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弁護士費用とは?トラブル別の金額相場と安く抑える方法を解説

富永 慎太朗
監修記事
弁護士費用とは?トラブル別の金額相場と安く抑える方法を解説
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弁護士費用は大きく分けて「報酬」と「実費」の2種類

報酬には着手金や報酬金があり、依頼内容によって相場は異なります。

たとえば協議離婚のサポートを依頼する場合には総額30万円以上の費用がかかります。

また、遺産分割協議の交渉依頼は獲得金額の20%前後が費用相場です。

ケースバイケースで費用は大きく変動するものの、法律事務所ごとに料金は自由に決められるため、あらかじめ相場を把握しておく必要があります。

当記事では、依頼内容ごとの相場金額を解説

費用を安く抑える方法もお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

弁護士費用とは?種類と内訳

弁護士費用

弁護士に事件の解決を依頼する際に支払う費用は、大きく分けて「報酬」と「実費」の2種類があります。

「報酬」は弁護士の専門的な知識や経験に基づく労働の対価として支払うもので、相談料、着手金、報酬金、手数料などです。

一方、「実費」は事件を処理するにあたって実際に必要となった経費を指します。

法律相談料:弁護士に相談する際にかかる費用

法律相談料は、弁護士に法律的なアドバイスを求める際に発生する費用のこと。

相談料は時間単位で設定されていることが一般的で、30分あたり5,000円~10,000円が相場です。

ただし法律事務所によっては、初回相談に限り無料としたり、相談内容によっては何度でも無料で相談に応じてくれるところもあります。

事前に法律事務所のホームページなどで確認しましょう。

着手金:依頼時に最初に支払う費用

着手金は、弁護士に具体的な法律トラブルや事件の対応を正式に依頼する際に支払う費用のこと。

事件が解決してもしなくても、原則として返金されることはありません

着手金の額は依頼する内容によって大きく異なり、例えば離婚調停は30万円、交通事故は10万円といったように固定料金が設定されている場合が多いです。

また、請求する金額やそれによって得られる経済的な利益の額に応じて、「請求金額(獲得金額)の〇%」といった形で算出されることもあります。

法律事務所によっては着手金が0円の「完全成功報酬型」を採用している場合もあり、この場合はトラブルが解決した場合にのみ費用が発生します。

報酬金(成功報酬):解決時に支払う費用

報酬金は、依頼したトラブルが無事に解決した場合に支払う費用

弁護士の活動によって得ることができた経済的な利益や、目標としていたことの達成度合いなどに基づいて金額が算出されます。

たとえば遺産分割協議での報酬金が「獲得金額×15%」とされている場合、遺産分割で300万円を獲得できれば45万円を報酬金として支払います。

日当:弁護士が事務所外で活動した場合の費用

日当は、弁護士が事件の処理のために、事務所外で活動した場合に発生する費用のこと。

具体的には、裁判所へ出廷する場合や、相手方との示談交渉のために遠方へ出向く場合などが該当します。

拘束時間や移動に対する対価として支払われるため、一般的には半日単位や1日単位で設定されていることが多いです。

たとえば、裁判所への出廷1回につき、半日の稼働であれば3万円~5万円程度、1日の稼働であれば5万円~10万円程度が相場とされています。

実費:事件処理に実際にかかった費用

実費は、弁護士が立て替えて支払った経費のこと。

具体的には以下のものが該当します。

  • 裁判所に訴状を提出する際に納める収入印紙代
  • 書類送付のために必要な郵便切手代
  • 裁判記録などを取り寄せる際の謄写費用(コピー代)
  • 弁護士が裁判所へ出向いた際の交通費

