不動産の相続の場合、現金のように均等に分けられないため親族間でトラブルになることも珍しくありません。
弁護士なら、不動産の分割方法や相続トラブルについて相談できるほか、交渉対応などの相続手続を一任することもでき、トラブルなくスムーズな相続の実現が望めます。
ただし、弁護士によって得意分野や解決実績はそれぞれ異なり、的確なサポートを受けるためにも自分に合った弁護士の探し方を押さえておくことが大切です
本記事では、不動産の相続を弁護士に相談するメリットや弁護士費用の相場、弁護士の選び方や、司法書士や税理士との違いなどを解説します。
不動産の相続でお悩みのあなたへ
不動産が関わる遺産相続では、トラブルになるケースが非常に多いです。
誰が不動産を相続するの?不動産はどうやって分ければいいのか?法定相続人の誰か一人に相続させるとしたら他の相続人の遺留分はどうなる?
こういった些細な疑問が大きくなり、下記のようなトラブルに発展します。
- そもそも不動産の分割方法がわからない
- 借地権などの権利関係がどうなっているのか不明
- 土地を相続することになったが、小さすぎて分割や活用が困難
- 前の相続で相続登記がされていなかった
- 名義変更の際にトラブルになっている など
-
上記のような悩みは、弁護士に相談することで解決できるかもしれません。
当サイト『ベンナビ相続』は、不動産相続などの遺産相続が得意な全国の弁護士を掲載しています。
初回相談無料・電話相談可能・オンライン相談可能などの法律事務所も多くあり、不動産の相続で悩んでいる方はまず近くの弁護士を探して相談してみましょう。
不動産の相続を弁護士に相談・依頼する6つのメリット

不動産の相続を弁護士に相談・依頼するメリットとしては、主に以下の6つがあります。
- 不動産の分割トラブルを解決できる
- 不動産の価値を正確に把握できる
- 相続人との交渉を一任できる
- 相続登記(名義変更)手続きを依頼できる
- 二次相続に備えた相続税対策を相談できる
- 不動産に関するトラブル全般を相談できる
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
1.不動産の分割トラブルを解決できる
相続ではさまざまな分割方法があり、ケースに応じて選択する必要があります。
しかし、相続に関する知識や経験がないと、選択を誤って損を被ることになったり、相続人間でトラブルに発展したりするおそれがあります。
弁護士に相談すれば、相談状況に適した分割方法をアドバイスしてくれて、余計なトラブルに発展せずに済む可能性があります。
なお、分割方法としては現物分割・代償分割・換価分割・共有分割の4種類あり、以下ではそれぞれについて解説します。
現物分割
現物分割とは、たとえば「不動産Aは長男に、不動産Bは長女に、貴金属は二男に」というように、遺産そのものを分ける方法のことです。
現物分割の場合、相続人が遺産をそれぞれ受け取った時点で終了となるため、最もわかりやすく簡単な方法といえます。
代償分割
代償分割とは、高価な資産を相続人の一人が相続した場合、その人が代償としてほかの相続人へ現金を支払う方法のことです。
特に不動産は遺産の中でも高価かつ分割が難しいため、代償分割が用いられるケースもよくあります。
換価分割
換価分割とは、相続財産である不動産を売却して現金化し、その代金を相続人同士で分配する方法のことです。
代償分割と同様、単純に相続するだけでは不公平になりやすいケースで用いられます。
共有分割
共有分割とは、相続される不動産を相続人共有の財産として扱う方法のことです。
ただし、現物分割・代償分割・換価分割が困難なケースのみ選択可能で、ほかと比べると利用頻度は少ない方法と言えます。
2.不動産の価値を正確に把握できる
弁護士なら、不動産の価値を正確に算定してくれるというのもメリットです。
現金などと違って、不動産は時期によって資産価値が変動します。
また、不動産の価値の計算方法は多数あり、相続税路線価を用いる方法や、固定資産税評価額や公示価格を用いる方法など、状況に応じて使い分ける必要があります。
不動産の評価額を把握するためには専門知識が必要
不動産の評価方法は多数あるうえ、不動産を評価する者によっても金額は変わります。
評価額の把握にあたっては、固定資産税評価額や公示価格のほか、交通の便や築年数なども判断材料となり、専門的な知識が必要になります。
そのため、素人だけでは正確な不動産の価値を判断するのは難しく、弁護士の力を借りることが必要になります。
3.相続人との交渉を一任できる
弁護士には、代理人として相続人との交渉対応も依頼できます。
特に不動産のように大きな財産を相続するケースでは、親族間で揉めて遺産分割協議がまとまらないこともあります。
弁護士という第三者の視点が入り、法律知識や交渉ノウハウを用いて対応してもらうことで、自力で交渉するよりもスムーズかつ納得のいく形での決着が望めます。
すでに揉めている場合でも、法的な視点から冷静に交渉対応してくれるため、トラブルが悪化せずに終結できる可能性があります。
4.相続登記(名義変更)手続を依頼できる
不動産の相続が決まったあとは、相続登記という名義変更手続が必要です。
相続登記は2024年4月1日から義務化されており、不動産を相続したことを知った日から3年以内に済ませなければ、10万円以下の過料が科せられる可能性があります。
相続登記の手続きでは、主に登記申請書・戸籍謄本・住民票・印鑑証明書などが必要になりますが、以下のようにケースによって必要になるものが変わります。
