人の場合

    配偶者:2分の1

    子:2分の1

    ※複数の子がいる場合は、人数に応じて按分

  6. 配偶者と直系尊属が相続人の場合

    配偶者:3分の2

    直系尊属:3分の1

    ※複数の直系尊属がいる場合は、被相続人との間の親等が近い人が優先。最上位者の間で人数に応じて按分

  7. 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合

    配偶者:4分の3

    兄弟姉妹:4分の1

    ※複数の兄弟姉妹がいる場合は、人数に応じて按分。ただし、父母のいずれか一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の両方を同じくする兄弟姉妹の半分

    ※代襲相続人の相続分は、被代襲者と同じ。代襲相続人が複数いる場合は、人数に応じて按分

2.遺産分割協議に参加してくれない

遺産分割は、相続人全員が参加しておこなわなければなりません。

一人でも遺産分割に参加しない相続人がいると、遺産分割協議を進められなくなってしまいます。

相続手続きを遅延させる目的で、遺産分割協議に参加しようとしない相続人が稀に見受けられます。

遺産分割協議への参加を拒否する相続人がいる場合は、家庭裁判所の遺産分割調停・審判を利用するなどして対応しましょう。

3.被相続人の遺産を開示してくれない

公正に遺産分割をおこなうためには、すべての遺産を相続人全員が把握する必要があります。

しかし、被相続人の遺産を管理している相続人が、遺産の内容をほかの相続人に対して開示しないケースがよく見られます。

遺産の内容を秘密にしているのは、自分だけで遺産を独り占めにしようとしているからかもしれません。

弁護士のサポートを受けながら、遺産の開示を求めましょう。

4.被相続人の遺産を独り占めしている

亡くなった被相続人の遺産は、遺産分割が完了するまでの間、すべての相続人の共有物となります民法898条)。

したがって、複数の相続人がいる場合に、一部の相続人が遺産を独占することは許されません。

遺産を独り占めする相続人がいる状態では、公正な遺産分割をおこなうことはできません。

弁護士の協力を得て遺産の全体像を明らかにし、独り占めされている遺産も含めた公正な遺産分割をおこないましょう。

5.根拠なく遺産の使い込みを疑われる

すべての相続人の共有物である遺産を勝手に使い込むことは厳禁ですが、根拠なく遺産の使い込みを疑うことは嫌がらせの一種といえます。

遺産の使い込みについては、その事実を主張する側が立証責任を負います。

遺産を使い込んだという疑いについて身に覚えがなければ、堂々と反論した上で、遺産分割を進めることを求めましょう。

6.相続放棄をするよう強要されている

自分の思いどおりに相続手続きを進めるため、あるいは遺産を一部の相続人だけで独占するために、ほかの相続人に対して相続放棄を強要する人が稀に見受けられます。

相続放棄をするかどうかは、個々の相続人が自由に判断すべき事柄です。

ほかの相続人に対して相続放棄を強要することは、一切認められません。

ほかの相続人がご自身に対して相続放棄を強要してきた場合は、毅然と拒否して遺産分割協議に参加しましょう。

7.相続人以外の親族が口を出してくる

遺産分割は相続人全員でおこなうものですが、言い換えれば、相続人以外の者が遺産分割に関与することはできません。

しかし、たとえば相続人の配偶者や子どもなどが、遺産分割に口を出してくるケースはよくあります。

相続人ではない人があれこれ口を出してくると、遺産分割協議が遅延してしまうことが多いです。

もし相続人以外の親族が遺産分割に口を出してきたら、相続人だけで話し合うことを伝えましょう。

しつこく口を出してくるようであれば、家庭裁判所の遺産分割調停・審判を利用することも検討すべきです。

遺産相続について嫌がらせを受けた場合の3つのデメリット

遺産相続について嫌がらせを受けると、以下のようなデメリットが生じることがあります。

  1. 遺産分割の進行に遅れが出てしまう
  2. 自分にとって不利な遺産分割への同意を迫られる
  3. 親族との人間関係が悪くなってしまう

1.遺産分割の進行に遅れが出てしまう

遺産相続に関する嫌がらせ的な要求には、受けた側としても応じるわけにはいきません。

合理的な理由を付して反論する必要があります。

しかし、嫌がらせをする相続人は、次々と別の嫌がらせを繰り出してくることが多いです。

嫌がらせに一つずつ対応しているとキリがなく、遺産分割の進行が遅延してしまいます。

嫌がらせに対応しきれないと感じている場合は、早めに家庭裁判所の遺産分割調停・審判へ移行しましょう。

2.自分にとって不利な遺産分割への同意を迫られる

