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不動産の活用で相続税対策になる5つの理由|節税効果のある方法まとめ
2017年06月16日

不動産の活用で相続税対策になる5つの理由|節税効果のある方法まとめ

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遺産相続の時に課せられる相続税を減らす方法として、賃貸アパートの購入が効果的であるとされていますが、その理由を簡単にいうと、現金と比較した相続税上の評価額が低くなるということになります。

 

相続財産が多額になるほど適用される相続税率が高くなるため、様々な方法による相続税対策を知っておくべきでしょう。そこで今回は不動産の活用による相続税対策と併せて、生前贈与など他の方法による節税についても解説していきます。

 

不動産の活用が相続税対策として効果的である5つの理由

支払う相続税を減らすためには課税対象になる相続財産(課税財産)の評価総額を減らす必要がありますが、現金をそのまま相続するより不動産に換えた方が相続財産の評価総額を下げられる理由について以下でまとめました。

 

【関連記事】

▶「今からでもできる相続税を抑える19の方法

▶「マンションの相続税対策|節税の手順とできるだけ節税に繋げる裏知識

▶「住宅を相続する場合の相続税対策

 

理由1|土地の評価額が20%~30%程度下がる

不動産を相続した場合は、実際に売買された時価(実勢価格)とは違う基準の価格が相続税を算出する基準になります。

 

土地の評価額では国税庁が決定している価格(路線価)が評価基準になり、目安としては時価の70%~80%程度になるため、実際に支払った土地価格より20%~30%程度下がることが期待できます。
参考:「土地評価額の調べ方

 

理由2|建物の評価額が最大で50%程度下がる

また、建物の評価額では一般的に固定資産評価額が利用されており、最大で時価の50%程度まで下がることがあるので、実際に支出した建築費の半分が評価額になる傾向にあります。
参考:「固定資産税評価額を使った不動産取得税などの計算まとめ

 

理由3|不動産(アパート)を第三者へ賃貸することによる節税効果

上記の土地と建物の評価額基準に加えて、アパートやマンションなどの不動産を第三者へ貸し出す賃貸物件である場合、評価額がさらに30%減少します。

※相続税評価額の計算で適用される30%の減額割合のことを、借地権割合といいます。
参考:「国税庁 アパート等の貸家の評価

 

したがって、以上の相続税評価額における参考基準をまとめると以下表の通りになります。賃貸で利用した場合は自己利用における評価基準と重複するため、さらに評価額が下がることが分かります。

 

《時価と比較した評価額の参考基準》

不動産の用途

自宅などで利用する場合

賃貸で利用する場合

土地

70%~80%

50%~55%

建物

50%

35%

 

 

理由4|小規模宅地等の特例を適用

小規模宅地の特例を利用した場合も節税効果が高く、以下表の通り宅地の種類と面積に応じて評価額の減額率が定められています。

 

詳しくは『小規模宅地の特例で土地の評価額が80%下がる|条件と計算方法』の記事をご確認いただければと思いますが、評価額が低くなる賃貸アパートの場合でも200平方メートルを限度に土地の評価額が50%減少するため、非常に有効だと思われます。

 

宅地の種類

上限面積

減額率

居住用宅地

330㎡

80%

事業用宅地

400㎡

80%

貸付事業用宅地

200㎡

50%

参考:「小規模宅地の特例の計算方法と計算例

 

理由5|親名義(親の現金)で建物を建てられる

不動産を利用した相続税対策では、特に賃貸物件の活用で節税になることがお分かりいただけたかと思いますが、一つ注意点として土地の購入や建築では親(被相続人)の現金を利用して親名義で不動産を作ることが重要となります。

 

以上で説明した相続税対策はあくまで被相続人の財産を現金から不動産という形に変えて相続することが前提になるため、子供の名義で建てた場合には生前贈与に該当し、贈与税が発生してしまいます。

 

ですので、基本的には親名義で不動産を得ることが必要となりますが、生前贈与の場合でも相続税対策として有効になるケースもあるので、生前贈与における節税のポイントについて『生前贈与を利用する相続税対策』で別途解説したいと思います。

 

{現金と不動産、どちらがどのくらいお得!?}不動産を活用した場合の相続税評価額シミュレーション比較

不動産の活用が相続税対策として有効である理由について取り上げましたが、節税効果のイメージを具体的にするために、以下ではシミュレーション比較をしてみました。

 

