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相続税対策ガイド|相続税・贈与税を節税するには?
2018年10月11日

相続税対策ガイド|相続税・贈与税を節税するには?

弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士
監修記事
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親が亡くなって子へ財産を相続するとき、その財産に対して、一定の条件の下で『相続税』が課税されます。
 

一方、子の不動産購入などに伴って親から資金援助(贈与)をするときには、『贈与税』が課税される可能性があります。

 

相続でも贈与でも、大きなお金が動くことが多いので、それに比例して税額も大きくなりがちです。できることなら節税をして、少しでもたくさんのお金を手元に残したい、という方が多いのではないでしょうか。

 

この記事では、相続税と贈与税の税率や、それぞれの節税対策をご紹介していきます。相続や贈与を考えている方は参考にしてみてください。

 

 

相続税対策をする前に|贈与税と相続税について

相続税と贈与税では、課税対象が異なります。相続税は、相続した財産額のうち、控除額を超過した分の財産に対して課税されます。相続税の控除額は、法定相続人の人数によって決まる基礎控除額と、その他の特別控除(配偶者特別控除等)の合計額によって決まります。

 

これに対し、贈与税は、その年の1月1日から12月31日までの1年間に、贈与により受け取った財産の合計のうち、年間110万円の限度額を超えた分について課税されます。

 

ただし、年間110万円の限度内で贈与を行った場合であっても、贈与した人が3年以内に死亡すると、相続税が課税されることがあります。

 

贈与税率は相続税率よりも高い

贈与税や相続税は、取得した財産の金額に応じて税率が変わります。

 

例えば贈与税では、課税対象額が200万円以下の場合は10%、300万円以下なら15%、400万円以下なら20%、600万円以下なら30%、1,000万円以下なら40%というように規定されています。

 

基礎控除後の課税価格

税率

控除額

200万円以下

10%

-

300万円以下

15%

10万円

400万円以下

20%

25万円

600万円以下

30%

65万円

1000万円以下

40%

125万円

1500万円以下

45%

175万円

3000万円以下

50%

250万円

3000万円超

55%

400万円

参考:国税庁|No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)

 

相続税の場合、課税対象額が1,000万円以下の場合は10%、3,000万円以下の場合は15%となります。

 

 

表:【平成27年1月1日以後の場合】相続税の速算表

法定相続分に応ずる取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

表:国税庁|No.4155 相続税の税率

 

贈与税と相続税の税率を比較すると、課税対象額が同じであれば相続税の方が、税率が低いということがわかります。

 

贈与税を支払うことで結果的に相続税の節税になる

贈与税率が相続税率よりも高いというのは、先ほども説明したとおりです。しかし、場合によっては生前にあらかじめ贈与しておくことで、相続税を節約することができます。

 

例えば、相続税率30%が適用されるのであれば、より低い贈与税率で贈与することで節税になります。

 

例:相続財産2億円、法定相続人子2人の場合

【2億円 – 基礎控除額:4200万円】÷2= 7,900万円

→ 相続税率:30%

7,900万円 × 30% – 700万円=1,670万円/人

 

【1人1億円のうち毎年500万円を20年間贈与】

500万円 -110万円 = 390万円

→ 贈与税率:20%

390万円 × 20%  –  25万円 = 53万円×20年 = 1,060万円

 

相続税: 1,670万円/人

贈与税: 1,060万円/人

 

つまり、相続税率よりも低い贈与税税率となる金額で毎年少しずつ贈与していけば、結果的に相続税よりも節税できるということになります。

 

しかし、争族リスクがあるのであれば、暦年課税にこだわらず、『損益分岐点』考慮して適切な判断をするべきでしょう。

 

 

贈与税・相続税の節税対策となる18の方法

贈与税と相続税それぞれについて、具体的な節税対策を見ていきます。

 

贈与税の節税効果が見込めるもの

毎年110万円ずつの暦年贈与

贈与税には、暦年贈与と相続時精算課税の2種類があります。暦年贈与では、毎年110万円の控除額以内であれば、贈与税が課税されません。そして、贈与額が増加すればするほど、贈与税率も上昇していきます。

 

この控除を利用し、毎年複数人に対して少しずつ贈与していくことで、自分が死亡した時点での相続財産額を減少させることができます。

 

ただし、毎年同じ時期に同じ金額を贈与していると、一括贈与とみなされて課税されます。そこで、時期や金額を変えながら、毎年贈与契約書を作成して贈与するのがよいでしょう。

