ホーム > 相続コラム > 成年後見 > 成年後見制度とは|知らないと起こりうるトラブル
弁護士の方はこちら
公開日:2022.11.29  更新日:2022.12.1

成年後見制度とは|知らないと起こりうるトラブル

日暮里中央法律会計事務所
下地 謙史
監修記事
Pixta 25637481 m %281%29
注目 成年後見に関する弁護士相談をご検討中の方へ
Person
電話・メールOK
夜間・休日も対応
累計相談数
9万件超
成年後見が得意な
弁護士から探せる
成年後見が得意な
弁護士を探す

「親が高齢なので成年後見人制度を利用してほしい」「歳をとってきたので、万が一に備えておきたい」といった理由から、成年後継制度について知っておきたいという人は多いのではないでしょうか。

成年後見制度を利用すれば、認知症や知的障害などで判断能力が低下してしまっても、後見人が本人に代わって財産を管理したり、契約行為を支援したりできるので、将来も安心して生活を送ることができます。

そこで本記事では、成年後見制度の基礎知識から、成年後見人ができること・できないこと、成年後見人制度を利用するメリット・デメリットなどをわかりやすく解説します。

成年後見人の申し立て等の悩みは

弁護士へご相談ください

​成年後見制度の利用を弁護士に依頼することで、下記のような問題が解決できます。

  • 加齢などにより判断力が低下しているので相続が心配
  • 親族間に紛争を抱えている
  • 本人の財産を親族が勝手に浪費している
  • 少々複雑で難しい法的な問題を抱えている
  • 財産の管理を信用できる人に任せたい
  • 身寄りがないので施設や病院、死後の手続きが心配
  • 知的障害を抱えた親族がいる場合の対処 など

上記のようなお悩みは弁護士への相談で解決できるかもしれません。相続に詳しい弁護士ならば、成年後見制度を活用した相続のアドバイスが可能です。

当サイト『相続弁護士ナビ相続問題の解決を得意とする弁護士を掲載しております。

電話での無料相談や面談による相談を無料にしている事務所もあります。

まずは​下記よりお近くの弁護士を探して相談してみましょう。

※「どうやって弁護士を選べばよいかわからない…」という方は、まず「弁護士の選び方を徹底解説」を読んだ上でご相談ください

成年後見が得意な弁護士を探す

初回の面談相談無料・休日/夜間対応可能の事務所も多数掲載

北海道・東北

北海道  |  青森  |  岩手  |  宮城  |  秋田  |  山形  |  福島

関東

東京  |  神奈川  |  埼玉  |  千葉  |  茨城  |  群馬  |  栃木

北陸・甲信越

山梨  |  新潟  |  長野  |  富山  |  石川  |  福井

東海

愛知  |  岐阜  |  静岡  |  三重

関西

大阪  |  兵庫  |  京都  |  滋賀  |  奈良  |  和歌山

中国・四国

鳥取  |  島根  |  岡山  |  広島  |  山口  |  徳島  |  香川  |  愛媛  |  高知

九州・沖縄

福岡  |  佐賀  |  長崎  |  熊本  |  大分  |  宮崎  |  鹿児島  |  沖縄

成年後見制度とは?2種類の制度

成年後見制度は、高齢者や障害のある方の権利と財産を守り、法律的に支援することを目的として、平成12年に施行された制度です。

認知症や精神障害、知的障害などにより判断能力が十分でない方は、法律行為のさまざまな場面で不利益を被る可能性がありますが、成年後見制度を利用することで、財産管理のほか、身上保護において以下のようなサポートを受けることができます。

  • 必要のないものを買ってしまったり、暗証番号を忘れて預金を使えなくなったりといったことがなくなる。
  • 認知症が進み、一人で生活するのが難しくなったときに、適宜施設への入所手続をしてもらえる。
  • 悪徳業者からだまされて、不要な高額商品を購入する契約をしてしまっても、取り消してもらえる。

