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長崎県の相続の現状と最新データ

令和5年(2023年)分、長崎県の被相続人数は19,723人、そのうち相続税の申告書が提出された被相続人は933人で、課税割合は4.7%です。
全国平均の9.9%を下回りますが、地価動向や相続登記義務化を背景に申告件数は増加傾向です。
相続税の基礎控除は『3,000万円+600万円×法定相続人数』で、これを超える財産がある場合に申告が必要になります。

長崎県の課税価格の合計額は1,038億円で、前年比118.8%です。
申告税額の合計額は96億円で、前年比118.0%となりました。
被相続人1人当たりの課税価格は1億1,127万円、1人当たり税額は1,025万円です。

長崎県の相続財産の内訳は、土地が19.6%(210億円)、家屋が6.1%(66億円)、有価証券が15.1%(162億円)、現金・預貯金等が43.7%(470億円)、その他が15.5%(167億円)です。
土地と家屋を合わせた不動産は25.7%を占めています。
財産構成では現金・預貯金等の比率が43.7%と最大となっています。

※ 以下は長崎県単独の令和5年分相続財産構成データです(福岡国税局『令和5年分 相続税の申告事績の概要』県別表より)。

出典:国税庁『令和5年分 相続税の申告事績の概要』(福岡国税局管内・長崎県分)

出典:国税庁『令和5年分 相続税の申告事績の概要』(全国)

長崎県内で相続の話し合いがまとまらず家庭裁判所に持ち込まれるケースは、裁判所の司法統計年報で公表されています。
全国の遺産分割事件(調停・審判)は毎年1万5,000件前後で推移しています。
相続人の間で意見が割れたときは、早い段階で弁護士に相談し、家裁の調停も視野に入れた方針を立てると長期化を防げます。

出典:最高裁判所『司法統計年報 家事編』(遺産分割事件の動向)

長崎県の相続に見られる傾向

長崎県の相続では、財産構成と相続人の居住地、相続税の課税水準に関する特徴があります。
下記のポイントを踏まえて、早めに相続人と財産の全体像を整理しておくことが長期化を防ぐ鍵となります。

・長崎県の相続税課税割合は令和5年4.7%で全国平均9.9%を大きく下回っており、約21人に1人が課税対象です。
令和4年比+0.7ポイントの上昇と申告被相続人数が前年比119.6%と大幅増となっており、課税件数が急増傾向にあります。

・長崎県の相続財産では現金・預貯金等が43.7%と最大で、土地(19.6%)を大きく上回っています。
過疎化・人口流出が続く離島・半島地域では土地の流動性が低く、不動産よりも金融資産の比率が高い傾向があります。

・長崎県は五島列島・対馬・壱岐・平戸などの離島・半島を多く抱え、全国で最も島の数が多い都道府県です(有人島44島)。
相続発生時に相続人が本土在住で被相続人が離島在住というケースが多く、手続きに地理的な難しさを伴うことがあります。

・長崎市・佐世保市を中心に原爆・戦災の影響による戦後の登記不備や所有者不明土地が残存しているケースがあります。
2024年の相続登記義務化を機に未整理の不動産を含む相続手続きへの問い合わせが増えています。

・過疎高齢化が進む農山漁村地域(平戸・五島・対馬・壱岐等)では、遺産に農地・山林・漁業権が含まれるケースが多く、農地法の許可要件や漁業権の承継手続きなど専門的な対応が必要となる相続案件が発生しやすい点が特徴です。

長崎県で遺産相続について相談できる窓口8選

長崎県で相続を相談する窓口は、紛争がある場合は弁護士、相続登記は司法書士、相続税は税理士、書類作成のみは行政書士と、案件の内容で使い分けます。
費用を抑えたい場合は、弁護士会の法律相談センターや法テラスの無料相談を利用できます。
家庭裁判所・公証役場・法務局は手続きの申立先として必ず関わる公的機関で、遺産分割調停・遺言公正証書の作成・相続登記の申請先となります。
ここでは長崎県で利用できる公的・士業団体の相談窓口を8種類にまとめます。

弁護士会(法律相談センター)

長崎県弁護士会は本会(長崎市)と佐世保支部の2拠点体制で、法律相談センターを常設しています。
本会では毎週火曜日12時〜14時に無料相談、毎週土曜日13時〜16時に有料相談を開催。
佐世保支部では毎週水曜日・第2第4土曜日13時〜16時に有料相談を受け付けています。
相続・遺言・遺産分割・相続放棄・遺留分請求など相続全般に対応しており、法テラスを利用した費用立替制度の案内も行っています。