 

110万円以上の贈与が節税になるケース

贈与税は、控除後の課税対象額が増えれば増えるほど、税率が大きくなります。したがって、税率が上がらない限度額、つまり200万円、300万円、400万円、600万円、1,000万円、1,500万円、3,000万円以下の限度ギリギリを意識して贈与すれば、結果的に節税することができます。

 

教育資金贈与による非課税枠の活用

祖父母や父母から教育資金の贈与を受ける場合には、金融機関との契約によって1,500万円の控除を受けることができます。この非課税額についても、積極的に活用すべきでしょう。

 

夫婦間の不動産贈与による配偶者控除

夫婦間の不動産贈与による配偶者控除とは、①婚姻期間20年以上の夫婦間で、②居住用不動産やそれを取得するための金銭が贈与され、③贈与を受けた翌年3月15日までに、贈与により取得した居住用不動産に実際に居住していること、という3つの要件を満たした場合に認められる特例です。

 

その効果として、基礎控除110万円に加えて最大2,000万円までの控除を受けることができます。

 

住宅取得等資金の非課税枠

父母や祖父母などからの贈与によって住宅等を取得する場合、一定の要件を満たせば限度額内で非課税となります。

 

要件としては、

  1. 贈与を受けた時点で贈与者の直系尊属であること
  2. 贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
  3. 贈与を受けた年の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること
  4. 贈与税申告(平成26年分まで)で『住宅取得等の資金の非課税』の適用を受けたことがないこと
  5. 自分の配偶者や親族などから住宅用の家屋を取得したのではないこと

などがあります。

 

これらの要件を満たすことで、新築等をする住宅の家屋の種類に応じて、非課税限度額が決定します。

 

結婚・子育て資金非課税枠

2019年3月31日までに、父母や祖父母から結婚や子育ての資金を受け取る場合、金融機関との契約によって、1,000万円までの贈与税が非課税となります。

 

相続時精算課税制度の利用

相続時精算課税制度では、2,500万円まで贈与税がかからず、2,500万円を超えた分については一律20%で課税されます。この制度は、60歳以上の直系尊属から20歳以上の推定相続人(子や孫)への贈与でしか適用できませんが、一度に多額の贈与ができるというメリットがあります。ただし、相続の際に、相続税と納めた贈与税の差額分を納めることになります。

 

相続時精算課税が節税になるのは、将来的に値上がりすると見込まれる財産や収益物件を贈与する場合です。将来的に値上がりする可能性がある財産を早期に贈与することになれば、評価額も当然安く済みます。また、収益物件があらかじめ贈与されれば、そこからの収益が相続人に入ることで、間接的に相続税の節税になるのです。

 

相続税の節税効果が見込めるもの

相続税の配偶者控除

配偶者控除とは、被相続人から配偶者への相続にのみ認められる特別控除をいい、正式名称を配偶者の税額軽減といいます。

 

配偶者控除では、最大1億6,000万円が控除されます。ただし、非課税の対象となるのは、『配偶者の法定相続分』か『1億6,000万円』のうち金額が大きい方となります。つまり、法定相続分として2億円を相続する場合であれば、2億円が非課税となります。

 

ただし、配偶者がすべて相続して相続税を0円に抑えるという方法は、あまりおすすめできません。これは、その後配偶者が死亡して二次相続を行った際に、かえって割高になってしまうことがあるからです。

 

生命保険|死亡保険金にかかる非課税枠

生命保険・死亡保険金は『みなし相続財産』とよばれ、相続税の課税対象となるのが原則です。しかし、相続財産の対象となるこれらの保険では、『500万円×法定相続人の数』までの限度で非課税となる非課税枠を利用することができます。

 

この非課税枠では、契約は保険の加入者(被相続人)が行い、受取人は相続人となります。契約者・受取人の組み合わせに気をつけましょう。

 

不動産による節税

不動産を購入することで、評価額を減少させるのも有効な対策となる場合もあります。例えば、更地を購入して、さらにマンションやアパートを建築すると、土地自体の評価額が減少します。その上で賃貸経営を行えば、収益と節税の両方が見込めるかもしれません。

 

ワンルームマンションの購入

ワンルームマンションの購入は、相続税の評価額を抑えるための手段として有効となる場合もあります。これは、賃貸用ワンルームマンションの評価額が時価の3分の1程度となるためです。