また、成年後見制度には、下記の2種類の制度があります。

  • 法定後見制度:本人の判断能力が低下している場合に利用する制度
  • 任意後見制度:本人に判断能力が十分備わっているうちに、将来に備えて利用する制度

【参考】 成年後見登記事務の概要|東京法務局

それぞれの制度について詳しく解説します。

法定後見制度とは

法定後見制度は、認知症などで既に判断能力が低下している場合に、家庭裁判所の決定により成年後見人を選任する制度です。配偶者や相続人が家庭裁判所に成年後見人の選任を申し立てることで、手続が開始されます。

また、法定後見制度は、判断能力の程度によって以下の3種類の類型に分けられます。

  • 補助:日常生活は問題なく行えるが、判断能力が不十分なために、場合によっては法律行為を一人で行うのは不安がある人に適用( 民法第15条
  • 保佐:判断能力が著しく不十分であり、重要な法律行為を一人で行うのは不安がある人に適用( 民法第11条
  • 後見:常に判断能力がない人に適用( 民法第7条 )

どの類型に該当するかは、申し立て時に提出する医師が作成した診断書か、手続の途中で行われる鑑定によって判定されます。

任意後見制度とは

任意後見制度は、判断能力の衰えがみられず元気なうちに、将来に備えて自分で後見人を選任する制度です。

選任された任意後見受任者とあらかじめ任意後見契約を締結しておきますが、この段階ではまだ後見は開始しません。

将来、被後見人の判断能力が低下・喪失した段階で家庭裁判所に申し立てをすると、任意後見制度の手続が開始となります。

さらに、任意後見では、家庭裁判所が任意後見監督人を選任します。

任意後見監督人とは、後見人が契約に沿って適切に仕事をしているか、監督する役割を担う人のことです。

弁護士や司法書士など親族以外の第三者が選任されるケースが多いでしょう。

任意後見人は任意後見監督人に財産目録などを提出して監督を受けることになります。

成年後見人が必要となる3つのケース

成年後見人が必要となるのは、生活するうえで必要な契約の締結や財産上の取引が発生する場合のほか、遺産分割協議をおこなう場合です。

1.銀行や金融資産・税金などを取り扱いたいとき(財産管理業務)

成年後見人は、預金、貯金、不動産、生命保険などといった被後見人の財産を把握し、管理します。

医療費や税金などの支払いも同様です。

また、財産が正しく管理されているかどうかは、成年後見人が被後見人の財産目録を定期的に作成、裁判所へ提出することで確認されます。

2.介護や病院などの手続をしたいとき(身上保護業務)

本人の介護サービス利用契約や診療、老人ホーム施設の入退所契約といった利用契約の必要が生じた場合は、成年後見人が本人に代わって契約を締結します。

3.遺産の分割などを決めたいとき(その他必要に応じて行う業務)

被相続人が亡くなったとき、遺された家族・親族で被相続人の遺産を分けます。

遺産分割協議とは、相続人全員でその分割方法を話し合うものです。

協議後は「遺産分割協議書」を作成して相続の手続を進めます。

遺産分割協議は、必ず相続人全員で行わなければならず、特定の相続人を除外して協議を進めることはできません。

認知症で判断能力が衰えていたり、障害のために判断能力が低かったりする相続人がいる場合、成年後見人の選任が必要です。

なお、原則として、被相続人が遺言書を残していれば、遺産分割協議を行なう必要はなく、成年後見人の選任も不要です。

成年後見人の選任方法と業務範囲

成年後見人が担う役割とは、被後見人の財産管理と療養看護です。

成年後見人はどうやって選ばれ、どこまでが業務範囲となるのか、以下で説明します。

成年後見人はどうやって選ばれる?