ほかの相続人が嫌がらせをしてくる目的は、自分にとって有利な内容、または相手にとって不利な内容の遺産分割を認めさせるためであると考えられます。

いずれにしても、嫌がらせを受けた側にとっては、不利益な遺産分割に同意するよう圧力をかけられるケースが多いです。

嫌がらせを受けて精神的に参ってしまい、不本意な内容の遺産分割に同意してしまう方が少なくありません。

嫌がらせによって不本意な遺産分割への同意を迫られている場合は、弁護士に依頼して対応してもらうのが安心です。

ご自身で対応する必要がなくなり、精神的なストレスが大幅に軽減されるほか、合理的な理由に基づいて反論することができます。

3.親族との人間関係が悪くなってしまう

相続人間で嫌がらせがおこなわれると、当事者同士の関係性が悪化してしまうことは確実です。

さらに、嫌がらせにうんざりしたほかの相続人からの印象も悪化し、親族全体の関係性が悪くなってしまうこともよくあります。

遺産相続に関する嫌がらせを放置すると、親族関係に大きな悪影響が生じるので、早めに対処することが大切です。

遺産相続で嫌がらせを受けた場合の4つの対処法

遺産相続について嫌がらせを受けた場合には、以下の方法によって対応しましょう。

  1. 弁護士に依頼して交渉してもらう
  2. 家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる
  3. 身の危険を感じる場合は警察に通報・相談する
  4. 嫌がらせの内容次第では損害賠償請求を検討する

1.弁護士に依頼して交渉してもらう

遺産相続に関する嫌がらせは、その主張に法的な根拠がないケースがほとんどです。

弁護士に代理で交渉してもらえば、主張が受け入れられる見込みがないと判断して、嫌がらせをやめることがよくあります。

仮に嫌がらせが止まらなくても、弁護士に依頼していれば、その後の遺産分割調停・審判などについてもスムーズに対応してもらえます。

「ベンナビ相続」などを活用して、お住まいの近くで遺産相続について相談できる弁護士を探しましょう。

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2.家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てる

嫌がらせのせいで遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てましょう。

遺産分割調停は、調停委員の仲介によって遺産分割の方法を話し合う法的手続きです。

調停委員は、各相続人の主張を公平に聞き取った上で、状況に応じて歩み寄りを促し、遺産分割に関する合意形成を図ります。

不合理な主張や嫌がらせをする相続人がいた場合、調停委員はその相続人に働きかけ、遺産分割の妨害をやめるように説得してくれることが多いです。

中立的な立場にある調停委員から諭されれば、嫌がらせをやめる可能性があります。

調停が不成立となってしまっても、家庭裁判所が審判をおこない、遺産分割の内容を決定します。

審判がおこなわれれば、嫌がらせによって話し合いがまとまらなくても、遺産分割の内容を確定させることが可能です。

特に、嫌がらせをする相続人がたくさんの不合理な主張をおこなっており、一つずつ対応するとキリがない場合には、早めに遺産分割調停を申し立てるのがよいでしょう。

3.身の危険を感じる場合は警察に通報・相談する

遺産相続に関する嫌がらせが暴力や脅迫に及んでいる場合には、一刻も早く警察に通報・相談しましょう。

刑事事件として捜査を開始し、加害者を逮捕・起訴してもらえることがあります。

4.嫌がらせの内容次第では損害賠償請求を検討する

嫌がらせの内容があまりにもひどく、大きな精神的ダメージを受けた場合には、加害者に対する慰謝料請求も検討しましょう。

また、名誉毀損によって営業などにも悪影響が生じている場合には、慰謝料以外の経済的利益に関する損害賠償請求も認められる場合があります。

損害賠償請求をおこなう際には、弁護士に依頼するのが安心です。

証拠の収集や書面の作成などの事前準備から、示談交渉や訴訟などの法的手続きに至るまで、損害賠償請求に必要な対応全般をサポートしてもらえます。

遺産相続で嫌がらせを受けた場合に弁護士に依頼する4つのメリット

遺産相続について嫌がらせを受けた場合には、弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

遺産相続に関する嫌がらせについて、弁護士に相談・依頼することの主なメリットは以下のとおりです。

  1. 迅速な相続トラブルの解決が期待できる
  2. 遺産相続について泣き寝入りする必要がなくなる
  3. 嫌がらせをしてくる相手と関わる必要がなくなる
  4. 調停・審判・訴訟の裁判手続きも任せられる