本会FAXは095-824-3967。
相談予約・時間帯の詳細は公式サイト(https://www.nben.or.jp/consult/madoguchi/)でご確認ください。
五島・対馬・壱岐・平戸地区の相談は本会(095-824-3903)へ問い合わせのうえ当番弁護士が対応します。

名称 住所 電話番号
長崎県弁護士会館(本会) 〒850-0875 長崎市栄町1番25号 長崎MSビル4階 095-824-3903
長崎県弁護士会 佐世保支部 長崎県佐世保市島瀬町4-12 シティヒルズカズバ2階 0956-22-9404

出典:長崎県弁護士会 公式サイト

※ 上記は2026年4月時点の情報です。
最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。

法テラス(日本司法支援センター)

収入・資産が一定基準以下の方は、法テラスを通じて弁護士費用の立替制度と無料相談(最大3回)を利用できます。
長崎県内には8か所の事務所があり、離島(五島・対馬・壱岐・平戸・雲仙)にも法律事務所が設置されている点が特徴です。
相続・遺言・相続放棄・遺産分割など相続分野の相談に対応しており、離島在住の方でも地元の法テラスで専門家に相談できます。

法テラス長崎(0570-078362)は総合窓口で法律相談の取次も行います。
離島の法律事務所(050番号)は予約制。
営業時間は平日9時〜17時が目安です。

法テラスの民事法律扶助(無料相談・費用立替)を利用するには、収入と資産の基準を満たす必要があります。
基準額は地域で異なり、下表は長崎県に適用される一般地域の基準です。
収入基準は手取り月収で、家賃や医療費などの支出は別途加算されます。
資産基準は預貯金・有価証券などの合計額で、詳細は法テラス各事務所で審査されます。
相談は1案件につき最大3回まで無料で、弁護士費用の立替制度も合わせて利用できます。

同居家族の人数 収入基準(月額・手取り) 資産基準
1人(単身) 182,000円以下 180万円以下
2人 251,000円以下 250万円以下
3人 272,000円以下 270万円以下
4人 299,000円以下 300万円以下
名称 住所 電話番号
法テラス長崎 長崎市栄町1-25 長崎MSビル2階 0570-078362
法テラス佐世保法律事務所 佐世保市島瀬町4-19 バードハウジングビル402 050-3383-5516
法テラス五島法律事務所 五島市池田町2-20 050-3383-0516
法テラス対馬法律事務所 対馬市厳原町中村606-3 おおたビル3F 050-3383-0517
法テラス壱岐法律事務所 壱岐市郷ノ浦町本村触550-1 海陽ビル2F 050-3383-5517
法テラス平戸法律事務所 平戸市岩の上町1507-1 NTT平戸ビル本館2階 050-3383-0468
法テラス雲仙法律事務所 雲仙市小浜町北本町14番地3 雲仙市小浜老人福祉センター2階 050-3383-5324

出典:法テラス 長崎管内 事務所案内

※ 上記は2026年4月時点の情報です。
最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。

司法書士会(相続登記・遺産承継)

2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続開始を知った日から3年以内の申請を怠ると10万円以下の過料の対象となります。
長崎県司法書士会は長崎市魚の町の長崎県建設総合会館を拠点とし、電話(095-823-4895)で相続登記・遺産承継の相談を受け付けています。
司法書士総合相談センターでは毎週火曜日・木曜日13時〜15時(祝日除く)に予約制の無料相談を実施しており、相続人申告登記制度の活用についても案内しています。

司法書士総合相談センターの相談日程(毎週火・木曜13時〜15時)や相続登記相談センターの詳細は公式サイト(http://shoshikai-nagasaki.com/conference)でご確認ください。
相続登記義務化に伴い相続人申告登記制度も活用できます。

名称 住所 電話番号
長崎県司法書士会 本会 〒850-0874 長崎県長崎市魚の町3-33 長崎県建設総合会館 095-823-4895

出典:長崎県司法書士会 公式サイト

※ 上記は2026年4月時点の情報です。
最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。

税理士会(相続税・贈与税)