家庭裁判所が被後見人の状況を考慮、検討のうえ、もっともふさわしいと判断される人物を、成年後見人として選任します。

身近な親族の選任を期待される方も多いかもしれませんが、必ずしも親族が選任されるとは限りません。

特に相続問題など法律上の課題があったり、所有する財産が点在しているなど、財産管理において複雑な問題があったりする場合には、弁護士や司法書士など専門職が選任されるケースがほとんどです。

また、裁判所の決定に対して不服申し立てはできません。

成年後見人ができない業務内容

成年後見人は事実行為や身分行為はできません。

事実行為とは、法律上の効果のない行為のことです。

成年後見人は以下のような行為はできません。

  • 食事の世話
  • 排泄の介助
  • 病院への送迎
  • 被後見人宅の清掃 など

身分行為とは、身分に関わる法律行為のことです。

成年後見人は以下のような行為はできません。

  • 婚姻
  • 離婚
  • 養子縁組

成年後見制度を利用するメリット・デメリット

成年後見制度では、一度後見人が選任されると、成年被後見人が保護を必要としない状態に回復しなければ、取り消しはできません。

そのため、制度を申請する前にメリット・デメリットの両方を知っておく必要があります。

ここからは、成年後見制度を利用するメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

成年後見制度を利用するメリット

法定後見制度・任意後見制度それぞれのメリットは、以下のとおりです。

法定後見制度を利用するメリット

  • 判断能力が低下しても、財産が守られる
  • 家庭裁判所で認められた信頼できる者に後見人をお願いできる
  • 被後見人の財産管理を適切に行うことができる
  • 被後見人の判断能力が低下しても、必要な取引を進められる

法定後見制度を利用し成年後見人を選任すると、被後見人が認知症になるなどして判断能力が著しく低下しても、本人の財産などを管理・保護できます。

被後見人が亡くなり、相続が生じた場合にも、財産状況を把握しやすい点もメリットです。

任意後見制度を利用するメリット

任意後見人を選任するメリットは、上記に加えて、本人が前もって成年後見人を選べることです。

加えて任意後見制度では、複数の成年後見人を選び、後見人ごとに役割・権限を分けることもできます。

弁護士などの専門家に後見人を依頼した場合のメリット

弁護士や司法書士などの専門家が後見人になると、以下のようなメリットがあります。

  • 成年後見監督人を選任する必要性が低い
  • 被後見人の財産管理を安心して任せられる

例えば、成年後見制度を利用中に遺産分割協議が発生した場合、成年後見人と被後見人がどちらも相続人で利益相反の関係であれば、成年後見人を監督する成年後見監督人をつける必要が生じます。

成年後見制度において守られるべきは、被後見人の相続権だからです。

しかし、この場合、最初から弁護士などの専門家に成年後見人を依頼しておけば、成年後見監督人を別に立てる必要がありません。

成年後見制度を利用するときは、弁護士などの専門家に後見人を依頼することも検討するといいでしょう。

成年後見制度を利用するデメリット

成年後見制度の利用は、いいことばかりではありません。

デメリットも知ったうえで、利用を検討することが大切です。

相続税対策ができなくなる

1つ目のデメリットは、相続税対策ができなくなることです。

相続税対策としては、生前贈与があります。

生前贈与とは、年間110万円以内の贈与は贈与税が課税されないことを利用して、生前に自分の財産を年間110万円以内ずつ相続人に贈与し、課税対象となる財産を減らすことで、相続税を節税する方法です。