なお、今回は相続税の課税対象になる課税財産額を基準に比較しますが、相続税の具体的な算出方法については関連記事をご参考ください。

 

【関連記事】

▶「土地の相続税と計算方法|今からでも間に合う節税の知識

▶「相続税を簡単に計算する方法と控除を利用した節税方法まとめ

 

現金をそのまま相続した場合

シミュレーションでは現金1億円を相続したケースを仮定しますが、以下では6,000万円の建物と4,000万円の土地を購入した場合の相続税評価額を算出します。

 

現金を自宅用不動産に換えて相続した場合

現金を自宅用不動産に換えた場合の評価額算出は以下表の通りであり、建物と土地を合計すると3,640万円の相続税評価額になることが分かります。

 

6,000万円で購入した
建物の評価額

固定資産評価額:50%に減少
6,000万円×0.5× = 3,000万円

4,000万円で購入した
土地の評価額

路線価における評価額:80%に減少
小規模宅地の特例:20%に減少
4,000万円×0.8×0.2 = 640万円

 

現金を賃貸用不動産に換えて相続した場合

また、現金を賃貸アパートなどの不動産投資物件に換えた場合、相続税評価額はさらに下がり合計で3,220万円になることが分かります。

 

ただし、今回は比較を分かりやすくするために賃貸アパートの入居率(賃貸割合)を100%に設定していますが、満室でないと入居率に応じて評価額の減少率が下がるため注意しましょう。

 

6,000万円で購入した
建物の評価額

固定資産評価額:50%に減少
借地権割合:70%に減少
6,000万円×0.5×0.7 = 2,100万円

4,000万円で購入した
土地の評価額

路線価における評価額:80%に減少
小規模宅地の特例:50%に減少
借地権割合:70%に減少
4,000万円×0.8×0.5×0.7 = 1,120万円

 

生前贈与を利用する相続税対策

不動産の活用だけでなく、生前贈与でも相続税対策になるケースがあります。相続税との税率を比較して生前贈与を選択する場合や、非課税対象の制度を利用すれば節税になるでしょう。
参考:「贈与税の計算方法と税率|節税対策のための非課税措置まとめ

 

相続税の税率が高い場合は生前贈与を有効に利用できる

贈与税の一般税率は以下表の通りですが、贈与税の算出対象になる財産は1年間に取得した財産の合計額になるため、数年かけて財産を分割して贈与することで上手く節税できる場合もあるでしょう。

 

基礎控除後の課税価格 200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下
税 率 10% 15% 20% 30%
控除額 10万円 25万円 65万円
基礎控除後の課税価格 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 3,000万円超
税 率 40% 45% 50% 55%
控除額 125万円 175万円 250万円 400万円

 参考:「贈与税の税率 一般贈与財産(一般税率)の場合

 

相続税の場合は基礎控除額を除いても5,000万円を超える評価額になる場合は30%の課税になりますが、基礎控除額(110万円)が含まれた500万円を1年間で贈与する場合は20%の課税になるため、分割して贈与すれば相続税より贈与税の方が安くなる、という仕組みになります。

 

相続時精算課税制度の利用

非課税制度の一つとして、贈与財産において2,500万円までが非課税対象になる相続時財産制度も利用できます。

※2,500万円を超える分については一律で20%の贈与税が発生します。

 

贈与財産の種類における条件はないため不動産の贈与でも利用できる場合ありますが、あくまで相続時財産課税制度は贈与税対策のための制度であり、贈与税を控除されても相続時には課税財産の対象になり相続税が発生するため、実質的には納税を後回しにするような形になります。

 

具体的な相続時精算課税制度の条件については、『相続時精算課税制度を活用して贈与税対策をする手引き』でご確認いただければと思います。

 

住宅取得資金贈与・教育資金贈与による節税

また、特定の用途が指定された資金も非課税対象になり、以下のような特例があります。

 

・住宅取得資金贈与|基礎控除額と合わせて最大で1,310万円まで非課税になります。

・教育資金の贈与|基礎控除額と合わせて最大で1,610万円まで非課税になります。

参考:「国税庁 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

 

教育資金の贈与については子供一人ごとの条件になるため贈与相手の子供が増えれば限度額も増額されますが、子供が30歳になるまで使い切れない場合は贈与税の課税対象になるようです。

 

