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弁護士なしで損害賠償請求をおこなう手順|費用を抑えて弁護士に依頼する方法も解説

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法律のトラブルを抱えており、損害賠償請求をおこないたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

弁護士に依頼せずに損害賠償請求ができるのか知りたくて、調べているケースも少なくありません。

損害賠償請求を弁護士なしでおこなうことはできますが、スムーズに解決できるとは限らないでしょう。

書類の準備に手間と時間がかかったり、法的な手続きを正確におこなうのが難しかったりする場合もあります。

本記事では、弁護士なしで損害賠償請求をおこなう方法、弁護士なしでの損害賠償請求をおすすめしない理由、損害賠償請求を弁護士に依頼するメリットを解説します。

また、費用を抑えつつ弁護士に依頼する方法も解説します。

弁護士なしで損害賠償請求をおこなう方法

弁護士なしで損害賠償請求をおこなうことはできます。

方法は、以下のとおりです。

内容証明郵便などで相手に連絡する

相手方との話し合いで合意できれば、早期に損害賠償を受けられます。

交渉に入る際はまず、内容証明郵便で請求書を送るのが望ましいです。

連絡が取れたら、条件を提示し合い歩み寄って合意を目指します。

合意が成立したら示談書を作成し、合意内容に従って損害賠償金を精算します。

示談書を作成する際には、合意事項を十分に記載し、誤解や争いが生じないようにすることが重要です。

具体的には、以下の項目を明確に記載します。

  1. 当事者の情報:
    自分と相手方の氏名・住所
  2. 紛争の内容:
    具体的な損害額
  3. 合意事項:
    損害賠償金の金額
    支払い条件(支払い方法、支払い期限など)
    その他の合意内容(再発防止策、謝罪文など)
  4. 違反時の対応:
    期限の利益喪失・遅延損害金など
  5. 締結日および署名:
    示談書の作成日
    双方の署名・捺印

