法律トラブルに巻き込まれたら、法律の専門家である弁護士の協力が必要になります。
しかし、依頼をした時点で発生する着手金が高くて支払えないという方も少なくないでしょう。
そのような悩みがあるなら、後払いや分割払いに対応してくれる弁護士に依頼することをおすすめします。
本記事では、弁護士費用の後払いの可否、後払いに対応している弁護士の探し方などについて説明します。
初期費用(着手金)が相談・依頼の障害となっているという方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
通常、弁護士に依頼する際の着手金は前払いとなっています。
しかし、着手金は数十万円になることも珍しくなく、すぐにお金を工面できないこともあるでしょう。
そのようなときには弁護士に事情を説明し、着手金を後払いにできないか相談することをおすすめします。
後払いにできた場合、事件が解決したあとに着手金や報酬金(成功報酬)をまとめて支払うことになります。
そのため、損害賠償請求事件などであれば、相手方から金銭を受け取ってから支払うことが可能になるのです。
まずは法律事務所の無料相談を利用し、弁護士と費用の支払い方法について相談してみることをおすすめします。
着手金の後払いは受け付けていなくても、分割払いであれば柔軟に対応してくれる弁護士は多いです。
分割払いになった場合、依頼時点で最初の支払いをし、その後、毎月等分した着手金を支払うことになります。
分割払いの条件は法律事務所によって異なりますが、一般的には「最大12回払い」であることが多いでしょう。
ここでは、弁護士が着手金の後払いに応じてくれる可能性が高いケースについて解説します。
慰謝料などの経済的利益の獲得が期待できる場合は、弁護士が着手金の後払いに応じやすい傾向があります。
金銭の獲得が期待できる代表的な法律トラブルには、以下のようなものが挙げられるでしょう。
弁護士と信頼関係がある場合は、着手金の支払い方法にある程度の融通を利かせてくれることがあります。
以下のような場合に当てはまるなら、着手金の支払い方法について相談してみることをおすすめします。
弁護士は、依頼者が極めて困難な状況に置かれている場合、着手金の後払いに同意してくれることがあります。
依頼者に以下のような特別の事情がある場合には、弁護士に支払い方法の相談をしてみるのが良いでしょう。
なお、特別の事情があるからといって、必ずしも弁護士・法律事務所が後払いに応じてくれるわけではありません。
ここでは、着手金の後払いに応じてくれる弁護士の探し方について説明します。
ベンナビは、利用者の法律トラブルに合わせて弁護士・法律事務所を探せるサービスです。
中にはベンナビ債務整理のように「後払い」に対応している法律事務所を探せるものもあります。
ほかにも初回無料相談やオンライン相談などに対応している事務所も効率よく見つけることができます。
GoogleやYahoo!などで着手金の後払いに対応している法律事務所を検索するのもおすすめです。
「○○(トラブル) 着手金 後払い」「△△(地域名、駅名)弁護士 着手金 後払い」などで調べましょう。
法律事務所のWebサイトにある実績や方針などを確認し、気になる事務所に問い合わせをすると良いでしょう。
ここでは、着手金を支払えない場合の対処法について説明します。
法テラス(日本司法支援センター)は、経済的に困難な方を対象にした支援制度を提供しています。
これらの支援制度を利用するには、資力基準などの条件を満たしている必要があります。
近くの法テラス事務所に問い合わせをして、利用できるかどうかを確認してみると良いでしょう。
弁護士費用特約とは、もらい事故の際の弁護士費用をカバーしてくれる自動車保険のオプションの一種です。
保険によって補償額は異なりますが、通常は法律相談料10万円、弁護士費用300万円が上限となっています。
交通事故に巻き込まれた際には、弁護士費用特約を利用できないかを保険会社に確認することをおすすめします。
法律事務所によっては、着手金が0円の完全成功報酬型を導入していることもあります。
最初から完全成功報酬型の法律事務所を選べば、着手金の支払い方法を心配する必要はなくなります。
なお、完全成功報酬型の場合、相場よりも弁護士費用が高額になる傾向があるという点には注意しましょう。
ここでは、弁護士費用の概要と事件ごとの着手金・報酬金の目安を解説します。
弁護士に依頼する際には、費用が適正かどうか、追加料金があるかどうかなどもよく確認しましょう。
主な弁護士費用の項目と概要は、以下のとおりです。
弁護士費用の項目 |
概要 |
相談料 |
弁護士に相談する際の費用。無料の場合も多いが、事務所や内容によっては有料の場合もある。 |
着手金 |
事件を依頼した際に最初に支払う費用。依頼内容や経済的利益の額によって変動することがある。 |
報酬金 |
事件が解決したあとに支払う費用。成功報酬や固定報酬など、計算方法はいくつかある。 |
日当 |
交渉や訴訟のために弁護士が事務所を離れて活動する際にかかる費用。日当を請求していない事務所もある。 |