相続税は「3,000万円+600万円×法定相続人数」の基礎控除を超える場合に課税されます。
長崎県を管轄する九州北部税理士会は県内4支部(長崎・佐世保・諫早・島原)を置き、相続税・贈与税の無料相談会や1日税務・記帳相談会を随時開催しています。
長崎支部では成年後見・相続税・贈与税の無料相談会や電話による無料相談会(月次実施)も行っており、相続税申告・生前対策・不動産評価など幅広く対応しています。

佐世保支部・島原支部の詳細住所・電話は九州北部税理士会本部(092-473-8761)または長崎支部(095-821-0600)にご確認ください。
長崎支部FAXは095-821-0924。
相談会の日程は各支部公式サイト・お知らせページでご確認ください。

名称 住所 電話番号
九州北部税理士会 長崎支部 〒850-0029 長崎市八百屋町2番地3 095-821-0600
九州北部税理士会 佐世保支部 長崎県佐世保市  
九州北部税理士会 諫早支部 〒856-0027 長崎県大村市植松3丁目625-5 0957-47-6666
九州北部税理士会 島原支部 長崎県島原市  

出典:九州北部税理士会 長崎支部

※ 上記は2026年4月時点の情報です。
最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。

行政書士会(遺産分割協議書・相続関係説明図)

遺産分割協議書・相続関係説明図の作成、戸籍収集など書類作成業務を中心に対応しています。
相続人の間に争いがある案件は弁護士の業務範囲のため、行政書士では取り扱えません。
長崎県行政書士会の長崎支部では毎週水曜日(祝日除く)10時〜15時に電話相談(予約不要・無料)を実施しており、相続・遺言・在留・農地転用など幅広い相談に対応しています。
大村支部は毎月第2水曜日13時〜16時に大村市役所市民相談室で無料相談を開催しています。

長崎支部の電話相談(095-829-0404)は毎週水曜日10時〜15時、予約不要。
大村支部の無料相談は毎月第2水曜日13時〜16時(大村市役所市民相談室)。
争いのある遺産分割や遺留分請求は弁護士に相談する必要があります。
詳細は公式サイト(https://www.gyosei-nagasaki.com/consult/)をご確認ください。

名称 住所 電話番号
長崎県行政書士会 本会 〒850-0022 長崎市馬町48番地1 長崎県市町村会館馬町別館5階 095-826-5452
長崎支部 電話無料相談 長崎市 095-829-0404
大村支部 無料相談(大村市役所) 大村市役所 市民相談室 0957-53-4111

出典:長崎県行政書士会 公式サイト

※ 上記は2026年4月時点の情報です。
最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。

家庭裁判所(調停・審判・相続放棄)

遺産分割調停・審判、相続放棄の申述、遺言書の検認の申立先です。
長崎家裁本庁(長崎市)のほか、大村・島原・佐世保・平戸・壱岐・五島・厳原(対馬)の7支部、諫早・新上五島・上県(対馬北部)の3出張所が設置されており、離島を含む全県をカバーしています。
相続放棄は原則3か月以内、遺言書検認は遺言者の死亡を知った後遅滞なく申立てる必要があります。
申立先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

相続放棄の申立書の書式は裁判所公式サイトからダウンロードできます。
管轄は申立人の住所地ではなく被相続人の最後の住所地の家庭裁判所となります。
五島・対馬・壱岐などの離島では各島に支部または出張所が設置されています。

名称 住所 電話番号
長崎家庭裁判所 本庁 〒850-0032 長崎市万才町6-25 095-822-6151
長崎家庭裁判所 大村支部 長崎県大村市東本町287 0957-52-3501
長崎家庭裁判所 島原支部 長崎県島原市城内1-1195-1 0957-62-3151
長崎家庭裁判所 佐世保支部 長崎県佐世保市光月町9-4 0956-22-9175
長崎家庭裁判所 平戸支部 長崎県平戸市戸石川町460 0950-22-2004
長崎家庭裁判所 壱岐支部 長崎県壱岐市郷ノ浦町本村触624-1 0920-47-1019
長崎家庭裁判所 五島支部 長崎県五島市栄町1-7 0959-72-3315
長崎家庭裁判所 厳原支部 長崎県対馬市厳原町中村642-1 0920-52-0067
長崎家庭裁判所 諫早出張所 長崎県諫早市永昌東町24-12 0957-22-0421
長崎家庭裁判所 新上五島出張所 長崎県南松浦郡新上五島町有川郷2276-5 0959-42-0044
長崎家庭裁判所 上県出張所 長崎県対馬市上県町佐須奈甲639-22 0920-84-2037