- 法定相続人がひとりの場合、または法定相続分で相続する場合
- 遺産分割協議による任意の割合で相続する場合
- 遺言書に基づく名義変更をする場合
弁護士に依頼することで、依頼状況に応じた必要書類の準備や手続きを対応してくれるため、申請ミスなどの余計な手間がかからずに済みます。
5.二次相続に備えた相続税対策を相談できる
被相続人から相続を受けた相続人が死亡した際は、二次相続が発生します。
特に、はじめの相続(一次相続)で受け取っていた相続財産の時価評価が高かった場合には、二次相続の際に多額の相続税がかかることもあります。
そのため、はじめの相続の際には二次相続も見据えた対策が必要となります。
なお、配偶者については特例制度なども設けられており、うまく活用することで相続税を抑えられる可能性があります。
弁護士に相談することで、将来子どもや孫などが不利益を被らないよう、二次相続に備えた相続税対策を講じることもできます。
6.不動産に関するトラブル全般を相談できる
なかには相続後に不動産を売却したり、賃貸借契約を結んで第三者に貸したりするケースもあります。
しかし、売却するタイミングによっては多くの税金がかかって損をしてしまったり、契約後に借主と貸主との間でトラブルが起きたりすることもあります。
弁護士であれば、そのような不動産に関するトラブル全般についてもアドバイスが受けられます。
相続後の不動産の売買について
相続後に不動産を売却する場合、譲渡所得税という税金が発生します。
所有年数によって譲渡所得税の税率は変化するため、「数年後に売却したほうが得だった」ということもあります。
そのため不動産を売却する際には、弁護士に売却時期について相談しておくことで結果的に損を被らずに済む可能性があります。
不動産の賃貸借契約について
不動産を貸すために賃貸借契約を結ぶ場合、契約書の内容が曖昧だと後々トラブルに発展することもあります。
弁護士なら契約内容のチェックも依頼でき、不備なく適切な契約書作成が望めます。
たとえ揉め事が起きたとしても、契約内容に則ってスムーズに対処することができます。
借地権の相続について
不動産と同様に、借地権も相続財産に含まれます。
ただし、一口に借地権といっても「普通借地権」や「定期借地権」などのさまざまな種類があるため、どの借地権を相続したのか明確にしておく必要があります。
弁護士であれば借地権に関する相談も可能ですので、不安点や疑問点などを解決してくれます。
不動産相続でかかる弁護士費用の相場と内訳
弁護士に不動産相続の対応を依頼する際は、相談料・着手金・報酬金・実費・日当などの弁護士費用がかかります。
ここでは、弁護士費用の相場や内訳などを解説します。
ただし、法律事務所によっても料金体系は異なるため、正確な金額を知りたい方は直接事務所に問い合わせることをおすすめします。
相談料|30分あたり5,000円~1万円程度
相談料とは、弁護士に法律相談する際にかかる費用のことです。
多くの法律事務所ではタイムチャージ制となっており、相場は30分あたり5,000円~1万円程度です。
なお、法律事務所によっては初回相談無料のところもあります。
当サイト「ベンナビ相続」では、初回相談無料の法律事務所を多数掲載しているので、弁護士への相談を検討している方は一度利用してみることをおすすめします。
着手金・報酬金|経済的利益の額によって異なる
着手金とは、弁護士に案件対応を依頼する際にかかる費用のことです。
基本的に依頼結果にかかわらず発生するものであるため、たとえ依頼が失敗に終わったとしても返金はされません。
報酬金とは、弁護士に依頼して問題解決した場合にかかる費用のことです。
着手金とは違って依頼結果に応じて発生するものであり、もし依頼が失敗に終わった場合は報酬金はかかりません。
着手金や報酬金は「得られた経済的利益の額」に応じて算出されるのが一般的で、かつて用いられていた旧報酬規程を参考にすると以下のとおりです。
経済的利益の額
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着手金
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報酬金
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300万円以下
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8%
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16%
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300万円を超え3,000万円以下
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5%+9万円
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10%+18万円
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3,000万円を超え3億円以下
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3%+69万円
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6%+138万円
