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公開日:2020.9.2  更新日:2023.3.27

【取材】終活ライフケアプランナー×理学療法士の視点から見た終活を聞いてみました!

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私たちベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)では、主に相続=お金をテーマに情報発信をしています。しかし、老後や亡くなった後にはお金だけでなく、「老後の生活・介護・葬儀・お墓」など考えることは多岐に渡ります。

 

ひとつひとつの専門家はすでによく知られていますが、それら全てを総合的に相談できる専門家もあります。

 

そのひとつに終活ライフケアプランナーがあります。

 

今回は終活ライフケアプランナーや理学療法士として活躍中の植咲えみさんに、終活のリアルについてじっくりお伺いしました。
年代を問わず、終活に興味を持っている方にとって非常に役に立つお話が盛り沢山です!
 

植咲えみさんのご紹介

インタビュアー:酒井(ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部)

酒井:本日はどうぞよろしくお願いいたします!

 

植咲:よろしくお願いいたします!

 

酒井:まず初めに、自己紹介をお願いします。

 

植咲:終活ライフケアプランナーで理学療法士の植咲えみです。終活ライフケアプランナーとしては主に終活の講演をしたり、エンディングノートの書き方を教えたりしています。また、理学療法士としては介護予防・認知症対策事業に携わっています。

 

酒井:なるほど、2軸で活動されているんですね!

 

植咲:一見2軸に見えるかもしれませんが、私はよりよく生きるための身体づくりや認知症予防というのは、実は終活の一部であると思っています。

 

元々は病院で理学療法士として働く中で患者様の看取りや孤独死の問題に直面し終活に興味を持ちましたが、今ではこれからの人生をより充実させるための手段として終活を活用してもらいたいと思い終活の啓蒙活動を行うようになりました。

 

そもそも終活とは?

酒井:改めて、終活とはどんな活動でしょうか?

 

植咲:元々は2009年に週刊朝日から生まれた造語なので、これっていう決まった定義は実はないんですよね。ただ、私が考える終活を言葉で表すとすれば、「人生の最後を考えることを通して、自分をみつめ、今をよりよく、自分らしく生きる活動」のことです。

 

具体的には、医療や介護の希望を決めること、身の回りの整理、相続、葬儀、お墓など多岐に渡ります。やることが多いが故に、何から始めていいかわからない人も多いかもしれません。

 

これまでの終活は葬儀やお墓など人生の最期のための準備ばかりクローズアップされてきたために、縁起でもないという人も多く、浸透しづらい状況にありました。しかし、人生100年時代が浸透してからは、段々と生にもフォーカスされるようになってきました。そこから様々な年代の人にも終活が拡がっていったように思います。

 

酒井:確かに生にフォーカスするとポジティブに考えやすいですよね。

 

終活ライフケアプランナーの仕事

酒井:植咲さんは終活ライフケアプランナーとしてどのような活動されていますか?

 

植咲:多くの方がまだ終活というものが何なのかを知らない状況なので、まずは終活の知識を拡めるために、講演をしたりエンディングノートの書き方を教えたりするのが中心です。人生の中でちょっと立ち止まって考えるきっかけになればいいなと思っています。


例えば、保険に関する悩みがあった場合、その相談窓口はパッと思いつきますよね。でも、終活の窓口というとどこに相談していいのか思いつかない方が多いのではないでしょうか。そんな窓口のひとつが、私のような終活ライフケアプランナーです。

 

実は終活の資格を持っている方の中には保険やご葬儀関係などご自身でサービスを持っている方も多いのですが、そういった方は自分の仕事の幅を広げるために資格をとっていることが多いです。なので中立的に終活について相談に乗ってくれたり、教えてくれる人は全国的にもまだまだ少ない状況にあります。

 

酒井:葬儀屋の方なんかも資格を取っているのは意外でした。ちなみに、終活といえばエンディングノートがよく挙げられますが、書き切るのは結構大変なんじゃないでしょうか?

 

植咲:そうなんです。実は書き切れる人はとっても少なくて、講演でとったアンケートだと5%ぐらいの方しか書き切れてないんですよね。ほとんどの方が途中で止めてしまっています。

 

酒井:そんなに少ないんですね!書き切れる方とそうでない方にはどんな違いがあるのでしょうか?

 

植咲:書き切れた方に話を聞くと、「親を看取ったときに大変な思いをした、子供には自分のような大変な思いをさせたくない」といった死について強い自覚を持っています。やっぱりこういった自覚がないと自分だけの力で書き切るのは難しいのではないでしょうか。

 

医療介護の知識・経験が役立つこと

酒井:植咲さんはこれまで理学療法士として医療介護に長く携わってこられましたが、その知識・経験が役立つのはどのようなときでしょうか?

 

植咲:もともと理学療法士というのは、その人がどんな人生を歩んできたのかに耳を傾けて治療をして、これからの人生を一緒に考える職業ですから、そこで培ってきた経験は終活での相談業務にも役立っています。

 

また病気になってからの生活がどうなるかを具体的に知っているので、その経験から元気なうちに終活をすべき重要性を伝えることができます。さらには老後を健康に過ごすために医療の視点からアドバイスができるのは、他の方との大きな違いではないでしょうか。


例えば、認知症になってからは終活は難しくなるので、それまでに終活を済ませましょう、といったことをお伝えしています。

 

終活を始めるきっかけ

酒井:どんなことがきっかけで終活を始めることが多いでしょうか?