実費は、原則として実際に発生した金額分だけが請求されます。

手数料:書類作成など単発の事務処理に対する費用

手数料は、契約書や遺言書の作成といった、比較的簡易で定型的な事務処理を依頼した場合に支払う費用のこと。

このような依頼のみの場合、着手金や報酬金はかからず、1回の手続きごとや作成する書類1通ごとに定額を支払うケースが多いといえます。

たとえば内容証明郵便作成手数料として3万円~5万円、契約書作成手数料として5万円~10万円程度が目安です。

トラブル別の弁護士費用相場

トラブル別の弁護士費用相場

  • 離婚問題の弁護士費用相場:30万~110万円
  • 相続問題の弁護士費用相場:10万~獲得金額の20%
  • 労働問題の弁護士費用相場:5万~50万円
  • 借金・債務整理の弁護士費用相場:5万~80万円
  • 債権回収の弁護士費用相場:30万円以上
  • 交通事故の弁護士費用相場:20万円以上
  • 刑事事件の弁護士費用相場:60万円~100万円
  • インターネットトラブルの弁護士費用相場:10万~50万
  • 企業法務の弁護士費用相場:相場1ヵ月3万円~30万円
  • 医療過誤の弁護士費用相場:着手金70万円~100万円
  • 不動産トラブルの弁護士費用相場:20万円以上
  • 消費者トラブルの弁護士費用相場:着手金10万円以上

離婚問題の弁護士費用相場

離婚問題で弁護士に依頼する際の費用は、当事者間の話し合いで解決する協議離婚に比べて、調停や裁判へと進むほうが高額の傾向にあります。

また、財産分与や慰謝料、子どもの養育費など金銭的な請求が伴う場合には、その請求額によっても費用が変わってきます。

協議離婚サポート:相場30万円以上

着手金の相場 20万円~30万円
報酬金の相場 経済的利益×10%~20%

協議離婚のサポートを依頼する場合の費用相場は、着手金と報酬金をあわせて30万円以上です。

協議離婚とは、夫婦間で離婚の条件を話し合い、双方が合意した上で離婚届を提出して成立する離婚の方法。

弁護士は、依頼者に代わって相手と交渉をおこなったり、合意内容を法的に有効な書面(離婚協議書や公正証書など)としてまとめたりするサポートをします。

離婚に伴い高額な慰謝料を請求する場合や、財産分与の対象となる財産が多いなど協議すべき事項が複雑で多岐にわたる場合には弁護士の業務量が増えるため、費用も相場より高額になる可能性があります。

離婚調停:相場60万円~80万円

着手金の相場 30万円~40万円
報酬金の相場 30万円~40万円

離婚調停を弁護士に依頼する場合の費用は、着手金と報酬金の合計で60万円~80万円程度が目安です。

調停離婚とは、夫婦間の話し合いだけでは離婚の合意に至らない場合に、家庭裁判所の調停手続きを利用して話し合いを進め、合意による離婚を目指す方法。

弁護士は依頼者の代理人として調停期日に出席し、依頼者の主張を整理して調停委員に対して効果的に伝えるなど、有利な条件で調停がまとまるよう尽力します。

なお調停をおこなう際には、家庭裁判所に納める収入印紙代や連絡用の郵便切手代が別途かかります

離婚裁判:相場60万円~110万円

着手金の相場 30万円~50万円
報酬金の相場 30万円~60万円

離婚裁判を弁護士に依頼する場合の費用相場は、着手金および裁判の結果に応じた報酬金をあわせて60万円から110万円程度です

裁判離婚とは、調停でも離婚の合意ができなかった場合に、家庭裁判所に訴訟を提起して離婚を成立させる方法。

訴訟手続きは専門的な知識や訴訟進行の技術が必要となるため、弁護士に依頼するのが一般的です。

訴状の作成から証拠収集、法廷での弁論活動まで全面的にサポートしてくれます。

なお、離婚裁判の場合も、訴訟費用として裁判所に納める収入印紙代や郵便切手代が別途必要です。

相続問題の弁護士費用相場

相続問題で弁護士に依頼する際の費用は、依頼する内容と相続財産の額によって決まるのが一般的。

具体的には、遺産分割協議の代理交渉や遺留分侵害額請求、相続放棄の手続きなど、どのようなサポートを求めるかによって費用が異なります。

また、相続人の数が多い、相続財産の種類が多岐にわたり評価が複雑であるといった状況は、弁護士の業務量を増やすため費用にも影響します。

遺産分割協議:獲得金額の20%前後

着手金の相場 獲得金額の2%~8%程度
報酬金の相場 獲得金額の4%~16%程度

遺産分割協議の代理交渉を弁護士に依頼する場合、着手金と報酬金あわせた金額相場は、獲得金額の20%前後です。

たとえば、遺産分割協議の結果、依頼者が300万円の遺産を獲得した場合、その20%程度である60万円前後が弁護士費用となります。

また、もし協議で話がまとまらずに家庭裁判所での調停や審判に移行する場合には、別途追加の費用がかかるのが一般的。

料金体系を事前に確認しておきましょう。

遺留分侵害額請求:獲得金額の20%前後

手数料の相場 3万円~5万円程度(内容証明郵便の場合)
着手金の相場 獲得金額の2%~8%程度
報酬金の相場 獲得金額の4%~16%程度

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼する際の費用は、一般的に獲得金額の20%前後が目安。

着手金と報酬金に加え、内容証明郵便の作成手数料として3万円~5万円程度がかかります。

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に法律上保障されている、最低限の遺産の取り分のことです。