1.迅速な相続トラブルの解決が期待できる

弁護士に依頼すると、嫌がらせを含めた相続トラブルの迅速な解決が期待できます。

法的な観点から論点を整理した上で、それらを着実に解決していくことができるためです。

相続トラブルは、対応が遅れれば遅れるほど解決が難しくなります。

早い段階で弁護士に相談して、迅速なトラブルの解決を目指しましょう。

2.遺産相続について泣き寝入りする必要がなくなる

相続人には、民法に基づく割合による相続権が認められています。

しかし、ほかの相続人から嫌がらせを受けた方は、本来の相続分よりも不利益な内容での遺産分割に同意してしまうケースが少なくありません。

ご自身の相続権を正しく主張し、公正な遺産分割をおこなうためには、弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士は、法的な根拠に基づく主張をもって嫌がらせをする相続人に対抗し、依頼者の相続権が正しく実現されるようにサポートしてくれるでしょう。

3.嫌がらせをしてくる相手と関わる必要がなくなる

遺産相続について嫌がらせをしてくる相手と話すことは、それだけで大きな精神的ストレスになります。

侮辱や罵倒を受けて、大きな精神的ダメージを受けてしまう方がたくさんいらっしゃいます。

弁護士に依頼すれば、遺産分割に関する交渉全般を代行してもらえるので、嫌がらせをしてくる相手と直接やり取りをする必要がなくなります。

その結果、精神的なストレスが大幅に軽減され、日々の生活や仕事などに集中できるようになるでしょう。

4.調停・審判・訴訟の裁判手続きも任せられる

遺産分割に関するトラブルがこじれてしまった場合、最終的には家庭裁判所の調停・審判によって解決を図ることになります。

また、遺言書の無効や遺留分侵害額請求が問題になる場合には、公開法廷でおこなわれる訴訟に発展するケースもあります。

調停・審判・訴訟などの裁判手続きは、手続きの進み方やルールなどについて専門的な部分が多く、一般の方が自力で対応するのは非常に大変です。

弁護士に依頼すれば、調停・審判・訴訟などの裁判手続きにもスムーズに対応してもらえます。

準備や期日における対応にかかる労力が大幅に軽減されるほか、調停委員や裁判官に対して、ご自身の主張を説得的に伝えることが可能となります。

その結果、遺産分割トラブルを公正な形で、早期に解決できる可能性が高まります。

遺産相続での嫌がらせが負担になっているなら相続放棄もひとつの方法

ほかの相続人から遺産相続について嫌がらせを受けており、精神的に大きな負担を感じている方は、相続放棄をすることも選択肢の一つです。

相続放棄は、遺産を一切相続しない旨の意思表示です。

相続放棄をすると、遺産分割協議に参加する必要がなくなるので、ほかの相続人から嫌がらせを受けることが少なくなります。

また、被相続人の債務も相続せずに済むので、特に被相続人が多額の借金を負っていたケースなどでは、相続放棄が有力な選択肢となります。

その一方で、相続放棄をすると遺産が一切相続できなくなります。

不動産・自動車・預貯金などに加えて、形見である美術品や貴金属類などについても相続できなくなる点に注意が必要です。

一度相続放棄をすると、原則としてその意思表示を撤回または取り消すことはできません。

相続放棄をするかどうかの判断は、弁護士のアドバイスを踏まえた上で慎重におこないましょう。

さいごに|遺産相続で嫌がらせを受けた場合は早めに弁護士に相談を!

遺産相続について嫌がらせを受けると、精神的に大きなストレスとなるだけでなく、相続手続き全体が遅延してしまいます。

もし遺産相続について嫌がらせを受けたら、弁護士のサポートを受けながら対応しましょう。

法的な根拠に基づいて反論すれば、嫌がらせが止むことがあります。

嫌がらせが続くようであれば、家庭裁判所の遺産分割調停・審判を利用することが解決策となります。

弁護士に依頼すれば、遺産分割調停・審判についても全面的にサポートしてもらえます。

「ベンナビ相続」には、遺産相続を取り扱う弁護士が多数登録されています。

相談内容や地域に応じて、スムーズに弁護士を検索可能です。

無料相談を受け付けている弁護士も多数登録されています。

遺産相続に関する嫌がらせにお悩みの方は、「ベンナビ相続」を通じてお早めに弁護士へご相談ください。

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この記事の監修者
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅 (埼玉弁護士会)
不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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