生前贈与は本人の財産が減ることを意味するため、被後見人の財産の保護を目的とする成年後見制度では認められない可能性が高いです。

後見人に財産を横領される心配がある

2つ目のデメリットは、後見人に財産を横領される心配があることです。

最高裁判所事務総局家庭局実情調査によると、令和3年に報告を受けた成年後見人等による横領の被害件数は169件で、被害額は約5億3,000万円にのぼります。

【参考】 後見人等による不正事例 |最高裁判所事務総局家庭局実情調査

被害件数・金額とも年々減少してはいるとはいえ、成年後見人・保佐人・補助人が本人の財産を横領する可能性はゼロではありません。

被後見人の財産を自由に使えなくなる

3点目のデメリットは、被後見人の財産を自由に使えなくなることです。

一家の大黒柱が被後見人となった場合、自由に家族の生活費を支出できなくなります。

亡くなるまで成年後見人がつき続ける可能性

4点目のデメリットは、亡くなるまで成年後見人がつき続ける可能性があることです。

一度、成年後見制度の被後見人となると、亡くなるまで被後見人である可能性があります。

遺産相続や遺産分割協議のために成年後見人を選任し、無事に相続手続が完了しても、後見の任務に適しない事由がない場合には、成年後見人を解任することはできません。

そのため、必要な手続が全て完了した後も成年後見人への報酬が発生することは覚えておきましょう。

しかし、亡くなるまで成年後見人がつき続けることについては、かねがね問題視されてきました。

令和3年12月に成年後見制度利用促進専門家会議により作成され令和4年3月に閣議決定した「第二期成年後見制度利用促進基本計画に盛りこむべき事項 」では、「課題が解決した後も成年後見制度が継続することが問題」であり、「以下を基本として成年後見制度の運用改善等に取り組む」ことが提言されました。

(2)尊厳のある本人らしい生活を継続できるようにするための成年後見制度の運用改善等

② 法定後見制度の後見類型は、終了原因が限定されていること等により、一時的な法的課題や身上保護上の重要な課題等が解決した後も、実際のニーズにかかわらず、成年後見制度が継続することが問題であるとの指摘や、一時的な利用を可能として、より利用しやすい制度とすべきではないか等の指摘もある。そのため、上記①に加えて、成年後見制度を利用することの本人にとっての必要性や、成年後見制度以外の権利擁護支援による対応の可能性も考慮されたうえで、適切に成年後見制度が利用されるよう、連携体制等を整備すること。

引用元: 第二期成年後見制度利用促進基本計画に盛りこむべき事項~尊厳のある本人らしい生活の継続と地域社会への参加を図る権利擁護支援の推進~(最終とりまとめ)

第二期成年後見制度利用促進基本計画の対象期間は、令和4~8年度です。

この5年間で成年後見制度が見直され、課題が解決した後は成年後見制度の利用の取り消しが認められるようになるかもしれません。

成年後見人制度で必要となる費用

成年後見制度の利用を検討するにあたって、気になるのは費用のことでしょう。

任意後見人制度と法定後見制度、それぞれを利用する場合にかかる費用について紹介します。

任意後見人制度でかかる主な費用

任意後見人制度を利用するには、以下の費用がかかります。

 

主な費用

任意後見契約公正証書作成時

・基本手数料 11,000円

・登記嘱託手数料 1,400円

・登記所に納付する印紙代 2,600円

・その他郵送費など

家庭裁判所への申し立て時

・申し立て手数料 収入印紙800円分

・連絡用郵便切手(裁判所による)

・登記手数料 収入印紙1,400円分

・その他戸籍など添付資料取得費用

任意後見人への報酬

任意後見契約で定めた金額

任意後見制度を利用するには、まず、任意後見契約を締結しなければなりません。

その契約は公正証書でおこなうよう法律で定められており、任意後見契約公正証書の作成費用が必要です。

また、選任された後見人への報酬も必要です。

報酬額は任意後見契約で定めた内容に従います。

任意後見人が親族であれば、0円としてもよいでしょう。

しかし、弁護士などの専門職が選任された場合は、月々2万~6万円程度の報酬を支払うことが一般的です。

法定後見制度でかかる主な費用

法定後見制度の利用にかかる主な費用は下記のとおりです。

 

主な費用

家庭裁判所への申立費用など

・申し立て手数料 収入印紙800円分

・連絡用郵便切手(裁判所による)

・登記手数料 収入印紙2,600円分

・その他戸籍など添付資料取得費用

・鑑定費用 10〜20万円程度

成年後見人への報酬

2万~6万円(月額)