この権利が遺言などによって侵害された場合、侵害している相手に対して、侵害された額に相当する金銭の支払いを請求できます。

弁護士は、内容証明郵便の作成・送付、相手方との任意交渉、裁判所での調停や訴訟といった一連の手続きを代行します。

費用体系としては、「遺産分割協議」のサポートを依頼する場合と同程度の基準で設定されていることが多いでしょう。

遺言書作成:相場手数料10万円~20万円

手数料の相場 10万円~20万円程度

遺言書の作成サポートを弁護士に依頼する場合の相場は、10万円~20万円程度です。

財産の内容が比較的シンプルで、相続関係も複雑でない一般的な内容の遺言書であれば、この範囲内の費用で対応してくれることが多いでしょう。

ただし、相続財産の種類が多い、評価が難しい財産が含まれる、遺言の内容に特別な配慮が必要といった作成に手間や時間を要するケースでは、相場よりも費用が高くなることもあります。

遺言執行:相場手数料30万円以上

手数料の相場 30万円以上

遺言執行を弁護士に依頼する場合の手数料は30万円以上が目安です。

遺言者は、将来の相続トラブルを防ぎ、自身の意思を確実に実現するため、弁護士を「遺言執行者」として指定できます。

指定(依頼)された弁護士は、相続財産の管理や名義変更、遺贈の履行など必要な手続きをおこないます。

遺言の内容をスムーズかつ確実に実現するために、遺言書作成とあわせて依頼するのもよいでしょう。

相続放棄:相場手数料10万円

手数料の相場 10万円程度

相続放棄の手続きを弁護士に依頼する場合、10万円程度がかかります。

相続放棄をする際には、原則として相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に対して申し立てをおこなわなくてはいけません。

弁護士に依頼すれば、申述書の作成や必要書類の収集を含め、複雑な相続放棄の手続きを代行してもらうことができます。

特に、相続財産の調査が必要な場合や、他の相続人との調整が必要な場合には、専門家である弁護士に任せるとスムーズかつ確実に手続きを進められるでしょう。

労働問題の弁護士費用相場

労働問題とは、働く人と会社側との間で生じるさまざまなトラブルのことを指します。

弁護士費用は依頼するトラブルの内容(不当解雇やパワハラ、給与未払いなど)によって異なり、それぞれのケースに応じた一般的な相場が存在します。

給与・残業代未払い:相場30万円前後

着手金の相場 20万円~30万円程度
報酬金の相場 獲得金額の20%程度

弁護士に依頼して会社側に給与や残業代の未払いを請求する場合、費用相場は30万円前後です。

たとえば未払いの残業代が50万円ある場合、着手金で20万円、成功報酬で10万円(50万円の20%)の合計30万円程度がかかります。

着手金を固定、報酬金を獲得金額に応じた料金体系にしている法律事務所が多いため、給与や未払い残業代が高額であるほど、弁護士費用も高くなるでしょう。

また、着手金を無料または低額にし、その分成功報酬の割合を高めに設定する「完全成功報酬型」を採用しているところもあります。

不当解雇:相場30万円以上

着手金の相場 30万円程度
報酬金の相場 獲得金額の10%程度(固定料金の場合は20万円~30万円程度)

不当解雇を争うために弁護士に依頼する場合、30万円以上の費用がかかるのが一般的。

着手金に加え、会社への復職が認められたり解決金として金銭を獲得できたりした場合の報酬金が一定の比率でかかります。

自身が「今後どのようにしたいのか(復職を希望するのか、金銭解決を望むのかなど)」を弁護士とよく話し合い、方針を定めた上で請求を進めていくのが望ましいでしょう。

ハラスメントや労働災害:相場50万円

着手金の相場 10万円~30万円
報酬金の相場 獲得金額の10%~15%程度(固定料金の場合は20万円~30万円程度)

