不動産の名義変更を行う際、「遺産相続」「生前贈与」「財産分与」「不動産売買」で行う場合の4つのパターンが考えられますが、必要な書類や費用はいくらかかるのか、そして流れなどの手続きはどうなるのかが気になるところではないでしょうか?
そこで今回は、不動産の名義変更を行う手続きの流れをご紹介します。
不動産を放置するとさまざまなデメリットが生じます。
活用予定がないなら一括査定を受け、早めの売却を検討しましょう。
不動産の名義変更は、対象不動産の所有者の名義を変更することを言い、名義変更を行うことで第三者(当事者である売主と買主以外の人)に所有権を主張できるようにする手続きのことです。
まずは、名義変更はどういったケースで必要になってくるのかなどをご紹介します。
不動産の名義変更(相続登記)が必要になるのは、大きく以下の4つのケースが挙げられます。
(1)遺産相続で不動産を取得した場合
(2)生前贈与によって不動産を取得した場合
(3)財産分与によって不動産を取得した場合
(4)不動産売買によって不動産を取得した場合
上記の4つが起きた場合に、不動産の名義変更が必要になります。
不動産の名義変更は、基本的に自分で手続きが可能です。しかし、名義変更の種類によって、用意する書類や手続きが変わり面倒に感じる場合もありますので、できれば専門家の司法書士に依頼した方が「時間短縮」と「間違いがない」という点で良い場合もあります。
相続によって不動産を取得した場合、相続人の名義変更手続きは以下のようになります。
相続登記をする際の流れは以下のようになります。
①:遺産分割協議で土地の所有者を決める
②:遺産分割協議書を作成する
③:「登記簿謄本」を取得
④:「戸籍」「住民票」などの書類を取得する
⑤:相続登記申請書類の作成
⑥:法務局へ相続登記の申請をする
相続登記に必要な書類は以下のものになります。
被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
被相続人の住民票の除票
相続人全員の印鑑証明書
相続人全員の住民票
不動産の固定資産評価証明書
不動産の全部事項証明書
遺産分割協議書
不動産の全部事項証明書は、法務局であればどこでも取得することができますのでそれほど難しくはないと思いますが、問題は亡くなった被相続人の出生から死亡まですべての戸籍を集める作業です。
異なる種類の戸籍をいくつも取得、請求する必要があるため、自分で戸籍の種類を調べて収集するのはなかなか骨の折れる作業だと言えます。
結論からいうと、不動産の相続(相続登記)に期限はありません。つまり、極端なことを言えばそのままでも問題はないのです。しかし、今後別な相続が起きた際にいろいろと問題が起こる可能性が高いので、できれば早めに相続登記をしてしまうのが良いかと思います。
その他の相続による名義変更に関しては「相続登記の完全版|申請をする際の必要書類と費用のまとめ」をご覧ください。
生前贈与によって不動産を取得した場合、相続人・受贈者の名義変更手続きは以下のようになります。
①:申請に必要な書類を集める
②:申請書を作成する
③:添付書類を作成する
④:必要書類を法務局へ提出する
申請には以下の書類を全て揃えましょう。
生前贈与の対象となる不動産の権利証(登記識別情報)
贈与する者の印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内)
贈与を受ける者の住民票
登記原因証明情報(贈与契約書)
固定資産評価証明書
生前贈与の対象となる不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)
A4サイズの白紙用紙に、登録免許税分の収入印紙を貼り付けて、登記申請書の次のページに綴じ込みましょう。
もし代理人に登記申請を委任しているのであれば、添付しましょう。
登記原因証明情報とは、登記の原因となった事実や法律行為を証明する情報を示します。これにより、生前贈与によって不動産の所有者が移される真実性を保証することになります。
詳しい流れは「生前贈与で不動産を贈与する際に贈与税を抑える為の手順」をご覧ください。
財産分与によって不動産を取得した場合、相続人・取得者の名義変更手続きは以下のようになります。
①:所有者を確定する「登記簿謄本」取得