法定後見制度の利用を申し立てる際は、家庭裁判所への申し立て費用のほか、本人の判断能力の程度を判定するための鑑定費用が必要となる場合もあります。

鑑定は通常、申し立て時に添付した診断書を作成した医師に依頼され、その費用は医療機関によって異なります。

多くの場合、10万円程度で収まるでしょう。

また、任意後見制度の場合と同様、後見人への報酬も必要です。

後見人への報酬額は裁判所が決定します。

被後見人の財産金額により変動し、その相場は月々2万~6万円程度です。

法定後見制度を利用する際の手順

法定後見制度の開始・終了の流れを説明します。

1:家庭裁判所への申し立て

法定後見制度を利用する場合、原則として、被後見人が住民登録をしている地域(住所地)を管轄する家庭裁判所に申し立てをおこないます。

申立権がある方は、以下のとおりです。

これ以外の方は、申し立てができません。

  • 本人
  • 配偶者
  • 4親等以内の親族(子ども、孫、甥・姪、兄弟姉妹、おじ、おば、いとこ、配偶者の親・子どもなど)
  • 未成年後見人、保佐人、補助人等
  • 市区町村長(ただし、一定の場合のみ)
  • 検察官

申し立ての際の必要書類と費用

書類

内容・注意事項

✓申立書

✓申立事情説明書

✓親族関係図

✓本人の財産目録及び資料

✓本人の収支予定表び資料

✓親族の意見書

✓後見人等候補者事情説明書

用紙は家庭裁判所の窓口、または 裁判所Webサイト で取得

✓本人情報シート

✓診断書

本人情報シートはケアマネージャーやケースワーカーなど、被後見人となる方がお世話になっている福祉関係者に本人情報シートの記入を依頼

診断書は記入された本人情報シートと成年後見制度用の診断書用紙を主治医(作成を断られた場合は主治医以外でも可)に渡し、記入を依頼

用紙は家庭裁判所の窓口、または 裁判所Webサイト で取得

✓被後見人の戸籍抄本

本籍地の市区町村役場で取得

※発行から3ヵ月以内のもの

✓被後見人及び成年後見人候補者の住民票または戸籍の附票

以下のものを本籍地の市区町村役場または市区町村役場で取得

✓発行から3ヵ月以内のもの

✓マイナンバーの記載がないもの

✓本人が登記されていないことの証明書

申請書 に必要書類を添付して、以下のどちらかに申請

✓全国の法務局の戸籍課窓口

✓郵送の場合、東京法務局後見登録課

詳しくは こちら

✓愛の手帳の写し

(知的障害者が申し立てるときのみ)

 