職場でのハラスメントや労働災害に関する問題を弁護士に依頼する場合、費用相場は50万円です。

労働災害の場合、弁護士は労災保険の申請手続きのサポートや、会社に対する損害賠償請求などをおこないます。

また、パワハラやセクハラなどのハラスメント被害に遭った場合は、加害者本人や会社側に対して、精神的苦痛に対する慰謝料などの損害賠償を請求することが可能です。

退職代行:相場5万円~10万円

手数料の相場 5万円~10万円程度

弁護士に退職代行を依頼する場合、手数料は5万円から10万円が相場です。

退職代行サービスは、労働者本人の代わりに、弁護士が会社に対して退職の意思を伝え、必要な事務手続きの調整をおこないます。

退職代行と併せて、未払いの残業代や給与あるいは退職金の支払いを請求したい場合は、退職代行手数料に加えて、別途それらの金銭請求に関する弁護士費用が加算されます。

借金・債務整理の弁護士費用相場

借金問題の解決や債務整理を弁護士に依頼する場合の費用は、主に「任意整理」「自己破産」「個人再生」といった、どの法的手続きを選択するかによって異なります

裁判所を介さずに債権者と直接交渉する任意整理は比較的費用が抑えられ、裁判所を通じて借金の減額や免除を目指す個人再生や自己破産は高額になるのが一般的です。

任意整理:相場5万円以上

着手金の相場 2万円~3万円程度(1社あたり)
報酬金の相場 2万円~3万円程度(1社あたり)+減額報酬10%~15%

任意整理を弁護士に依頼する場合、着手金と報酬金あわせて5万円程度に加え、減額された借金額の10%~15%程度を「減額報酬」として支払うことがあります。

任意整理とは、弁護士が代理人として貸金業者などの債権者と直接交渉し、利息のカットや遅延損害金の免除、分割返済の期間などについて和解を目指す手続きです。

法律の専門家である弁護士に依頼すると、より有利な条件での和解が期待できるうえ、督促も止まるため精神的な負担も軽減されるでしょう。

個人再生:相場40万円~70万円

着手金の相場 30万円~50万円程度
報酬金の相場 10万円~20万円程度

個人再生の手続きを弁護士に依頼する場合、着手金と報酬金あわせて40万円~70万円が相場です。

個人再生は、裁判所に借金の大幅な減額に関する申し立てをおこない、減額された借金を原則3年から5年で分割して返済していく手続き

裁判所を介するため、任意整理よりも弁護士費用は高額です。

なお、個人再生では裁判所へ予納金を支払う必要がありますが、弁護士に依頼している場合には減額される場合があります。

自己破産:相場20万円~80万円

着手金の相場 20万円~50万円程度
報酬金の相場 0円~30万円程度

自己破産の手続きを弁護士に依頼する場合の費用相場は、20万円から80万円程度です。

自己破産とは、原則として全ての借金の支払い義務を免除してもらう手続き

申立人の財産状況などによって、大きく「同時廃止事件」「管財事件」「少額管財事件」の3種類の手続き方法に分けられます。

弁護士を選任している場合、「少額管財事件」になり裁判所費用を抑えられる可能性が高いです。

過払い金請求:獲得金額の20%~25%が相場

着手金の相場 4万円程度
報酬金の相場 獲得金額の20%~25%程度

過払い金請求を弁護士に依頼する場合、実際に貸金業者から回収できた過払い金の20%~25%程度を報酬金として支払います。

過払い金請求とは、過去に消費者金融やクレジットカード会社などに対して、利息制限法で定められた上限金利を超えて支払っていた利息の返還を求める手続きのこと。

多くの法律事務所では、実際に過払い金を回収できた場合にのみ、回収額の中から弁護士費用を支払う料金体系をとっています。

しかし事務所によっては着手金が必要な場合もあり、貸金業者1社あたり4万円程度が相場です。

債権回収の弁護士費用相場:30万円以上

着手金の相場 10万円~30万円程度
報酬金の相場 獲得金額の10%~20%程度

債権回収を弁護士に依頼する場合の費用は、着手金と報酬金の総額で30万円以上になることが多いでしょう。

債権回収とは、「取引先が売掛金を支払ってくれない」「アパートの借主が家賃を滞納している」といった場合に、金銭を回収するための手続きのこと。

内容証明郵便での支払督促で解決すれば弁護士費用は少額で済みますが、民事調停や訴訟といった法的手続きが必要になると、応じて弁護士費用も高額になります。

また、請求する債権額や相手(債務者)の資力や対応状況などによって、弁護士費用は変動する可能性があります。

交通事故の弁護士費用相場:20万円以上

着手金の相場 10万円~20万円程度
報酬金の相場 獲得金額の10%~15%程度

交通事故の被害者が弁護士に示談交渉を依頼する場合、費用相場は20万円以上です。

ただし、加害者側の保険会社との間でおこなわれる示談交渉の代理、後遺障害が残った場合の後遺障害等級認定のサポート、交渉がまとまらない場合の訴訟など、依頼する内容や請求する賠償額によって費用は変動します。

