親や兄弟、親戚などがすでに他界しており、結婚もしていないため身寄りが一人もいない…。
こういった状況で死亡した場合、その遺産の行方はどうなるのでしょうか?
この記事では、そんな孤独死を遂げた方が残した遺産はどこへ行ってしまうのかについて、解説していきます。
結論からいうと、多くの場合、その遺産は国に帰属されます。
(残余財産の国庫への帰属)
第九百五十九条 前条の規定により処分されなかった相続財産は、国庫に帰属する。この場合においては、第九百五十六条第二項の規定を準用する。
引用元:民法959条
民法の制度上は、相続人がいることが明らかでない場合の遺産は、
1.相続財産管理人が選任される。
2.債権者や受遺者に対し、公告・催告をし、申し出があれば遺産から弁済する。
3.この時点で相続人が明らかになっていな場合は、公告により相続人を探す。
4.以上の手続きのあと、残った遺産があり家庭裁判所の審判があれば、これに従い特別縁故者に遺産を分与する。
5.残った遺産がある場合は、国庫に帰属する。
という流れをたどることになります。そのため遺産が国に帰属されることになるまでには、早くても一年以上の期間がかかります。また、相続財産管理人を選任するためにも数十万円以上のお金がかかります。
このことから、相続権のない関係者がわざわざ相続財産管理人の申立てをすることは多くなく、その場合は遺産がそのまま放置される可能性すらあります。
他方、相続財産管理人が選任された場合でも、特別縁故者への遺産の分与が認められる場合でない限り、孤独死をした方の意思とは関係なく、遺産は国に帰属されることになります。
以上のとおり、孤独死した場合には、その方の遺産は必ずしもその方の意思に従って分配されるわけではありません。
しかし、遺言書を作成すれば、残された遺産を希望する相手に分配することができます。遺言の対象は遺産だけに限られないので、葬儀やお墓、遺品整理なども、遺言書に記載された内容が効力を持ちます。
遺言書を作成する場合は、確実に遺言が執行されるよう、遺言執行者を選任したり、あらかじめ財産の分配をする相手に遺言の存在を明らかにしておくべきです。
相続させる人がいなければ、亡くなった後にその遺産は多くの場合国に帰属されますので、被相続人の思いは反映されることはありません。そのためにも、しっかりと遺言書を残しておくことが大切ですね。
参考記事:自筆証書遺言書の正しい書き方はコレ!無効を防ぐための書き方まとめ!
身寄りがいないとなると、死亡した後に行われる葬儀費用は誰が支払うのでしょうか?
この問題については法律上明確な定めはなく、実際には相続人ではない親戚や近所の方などが葬儀を執り行い、その費用を支払うというケースもあるようです。この場合、死亡した被相続人の遺産は、相続人や相続財産管理人以外は管理することができませんので、相続人でない方が好意で葬儀を行ったとしても、その方が直接被相続人の遺産を葬儀費用として使うことはできません。
このような事態を避けるためには、遺言により葬儀の執行について取り決めを書いておくか、生前に特定の方に依頼をしておくなどの方法が考えられます。
身寄りのない高齢者が孤独死を遂げる事例は年々増えていますから、今後はそれにどのように対応していけばよいか、一人ひとりが自分事としてしっかりと考えていきたいですね。
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