仏壇は住宅などと同じように「一生に一回の買い物」と言われており、何度も買い換えるものではありません。
そのため、長い付き合いをする仏壇の選び方には慎重になった方が良いのですが、「どのようなお仏壇を選べばよいのか」「どこに置けばよいのか」また、「どこのお店に行ったらいいかわからない」などの様々な疑問に直面し、悩んでいる方も多いと思います。
仏壇の値段もまちまちで、50,000円のものもあれば300万円もするものまであります。そこで重要なのが仏壇の選び方をしっかりと把握しておくことになります。
納得のいく仏壇を購入する秘訣は、「①販売する仏壇店を選択する眼を養うこと」「②選び方を知っておき、相談をすること」と言われていますが、最終的な決断はあなたや周囲の判断になりますので、仏壇を選ぶ時の参考になるように、今回は仏壇の選び方についてご紹介していきます。
まずは仏壇選びをする際の基礎知識からご紹介していこうと思います。
今日の仏壇の意味は変わってきており、宗教的な祭壇というよりは亡くなった家族の象徴、あるいはご先祖への敬意と感謝を象表すものとも言えます。もともと仏壇は人が亡くなったから必要になるというものではなく、祈りの象徴であったり、精神的なよりどころといった意味合いが強いと言われています。
精神的なよりどころであるもののため、「仏壇を購入する時期に良い悪いはありません。」ただ、家族に不幸があった場合は、四十九日の法要までにお求めになるのがタイミングとしては良いかと思います。
それ以外としては、お盆・お彼岸・年回忌などのタイミングもありますし、家の新築などする際に機縁として購入させる方も多いですね。
仏壇には大きく分けて『金仏壇』『唐木仏壇』『家具調仏壇』『厨子型仏壇』のそれぞれ特徴の違うタイプが4つあります。
どれを選ばなくてはいけないということはなく、仏壇を設置するお部屋の雰囲気にあわせて選んでいただければと思いますが、詳しい内容は「仏壇を形で選ぶ場合」をご覧いただければと思います。
「北向きが避けたほうがよい」と言われることがありますが、それは風通しや日当たりの具合から言われていることですので、他に理由はありません。
仏壇の置き場所を考える場合、「東西南北いずくんぞ心にかやすからんbyお釈迦様」のように、東西南北どのむきでも(仏法を)大事にすれば心は安らかであると言われています。
ですので、伝統的な仏壇の場所や向きにこだわることはありませんが、「家族揃ってお参りできる場所」に安置されることをおすすめします。例えば居間など、 ご家族が集まる場所がいいのですね。
ただし、湿気がとくに高いところ、火気の近くなど仏壇が傷んでしまう場所は避けていただき、棚やタンスの上に置くなどの工夫もできます。小型仏壇などは、眼より少し上にご本尊が拝ませるよう高さに調節などすれば、家が狭いから置けないということはないでしょう。
ただ、新築する際にご購入をお考えの場合は、「仏壇のサイズに合わせて仏間を造る」のをお勧めします。お仏間のサイズとご予算を両立できる商品は、200基に1基位の割合になると言われていますので、前もって購入する仏壇が決まっている場合は、その仏壇のサイズに合わせて仏間を造ってもらえます。
仏壇を安置する場所の高さ、巾、奥行などをきちんと測っておきましょう。仏壇の扉は両側に開く観音開きですので、本体の寸法だけでなく、特に仏間に納める場合には、仏間の内側の寸法を正確に測っておきましょう。
もう一つ大切なことは、お寺の中心がご本尊であるように、お仏壇の中央にはご本尊を安置します。
ご本尊(ごほんそん)とは、信仰上もっとも尊ぶべき礼拝の対象のことで、仏壇には正面に柱で区切られた3つの壇が設けられており、その中央にご安置するのが、ご本尊になります。
左右の壇には「お脇懸(脇仏)」をご安置しますが、ご本尊や脇懸(脇仏)は、菩提寺(その家が属する寺)の宗派によって異なります。
宗派 |
脇仏(左) |
本尊 |
枠仏(右) |
浄土真宗(本願寺派) |
蓮如上人 |
阿弥陀如来 |
親鸞聖人 |
浄土真宗(大谷派) |
十字名号 |
阿弥陀如来 |
九字名号 |
浄土宗 |
法然上人 |
阿弥陀如来 |
善導大師 |
真言宗 |
不動明王 |
大日如来 |
弘法大師 |
天台宗 |
伝教大師 |