なお、自身や家族が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯していれば弁護士費用の上限300万円までを保険でカバーできるケースが多いでしょう。

実質的な自己負担なしで弁護士に依頼できるため、弁護士に依頼する前に確認しておくのが重要です。

刑事事件の弁護士費用相場:60万円~100万円

着手金の相場 30万円~50万円程度
報酬金の相場 30万円~50万円程度
接見費用の相場 1回あたり2万円~5万円程度

刑事事件で弁護士に弁護活動を依頼する場合、着手金と報酬金あわせて60万円~100万円程度が一般的な相場です。

ただし、刑事事件の弁護士費用は以下のさまざまな要因によって金額が変動します。

  • 犯罪の内容(たとえば窃盗、傷害、薬物事件など)
  • 被疑者・被告人が罪を認めている自白事件か
  • 捜査段階での依頼か公判段階での依頼か
  • どのような成果(不起訴、執行猶予、無罪など)が得られたか

また、逮捕・勾留されている被疑者と接見する際には、1回あたり2万円から5万円程度の接見費用が別途かかることもあります。

インターネットトラブルの弁護士費用相場

インターネットトラブルの解決を弁護士に依頼した場合、具体的なトラブル内容によって費用相場は異なります。

たとえばSNSに自身への誹謗中傷を書き込まれた場合、投稿削除を依頼すると10万円~35万円、書き込みをした投稿者の特定を依頼すると35万円~50万円です。

投稿の削除依頼:相場10万円~35万円

着手金の相場 5万円~20万円程度
報酬金の相場 5万円~15万円程度

インターネット上のSNSや匿名掲示板などに掲載された投稿削除を依頼した場合、弁護士の費用相場は10万円~35万円程度です。

多くのWebサイトやSNSの運営会社は、利用規約などに基づいて任意での削除依頼を受け付ける窓口を設けていますが、申請しても必ずしも削除されるとは限りません

そのような場合には、弁護士を通じて法的な根拠を示しながら削除依頼をおこないます。

それでも応じない場合には、裁判所に対して投稿記事削除の仮処分命令を申し立てるといった法的手続きが必要です。

加害者の特定(発信者情報開示請求):相場35万円~50万円

着手金の相場 20万円~30万円程度
報酬金の相場 15万円~20万円程度

インターネット上で名誉毀損やプライバシー侵害などの権利侵害をおこなった匿名の投稿者を特定するための手続き(発信者情報開示請求)を弁護士に依頼する場合、35万円~50万円の費用が必要です。

投稿の削除依頼と同様、まずはサイト管理者や経由プロバイダに対して任意での情報開示を求めることは可能ですが、開示に応じてもらえるケースは少ないのが実情。

基本的には裁判所を通じた法的手続きが必要になります。

損害賠償請求:相場20万円以上

着手金の相場 10万円~20万円程度
報酬金の相場 獲得金額の16%程度

インターネット上で名誉棄損やプライバシー侵害などをおこなった投稿者に対して、損害賠償を請求する場合、20万円以上の弁護士費用がかかるのが目安です。

報酬金は「実際に回収できた損害賠償金の16%程度」と設定されているのが相場で、賠償金が高額になるほど弁護士費用も増額します。

損害賠償請求の手続きは、投稿者に対して内容証明郵便などで任意に支払いを求め、交渉がまとまらなければ、裁判所に訴訟を提起して解決を目指すという流れが一般的。

企業法務の弁護士費用相場:相場13万円~30万円

タイムチャージ制の相場 1時間あたり3万円~5万円程度
月額制の相場 1ヵ月あたり3万円~30万円程度

企業が弁護士と顧問契約を結んだ場合の費用相場は、月額制であれば1ヵ月あたり3万円~30万円程度です。

ただし、企業の規模や依頼する業務の範囲・頻度によって変動します。

また、弁護士が稼働した時間に応じて費用が発生するタイムチャージ制を設けている事務所もあり、1時間あたり3万円~5万円程度が目安です。

顧問契約で弁護士が対応してくれる範囲は法律事務所によって異なりますが、日常的な法律相談、契約書の作成やリーガルチェック、法令遵守に関するアドバイスなどが含まれるでしょう。