 

植咲:私のセミナーに来る方は60前後の方が多く、定年を迎える頃、第2の人生を考える時にそろそろと思う方が多いようです。親の相続を経験したことがきっかけだったり、子供が巣立って夫婦ふたりで住み替えるために家の売却を考えるタイミングなどでも終活へ関心を持つことが多いですね。

 

酒井:なるほど。お金が絡むとやはり関心を持ちますよね。

 

植咲:私は終活への関心の持ち方は様々でいいと思うんです。例えば、日本ってなぜか若者でも保険に入っている人が多いですよね?

 

これってすでにもしものときのお金に備えているわけです。金融庁が2019年に報告した老後2000万円問題も若い世代の関心は非常に高かったように思います。お金への関心は若いうちから持っているものなので、実は備えることってお金だけじゃないと気づいて視野が広がれば、終活も自然と進んでいくものだと思います。

 

酒井:なるほど。ちなみに、ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)では30代・40代の読者も多いのですが、こういった若い世代がお金以外で関心を持つのはどのようなときでしょうか?

 

植咲:自分の終活ではなくて、親の終活がきっかけで関心を持つことも多いですね。40代になると親が70歳ぐらいになるので、病気や入院といったことが起こりますよね。親がいつまでも元気でいるとは限らないと気づくわけです。

 

これは意外なことかもしれませんが、私のセミナーには当事者だけではなく、家族や支援する医療介護関係者の受講も多いんです。このことからも、周りの人がきっかけで終活に関心を持つ人が多いというのが伺えますね。

 

酒井:当事者が少ないというのは本当に意外でした、、!

 

終活は何から始めればいい?

酒井:終活に興味を持っている人は何から始めるのがいいのでしょうか?

 

植咲:まず始めやすいのはエンディングノートを書くことですよね。エンディングノートは大切な人に自分の大切なことを伝えるために書くものですが、同時に自分の考えを整理することもできるからです。書店に行けば100冊ほどズラっと並んでいることもよく見るようになりました。最近ではアプリもありますが、まだまだ紙がよく使われている印象です。

 

酒井:そんなにも種類があるんですね。若い人におすすめのことはありますか?

 

植咲:若い人だとこれから結婚するのか、子供は何人できるのか、家を買うのか買わないのかなどわからないことだらけですよね。だから、人生の最期なんてまだまだ想像もできないのでエンディングノートを埋めるのはとても難しいことだと思います。

 

ですが若い方のほとんどがスマホに個人情報が入っていて、もしものときにその情報は取り出すことができません。もしものときに大切な人が困らないことを前提に、アナログデータに備忘録として書き出しておくことをおすすめします。


特に若い方のほとんどがスマホやパソコンを持っていると思うので、自分が死んでからそのデータが一体どうなるのか、一度考えてみるのもいいのではないでしょうか。
 

お一人様の終活が増えている

酒井:もし終活にトレンドがあれば教えていただけますか?

 

植咲:医療介護関係者の視点だと、今お一人様にまつわるサービスが増えています。家族がいるのであれば、なんだかんだ家族がいろいろ対応してくれますが、お一人様だとなんらかのサービスに頼るしかありません。


昔は大家族が多かったり、近所の繋がりも強かったので困ることも少なかったのだと思いますが、最近では核家族化や一人暮らしが増えていることが影響しているのでしょうね。

 

酒井:これからその問題はもっと深刻になっていきそうですね。しかし、サービスが多いとその分サービス選びも大変そうですね。

 

植咲:そうなんです。終活は施設を選ぶ、片付けをお願いする、葬儀会社を選ぶ、相続の相談をするなどいずれも業者選びの連続です。

 

例えば、相続は弁護士・司法書士・税理士のうち、どの職種に依頼すべきか、さらにはどの事務所に依頼すべきか素人にはわかりません。それがわかりやすくなるといいですね。

 

酒井:なるほど、そういった情報はまだまだ不足しているということですね。

 

終活を検討している方へメッセージ

酒井:最期に終活を検討している方へメッセージをお願いします。

 

植咲:何より終活を始めるのに早すぎるということはない、ということをお伝えしたいです。何歳であっても、自分が気になったタイミングが始めどきです。もしものことは誰にでもいつか起こることなので、自分のため、そして家族のために、できること・気になったことから少しずつでも終活を始めてもらえると嬉しいですね。

 

イベントのお知らせ

植咲さんは現在Zoomで以下のイベントを開催しております。


・はじめての終活セミナー
・はじめてのエンディングノート書き方講座
・オンライン個別相談

 

ご興味のある方は以下URLよりお申し込みください!

URL:https://mosh.jp/uesaki/home

 

【植崎えみさんの経歴】

理学療法士として総合病院に15年間勤務し、急性期から在宅まで1200人以上をサポート。
リハビリテーション科の課長としても多くの人材育成に携わる。
介護保険分野、地域の医療福祉を専門的に学び、介護支援専門員資格、理学療法士の上位資格である認定理学療法士を取得。
自身の担当した患者様の看取りや孤独死の問題に直面し、「終活」に強い関心を持つ。
よりよく生きるための身体づくりが終活の一環として重要であると考え、現在は介護予防・認知症対策事業に携わる。
終活ライフケアプランナーとして、終活に関する講演やエンディングノートの書き方教室を開催。
エンディングノートを1人で書けない方のための個別指導「エンディングノートの家庭教師」サービスを立ち上げる。
元気なうちに終活をして、今をもっと充実させるための終活サイト「元気な終活」を運営 

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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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