2:審理開始

申立書を家庭裁判所に提出すると、審理開始となります。

後見開始を申し立てると、申立人に対して家庭裁判所から面接の連絡が届きます。

指定された日に、申立人・成年後見人候補者が裁判官と面接します。

家族や親族に対して成年後見人制度利用への意向照会や、被後見人から意見を直接聞く本人調査、判断能力の鑑定がおこなわれる場合もあります。

3:選任の可否についての審判

申し立てから審判まで、1~2ヵ月ほどかかります。

家庭裁判所の判断により最も適任とされる方が、成年後見人として選任されます。

候補者が不適格である場合、家族・親族以外の第三者が後見人として選任されることもあります。

4:通知と法定後見開始

審判が終わると、成年後見人選任の可否について裁判所から審判書が送られてきます。

審判書を受け取ってから2週間以内に不服申し立てがなされない場合は、審判の法的効力が確定し、成年後見制度の適用が開始されます。

ただし、誰が成年後見人に選任されたかについては、不服申し立てができません。

審判の法的効力が確定すると同時に、家庭裁判所の依頼により、成年後見制度が開始された事実も登記されます。

法定後見制度が開始すると、成年後見人は1ヵ月以内に被後見人の財産目録を作成し、家庭裁判所に提出します。

成年後見人はこれ以降も、年に1度の割合で財産目録と収支状況を家庭裁判所へ提出します。

提出の際に、成年後見人としての報酬を請求することも可能です。

5:成年後見業務が終了した場合

被後見人が死亡すると、成年後見業務が終了します。

成年後見業務が終了すると、死亡日から2ヵ月以内に、申し立てをおこなった裁判所へ以下の書類を提出します。

  • 被後見人の除籍謄本もしくは住民票除表又は死亡診断書
  • 終了報告書
  • 財産目録
  • 引継書

【参考】 成年後見等事務の終了報告について(死亡の場合)|裁判所

そして、成年後見等登記の終了の登記申請をし、被後見人の相続人に財産を引き継ぎます。

その後は、各相続財産に合わせて相続手続をおこないます。

また、被後見人の判断能力が回復し、後見人制度を利用する必要がなくなった場合は、家庭裁判所に「後見等開始審判の取り消しの申し立て」ができます。

申し立てにより後見開始審判の取り消しが認められた場合、成年後見人は、今まで管理していた財産を被後見人に引き継ぎ、後見人業務を終了します。

任意後見制度を利用する際の手順

任意後見制度の開始・終了は、以下のような流れで進みます。

1:公証役場で公正証書を作成する

任意後見制度では、被後見人と将来、任意後見人になろうとする者(=任意後見受任者)の間で、任意後見契約を締結します。

この契約は公正証書で作成する必要がありますので、最寄りの公証役場に行き、公正証書の作成を依頼しましょう。

公正証書を作成する際に必要な書類

内容

書類

本人に関するもの

✓戸籍謄本または抄本

✓住民票

✓印鑑登録証明書又は運転免許証等身分を証明する公的身分証明書

※発行から3ヵ月以内のもの

任意後見受任者に関するもの

✓住民票(法人の場合は登記簿謄本)

✓印鑑登録証明書又は運転免許証等身分を証明する公的身分証明書

※発行から3ヵ月以内のもの

その他 

診断書や財産目録

※不動産の登記事項証明書などが必要な場合もあるので、公証人に確認してください

2:家庭裁判所へ申し立て

被後見人の判断能力が低下した場合、被後見人が住民登録をしている地域(住所地)を管轄する家庭裁判所に任意後見監督人の選任のための申し立てをおこないます。

申し立てができる方は、以下のとおりです。

  • 本人
  • 配偶者
  • 4親等以内の親族(子ども、孫、甥・姪、兄弟姉妹、おじ、おば、いとこ、配偶者の親・子どもなど)
  • 任意後見受任者

任意後見監督人選任のための申し立てに必要な書類

書類

入手場所など

✓任意後見契約公正証書の写し

 

