冷静で的確な会話から、頭の回転が速く、キレ者という印象の河野弁護士。幼少期から憧れていたのは「医師」の道でした。
しかし家庭の経済的な事情から医学部進学への道を諦めざるを得ず、大学に合格した際も、入学金・学費の工面に苦労したといいます。
そうした豊富な人生経験は、今の多角的な視野をもった弁護活動に活かされていて、ご相談者様からは「今までのどの弁護士よりも、広い視野でちゃんと説明してくれた」「前の弁護士より、視点が多くてはっとさせられた」というお声をいただくことが多いそう。
休日もご依頼いただいている案件のことをつい考えてしまうという、仕事熱心な河野弁護士。
そんな河野弁護士の弁護活動に対する思いや、人生での出来事など、その人となりについてお伺いします。

経済的に苦労した学生時代。医師・官僚への夢と、企業勤務を経て弁護士になった理由とは?
――弁護士を目指したきっかけについて教えてください。
もともとは医師になりたかったんです。きっかけは、ご夫婦で開業されていた、近所のかかりつけ医の影響ですね。
今でも覚えているんですが、小学校2年生の頃、担任の先生と折り合いが悪くて学校に行けなくなった時期があったんです。
そんな僕に、かかりつけだったその医師が「先生には代わりがいるけど、邦広くんの代わりはいない。だから学校に行きなさい。もし学校に行かないんだったら、勉強も運動も全部自分でやらなきゃいけないよ。そして友達と会ったり話したりするのは、学校しかできないよ」と諭してくれたんです。
幼いながらに、僕にとっては大きな出会いで。
その後も喘息の治療だったり、あとは緊張すると熱が出るようなタイプだったのでよく通院していたんですが、時には「あなたは言い訳が多い」と怒られるようなこともあって(笑)
厳しくも温かく、近くで成長を見守ってくれたそのかかりつけ医のご夫婦を、とても尊敬していたんです。
――最初は医師を目指されていたんですね。そこからなぜ法律の道へ進まれたのでしょうか?
経済的な理由です。僕の家は貧乏だったので、医師を目指して医学部に合格しても、行けるお金はないよと言われていました。
医学部や理系への進学はお金がかかりますからね。
大学受験の際も、お金がないので滑り止め受験もできなくて。試験に落ちたら、進学は諦めて働こうと思っていました。
その時に高卒で取得できる資格として、司法試験を考えるようになったんです。
当時は法科大学院がなかったので、司法試験に受かれば、合格から約2年で弁護士になって働けるわけです。
勉強はもともと苦ではなかったので、もし大学に落ちたら司法試験を目指そうと思っていました。
――なるほど、そこで司法試験が出てきたわけなんですね。
はい。結局、受験していた東京大学文科Ⅰ類に合格できたので、そのまま進学して法律の勉強を始めました。
でも家は本当に経済的に苦しい状況だったので、大学4年間の学費はもちろん、入学金も準備できなくて。
親戚からもらった入学祝金のほか借入をするなどして、自分で工面しましたね。
――ご苦労をされたんですね。では大学で司法試験に向けた勉強をされていたのでしょうか?
いえいえ、そう一筋縄ではいかなくて。最初は先輩からの誘いもあって国家公務員試験Ⅰ種を受けました。
1次試験に合格して、省庁から内々定までもらっていたんですけど、最終選考で落ちてしまったんですよ。それで、卒業後は生命保険会社に就職しました。
――司法試験ではなく国家Ⅰ種を受けて官僚を目指したけれど、企業に就職ですか…!
就職した企業では、資産運用部門で運用の企画やパフォーマンス分析などを手がけていました。
大きな会社だったのですが、待遇などは比較的良くしていただいて、やりがいは感じていました。ただ大きな組織って、やはり相手の顔が見えないことが多いんですよね。お客様しかり、ともに働く従業員しかり。
営業現場と、本部組織の意思疎通ができていない場面も多く見てきましたし、その中で、この先何十年と、こうした大きな組織の中で仕事を続けていくのかなと。将来の自分の姿がイメージできないなと思ったんですよ。
もともと尊敬していたかかりつけ医の先生に憧れて医師を目指し、その後は司法試験の可能性に惹かれ、大学進学後は官僚を目指していたわけですから。
今まで思い描いていた自分の生き方と、将来なるであろう自分の姿のギャップが大きかったというか。
そこで一念発起して、大学卒業後から約10年経っていましたが、2009年に司法試験に合格しました。
大切なのは、ご相談者様のお話をしっかり聞くこと
――弁護士としてのこれまでの経歴を教えてください。
2011年に弁護士登録をして、最初の3年3ヶ月は埼玉県越谷市の法律事務所に所属していました。
破産や債務整理のご相談が比較的多かったのですが、事務所の方針もあって、民事事件から刑事事件まで、本当に幅広い案件を取り扱っていましたね。
――事務所を独立されてからは、どのようなご相談を受けるが多いですか?
2015年に独立してからは、交通事故のご相談をいただくことが多かったです。
数年前からは相続問題のご依頼もかなり増えてきて、今はご相談のほとんどが相続問題ですね。
――先生がご相談者様と向き合うときに、大切にされていることを教えてください。
まずはご相談者様のお話を、すべてしっかり聞くことです。理由は2つあって、
1つは、ご相談者様は話を聞いてほしくてご相談に来られているから、ということです。
2つめは、ご相談者様のお話の中に、問題解決のヒントが隠れていることが多いからです。
ご相談者様は意識されていなくても、法的な観点でみると、お話の中に「それです!」という解決の糸口が隠れているんです。
なので、ご相談者様のお話からそうしたヒントを聞き漏らすことがないように、解決の糸口としてご提案できそうな可能性については、全部検討することを心がけています。
――これまでで印象的だったご相談はありますか?
奇跡のように裁判で勝った事例はありましたね。
最初は別の事務所の先生が担当していて、一審では敗訴してしまった案件がありました。その案件を二審から担当し、イチから証拠をすべて見直して論点を整理し直し、全面勝訴を勝ち取ったことがあります。証拠の洗い直しに毎日夜中まで取り組んだりしたので、特に印象に残っていますね。
ただ、そういった案件も一審を担当した先生がもともと証拠集めから熱心に動いてくれたことで、二審の結果につながったんだと思っています。

――先生は冷静で的確にお話される一方、気さくで話しやすい雰囲気が印象的です。ご相談者様も安心されることが多いのではないでしょうか?
ありがたいことに、安心してお帰りいただくことが多いですね。
また「今までのどの弁護士よりも一番ちゃんと説明してくれた」「他の弁護士にはない視点で説明してくれた」というお言葉をいただくことが多いです。
問題が解決した後、「先生を選んでよかったです」と言っていただけると、やはり嬉しいですね。
――今後目指される弁護士像などがあれば教えてください。
今後もやるべき事がしっかりとできる、基礎を大事にした弁護士として活動していきたいです。
例えば裁判においては、検察官や裁判官もやはり人。微妙な判断の場面になると、裁判官のその日の気分や体調も影響するでしょうし、勝訴できるかどうかは正直運もあると思っています。
目指すのは、そうした運的な要素に左右されないほど、しっかりした主張や交渉などができる弁護士です。