年末年始は普段離ればなれに暮らしている親や兄弟、親戚などが集まる時期でもあります。
親が高齢になってくると、親の遺産をどうするかなどについて家族で話し合う機会も増えてくるでしょう。
兄弟など将来的な相続人同士で仲が悪いと、親が亡くなったときに相続トラブルに発展する可能性は高くなります。
裁判所が毎年発表している司法統計年報によると、2022年に全国の家庭裁判所で発生した遺産分割事件は12,981件でした。
参照元:司法統計年報 | 裁判所
前年より466件少ないものの、10年前と比べると増加傾向がみられます。
また、この件数は家庭裁判所で遺産分割事件として取り扱われた件数なので、実際の遺産相続トラブルはもっと多いはずです。
しかし、相続トラブルはできれば回避したいところでしょう。
そこで今回は、相続経験者1,558人を対象に遺産相続に関するアンケートを実施しました。
相続トラブルを経験した方に具体的なトラブル内容も聞きましたので、ぜひ参考にしてください。
調査対象 | 20歳以上の男女5,000人 |
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回答者の年代割合 | 20代(9.2%)、30代(17.8%)、40代(26.6%)、50代(26.3%)、60代(15.6%)、70代(3.9%) |
調査期間 | 2023年11月24日~2023年11月28日 |
調査方法 | Freeasyを用いたインターネットリサーチ |
まず初めに、20歳以上の男女5,000人に相続を経験したことがあるかどうかをアンケートで調査しました。
その結果、相続を経験したことがあると答えたのは、1,558人と全体の約31%という結果に。
最も相続経験者の割合が多かったのは、60代の60%で年代が上がるにつれて経験者が増えています。
50代以上で見ると、約47%の人が相続を経験しており、概ね2人に1人が相続経験者だといえるでしょう。
また、男女別で見ると男性が36%、女性が24%と男性のほうがやや多い傾向にありました。
続いて、相続を経験したことがあると答えた1,558人を対象に、経験した相続において、相続トラブルが発生したかどうかを調査しました。
その結果、「相続トラブルを経験したことがある」と答えたのは356人と全体の約23%でした。
実に5人中1人の相続において、トラブルが発生していることになるため「うちは相続トラブルは無縁」だと思っていても油断は禁物といえるかもしれません。
次に、相続トラブルを経験したことがあると回答した356人に経験したことのある相続トラブルを10個の選択肢から選択してもらいました。
相続トラブルの内容で最も多かったのは「遺産分割に関するトラブル(約56%)」で、相続トラブルのうち半数以上が遺産の分け方についてのトラブルであったことがわかりました。
また、遺産分割に関するトラブルに次いで多かったのは「遺留分に関するトラブル(約33%)」と「寄与分に関するトラブル(約20%)」で、「自分の取り分」を主張したり、逆に主張されたりといった、リアルなトラブルが多いことがわかります。
今回のアンケートでは、実際に相続トラブルを経験した356人から、具体的なトラブル内容を聞き取り調査しました。
今回の調査で得られた具体的なトラブル内容は、以下のとおりです。
兄弟との相続トラブルで自分が今住んでいる家を個人で相続しようとしたら共有財産にしたいと言われた。また、預貯金が家以上の額があるのでその分で相殺する旨を伝えたが納得してもらえなかった。(50代男性)
叔父が亡くなった際に、内縁の妻と自分達姉妹に相続の権利があったが、叔父の兄弟も遺産分与を主張してきて裁判になった(30代女性)
父が亡くなった際に、妹と遺産分割について揉めた。妹は認知症であった父の面倒も見ていなかったのに、遺産だけを欲しがり、結局遺産を受け取った。(40代男性)
親の介護をしていなかった兄が、自分だけ多く相続できないことを主張して揉めた。(60代男性)
引きこもりで働いたことがない弟が、親が亡くなった際にお金は全部自分のものだと言い張って、結局諦めた。(40代女性)
祖母が貸していた家屋を、借りていた親戚が自分たちのものだと主張して裁判になった。(40代男性)
叔父が亡くなった際に、内縁の妻と自分たちしまいに相続権があったが、叔父の兄弟も相続権があることを主張してきて裁判になった。(30代女性)
遺言書によって私には相続権がないと代理人弁護士を通じて宣告された。遺留分の請求をおこない、生前贈与などの立証にも努めたが、労力や費用がかかることから妥協せざるを得なかった。(60代男性)
遺産は均等に分けたつもりだったが、亡くなった親の援助や面倒をしたことを理由に遺産の割合を増やしてほしいと言われた。(70代男性)
遺言書の内容では、末っ子である私の取り分が一番多かったため、長女・長男から不満を言われた。(20代男性)
遺言書の内容を認めない相続人がいて、相続手続きが進まない。(40代女性)