示談書が完成したら、双方が署名・捺印し、それぞれが一部ずつ保管します。

これにより、後々の紛争を防ぐことができます。

示談が成立しない場合、法的手続きに移行することも検討しなければなりません。

訴訟手続きは時間と費用がかかることが多いため、できる限り早期の話し合いで解決を目指すことが望ましいです。

話し合いで解決しない場合は民事調停を申し立てる

弁護士に依頼せずに損害賠償を請求する際、訴訟以外の選択肢として民事調停が挙げられます。

民事調停は簡易裁判所でおこなわれ、調停委員が仲介して当事者間の合意を目指す手続きです。

調停委員は中立的立場から紛争解決をサポートし、弁護士がいない場合でも大きな助けとなります。

ただし、調停委員は代理人弁護士とは異なり、特定の側に立つわけではない点に注意が必要です。

そのため、十分な準備と理解が求められます。

具体的には、請求金額の根拠や損害の詳細を明確に示す資料を準備しておくことが重要です。

裁判外紛争解決手続を検討する

ADR(裁判外紛争解決手続)は、裁判所以外の第三者機関が紛争解決をサポートする方法です。

特定の事件の種類に特化した手続きを提供するため、専門的なサポートを受けられるというメリットがあります。

たとえば、商業取引に関する紛争や交通事故、労働争議、家庭内の問題など、さまざまな分野でADRが活用されます。

ADRの方法には、あっせん・調停・仲裁という3つの種類があります。

あっせんは、当事者間の自主的な解決が重視される方法です。

あっせんでは、あっせん委員が両者の主張を確認し話し合いを取り持つことで合意を目指します。

あっせんでの合意内容は和解契約書にまとめられますが、強制力はありません。

調停は調停委員が双方の主張を聞いたうえで、調停案を作成し両者に受け入れてもらうことで解決を目指す方法です。

調停では調停案を受け入れるよう受諾勧告がおこなわれますが、こちらも強制力はありません。

仲裁は裁判所で裁判を受ける権利を放棄し、仲裁委員の判断にゆだねる方法です。

仲裁委員による仲裁判断は裁判の判決と同じ効力を持ちます。

いずれにしろ、ADRは裁判より手続きが簡単で解決までの時間がかからないのが特徴です。

本人訴訟をおこなう

示談交渉、民事調停、ADRでの解決が難しい場合は、裁判所に訴訟を提起する必要があります。

示談交渉・民事調停・ADRについては、相手が拒否すればおこなえません。

相手方と歩み寄る余地がなく、これらの方法を選べない場合は、訴訟での解決を目指す必要があるのです。

弁護士に依頼せずにご自身でおこなう訴訟を本人訴訟といい、費用を節約するために選ぶ方も少なくありません。

特に少額の請求の場合は、弁護士費用を支払うと費用倒れになることが多いため、本人訴訟が選ばれる傾向にあります。

60万円以下の請求では、1回の審理で終結する少額訴訟も検討すべきです。

少額訴訟は、比較的簡易な手続きで迅速に紛争を解決できる方法です。

ただし相手が少額訴訟を拒否した場合、通常訴訟に移行する点は注意しましょう。

少額訴訟や本人訴訟を検討する際には、可能な限り事前に情報を収集し、十分な準備をおこなわなければなりません。

本人訴訟が向いているケース

本人訴訟が向いているのは、以下2つのポイントを両方満たしているようなケースです。

  • 法律上の争点になるようなものがないか少ない
  • 証拠がそろっており、争いとならないと考えられる

たとえば賃貸アパートで、借主が家賃を滞納しているような場合がわかりやすいでしょう。

このケースでは大家側が借主に家賃を請求するのは当然ですし、賃貸借契約書や入金先口座の通帳があれば事実関係を立証する証拠として十分です。

同様の理由で売掛金請求なども、本人訴訟が選ばれることが比較的多くなっています。

一方で医療訴訟や知的財産訴訟などは専門性の高い争点が多いと考えられ、本人訴訟は適していません。

また不当解雇や残業代請求も、専門的な知識が求められる証拠の収集・分析などが必要となり本人訴訟は適していないでしょう。

本人訴訟のメリット

本人訴訟の主なメリットは、費用が安く抑えられる点です。

弁護士に依頼すれば着手金や報酬金といった費用がかかります。

着手金は多くの場合は数十万円、場合によっては100万円を超えることもあります。

費用を節約することは大きな課題であり、これがクリアできるのは大きな魅力です。

また本人訴訟であれば、事前に訴状などの書き方を学んでおけば、迅速に訴訟を開始できる点もメリットといえます。

弁護士に依頼する場合と異なり、裁判期日ごとの打ち合わせが不要なため、最寄りに法律事務所がなく打ち合わせの時間を取りづらい場合にはご自身で裁判を進めることも一つの選択肢です。

できるだけ安く解決を目指したい場合、本人訴訟はひとつの有力な選択肢となります。

弁護士なしでの損害賠償請求をおすすめしない4つの理由

弁護士なしで損害賠償請求をおこなうことはできますが、注意点が多く基本的にはおすすめできません。

弁護士なしでの損害賠償請求をおすすめしない理由は、以下のとおりです。

法律に基づいた適切な主張や立証をすることが難しい

損害賠償請求を成功させるためには、法的な根拠に基づいた主張が必要です。

また主張する内容を、証拠に基づいて立証しなくてはなりません。

これらは法的な知識や経験が求められることから、弁護士なしで適切におこなうのは非常に難しいです。

主張や立証に不備があれば、その分だけ不利となり損害賠償請求が認められない可能性が高まってしまいます。

洩れなく損害賠償を請求することが難しい

不法行為などによる損害は多岐にわたります。

適切に損害賠償を請求するためには、全ての損害を正確に集計する必要がありますが、初めての法律トラブルの場合は非常に難しいでしょう。

損害の把握漏れがあると、適正な損害賠償を受けることができません。

たとえば交通事故であれば、以下に挙げる損害の賠償請求ができる可能性があります。

  • 治療費
  • 通院交通費
  • 装具、器具の購入費
  • 付添費用
  • 介護費用
  • 入院雑費
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料
  • 後遺障害慰謝料
  • 死亡慰謝料
  • 葬儀費用
  • 逸失利益
  • 車の修理費(買替費用)
  • 車の評価損
  • 休車損害 など

