ご相談者様は、亡くなったA氏の保佐人を務めていらっしゃいました。A氏はかつて融資詐欺の被害に遭ったことをきっかけに認知症の症状が顕在化しており、医師の診断書も作成され、実質的には後見に近い広範な代理権が付与されている状態でした。
ところが、後に発見されたA氏の自筆証書遺言には「不動産は相手方に、預貯金はご相談者様に相続させる」という旨が記されていました。
ご相談者様としては、遺言が書かれた時点で本人の判断能力は著しく衰えており、相手方の強い働きかけによって作成された疑いがあるとして、遺言の無効を主張したいと考えられました。そのため、相続関係の精査や医療データの収集を通じて当時の意思能力を否定し、訴訟も辞さない構えで適正な解決を目指すことを希望されました。
当事務所はまず戸籍の収集による相続人調査を行い、医療機関から詳細なカルテ等の開示を受けました。
併せて相手方との協議を試みましたが先方にも弁護士が選任されたため、遺言無効確認訴訟を提起し、計9回にわたる口頭弁論等の期日を重ねる中で、不動産鑑定による価値算定など解決に向けた前提条件の整理も並行して進めました。
裁判の審理が進む中で、裁判官から「遺言は無効である可能性が高い」という暫定的な心証と和解案の提示がありました。
その際、遺言作成の前後に行われた「長谷川式スケール」の検査結果が、本人の判断能力を測る決定的な証拠として重視されました。最終的に、自筆証書遺言が無効であることを前提とした和解が成立。あわせて遺産分割の合意も行い、相手方からご相談者様へ代償金が支払われる形での円満な金銭解決が実現しました。
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