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3億円を超える
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2%+369万円
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4%+738万円
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実費|依頼内容によって異なる
実費とは、弁護士が案件対応する際にかかった費用のことです。
不動産の相続手続でかかる実費の一例としては、交通費・通信費・郵便切手代・収入印紙代・謄本取得費用などがあります。
具体的にいくらかかるのかは依頼状況によっても異なるため、詳しくは依頼先事務所にご確認ください。
日当|3万円~10万円程度
日当とは、弁護士が案件対応のために法律事務所を離れた場合にかかる費用のことです。
弁護士の拘束時間によって金額は変わり、半日の場合は3万円~5万円程度、1日の場合は5万円~10万円程度かかるのが一般的です。
不動産の相続を弁護士に相談する際の選び方
不動産の相続を弁護士に相談する場合、どの弁護士を選ぶのかによって結果が大きく変わることもあります。
弁護士選びで失敗しないためにも、以下のポイントを押さえておきましょう。
遺産相続・不動産相続に関する解決実績は豊富か
弁護士に相談する際は、不動産の相続に注力していて解決実績が豊富な弁護士を選びましょう。
弁護士が対応する法律分野は幅広く、遺産相続以外にも交通事故・刑事事件・離婚問題・債務整理・債権回収などがあります。
弁護士にはそれぞれ得意分野・不得意分野があり、これまでの解決実績や対応経験なども弁護士によって大きく異なります。
不動産の相続について対応経験の浅い弁護士を選んでしまうと、適切なアドバイスやサポートが受けられずに不満の残る結果となるおそれもあります。
弁護士の得意分野や解決実績は事務所ホームページに掲載されているので、弁護士を選ぶ際は確認しておきましょう。また、法律相談の際に、担当弁護士に実際に受任している相続事件の件数をお聞きになるのも、一案かもしれません。
料金体系が明確で丁寧に説明してくれるか
料金体系が明確で、依頼前の段階でおおよその費用目安が把握できる弁護士を選ぶことも大切です。
弁護士費用は自由化されており、法律事務所によって金額設定は異なります。
なかには料金体系が不明瞭な法律事務所もあり、依頼後に追加料金が発生したり予想以上の弁護士費用を請求されたりしてトラブルになることもあります。
余計なトラブルを避けるためにも、法律相談の際に見積もりを出してくれて、わかりやすく丁寧に説明してくれる弁護士を選びましょう。
ほかの専門家とも連携が取れているか
不動産の相続を相談する場合、「司法書士や税理士とも連携が取れているかどうか」も判断材料のひとつとなります。
相続登記の手続きや相続税の申告など、不動産の相続では司法書士や税理士といったほかの専門家のサポートが必要になることもあります。
弁護士事務所の中には、司法書士や税理士と連携しているところもあります。
連携が取れている事務所であれば、新たに依頼先を探す手間もかからず、ワンストップで問題解決に向けたサポートを受けることができるためおすすめです。
不動産の相続における弁護士とほかの専門家の違い
不動産の相続では、弁護士以外にも司法書士や税理士などのサポートが必要になることもあります。
ここでは、弁護士・司法書士・税理士の特徴やサポート内容の違いなどを解説します。
弁護士と司法書士の違い
司法書士は、法律関係の手続きや書類作成をおこなう専門家です。
弁護士は、遺言書作成・相続人調査・相続財産調査・遺産分割協議書の作成などの幅広い相続手続に対応していますが、司法書士も同様に対応しています。
特に遺産相続では相続登記を得意としており、不動産を相続する場合は司法書士に依頼するのが一般的です。
なお、弁護士とは違って、司法書士は相続トラブルに対応することができません。
法務大臣の認定を受けた認定司法書士でも、140万円以下の案件しか対応できないため、相続トラブルに関する不安や悩みは弁護士に相談しましょう。
弁護士と税理士の違い
税理士は、税務に関する専門家です。
弁護士や司法書士に比べると対応範囲は狭く、遺産相続では主に相続税の計算や申告手続などに対応しています。
特に不動産を相続する場合の相続税申告は、評価額の計算が複雑になりますし、特例の適用なども考慮しなければならず、素人が適切に対応するのは困難です。
申告漏れが発生すると過少申告加算税などのペナルティが課されてしまうため、相続税に関する不安や悩みは税理士に相談しましょう。
税理士なら節税に関するアドバイスなども望めます。
さいごに|不動産の相続に強い弁護士を探すなら、ベンナビ相続がおすすめ
不動産の相続が発生した際は、弁護士が心強い味方となってくれます。
早いうちに相談しておくことで、相続トラブルの回避が望めますし、代理人として遺産分割協議などの必要な相続手続を一任することも可能です。
現在依頼しようかどうか悩んでいる方も、まずは初回無料相談を利用して話だけでも聞いてみることをおすすめします。
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お住まいの地域や相談内容を選択するだけで対応可能な弁護士を一括検索でき、法律相談が初めての方でも効率的に弁護士を探すことができます。