実費 |
トラブル解決を進めるうえで発生する実際の経費。交通費や通信費、証拠収集のための費用などが含まれる。 |
事件ごとの着手金と報酬金の目安は、以下のとおりです。
事件の種類 |
着手金の目安 |
報酬金の目安 |
|
離婚問題 |
協議離婚 |
20万~30万円程度 |
獲得金額の10~20%程度 |
離婚調停 |
30万~40万円程度 |
30万~40万円程度 |
|
離婚裁判 |
30万~50万円程度 |
30万~60万円程度 |
|
刑事事件 |
30万~50万円程度 |
30万~50万円程度 |
|
労働事件 |
給与・残業代未払い |
20万~30万円程度 |
獲得金額の20%程度 |
不当解雇 |
30万円程度 |
獲得金額の10%程度 または20万~30万円程度 |
|
労働災害 |
10万~30万円程度 |
獲得金額の10~15% または20万~30万円程度 |
|
ハラスメント |
10万~20万円程度 |
獲得金額の10~15%程度 |
|
相続事件 |
遺言書作成 |
10万~20万円程度 |
― |
遺言執行 |
30万円以上 |
― |
|
相続放棄 |
10万円程度 |
― |
|
遺産分割協議 |
300万以下:獲得金額の8% 300万〜3,000万円以下:獲得金額の5%+9万円 3,000万〜3億円以下:獲得金額の3%+69万円 3億円超:獲得金額の2%+369万円 |
300万以下:獲得金額の16% 300万〜3,000万円以下:獲得金額の10%+18万円 3,000万〜3億円以下:獲得金額の6%+138万円 3億円超:獲得金額の4%+738万円 |
|
遺留分侵害額請求 |
300万以下:獲得金額の8% 300万〜3,000万円以下:獲得金額の5%+9万円 3,000万〜3億円以下:獲得金額の3%+69万円 3億円超:獲得金額の2%+369万円 |
300万以下:獲得金額の16% 300万〜3,000万円以下:獲得金額の10%+18万円 3,000万〜3億円以下:獲得金額の6%+138万円 3億円超:獲得金額の4%+738万円 |
|
債務整理事件 |
任意整理 |
2万~3万円程度(1社あたり) |
2万~3万円程度(1社あたり)+減額報酬10~15%程度 |
個人再生 |
30万~50万円程度 |
10万~20万円程度 |
|
自己破産 |
20万~50万円程度 |
0~30万円程度 |
|
過払い金請求 |
4万円程度 |
獲得金額の20~25%程度 |
|
インターネットトラブル |
削除依頼 |
交渉:5万~10万円程度 裁判:20万円程度 |
5万~15万円程度 |
発信者情報開示請求 |
20万~30万円程度 |
15万~20万円程度 |
|
損害賠償請求 |
交渉:10万円程度 裁判:20万円程度 |
賠償金の16%程度 |
|
交通事故 |
10万~20万円程度 |
獲得金額の10~15%程度 |
ここでは、自分に合った弁護士を見つけるためのコツについて説明します。
自分に合った弁護士を見つけるためには、弁護士・法律事務所の違いを正しく把握しておくことが重要です。
たとえば、着手金の支払いタイミング以外にも、以下のようなポイントを確認しておくのが望ましいでしょう。
弁護士にはそれぞれ得意分野があるため、自分の悩みに合った弁護士に相談・依頼するのが重要になります。
また、相談のしやすさなどは最終的な満足度につながるため、できる限り相性の良い弁護士に依頼しましょう。
希望や条件に合う弁護士・法律事務所を見つけたら、無料相談を活用して実際に会ってみましょう。
実際に話してみることで、事件の対応方針や弁護士の人柄などを確認することができます。
また、時間があるなら複数の弁護士と話し、自分に合う事務所に依頼すると良いでしょう。
ここでは、着手金を後払いにする際の注意点について説明します。
着手金を後払いにした場合、弁護士費用の総額が高くなる傾向があります。
この理由は後払いにすることで、支払い遅滞のリスクや代金回収の負担などが生じるためです。
着手金の後払いに応じてもらえるときは、必ず料金や条件などについて確認しておきましょう。
弁護士に依頼する場合は、着手金のほかにも日当や実費などさまざまな費用が必要になります。
これらの支払い時期は法律事務所によって異なり、場合によってはその都度費用を請求されることもあります。
相談の段階で弁護士費用の総額を確認するとともに、費用の支払いタイミングについても確認しておきましょう。
法律トラブルの解決を弁護士に依頼したくても、着手金が高額で依頼を先送りにしている方もいるしょう。
しかし、場合によっては後払いにしてくれる可能性もあるため、まずは相談してみることをおすすめします。
また、弁護士に費用の相談をすれば、分割払いの提案や支援制度の紹介をしてくれるケースもあるでしょう。
法律トラブルをひとりで解決するのは難しく、対応が遅れるとトラブルが深刻化してしまうリスクもあります。
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