出典:長崎家庭裁判所 管内所在地一覧

※ 上記は2026年4月時点の情報です。
最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。

公証役場(遺言公正証書・遺産分割協議書認証)

遺言公正証書の作成や遺産分割協議書の認証を扱います。
長崎県内には4か所の公証役場(長崎合同・諫早・佐世保・島原)があり、いずれも予約制です。
病気や高齢で来所できない場合は、自宅・病院への出張作成にも対応しています。
遺言公正証書の手数料は遺産額に応じた段階制で、証人2名の立会いが必要です(公証役場で手配も可)。
離島(五島・対馬・壱岐等)の方は最寄りの公証役場に出張対応の可否を確認してください。

住所・電話番号は公証人連合会の長崎県公証役場一覧(2026年4月時点)に基づきます。
建物名・階数などの詳細は各役場に直接確認してください。
五島・対馬・壱岐などの離島在住の方は出張作成(追加費用あり)の利用を各役場にご相談ください。

名称 住所 電話番号
長崎合同公証役場 長崎市万才町7-1 TBM長崎ビル8階 095-821-3744
諫早公証役場 諫早市高城町5-10 諫早商工会館4階 0957-23-4559
佐世保公証役場 佐世保市松浦町5-13 グリーンビル1階 0956-22-6081
島原公証役場 島原市田町675-6 0957-62-7822

出典:公証人連合会 長崎県内公証役場一覧

※ 上記は2026年4月時点の情報です。
最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。

法務局(相続登記・自筆証書遺言保管制度)

相続登記は不動産所在地を管轄する法務局に申請します。
2024年4月1日から相続登記は義務化され、3年以内の申請を怠ると10万円以下の過料の対象となります。
2020年7月開始の自筆証書遺言書保管制度も法務局で利用でき、手数料は3,900円/件です。
長崎地方法務局は本局1か所・支局7か所(諫早・島原・佐世保・平戸・壱岐・五島・対馬)の計8拠点を管轄しており、離島を含む全県をカバーしています。

大村法務局証明サービスセンターは証明書取得のみ対応しており、登記申請は諫早支局(諫早市)へ。
自筆証書遺言書保管制度は各支局でも利用可能です(事前予約が必要)。
詳細は長崎地方法務局公式サイトをご確認ください。

名称 住所 電話番号
長崎地方法務局 本局 〒850-8507 長崎市万才町8番16号 095-826-8127
諫早支局 〒854-0022 長崎県諫早市幸町4番12号 0957-22-0475
島原支局 〒855-0036 島原市城内1丁目1204番地 0957-62-2513
佐世保支局 〒857-0041 佐世保市木場田町2番19号 0956-24-4850
平戸支局 〒859-5121 平戸市岩の上町1509番地7 0950-22-2263
壱岐支局 〒811-5133 壱岐市郷ノ浦町本村触624番地2 0920-47-0164
五島支局 〒853-0016 五島市紺屋町1番1号 0959-72-2261
対馬支局 〒817-0016 対馬市厳原町東里341番地42 0920-52-6463
大村法務局証明サービスセンター
証明書取得のみ対応。登記申請は諫早支局へ
〒856-8686 長崎県大村市玖島1丁目25番地(大村市役所内) 0957-52-3501

出典:長崎地方法務局 管内法務局・支局一覧

※ 上記は2026年4月時点の情報です。
最新情報は各団体の公式サイトをご確認ください。

長崎県の相続で起こりやすい争点・トラブル

長崎県の相続で争点になりやすいのは、不動産の評価と分割方法、そして遠方に住む相続人との調整の2点です。
区分マンションや収益不動産が含まれる場合、評価額が大きくなりやすく、現金化するか共有で持つか代償金で調整するかで意見が割れる事情があります。
相続人が県外や海外に居住しているケースも多く、協議書への押印や印鑑証明の郵送だけで数か月かかることも珍しくありません。
早い段階で家族構成と財産目録を整理し、合意形成の見通しを立てる工程が長崎県の相続で重要になります。