✓申立書

✓申立事情説明書

✓親族関係図

✓財産目録

✓相続財産目録

✓収支予定表

✓任意後見受任者の事情説明書

用紙は家庭裁判所の窓口、又は 裁判所Webサイト で取得

✓診断書

✓本人情報シート

ケアマネージャーやケースワーカーなど、被後見人となる方がお世話になっている福祉関係者に本人情報シートの記入を依頼

記入された本人情報シートと診断書の用紙を主治医(拒否された場合は主治医以外でも可)に渡し、記入を依頼

用紙は家庭裁判所の窓口、又は 裁判所ウェブサイト で取得

✓被後見人の戸籍謄本

被後見人の本籍地の市区町村役場で取得

※発行から3ヵ月以内のもの

✓被後見人及び任意後見受任者の住民票または戸籍附票

以下のものを市区町村役場で取得

✓発行から3ヵ月以内のもの

✓マイナンバーの記載のないもの

✓ 本人が登記されていないことの証明書

申請書 に必要書類を添付して、以下のどちらかに申請

✓全国の法務局の戸籍課窓口

✓郵送の場合、東京法務局後見登録課

詳しくは こちら

3:任意後見開始と監督人の選任

家庭裁判所が任意後見開始を認めると、任意後見受任者は任意後見人となり、同時に、任意後見監督人が家庭裁判所により選任されます。

任意後見監督人は家庭裁判所が適格と認める者が選任されます。

したがって、申立人や被後見人が自由に選ぶことはできません。

任意後見が開始されると、任意後見人は任意後見監督人に対して職務内容を適宜報告することになります。

4:任意後見業務が終了した場合

任意後見業務の終了には、次の3つのケースがあります。

  • 被後見人の死亡
  • 任意後見監督人が選任されたあとに法定後見開始の審判がされた場合
  • 任意後見契約を解除したとき

任意後見業務が終了したときも、先に解説した「成年後見業務が終了した場合」と同様、裁判所に終了報告書などを提出し、成年後見等登記の終了の登記申請をします。

また、任意後見監督人に対して、報告書と財産目録を提出して任務を終了します。

後見制度の申し立ては取り下げ不可

法定後見・任意後見とも、一度申し立て書類を提出すると、家庭裁判所の許可がなければ申し立ての取り下げができません。

審判前であっても同様です。

たとえば、申立人本人が成年後見人になれなかったからと申し立てを取り下げ、もしその取り下げが許されてしまったら、本来財産を保護されるべき被後見人が保護されなくなります。

このように、被後見人本人を保護する観点から、申立人による取り下げを不可としています。

最後に|成年後見人制度を利用するにあたって

成年後見制度とは、被後見人の財産や権利を守るための制度です。

しかし、一度被後見人になると、場合によっては一生財産の管理に制限がかかり続けます。

成年後見制度を利用する際は、メリット・デメリットを考えて、慎重に検討しましょう。

また、家族に判断能力が低下した方がいて、その方が相続人になった場合も、成年後見制度を利用すれば、成年後見人が被後見人に代わって遺産相続協議に参加できます。

第三者に相続財産を悪用されることなく、スムーズに遺産を相続できます。

成年後見制度の利用を検討しているが、メリットや手続方法がいまいちわからず、できれば専門家に依頼したい方は、気軽に弁護士に相談してください。 

成年後見人の申し立て等の悩みは

弁護士へご相談ください

​成年後見制度の利用を弁護士に依頼することで、下記のような問題が解決できます。

  • 加齢などにより判断力が低下しているので相続が心配
  • 親族間に紛争を抱えている
  • 本人の財産を親族が勝手に浪費している
  • 少々複雑で難しい法的な問題を抱えている
  • 財産の管理を信用できる人に任せたい
  • 身寄りがないので施設や病院、死後の手続きが心配
  • 知的障害を抱えた親族がいる場合の対処 など

上記のようなお悩みは弁護士への相談で解決できるかもしれません。相続に詳しい弁護士ならば、成年後見制度を活用した相続のアドバイスが可能です。

当サイト『相続弁護士ナビ相続問題の解決を得意とする弁護士を掲載しております。

電話での無料相談や面談による相談を無料にしている事務所もあります。

まずは​下記よりお近くの弁護士を探して相談してみましょう。

※「どうやって弁護士を選べばよいかわからない…」という方は、まず「弁護士の選び方を徹底解説」を読んだ上でご相談ください

成年後見が得意な弁護士を探す

初回の面談相談無料・休日/夜間対応可能の事務所も多数掲載

北海道・東北

北海道  |  青森  |  岩手  |  宮城  |  秋田  |  山形  |  福島

関東

東京  |  神奈川  |  埼玉  |  千葉  |  茨城  |  群馬  |  栃木

北陸・甲信越

山梨  |  新潟  |  長野  |  富山  |  石川  |  福井

東海

愛知  |  岐阜  |  静岡  |  三重

関西

大阪  |  兵庫  |  京都  |  滋賀  |  奈良  |  和歌山

中国・四国

鳥取  |  島根  |  岡山  |  広島  |  山口  |  徳島  |  香川  |  愛媛  |  高知

九州・沖縄

福岡  |  佐賀  |  長崎  |  熊本  |  大分  |  宮崎  |  鹿児島  |  沖縄

東京
神奈川
千葉
埼玉
大阪
京都
Office info 202209092135 67651 w220 【新宿で生前対策、相続のご相談なら】Authense法律事務所 新宿オフィス

【初回相談無料】【新宿駅から徒歩4分】生前対策/遺言書作成・執行/遺産分割請求/遺留分/不動産の絡む相続問題に豊富な実績有。【事業承継など法人のお問い合わせにも対応をしております】