これらの項目を正確に洗い出し、適正な損害賠償額を算出・請求するのは弁護士なしでは難しいでしょう。

書類の準備に手間と時間がかかる

損害賠償請求には、根拠となる資料の提示が必要です。

民事調停やADRでは申立書、訴訟では訴状の作成も求められますが、これらの準備は初心者には困難で、資料が不適切だと請求が失敗する可能性があります。

法的な手続きを正確におこなうことが難しい

調停・ADR・訴訟などの手続きは専門性が高いことから、弁護士のような法律の専門家でなければ戸惑うことが多いと考えられます。

自分だけで、細かい決まりを調べながら対応するのは困難なのは否めません。

対応が不適切であれば、調停委員や裁判官の説得に失敗し、その分だけ不利になってしまうことも考えられるのです。

損害賠償請求を弁護士に依頼する5つのメリット

損害賠償請求を弁護士に依頼するメリットは、以下のとおりです。

賠償額を増やせるなどより有利な条件で解決できる可能性が高まる

多くの紛争を解決してきた経験豊富な弁護士は、法的知識だけでなく、過去の経験を基に事案ごとの見通しを立て、戦略的な交渉をおこなうことが可能です。

特に裁判経験が豊富で勝訴判決を多数獲得している弁護士であれば、訴訟を見据えた証拠収集を意識した交渉ができ、決裂して訴訟になった場合でも有利に働きます。

さらに、紛争解決のプロセスでは、単に法律や証拠の面だけでなく、相手方との関係性や状況を総合的に考慮することが求められます。

経験豊富な弁護士は、感情や心理的な要素も含めて交渉を進めるため、相手の動向や意図を敏感に察知し、タイミングやアプローチを柔軟に調整することができます。

迅速に対応してもらえる

弁護士に依頼すると、停滞していた事案や問題が迅速に進展することが多いです。

弁護士は代理人として直接相手と交渉し、迅速な対応で事件の解決に向けて動いてくれます。

そのため、依頼者は安心感を得られます。

法的な手続きもサポートしてもらえる

弁護士は法律の専門知識と豊富な経験をもっており、さまざまな民事事件に対して依頼者の希望に応じた対応が可能です。

ご自身で手続きする場合、法律知識の不足から不利になることがありますが、弁護士なら依頼者の意向に沿って柔軟に手続きを進めることができます。

交渉を全て任せられる

弁護士に依頼すると、ご自身で交渉する必要がなくなり、相手と直接会うこともありません。

弁護士が間に入ることで、感情的なやり取りや嫌なことをいわれるのを避け、精神的な負担を軽減できます。

相手にプレッシャーを与えられる

弁護士が関与することで相手に与えるプレッシャーが大きく変わります。

たとえば、交通事故の示談交渉の場合、相手が保険会社の代理人であることが多く、弁護士なしで交渉に臨むと不利になりやすいのは否めません。

しかし、弁護士が代理人になると状況が逆転し、相手が素直に支払いに応じるケースもあります。

弁護士の存在自体が交渉において有利に働くため、依頼するメリットが大きいといえます。

紛争を回避できる可能性が高まる

弁護士は、すでに起きた紛争を解決することだけではなく、将来の問題やトラブルを予測し、紛争を未然に回避してくれます。

紛争発生前からのサポートにより、紛争が発生しても不利益を回避することが可能となります。

予防的な法的支援により、不要なリスクを避けることができるでしょう。

費用を抑えつつ弁護士に依頼する6つの方法

費用を抑えつつ弁護士に依頼する方法は、以下のとおりです。

無料法律相談を利用する

弁護士の法律相談には有料と無料があります。

費用を抑えたい場合は無料法律相談を利用するとよいです。

無料相談は依頼するかどうかに関係なく利用でき、複数の弁護士の無料相談をすることも可能です。

無料法律相談を利用する際には、いくつかの注意点があります。

まず、無料相談は時間が限られていることが多いです。

通常、30分から1時間程度の時間内で相談することが予定されているため、質問や相談内容を事前に整理しておくと効果的です。

また、無料相談では具体的な法的アドバイスを受けられることが多いですが、複雑なケースや詳細な契約書のレビューなど、時間がかかる案件については有料相談をすすめられることもあります。