医療過誤の弁護士費用相場:着手金70万円~100万円

着手金の相場 70万円~100万円程度
報酬金の相場 獲得金額の10%~20%程度

医療過誤や医療事故が疑われる場合に、調査や病院側との交渉・訴訟などを弁護士に依頼する場合、着手金として70万円~100万円程度が一般的な相場です。

そして事件が解決して損害賠償金などを獲得できた場合には、獲得金額の10%~20%程度を報酬金として支払うことになります。

医療過誤とは、医療従事者の過失によって患者に損害が発生した場合のこと。

弁護士は、医療記録の収集・分析を通じて「医療機関側に過失がなかったか」「過失と発生した損害との間に因果関係があるか」などを専門的な観点から調査します。

調査の結果、医療過誤であると認められる可能性が高い場合には、病院や医師に対して損害賠償を請求できる可能性があります。

不動産トラブルの弁護士費用相場:20万円以上

着手金の相場 10万円~20万円程度
報酬金の相場 獲得金額の10%~20%程度

不動産トラブルの解決を弁護士に依頼した場合、着手金に加え、トラブルが解決し経済的な利益を得られた場合の報酬金(獲得金額の10%から20%程度)がかかり、総額20万円以上が相場です。

不動産に関するトラブルは、賃貸物件の家賃滞納や立ち退き問題、不動産の売買契約に関する紛争、隣地との境界線をめぐる争いや騒音問題など多岐にわたります

弁護士に依頼した場合、たとえば賃貸物件のオーナーや入居者、あるいは不動産取引の相手方などと直接交渉をおこなったり、必要に応じて調停や訴訟といった法的手続きを進めたりしてくれます。

消費者トラブルの弁護士費用相場:着手金10万円以上

着手金の相場 10万円以上
報酬金の相場 回収金額の16%以上

訪問販売やインターネット通販での不当な契約、悪質な情報商材の販売などの消費者トラブル解決を依頼した場合、費用相場は10万円以上。

具体的には、着手金に加えて、被害金などを回収できた場合の報酬金として「回収金額の16%以上」が一般的な相場とされています。

弁護士に依頼すると、クーリング・オフ制度を利用した契約解除のための内容証明郵便の送付や返金交渉、さらには交渉がまとまらない場合の訴訟手続きなど、被害回復のためのさまざまな法的サポートをおこなってくれます。

弁護士費用を少しでも安く抑える方法7選

弁護士費用を少しでも安く抑える方法

弁護士費用は決して安価ではないものの、負担を軽減できる方法があります。

具体的には、法律事務所が実施している無料相談を賢く活用したり、国が設立した法テラスの制度を利用したりといった方法です。

費用の心配から弁護士への相談をためらう前に、これらの方法を一度検討してみる価値はあるでしょう。

初回無料相談を活用する

弁護士費用を抑える方法のひとつは、多くの法律事務所が提供している初回無料相談を利用すること。

全ての法律事務所ではないものの、「初回相談30分無料」や「初回相談料5,500円のところ3,300円」といった形で、初めての方でも気軽に相談しやすい料金体系がとられていることがあります。

