いくら仲の良い親族であっても、お金が絡むことで態度が豹変することは珍しくありません。それが起こりやすいシチュエーションとして知られるのが、遺産相続です。
少しでもトラブルが発生してしまえば、それが骨肉の争いに発展する可能性もないとは言い切れません。
そこで今回は、親族間で起こる遺産相続トラブルに関して独自のアンケートを実施しました。
どれくらいの人がトラブルを経験しているのか?その内容は?といった点に迫るとともに、事前にできる対策についてもお伝えしていきます。
ある・・・31%
ない・・・69%
- 父方の叔父が亡くなり、その叔父に妻子がいなかったことと、すでに自分の父は亡くなっていたことから遺産相続権が発生したことがあります。そのとき、疎遠になっていた伯父の配偶者が出てきて、自分にも遺産を分けるように主張してきて長く揉めました。(滋賀県/女性/44歳)
- 祖父の遺産相続の際に私に残してくれた財産を伯父が勝手に持っていってしまったことがあり、それなりに価値のある物ばかり10点以上あったので、返してくれるようにと何度も言いましたが、持っていったきりで返してくれず、弁護士に相談せざるを得なくなりました。(石川県/女性/41歳)
- 介護に協力もしていない人間が遺産相続のときだけ仕切り出したことでもめました。(兵庫県/女性/45歳)
- 主人の父が亡くなった際に遺産相続をしました。父が亡くなる数日前に親族を病室に呼び、遺産相続について親族全員の前で父から具体的な話がありましたので、みな父の思いを理解したため、親族間でもめなかったのだと思います。また、もめなかった一番の要因は、親族の中にお金に困っている人がいなかったことだと思います。(栃木県/女性/38歳)
- 土地付きの家と田を遺産として残してくれましたが、生前に話し合っておいたため揉めることはありませんでした。(奈良県/男性/37歳)
- 父親が亡くなったときに、生命保険と貯金の総額から葬式代などの費用を引いた上で、法定通りのやり方で遺産相続をしました。(京都府/男性/36歳)
まずは相続における親族間のトラブルに遭遇した方がどれくらいいるのかについて見てみましょう。今回のアンケートでは、おおよそ3割の方が実際にトラブルを経験しているという結果になりました。
コメントを読んでいくと、事情もさまざま。遺産分割にかかわる項目が多い印象です。
一方で、相続トラブルがなかったと答えた方のコメントを見てみると、事前に相続にかかわる話し合いを済ませているケースが多く見られました。もしくは、家族のうち誰かに手続きも含め一任していたり、遺産分割等は行われたものの、とくに揉めることなく済んでいたりすることもあるようです。
こうして見てみると、相続が発生したからと言って必ずトラブルが起こるとは言えません。しかし、認識の違いや利害関係などによって、親族間の争いに発展することも珍しくはないのですね。
- 遺産分割の割合を相談する以前に勝手に自分の物にしようとした兄弟がいたのでトラブルになりました。(奈良県/男性/33歳)
- 最低限、介護費用分は遺産分割の際に上乗せすべきだという主張と平等に分けるべきだという主張がぶつかるトラブルがありました。(兵庫県/女性/45歳)
- 一人だけ多くて他の親族たちが少ないなど、公平でなかったので親族間でもめました。(千葉県/女性/37歳)
- 不動産を売却せずに、不動産を相続した人が時価に応じて他の相続者に現金で支払うことになりました。しかし現金で全額用意できなかったため、一部だけしか受け取れませんでした。(栃木県/女性/31歳)
- 相続税法における配偶者控除など、特定の人に遺産を継承してもらったほうがメリットがある制度が存在する中で、居宅など高額な遺産をみずから相続せずに子供に譲るなどの考えを翻意させるのに苦労した。(茨城県/男性/44歳)
- 少しでもお金に変えた方が良いという意見と生まれ育った家なので残しておきたいという意見で親族間でもめました。(京都府/男性/55歳)
- 遺言書が見つかってからはその法的な有効性について少しトラブルがありましたが、法的な有効性が確認されてからはスムーズに進みました。(茨城県/男性/36歳)
- 兄にすべてを譲ると書かれた遺言書でトラブルになりました。(愛知県/女性/44歳)
- 不動産に関する遺言状が存在したことで故人の意思を尊重すべきかとてももめ、トラブルの原因となりました。(東京都/男性/42歳)
