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公開日:2018.6.21  更新日:2023.3.27
弁護士監修記事

音楽バンドの作詞家・作曲者が死んだ後の権利収益はだれの物?

アーティストは著作権という権利で収入を得て生活しています。例えば音楽バンドにおいてボーカルが作詞・作曲を担当し、他のメンバーは演奏するのみ、という場合、ボーカルが亡くなった後の権利収入を得るのはだれなのでしょうか?

 

そもそも、作詞・作曲をした人以外のメンバーも、印税などの収入があるのか…併せて考えてみましょう。

 

CDの印税って他のメンバーももらえるの?

著作者が保持している権利のことを『著作権』といいます。作品は、作詞・作曲 → 歌唱(実演) → 録音 → 伝達という過程を経て人々のもとへと届きます。この過程の中で『作詞・作曲』に著作権が発生することはすぐわかりますね。ではそれ以外に対してはどうでしょうか。

 

創作しただけでは世の中の人たちに伝わらないため、『歌唱(実演)』や『録音(製作)』、『伝達・媒介』を行うとして『著作隣接権』という権利が与えられており、実演者・レコード会社などがこれにあたります。

 

著作権法上『実演』とは『著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、またはその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む)』をいい、『実演家』とは『俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者および実演を指揮し、または演出する者』を指します。

 

上記のことから、音楽バンドのボーカルが作詞・作曲・歌唱を担当していたとしても、他のメンバーも印税を受け取る権利があるとわかります。

 

『著作権』や『著作隣接権』って、 ほかの人へ譲渡・相続できるもの?

著作権を相続することは可能です。著作権は被相続人の財産であるため、これを他人に譲渡、または相続することができ、法定相続人が受け取ります

 

遺言によって別の人が受け取る場合もあります。これらについては著作権法上明確に定められています(103条による61条1項の準用)。この場合も、他のメンバーの権利収入はそのまま変わらず継続します。

 

相続税を支払わなければならない

著作権が相続の対象となれば、当然相続税の対象となり、評価額を計算する必要があります。評価額は国税庁によって以下のようにその計算方法が決められています。

 

年間平均印税収入額×0.5×評価倍率

 

何年間受け取れる?

著作権法はその51条2項において、著作権の存続期間を原則として著作者の死後から50年を経過するまでの間としています。その間はそれを受け継いだ人に著作者と同じ権利が与えられます。

 

まとめ

音楽作品などの著作物に与えられる著作権も相続財産になることがわかりました。

 

亡くなってもなお、楽曲が売れたり、カラオケで歌われたりすることで、法定相続人は50年間権利収入を得ることができます。例えば親が偉大なアーティストであれば、それだけで生活することも可能なのかもしれません。うらやましい!

 

この記事の監修者
弁護士法人プラム綜合法律事務所
梅澤康二 弁護士 (第二東京弁護士会)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所を経て2014年8月にプラム綜合法律事務所を設立。企業法務から一般民事、刑事事件まで総合的なリーガルサービスを提供している。

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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
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本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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