財産構成の特徴

不動産が絡む場合は評価額と分け方の整理が争点になりやすく、専門家の伴走が役立ちます。

親族間の調整でつまずきやすい点

別居や遠方居住の相続人がいると、合意形成までの調整負担が大きくなりやすいです。

手続き面で意識したいポイント

家庭裁判所や法務局に提出する資料を先にそろえておくと、手続きが進めやすくなります。

長崎県の相続で押さえておきたい制度・手続き

長崎県で相続の手続きを進める際は、2024年4月1日に施行された相続登記の義務化が最も大きな制度変更です。
不動産を相続で取得した人は、相続開始と所有権取得を知った日から3年以内の登記申請が義務付けられ、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。
相続税の申告期限(10か月)、相続放棄の期限(3か月)、遺留分侵害額請求の時効(1年)といった期限付きの手続きも多く、長崎県で相続が発生したら、まず期限のある手続きから優先的に進める必要があります。

相続登記の義務化(2024年4月1日施行)

2024年4月1日以降、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務化されました。
正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
義務化は2024年3月31日以前の相続にも遡及適用され、施行日から3年の経過措置期間が設けられました。
登記が難しい場合は、暫定的な『相続人申告登記』(単独申請・登録免許税非課税)を利用する選択肢もあります。

自筆証書遺言書保管制度(法務局)

2020年7月10日に開始された自筆証書遺言書保管制度では、作成した自筆証書遺言を法務局で保管できます。
保管手数料は1件3,900円で、家庭裁判所での検認手続が不要になる点が大きなメリットです。
遺言者の住所地・本籍地・所有不動産の所在地のいずれかを管轄する法務局が申請先となり、本人が直接出向いて申請する必要があります。
死亡後は相続人からの閲覧請求・遺言書情報証明書の交付請求が可能です。

相続税の基礎控除と申告期限

相続税は『3,000万円+600万円×法定相続人数』の基礎控除を超える場合に課税されます。
申告・納付の期限は被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。
配偶者の税額軽減は1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで非課税となり、居住用宅地は330㎡まで80%評価減の小規模宅地等の特例が適用できます。
どの特例も適用には申告書の提出が必要で、申告期限を過ぎると使えないものもあるため早めの準備が必要です。

相続放棄・限定承認の3か月ルール

相続放棄と限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述します。
3か月を過ぎると原則として単純承認とみなされ、プラスの財産もマイナスの財産(借金・保証債務)も全て相続することになります。
財産調査に時間がかかる場合は、3か月の期間内に家裁へ『期間伸長の申立て』を行うことで、さらに3か月程度の延長が認められるケースもあります。

遺留分侵害額請求の時効(2019年民法改正)

兄弟姉妹以外の法定相続人には、最低限の取り分を保証する遺留分が認められています。
2019年7月の民法改正で遺留分は金銭債権化され、侵害された相続人は金銭で請求できるようになりました(改正前は物権的返還請求)。
時効は相続開始および遺留分侵害を知った時から1年、相続開始から10年が除斥期間です。
期限を過ぎると請求権が消滅するため、遺言で極端に少ない取り分になっている相続人は早めに弁護士へ相談するのが安全です。

長崎県で相続手続きを進める流れ

長崎県で相続手続きを進めるには、相続人と財産の確定から始まり、遺産分割、相続税申告、名義変更と登記までの5段階を順番に進めます。
中でも期限が明確に決まっているのは、相続放棄の3か月、相続税申告の10か月、相続登記の3年の3つです。
期限のある手続きを起点に逆算して計画を立てると、抜け漏れなく進められます。
財産調査と相続人の確定には戸籍の収集だけで1〜2か月かかることも多いため、長崎県で相続が発生したら早めに着手するのが安全です。

相続人・相続財産の把握

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を本籍地の市区町村役場で取り寄せ、法定相続人を確定させます。
不動産・預貯金・有価証券・生命保険・負債を一覧化し、プラスとマイナスの財産の全体像を把握することが最初の作業です。
借金が明らかに多い場合は、この段階で相続放棄(3か月以内)の検討に入ります。

遺言書の有無と内容の確認

自宅・貸金庫を探すほか、公証役場の遺言検索システムで遺言公正証書の有無を照会できます。
法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用していた場合は、相続人から遺言書情報証明書の交付を請求します。
自宅などで見つかった自筆証書遺言は家庭裁判所の検認を受けないと開封・執行できません。