 

小規模住宅地の特例

小規模住宅地の特例とは、事業用・居住用に利用されていた宅地を相続する場合に、限度面積までの部分につき、一定の割合を相続税の課税価格から減額することができる制度です。

 

減額される割合や限度面積は、宅地の種類によって変わります。

宅地の種類

減額割合

限度面積

貸付事業以外の事業用の宅地であり、

かつ、特定事業用宅地等に該当する場合

80%

400㎡

一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業用の宅地であり、

特定同族会社事業用宅地等に該当する場合

貸付事業用宅地等に該当する場合

50%

200㎡

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等であり、

特定居住用宅地等に該当する場合

80%

330㎡

 

広大地の評価

広大地とは、『その地域における標準的な宅地の地積に比して著しく地積が広大で都市計画法第4条12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるもの』を言います(財産評価基本通達24-4)。なお、大規模工場用地やマンション適地はこれに含まれません。

 

大都市圏では、面積が500㎡以上あることが条件になりますが、これらすべてが広大地と認められるわけではありません。経済的観点から、土地の最大限合理的な開発方法として、『戸建て分譲用地』が適した場合で、かつ、土地の中に『潰れ地』(道路になる部分)が必要になる場合に、初めて広大地となるのです。

 

広大地に認められると、その評価額は以下のとおりになります。

 

広大地の価額=正面路線価×広大地補正率×地積

広大地補正率=0.6-0.05×地籍/1,000㎡

 

墓などの非課税財産購入

墓や仏壇、礼拝物は、非課税財産とされています(相続税法12条)。生前から墓を購入しておけば、その代金の分だけ現金や預金で保有していた財産を、墓という非課税財産に変換することができ、相続時点での課税対象額を減額できます。これにより、お金の状態で相続した場合と比べて相続税を節約できます。

 

海外資産の外国税控除

まず、国際相続の原則として、日本にある財産を海外の家族が承継する場合、日本の相続税が課されます。これに対して、海外資産を相続する場合は、状況によって相続税が課されたり課されなかったりします。

 

相続させる被相続人、相続を受ける相続人のどちらかが日本に住んでいる場合、海外資産にも日本の相続税が課されます。海外資産に日本の相続税がかからないのは、両者が10年以上国外に住んでいる場合に限定されます。

 

タックスヘイブン国への移住

相続税を回避するための手段として、タックスヘイブン国に移住してしまうということが考えられます。ただし、これにはいくつかの注意点があります。

 

まず、被相続人だけでなく、相続人の側も移住し、10年間経過する必要があります。これについては、『海外資産の外国税控除』でもご説明した通りです。

 

もう一つは、出国時にも『出国税』が課税されるという点です。出国税では現金には課税されませんが、保有中の有価証券が1億円以上の場合に課税されます。

 

移住のほかにも、タックスヘイブンに設立した会社を経由して親族に贈与するという節税方法もあります。

 

未成年者控除

未成年控除とは、20歳未満の人が相続や遺贈を受けた場合に、【相続人が満20歳になるまでの年数×10万円】だけ相続税控除を受けられるという制度です。20歳になるまでの年数は、1年未満の端数を切り上げて計算します。

 

この控除を受けるには、

  1. 相続時点で日本国内に住所がある、または日本国籍を有しかつ相続開始から5年以内に国内に住所を有したことがある
  2. 未成年である
  3. 法定相続人である

という要件を満たす必要があります。

 

数次相続控除

数次相続控除とは、相続が行われた後10年以内に相続人が死亡し、さらに相続された場合に、相続税を一部控除する制度です。短い期間で相続が続くと、家族単位で見たときに相続財産が立て続けに減少します。これが家族にとっては酷であることから、相続税の負担を軽くしたということです。

 

AからB、BからCに相続された場合で考えてみると、数次相続控除の額は、

【(A→B)の相続で課税された相続税から、(A→B)の相続から(B→C)の相続までの経過年数×10%を減額した額】

となります。

 

まとめ

相続税対策では、先を見通したときに、全体を通して最も節税となる方法を選択することが重要です。複雑でわかりにくく、ご自身での判断が難しいようなら、税理士への相談も検討してみましょう。

 

また、税理士も弁護士も在籍している事務所なら、節税対策はもちろん、相続や贈与に伴うトラブルが発生した際の対応まで、トータルなサービスが期待できます。より安心して相続・贈与に臨みたい、という方におすすめです。

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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