釈迦牟尼如来 |
智者大師 |
曹洞宗 |
常済大師 |
釈迦牟尼如来 |
承陽大師 |
臨済宗 |
普賢菩薩 |
釈迦牟尼如来 |
文殊菩薩 |
日蓮宗 |
鬼子母神 |
大曼荼羅 |
大黒天 |
仏壇を購入する際は、宗派名や菩提寺をはっきりつげてください。ご本尊は菩提寺を通して本山から受ける宗派もありますので、菩提寺様や仏壇販売店とご相談をして決めるが良いでしょう。
まずは、「仏壇選びでこれだけは抑えるポイント」としては、「仏壇を置いた時の空間全体の雰囲気が良いこと」が仏壇選びで何よりも重要なことになります。
先ほどご説明したように、仏壇は故人を偲ぶ家族のためのものです。
仏壇を購入される方の感覚などを一番に考えるのは当然ですね。次に木の材質、作り具合、値段、場所、宗派という優先度で見ていくと良いかと思いますが、これも絶対ではありませんので、基本的には自由に決めましょう。
何軒かの仏壇専門店を見て歩き、しっかりと説明をお聞きになることをお勧めします。
基本的に伝統的な仏壇は全体に黒の漆塗りが施され、内部に金箔が貼ってある金仏壇と、黒檀や紫檀といった銘木の美しい木目を活かした唐木仏壇に分けられます。
その他にも、「家具調仏壇」「厨子型仏壇」と言ったものがありますが、お仏壇を購入する際は、ご自分の希望や家の事情を踏まえた上で、どの形のお仏壇を選べばいいかを決める必要があります。
引用元:一心堂
金仏壇とは、白木を素地に漆やカシューなどで仕上げ、金箔や金粉で装飾を施した仏壇のこと。「塗り仏壇」とも呼ばれています。
金仏壇は宗派によって形状・内部のつくりが大きく異なっています。また、加賀蒔絵をふんだんに用いた金沢仏壇や、台の部分が高く、「まくり」を備えた名古屋仏壇など、各産地によっても、それぞれに特徴が見られます。 |
唐木仏壇とは、黒檀や紫檀などの輸入銘木や、ケヤキや桑などの国産の銘木を使い、木材の木目を生かして造られた仏壇のことをいいます。
引用元:松尾仏具
宗派による形の違いはありませんが、あっさりとしたつくりの東京仏壇、内部が三方金で飾られた大阪唐木仏壇など地域による違いがあり、家具調仏壇に近い形状のものなど、伝統と現代をミックスさせた製品も多く造られています。 |
家具調仏壇(かぐちょうぶつだん)は仏壇の1つ。 20世紀後半の日本の都会型住居に合うようにデザインされたもので、都市型仏壇ともいう。多くの唐木仏壇メーカーからモダン仏壇・新仏壇・京モダン仏壇などがある。
引用元:wikipedia
厨子(ずし)は、仏像・仏舎利・教典・位牌などを中に安置する仏具の一種である。広義では仏壇も厨子に含まれる。 概要[編集]. 正面に観音開きの扉が付く。漆塗りのものや、唐木、プラスチック製がある。
引用元:wikipedia
仏壇は一体いくらの値段のものを買えば良いのか。年収の何%や家の建築費の何%を目安に語る方もいますが、もちろんそんな決まりはありません。
宗派や地域に合ったお仏壇の種類や仏壇に対する考え方の違いによっても、値段は大きく変わってきます。例えば、金仏壇は唐木仏壇に比べて2~3倍の値段がするのが相場です。
一般に高いお仏壇ほど長持ちしますが、いつまで使おうと考えているのかも一つの判断材料になるでしょう。1年や5年で買い換えようと考える方はいないと思いますが、例えば「ミニ仏壇」と言われる(お値段:約5万円前後)比較的安いものでも10年単位で使用することができます。
また、お仏壇には必ず仏具が必要です、値段を考える場合は、仏具のことも考えて、仏壇の表示価格はお仏壇だけの値段なのか、仏具込みの値段なのかを確認しておく必要があるでしょう。
お仏壇を和室に置くのか洋室に置くのか、また仏間に置くのか家具やサイドボードの上に置くのかによって選ぶお仏壇も変わってくるでしょう。
それと同時に、お仏壇へのお参りの仕方、つまり床に正座してお参りするのか、椅子に座ってお参りするのか、あるいは立ってお参りするのかなど、お参りをする状況も考えておく必要がありますね。
畳に正座したままお参りをするのがつらいため場合を考えて、洋間で椅子に座りながらお参りできるお仏壇を選ぶという方も増えてきています。立ち座りといった動作がつらい方がいる場合は、椅子に座ったままできる仏壇を検討されてみてはいかがでしょうか?