次に取ったアンケートでは、より具体的に親族間で起こった相続トラブルの内容について伺いました。
1位になったのは「遺産分割の割合」。本来、遺産分割の割合というのは法によって定められています。
とくに問題がなければその割合が適用されるのですが、コメントを見てみると、故人の介護に当たっていた家族が割合に関する意見を言ったり、相談もなく不公平な分配が行われたりしたのが火種となったよう。
皆さん基本的には平等に分けたいという想いはもっているものの、それを覆す親族の登場によりトラブルが発生するのだということが伝わってきます。
ただし、2位の土地・不動産については少し事情が異なります。土地や不動産を均等に割ることはできず、どうしても遺産分割の割合の大小が出てしまうからです。
できるだけ平等にするためには売却をするのが分かりやすいのですが、そもそも売るか売らないかという点で揉めることも少なくないよう。
結果的に、相続した人が不平等を埋めるために他の相続人へ現金を支払うといった措置が取られることもありますが、不動産は金額が大きいのでここでも問題が起こりやすいと言えるでしょう。
また、3位になった遺言状も、もめ事の火種になりやすいものです。そこに書かれている内容に不満がある人がいると、遺言状の法的な有効性等について確認が必要になったり、文言の解釈などについて認識を合わせたりといった手間が必要になることも。
実際に、遺言状に不備が見つかって正当性が否定されるケースもあるようです。
「うちの親族に限って、トラブルなんて…」と思われている方も少なくないでしょう。しかし、アンケートの結果を見てもわかるとおり、3割以上の方が実際にトラブルを経験しています。
こうした事態を避けるためには、事前に対策を練っておくことが大切です。
遺産相続が発生したときに困るのが故人の資産把握です。土地や自動車など見て分かるものだけでなく、有価証券や住宅ローン、生命保険にいたるまで、すべての資産を目録にしておきましょう。
2015年に増額された相続税。しかし、あくまでもこれは条件に当てはまる場合のみであり、人によっては納税が不要ということも少なくありません。相続税について把握しておくと、遺産相続の話し合いの席などで無用のトラブルを防げます。
遺産相続には法定相続と呼ばれる決められた割合があります。たとえば子供が2人いる家庭の旦那さんが亡くなってしまったとき。
この場合は、奧さんに1/2、子供にそれぞれ1/4ずつ全財産が分配されます。
なお、この割合は話し合いで変更可能ですが、一般的に言われる“平等”の指標として捉えるために、知っておいて損はありません。
遺産相続は、被相続人が多ければ多いだけ揉める可能性も高くなります。そのため、相続人の人数を確定させておくのは非常に大切です。具体的には、戸籍謄本や除籍謄本といったものを使う方法があります。
被相続人同士のコミュニケーションに勝る潤滑油はありません。それぞれの関係性が構築できてさえいれば、実は遺産相続のトラブルの多くは防げます。
一方、それぞれが疑心暗鬼になり、疑いの目で話し合いを続けていればまとまるものもまとまりません。
普段からお互いに連絡を取り合い、良好な関係を築けるよう努めましょう。
遺産相続に関する問題は世の中に数多く存在します。
大切な家族が亡くなり失意の最中、さらに追い打ちを掛けるような親族との争いが勃発するというのは、心身に大きな負荷をかけるでしょう。
親族と円満に遺産相続手続きを進めていくためには、トラブルの起こる条件や、それを回避するための対策について知っておくのが大切です。
今回ご紹介した内容を参考に、将来に向けて心構えを作っておきましょう。
相続問題に詳しい弁護士を探す 初回の面談相談無料・休日/夜間対応可能の事務所も多数掲載 |
|
北海道・東北 |
|
関東 |
|
北陸・甲信越 |
|
東海 |
|
関西 |
|
中国・四国 |
|
九州・沖縄 |
|
【迷っている方へ】弁護士に相談するとどんな風に相続問題が解決する? |
遺産相続のトラブルはどう解決すれば良い?とお悩みの方へ
故人を悲しむ暇もなく、必ずやってくるのが遺産相続です。そもそも遺産額はどうやって把握するのか?相続人は誰で、どのくらいの割合で分ければ良いのか?とりあえず相続人を集めてみたものの、各々が自分の取り分を主張して、満足のいく相続ができなかった事例は多くあります。