そのため、無料相談を通じて、どの弁護士が最も適切で信頼できるかを見極めるのもひとつの方法です。

無料相談で得た情報を基に、実際に弁護士に依頼するかどうかを慎重に決定することが大切です。

法テラスを利用する

収入や資産が一定水準以下の方は、法テラスにて弁護士による無料法律相談や弁護士費用の立替払い制度を利用できる可能性があります。

立替金はあとで返済が必要ですが、通常よりも安く済むことが多いです。

また生活保護を受けているなど特別な事情がある場合は、返済を免除してもらえる可能性もあります。

近くの地方事務所に相談するか、ご自身で契約弁護士を探して法テラスを利用することも可能です。

法テラスの相談窓口や無料法律相談・弁護被使用立替の詳細などは、以下法テラスの公式サイトで確認ください。

着手金と報酬金の配分を変えてもらえないか交渉する

着手金とは、弁護士が手続きを進めるために依頼者が最初に支払う費用で、成功の有無に関係なく支払われます。

これは報酬金の一部や手付金ではありません。

一方、報酬金は成功報酬のことで、結果の成功度合いに応じて支払われます。

完全に敗訴した場合、報酬金は発生しません。

成功率が高い損害賠償請求については、弁護士に相談することで、着手金を減額し、報酬金を増額するように配分を変えてもらえる可能性があります。

これにより、依頼時の経済的負担が軽減されます。

ただし、この配分変更に応じるかどうかは弁護士の判断次第です。

着手金を後払いや分割払いにしてもらう

弁護士に依頼する際には、通常、依頼時に一括で着手金を支払う必要があります。

しかし弁護士によっては、経済的な事情を説明し、後払いや分割払いに応じてもらえる可能性もあります。

契約を結ぶ前に、担当弁護士と十分にコミュニケーションをとり、費用の透明性や支払い方法について明確にしておくことが、依頼者にとって安心できるポイントとなるでしょう。

複数の事務所に見積もりを取る

時間的な余裕がある場合は、複数の法律事務所から見積もりを取り、料金を比較することをおすすめします。

見積もりを取る際には、単に料金だけでなく、依頼の範囲や対応の質も比較することが重要です。

必要に応じて、過去の顧客のレビューや評判を調べることも有効でしょう。

これにより、ご自身のニーズに最も合った法律事務所を選ぶことができます。

さらに、見積もりの際には、具体的な業務内容や時間的な見通しも確認しておくとよいでしょう。

これにより、あとになって追加費用が発生するリスクを最小限に抑えられます。

できる限り早い段階で相談する

事件の初期段階で弁護士に相談・依頼することで、弁護士費用を抑えられる可能性が高まります。

時間が経過し問題が複雑化してしまえば、訴訟に発展するなどしてその分だけ弁護士費用が高くなることが考えられるのです。

話がこじれてしまう前に弁護士へ相談・依頼することで早期解決を目指せる上に、結果的に弁護士費用を抑えやすくなります。

さいごに

損害賠償請求を弁護士なしでおこなうことはできます。

しかし、スムーズに解決できるとは限らず、書類の準備に手間と時間がかかるほか、法的な手続きを正確におこなうのが難しい場合もあります。

そのため、損害賠償請求について早期解決したい場合は弁護士への相談・依頼がおすすめです。

弁護士へ相談・依頼することで、スムーズな解決を得られるばかりでなく賠償額を増やせるなどより有利な条件で解決できる可能性が高まります。

損害賠償請求について弁護士に相談・依頼をして、相手方との交渉を有利に進めてください。

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この記事の監修者
ルーセント法律事務所
磯田 直也 (兵庫県弁護士会)
多くの相続トラブルを解決に導いた実績と経験を活かし、あらゆる選択肢から最適な解決策を提案しています。他士業と連携し、複雑な案件や遺産額が大きい案件も一括サポートが可能です。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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