お仏壇の購入時に仏教の信仰を重視している方、ほとんど仏教について意識していない方、仏教以外の宗教の方、無宗教の方がおられるかと思いますが、その宗派によっても仏壇の選び方は変わってきます。
ほとんどの方は特に指定もないかとは思いますが、先祖が特定の宗教に準じている場合は、宗派で選ぶことが必要になるかもしれませんね。
例えば伝統型仏壇は、ご本尊・脇侍を安置し、仏具によって荘厳(しょうごん)するように作られた仏壇です。仏教の信仰や宗派によるお祀りを重視される方にとって、伝統型のお仏壇はよい選択肢だと言えるでしょう。
仏壇は50万円以上する場合もあり、かなり高価な買い物になります。主材がどのような工法で作られているかによって、お仏壇の品質、値段は大きく変ります。
ホームページを見て、お店の研究をするのも有効で、安いお仏壇を買うのならネットショッピングという手もありますが、なるべく実際のお仏壇に触れて確かめ、お店の人と話をしてからの方がいいでしょう。
仏壇業界では「仏壇公正取引協議会」というものが出来ており、そこの加盟店舗は原産国や原木、また価格をはっきりとウソ偽りなく明示しないといけないという規定があります。
参考:仏壇の表示に関する公正競争規約及び同施行規則(PDF)
仏壇公正取引協議会は、協議会会員であることを示す会員証書のほかに、協議会加盟店であることを示す店頭ステッカーを配布します。店頭ステッカーにより、表示の適正化を推進する仏壇店として一般消費者にアピールすることができます。
一般消費者にとっては、適正な品質表示・原産国表示を行う仏壇店の目印となり、仏壇店選びの基準となります。
引用元:仏壇公正取引協議会
加盟自体は各仏壇店の判断にもよりますが、まず第一に仏壇公正取引協議会のステッカーが貼ってあるお店を選んでいただくのが安心ですね。
まず、当たり前ですが、店内やお仏壇をきれいに掃除しているお店がいいでしょう。お仏壇を丁寧に扱っているかどうかは良いお仏壇店の前提条件です。
お仏壇は、一般の人にはその価値の判断が難しいものです。そのため、質問や疑問に対して納得のいくまで答えてくれるお店であることが重要です。尋ねたことにしっかりと答えてくれて、扱っている商品に自信を持っているお店なら、質問には誠意を持って答えてくれるはずです。その上で、「お客様には、この仏壇がおすすめです」と言ってくれるお店が信頼できるお店です。
各お仏壇の商品説明に仏壇の産地やメーカー、材質・品質や工法などを書いているかどうかもポイントです。また、書かれていかなったとしても、尋ねてみてちゃんと説明できる店員のいるお店を選ぶべきですね。
仏壇は30~50年使い続けるものですので、ほとんどの方にとっては一生のお買い物になります。長く使っていくものなので、アフターサービスや保証がしっかりしているかどうかも確かめましょう。
「50%OFF」「70%OFF!」などの大幅な値引きをしている販売業者がいますが、重要なのは、曖昧な売価表示でお客を惑わしていないか、ということです。
仏壇には定価というものがなく、それぞれのお店が自由に付けることができますので、そういったお店は、高い定価をつけている、あるいは仏壇の価値は低いものだと、言っているようなものです。インターネットで購入を検討されている場合は特に注意しましょう。
いかがでしたでしょうか。
仏壇の選び方には幾つかの方法がありますが、最終的にはあなたや周りの親族が気に入るかどうかですので、今回の内容を参考に、後悔のしない素敵な買い物をしていただければと思います。
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遺産相続のトラブルはどう解決すれば良い?とお悩みの方へ
故人を悲しむ暇もなく、必ずやってくるのが遺産相続です。そもそも遺産額はどうやって把握するのか?相続人は誰で、どのくらいの割合で分ければ良いのか?とりあえず相続人を集めてみたものの、各々が自分の取り分を主張して、満足のいく相続ができなかった事例は多くあります。