遺産分割協議・協議書作成

遺言がない場合や遺言と異なる分割をする場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。
合意内容を遺産分割協議書にまとめ、相続人全員が実印で押印し、全員の印鑑証明書を添付します。
相続人が遠方に住んでいるときは、協議書を郵送で回覧するか、代理人の弁護士を介してまとめる方法が一般的です。

相続税の申告(必要な場合)

基礎控除を超える遺産がある場合、被相続人の死亡から10か月以内に相続税申告書を税務署へ提出します。
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使うには申告書の提出が必要で、無申告だと特例を使えなくなるリスクがあります。
申告は税理士に依頼するのが一般的で、相続財産の評価書類の準備に2〜3か月かかるため早めの相談が望ましい段階です。

名義変更・相続登記

不動産は相続登記(2024年4月から3年以内の申請義務)、預貯金は金融機関での相続手続き、自動車は陸運局での名義変更が必要です。
相続登記は司法書士、金融機関手続は相続人自身か専門家(司法書士・行政書士)が代行するのが一般的です。
登記を放置すると次世代の相続で相続人が爆発的に増え、協議が困難になります。

長崎県の相続に関するよくある質問

長崎県の相続に関してよくある質問を、相談先の選び方・相続登記・相続放棄・遺言書・地域特性・遠隔相続人の6つの観点で整理しました。
どの窓口に相談すべきか迷ったら、案件の種類と費用感から絞り込むのが実務的です。
争いがある・予想される場合は弁護士、不動産の名義変更がメインなら司法書士、相続税がかかりそうなら税理士を選びます。
費用面が気になる場合は、長崎県を管轄する弁護士会の法律相談センターや法テラスの無料相談からスタートするのが安全です。

Q. 長崎県で相続の相談はどこにすればよいですか?

相談内容によって最適な窓口が変わります。
相続人の間で意見が対立している、または対立が予想される場合は弁護士が窓口で、遺産分割調停や遺留分侵害額請求の代理まで一貫して任せられます。
相続登記や遺産分割協議書の作成が中心なら司法書士、相続税の申告が必要な場合は税理士が適任です。
費用を抑えたい場合は、長崎県を管轄する弁護士会の法律相談センターや法テラスの無料相談から始める選択肢があります。
料金は拠点ごとに異なるため、各弁護士会の公式サイトで最新の相談料を確認するのが安全です。

Q. 長崎県で相続登記をしないとどうなりますか?

2024年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産を相続したことを知った日から3年以内に登記を申請しないと、10万円以下の過料の対象となります。
2024年3月31日以前に発生した相続も義務化の対象で、施行日から3年の経過措置期間中に登記する必要があります。
登記を放置すると将来の売却や担保設定に支障が出るだけでなく、次世代の相続で相続人が増えて協議が困難になるリスクもあります。
早めに司法書士に相談するのが安全です。

Q. 長崎県で相続放棄をしたいのですが、期限はいつまでですか?

相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述する必要があります。
被相続人が長崎県に住んでいた場合、住所地を管轄する長崎県の家庭裁判所(本庁または支部)が申述先となります。
借金の調査などで3か月では判断が難しいときは、家裁に『熟慮期間伸長の申立て』を行うことで期間延長が認められるケースもあります。

Q. 長崎県で遺言書を作成したいのですが、どの方法がよいですか?

確実性を重視するなら公証役場で作成する遺言公正証書、費用を抑えたいなら自筆証書遺言+法務局保管制度の2択が実務的です。
遺言公正証書は公証人が作成し原本を公証役場で保管するため、偽造・紛失のリスクがなく、家裁の検認も不要です。
自筆証書遺言+法務局保管は手数料3,900円で保管してもらえ、こちらも検認不要になります。
長崎県内にも公証役場と遺言書保管を扱う法務局が複数あり、いずれの方式も利用できます。

Q. 長崎県固有の相続事情として気をつけるべきことはありますか?

不動産が絡む場合は評価額と分け方の整理が争点になりやすく、専門家の伴走が役立ちます。
加えて、長崎県は相続税の課税割合は全国平均(9.9%)を下回りますが、不動産を含む案件では基礎控除を超える可能性もあるため、相続税の試算を早めに行うことが安全です。

Q. 相続人が長崎県以外に住んでいる場合、手続きはどうなりますか?

別居や遠方居住の相続人がいると、合意形成までの調整負担が大きくなりやすいです。
相続人の一部と連絡が取れないときは、不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てる制度も使えます。

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