配偶者贈与(おしどり贈与)の適用

贈与する相手によって非課税になる制度もあり、婚姻関係が20年以上になる夫婦の間で贈与があった場合、基礎控除額と合わせて2,110万円までの控除が認められています。

 

以下のような適用要件を満たす必要がありますが、婚姻期間の条件を満たせば居住用不動産(または居住用不動産を購入するための資金)の贈与で適用される可能性が高いので、夫婦間での贈与では有用になります。

 

2 特例を受けるための適用要件

(1) 夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと

(2) 配偶者から贈与された財産が、自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること

(3) 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に、贈与を受けた者が現実に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること

(注) 配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。

引用元:「国税庁 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

 

その他の相続税対策|生命保険や非課税財産の活用など

以下では不動産に関する相続税対策とは違う方法になりますが、ほかにも節税が期待できそうな対策方法があるので参考までに取り上げていきます。

 

死亡保険金の非課税枠|500万円 × 法定相続人の数

生命保険に加入していた場合に支払われる死亡保険金については、以下の通り非課税限度額が設けられています。例えば相続人が配偶者(妻)と2人の子供になる場合では、1,500万円までの死亡保険金が非課税の対象になることが分かります。

 

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

参考:「国税庁 相続税の課税対象になる死亡保険金

 

非課税財産になる墓地(墓石)や仏壇を生前に購入する

また、相続税法では非課税財産が定義されており、その中の一部として墓地や墓石などのお墓や仏壇(祭具)が非課税財産として認められています。

 

(相続税の非課税財産)

第一二条 次に掲げる財産の価額は、相続税の課税価格に算入しない。

一 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第七条(皇位に伴う由緒ある物)の規定により皇位とともに皇嗣が受けた物

二 墓所、霊びよう及び祭具並びにこれらに準ずるもの

引用元:「相続税法 第12条 1項、2項

 

お墓にかかる費用は平均で100万円~200万円とされていて大きな出費になるので、生前に購入しておくのが良いでしょう。

※被相続人の死亡後(相続開始後)にお墓や祭具などを購入した場合は非課税の対象にならないので注意しましょう。

 

海外移住による相続税対策は条件が厳しい

また、シンガポールやマレーシアなど特定の国へ移住して財産を移すことで、相続税の支払いを全部免除できる方法もあります。

 

ただし、満たすべき条件が厳しい上、あまり現実的ではない制度であるため、相続税を減らすための一つの方法として参考までに知っておく程度で構いません。

 

まとめ|相続税対策の選択で悩む場合は相続の専門家に相談すること

不動産の活用を中心に相続税対策について説明しましたが、お分かりいただけましたでしょうか。

 

相続税や贈与税を減らせる対策方法は多くありますが、遺産相続の状況や相続財産の種類によって適切な手段は変わってきます。生前贈与の選択や不動産購入の検討などで判断が難しい場合は、専門家である税理士や不動産コンサルタントに相談してみることをオススメします。

 

相続トラブルに巻き込まれてしまった方へ

何かと相続トラブルに発展するのは遺産の割合に不満がある・納得いかないケースです。

例えば、下記などが該当します。

・思ったより相続される遺産が少なかった
・揉めたくないので、泣く泣く遺産の配分に納得した
・遺言書に他の兄弟姉妹に遺産を多く渡す旨が書かれていた

遺産相続では法定相続分といって、民法で定められている割合の通りに遺産を公平に分割しましょうという一応の定めがありますが、生前に被相続人(亡くなった人)の介護をしていた、被相続人の事業を手伝っていれば寄与分という制度で多くの財産をもらう権利があります。

また、他の相続人が生前に財産を多く受け取っていたのであれば、遺産分割協議の際に相続財産を減らすこともできます。ただ、こういったルールは相続人全員が知っているわけではありませんから、あなたが主張しても聞く耳をもたれない可能性もあります。

その場合、弁護士に相談することで法的な観点から主張をしてくれますし、トラブルになっている場合はその仲裁に一役買ってくれるでしょう。当サイトでは、相続トラブルを1人で解決できるか悩んでいる方へ無料電話・無料相談(一部)を行い、不安解消できるように努めています。

問題解決はもちろん、あなたの状況にあったアドバイスを提供することをお約束します。

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相護士ナビ編集部

本記事は相続弁護士ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※相続弁護士ナビに掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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