相続人である妹と自分で、相続の進め方について意見の相違がありトラブルになった。(60代男性)
実母が亡くなったが、預金通帳を同居していた姉が隠していて相続手続きができずにいる。(50d代男性)
相続放棄の手続きを親の代理で進めたが、市役所とのやり取りや家庭裁判所との手続きなどで手間がかかった。(50代男性)
親の遺産である家を売却したが、兄弟のうちの一人に売却したお金を独占されてしまっている。(40代女性)
土地の相続人が妻である自分になっているが、旦那の姉からそれはおかしいと言われて今でも争っている(40代女性)
父親の遺産相続の際に、あとから父親の隠し子である異母兄弟の存在が判明し、トラブルになった。(20代女性)
祖父の相続で3人だと思っていた相続人が実は5人いた。新たな相続人は、前妻との子どもであったため、見ず知らずの人が実は従兄弟だとわかって揉めた。(60代男性)
今回のアンケートで相続トラブルを経験したことがあると答えた人のなかには「いまだに相続問題が解決していない」という人も多くいました。
相続トラブルは、一度起こってしまうと解決までに時間がかかったり、うやむやのまま解決できなかったりする可能性もあります。
トラブルが発生したあとは、専門家の適切なサポートを受けるのがおすすめですが、そもそも相続トラブルが発生しないよう、事前に相続対策をしておくことが大切といえるでしょう。
相続トラブルの相手として最も多かったのは「自分の兄弟(約51%)」で、相続トラブルを経験している人のうち、実に半数が自分の兄弟と揉めていることがわかります。
兄弟姉妹同士でのトラブルの次に多かったのは「被相続人の兄弟(約28%)」で、親の兄弟姉妹との争いも多くみられました。
遺産相続においては、もともと仲が良かった家族でもトラブルに発展したり、揉めたりすることはよくある話です。
「うちは大丈夫」と油断せず、生前から相続について話す機会を設けたり、実際に対策を打っておいたりすることも検討しておくと安心でしょう。
今回の調査では、相続トラブル経験者356人のうち150人を対象に、相続トラブルがどんな形で決着したかも調査しました。
その結果「自分の納得のいく形で決着した」と答えたのは、56人で約37%に留まる結果となっています。
また、「自分の納得のいかない形で決着した(約39%)」と「うやむやなまま相続してしまった(12%)」を合わせると、約半数以上もの人が、相続トラブルに関して何らかの不満を感じたまま相続してしまっていることがわかります。
なかには「まだ解決できていない」と回答した人も12%いるため、スムーズに解決できないケースも考えられるでしょう。
相続トラブルが起きてしまった場合、自分たちだけでの解決が難しい可能性もあります。
その場合は弁護士などの専門家への相談も検討するとよいでしょう。
相続トラブルが起きてしまったとき、どこに相談すべきか迷ってしまう人も多くいるでしょう。
今回は、相続トラブルの経験者にトラブルについてどこに相談したかを調査しました。
調査の結果、半数に近い約48%の人が「弁護士」に相談をしていることがわかりました。
次いで「司法書士(約25%)」「税理士(約22%)」と多い結果となり、相談先として2番目に多い司法書士と比べ倍以上の人が弁護士を相談先として選んでいる結果となりました。
相続トラブルにおいて、弁護士は対応できるトラブルの範囲が最も広いため、総合的なサポートや問題解決が望めます。
また、法律事務所の中には税理士や司法書士など、そのほかの士業と提携しているところもあるため、紹介を受けることもできます。
どの専門家に相談するかも含めて、まずは弁護士の無料相談を利用してみることがスムーズな問題解決につながるでしょう。
今回の調査では、相続経験者の5人に1人が相続トラブルを経験していることがわかりました。
相続トラブルを回避するには、事前に相続対策をしたり、家族で話し合ったりすることが大切です。
そこで、まだ相続を経験していない人に対して、相続対策をしているかどうかを調査しました。
その結果、相続の対策をしている人は約6%とほとんどいないことがわかりました。
遺産相続においては、もともと仲の良い家族であっても油断は大敵です。
どんなことが原因でトラブルに発展するかはわからないので、事前に専門家に相談することや、家族同士で話し合っておくことをおすすめします。
今回の調査では、相続経験者のうち5人に1人が相続トラブルを経験していることや、相続トラブルの相談先として弁護士が多く選ばれていることがわかりました。
また、相続を経験していない方のほとんどは、相続について対策をしていない結果になりました。
相続トラブルは自分には関係ないこと、と油断せず事前に相続について話し合う機会を設けたり、専門家に相談したりしておくことが、トラブルを未然に防ぐことにつながります。
これから相続を控えている人は、ぜひ本調査結果を参考に相続に向けて準備を進めてみてください。
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