まずは無料相談を利用して、問題の法的な見通しや解決策、そして実際に弁護士に依頼した場合にかかる費用などを確認できます。

また、弁護士との相性も重要なポイント。

実際に話してみて信頼できるかどうかを感じ取るのもおすすめです。

「ベンナビ相続」のようなポータルサイトでは、相続問題に強く、かつ初回無料相談を実施している法律事務所を探せるため、活用してみるとよいでしょう。

法テラス(日本司法支援センター)を利用する

経済的な理由で弁護士への相談や依頼をためらっている方は、テラス(日本司法支援センター)を利用するのがおすすめです。

法テラスは、収入や資産が一定の基準以下である方を対象に、無料の法律相談や弁護士費用の立替制度を提供している機関

具体的には、法テラスが定める利用条件(収入要件や資産要件など)を満たせば、原則として同一案件について3回まで無料で法律相談を受けられます。

さらに、弁護士に事件を依頼する場合には、費用を法テラスに立て替えてもらい、依頼者は立て替え金をあとから分割で返済していくという制度も利用可能です。

法テラスの利用条件は以下の記事で詳しく解説しています。

無料法律相談窓口を利用する

弁護士費用を抑えたい場合、法律事務所の初回無料相談や法テラス以外にも、活用できる無料の法律相談窓口があります。

たとえば多くの市区町村役場では、住民サービスの一環として、専門家による無料法律相談会を定期的に開催しています。

また、各都道府県にある弁護士会で実施している無料法律相談を活用するのもよいでしょう。

これらの無料相談窓口で、自身が抱える問題の概要や法的な解決方法の可能性について大まかに理解し、そのうえで個別の弁護士に正式に依頼するというステップを踏むのもひとつの賢い方法です。

電話で気軽に相談できる窓口もあるため、まずは情報収集の一環として利用してみてください。

弁護士費用特約(弁護士保険)を確認する

弁護士費用を抑えたいときには、自身が加入している保険に「弁護士費用特約」が付帯されていないか確認してみましょう。

自動車保険や火災保険、傷害保険などにオプションとして付けられていることが多く、特約を使えば弁護士費用を保険会社がカバーしてくれます。

たとえば交通事故の被害に遭った場合、自動車保険に弁護士費用特約が付帯していれば、示談交渉を依頼する弁護士費用に対して補償が受けられるでしょう。

特約の上限額は300万円程度に設定されているのが一般的なため、自己負担なしで弁護士に依頼できる可能性があります。

複数の法律事務所に見積もりを依頼する

弁護士費用を適正かつ納得のいく価格に抑えるには、複数の事務所から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較検討するのが非常に有効です。

弁護士費用は法律事務所によって自由に決められるため、同じ依頼内容でも法律事務所によって提示金額が大きく異なることは珍しくありません。

複数の事務所の料金体系や強みなどを比較することで、自身の状況や予算に最も合った弁護士を見つけやすくなります。

初回相談時には、費用の見積もりを明確に提示してもらうことはもちろん、契約内容について(どこまでの業務が費用に含まれているのか、追加で費用が発生する可能性があるとすればどのような場合かなど)をしっかりと確認しましょう。

早い段階で弁護士に依頼する

問題が発生したり、法的なトラブルに巻き込まれたりした場合、できるだけ早い段階で弁護士に相談・依頼することが、結果的に弁護士費用を抑えることにつながる可能性があります。

問題が複雑化したり状況が悪化したりする前に弁護士が介入すれば、より簡易な手続きで、かつ短期間で解決できるケースが多いためです。

たとえば、誰かに対して慰謝料を請求したいというケースを考えてみましょう。

もし早い段階で弁護士に依頼し、内容証明郵便を送付するだけで相手が支払いに応じれば、弁護士費用は数万円程度で済む可能性があります。

しかし自身で交渉を続けた結果、事態が悪化して訴訟まで発展してから弁護士に依頼したら、着手金や報酬金などで数十万円以上の費用がかかるでしょう。

近くの法律事務所に依頼する

できるだけ自身の居住地や勤務地に近い法律事務所に依頼するのも、費用を抑えるのに有効です。

遠方の法律事務所に依頼すると、弁護士との打ち合わせで事務所へ足を運ぶ際に、時間も交通費もかかってしまいます

また、弁護士が裁判所へ出廷したり相手との交渉のために遠隔地へ出向いたりする際に、実費(出張日当や交通費、宿泊費)が余計にかかってしまうケースがあります。

これらの費用は弁護士報酬とは別に請求されるため、積み重なると大きな負担になりかねません。

弁護士費用が払えないときの対処法

弁護士に相談したいと考えても、費用を一括で支払うことが難しいという状況は誰にでも起こり得ます。

費用の分割払いや後払いの相談に乗ってくれたりする法律事務所は珍しくありません。

また、国が設立した法テラスには弁護士費用の立替制度もあるため、これらの選択肢を検討すれば費用の問題を乗り越えて法的なサポートを受けられるでしょう。

弁護士に分割払い・後払いを相談する

弁護士費用を一括で支払うことが難しい場合、依頼を検討している法律事務所に、費用の分割払いや後払いが可能かどうか相談してみましょう。

全ての法律事務所が対応しているわけではありませんが、特に債務整理の案件(自己破産など)では、依頼者が金銭的に困っている状況にあることが明白なため、柔軟に対応してくれる可能性があります