事務所詳細を見る
Office info 202012231601 31191 w220 【不動産の相続なら】岡本政明法律事務所

◆創業30年上の歴史ある事務所◆初回面談無料◆不動産の相続/高額な遺産による相続争い/事業承継などでお困りならお任せを!長年、様々な相続トラブルに注力してきた当事務所が、全力で対応し、解決へ導きます

事務所詳細を見る
Office info 202111291919 49501 w220 弁護士法人ガーディアン法律事務所立川オフィス

【年間相談実績700件超!】【電話相談可】遺留分請求・遺産分割に注力!相続トラブル・紛争が発生したら、早期にご相談ください●相続チーム対応●土地/実家/マンションなど不動産の名義変更もワンストップ対応

事務所詳細を見る
Office info 1901 w220 【不動産の分け方で揉めたら】アトラス総合法律事務所

●神田駅2分●初回面談無料●夜間・休日の面談可●宅建士資格所有:不動産の相続/遺産の分割/遺言書を巡る問題/複雑な案件であっても、他士業と連携しスムーズに一括解決!《これまでの実績は写真をクリック!》

事務所詳細を見る
東京都の弁護士一覧はこちら
弁護士費用をカバーする保険「ベンナビ弁護士保険」
弁護士費用を補償

親族・親戚間の遺産争い・兄弟間での遺留分の争い・相続放棄による争い・遺言書に起因する争いなど、遺産相続トラブルが発生した際に、専門家に相談したくても費用がネックになり、自分で解決しようとして余計に問題がこじれてしまうというケースが多くあります。

いざという時のための保険が弁護士費用保険です。
遺産相続トラブルに限らず、労働問題や離婚トラブル、交通事故など様々な法律トラブルでも利用可能です

無料で資料ダウンロード
弁護士費用を負担してくれる
弁護士保険で法律トラブルに備える
弁護士保険に関する資料のお届け先
氏名
必須
フリガナ
必須
電話番号
必須
メールアドレス
必須
この記事の監修者
日暮里中央法律会計事務所
下地 謙史 (第一東京弁護士会)
慶応義塾大学法学部より、慶應義塾大学法科大学院へ飛び級入学。司法試験に合格後、都内の法律事務所勤務を経て日暮里中央法律会計事務所を開業。(※本コラムにおける法理論に関する部分のみを監修)

成年後見に関する新着コラム

成年後見に関する人気コラム

成年後見の関連コラム

相続トラブルに巻き込まれてしまった方へ

何かと相続トラブルに発展するのは遺産の割合に不満がある・納得いかないケースです。

例えば、下記などが該当します。

・思ったより相続される遺産が少なかった
・揉めたくないので、泣く泣く遺産の配分に納得した
・遺言書に他の兄弟姉妹に遺産を多く渡す旨が書かれていた

遺産相続では法定相続分といって、民法で定められている割合の通りに遺産を公平に分割しましょうという一応の定めがありますが、生前に被相続人(亡くなった人)の介護をしていた、被相続人の事業を手伝っていれば寄与分という制度で多くの財産をもらう権利があります。

また、他の相続人が生前に財産を多く受け取っていたのであれば、遺産分割協議の際に相続財産を減らすこともできます。ただ、こういったルールは相続人全員が知っているわけではありませんから、あなたが主張しても聞く耳をもたれない可能性もあります。

その場合、弁護士に相談することで法的な観点から主張をしてくれますし、トラブルになっている場合はその仲裁に一役買ってくれるでしょう。

当サイトでは、無料相談(一部)を行っている弁護士事務所を数多く掲載しています。

まずは下記よりお近くの弁護士を探して相談してみましょう。

SNSで記事をシェアする

相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
成年後見

成年後見をもっと知りたいあなたに

Icon search white 相談内容から弁護士を探す
Category souzokutrouble normal Category tsukaikomi normal Category isanbunkatsu normal
Category iryubun normal Category souzokuhouki normal Category yuigon normal
Category daisyusouzoku normal Category seinenkouken normal Category fudosan normal
Category souzokunin normal Category souzokuzaisan normal Category souzokutouki normal
Category shintaku normal Category jigyoushoukei normal
Sidebar writer recruit