②:受贈者を確定する「戸籍」「住民票」などの書類を取得
③:名義変更の申請書類を作成する
④:管轄する法務局へ申請する
①贈与者の方
・登記済権利証
・印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
②受贈者の方
・住民票
③その他の書類
・固定資産評価証明書
・贈与契約書
・贈与による所有権移転登記申請書
申請書などの書類は、法務省の「新不動産登記法の施行に伴う登記申請書等の様式について」から確認してみてください。
名義変更自体に特に問題はありませんが、ローン契約上は名義変更する際に金融機関の承諾が必要となる場合が多いため、契約書を確認しておくと良いでしょう。
基本的な流れは他の場合と同じですので、必要な書類だけをお伝えいたします。
①元の名義人の方
・登記済権利証
・印鑑証明書(3ヶ月以内のもの)
②新しい名義人の方
・住民票
③その他の書類
・固定資産評価証明書
・離婚協議書
・財産分与契約書
・戸籍謄本(離婚がわかる書類)
・財産分与による所有権移転登記申請書
申請書などの書類は、法務省の「新不動産登記法の施行に伴う登記申請書等の様式について」から確認する事ができます。
登記事項証明書代:800円〜2000円程度
戸籍、住民票、評価証明書代:2000円程度
法務局への交通費又は郵送代:1000円程度
登録免許税:固定資産評価額の1000分の4
このほかにも、別途かかってくる可能性のある費用はありますので、その都度確認されることになるでしょう。
相続登記の必要性などに疑問視している方もいらっしゃると思いますので、相続登記のデメリットもご紹介しておきます。
抵当権とは、債務の担保に供した物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利のことです。つまり、土地を担保にお金を借りるこのとのできる権利です。詳しい内容は「不動産を相続する際の手順と相続登記に関する知識まとめ」をご覧ください。
不動産を放置するとさまざまなデメリットが生じます。
活用予定がないなら一括査定を受け、早めの売却を検討しましょう。
土地を相続しても権利としては不安定な状態のままですので、例えば長女が実家不動産を相続する際、相続登記がされていないと正式に所有者とは認められず、法的にも保護を受けられません。
法定相続分で相続を行う場合、他の相続人の同意なしで相続登記が行えます。誰かが法定相続分で勝手に登記をしてしまい、自分の持分だけ売却してしまう可能性もゼロではありません。
相続人のうちの誰かが借金や税金を滞納していたりする場合、税務署は相続できる不動産があると分かった段階で、相続人に代わりその相続人の持分だけを差し押さえる強硬手段に出る可能性もあります。
相続登記を行わず、相続人全員の共同相続にしておくと、また「全員」の同意が必要となり、手続きの手間が増えることになります。
たった1人の相続人が非協力的なばかりに相続登記の手続きが進まず、土地や家屋は管理する人もおらず荒れ放題というケースもあり得ます。
基本的には司法書士に相談されるのが良いでしょう。司法書士は土地に関する専門家ですので、必要書類などの作成や戸籍謄本の取り寄せなどもやってくれます。
弁護士でも相談することはできますが、相続人との間にトラブルなどがない場合は、弁護士よりも費用が安く抑えられます。
下記の司法書士に頼んだ場合の費用を掲載しますので、参考にして頂ければ幸いです。
実 費 |
・法務局に納める登録免許税 |
司法書士報酬 |
具体的に○○円と明記はできませんが、大体5万円〜10万円未満が殆ど。 |
相続登記は弁護士でも行うことが出来ますが、専門的に行っているわけではありませんので、弁護士に相談するのは「不動産を巡って他の相続人とトラブルになっている場合」が良いでしょう。
弁護士に出来て司法書士が出来ないことは「相続人の争いの解決」です。弁護士は「訴訟」の専門家ですので、遺産分割を巡って紛争になってしまっている場合は、迷わず弁護士に依頼したほうがよいでしょう。
いかがでしたでしょうか。
不動産の名義変更を行う手順は以上になりますので、今後の参考にしていただければ幸いです。
不動産を放置するとさまざまなデメリットが生じます。
活用予定がないなら一括査定を受け、早めの売却を検討しましょう。