また、交通事故の被害者側として損害賠償請求をおこなうケースや未払い残業代請求など、最終的にまとまった金銭を受け取れる見込みがある事件も同様です。

事件が解決して賠償金や解決金などが入ってきた際に、その中から成功報酬などを清算するといった後払いが可能な場合があります。

法テラスの民事法律扶助(費用立替制度)を利用する

弁護士費用を支払う経済的な余裕がない場合には、前述した法テラスの「弁護士費用の立替制度」を利用するのがおすすめです。

弁護士費用を法テラスが一時的に立て替えてくれるため、手元にまとまったお金がなくても法的なサポートを受けられます。

依頼者は、立て替えてもらった費用を毎月5,000円~10,000円程度の分割で法テラスに返済していく形です。

また、生活保護を受給している場合、原則として立替金の返済が免除されます。

利用を希望する場合は、近くの法テラスの窓口に問い合わせるか、法テラスと契約している弁護士に相談してみましょう。

弁護士費用はだれが払う?相手に請求できる?

弁護士に事件を依頼した場合の費用は、原則として、依頼した本人が負担します。

日本の現在の裁判制度では、たとえ訴訟に勝ったとしても、自身が支払った弁護士費用を全額相手方に請求することは基本的にできません。

ただし交通事故や不貞行為(不倫)など、相手の不法行為によって損害を被ったとして損害賠償請求訴訟を起こして勝訴した場合は例外

損害賠償額の1割程度を、弁護士費用相当の損害として相手に請求できる場合があります。

弁護士費用が高いと感じたときの対処法

弁護士から提示された見積もりを見て高額だと感じた場合、費用の内訳や算定根拠について、弁護士に説明を求めてみましょう。

そのうえで、値下げの交渉を試みるのもひとつの方法です。

ただし、あまりにも執拗に値下げを要求すると弁護士との信頼関係を損ねたり、場合によっては受任を断られたりする可能性もあるため注意してください。

もし値下げが難しいようであれば、他の法律事務所にも相談し、見積もりを比較検討するとよいでしょう。

複数の事務所の意見を聞くことで、見積もり金額が妥当な範囲なのかを判断する材料になります。

費用倒れのリスク

弁護士に依頼する際には、「費用倒れ」のリスクがないかどうかを慎重に検討することが重要です。

「費用倒れ」とは、請求しようとしている金額や、実際に獲得できる見込みのある金額を、弁護士費用が上回ってしまう状況のこと。

特に、請求する金額が比較的少額な場合や、勝訴の見込みがあまり高くないと予想される場合には、弁護士に依頼することで、かえって経済的な負担が増えてしまう可能性があります。

たとえば、10万円の貸金の返還を求める訴訟で、着手金だけで10万円以上かかってしまうようなケースでは、費用倒れのリスクが高いでしょう。

ベンナビで無料相談できる弁護士を探そう

「ベンナビ」は各分野に強い弁護士を探すことができるポータルサイト。

都道府県や具体的な相談内容から、あなたの状況に合った最適な弁護士を簡単に検索できます

さらに、多くの法律事務所が対応している「初回相談無料」や、遠方でも相談しやすい「電話無料相談OK」といった条件で絞り込んで検索することも可能です。

費用を抑えつつ、まずは気軽に専門家のアドバイスを受けてみたいという方は、まずは信頼できる弁護士を見つけて相談することから始めてみてはいかがでしょうか。

さいごに

弁護士費用は「報酬」と「実費」に分かれ、依頼内容によって相場が異なります。

たとえば協議離婚サポートを依頼する場合の相場は30万円以上、遺産分割協議の交渉依頼は獲得金額の20%前後が相場です。

事案ごとの難易度や複雑さに応じて費用は変動するため、まずは無料相談などで見積もりを出してもらうのがおすすめ

複数の法律事務所の見積もりを比較検討すると、適正価格で依頼できるでしょう。

できるだけ費用を抑えたい方は、弁護士費用特約や無料法律相談の活用も検討してください

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この記事の監修者
富永法律事務所
富永 慎太朗 (福岡県弁護士会)
ご相談者様のお話をしっかりと伺い、豊富な実績を活かし最適な解決策を提案しています。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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