今回は、生損保代理店で働きながら終活カウンセラー上級の資格を取得された山本博子さんにインタビューしました。
山本さんご自身の終活だけではなく、今は主にご両親の終活のお手伝いをされています。
まだ始めたばかりということですので、これから終活を始めようと考えている方にはとても参考になる内容となっております。是非最後までご覧ください!
インタビュアー:酒井(ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部)
酒井:まずは自己紹介をお願いします。
山本:宮城県在住の46歳で、夫と20代の娘2人の4人家族です。仕事は生損保代理店の営業をしています。
酒井:終活カウンセラーとしてどのような活動をされていますか?
山本:7月に終活カウンセラー上級の資格を取得したばかりでして、今は一般社団法人終活カウンセラー協会で学ばせていただいている状態です。これまで行ったことは、終活に関する漫画ブログを開設したことですね。
生損保代理店の仕事の一環で終活に関するセミナーを開いていましたが、今はコロナの影響でできなくなっている状況です。
酒井:終活に携わるようになったきっかけはなんでしょうか?
山本:3年ほど前に大手損保会社の研修生として働いているときに高齢者と関わることが多かったのですが、生活に何の苦労がないような方でも何かしら不安があるんだなと日々感じていて、そのときに何か役に立てる知識がないかと思い、終活の勉強を始めました。
酒井:ちなみにその当時は終活の認知度はどのくらいありましたか?
山本:当時はあまり認知されていない感じでしたね。今ではかなり認知度が広がっているなという印象があります。
酒井:終活カウンセラーには初級・上級がありますが、上級まで取得された理由はなんでしょうか?
山本:携わるようになったきっかけと同じく終活をもっと広めたいなという思いがあり、終活カウンセラーとしてよりよいセミナーを行うため、自分のレベルアップのために勉強が必要だと感じたからですね。
私は今回16期の終活カウンセラー上級に合格しました。協会では横のつながりをとても大切にしていて懇親会や勉強会が多く開催されています。最近ではZoomで参加していますよ。
酒井:終活には様々な資格がありますが、その中で終活カウンセラーを取得したのはなぜでしょうか?
山本:終活カウンセラー協会の武藤頼胡代表が同性で年齢も近く失礼ながら親近感を覚えたことに加えて、代表の考え方に共感できたことが大きな理由ですね。
その他にも、カウンセラー協会が掲げている終活の定義「自分を見つめ、今をよりよく自分らしく生きるための活動」にすごく共感し、ここで学ぼうと思いました。
酒井:ご両親の終活を始めたきっかけはなんでしたか?
山本:やっぱり私が終活に携わってみて、終活の必要性を感じたことですね。お葬式とかの時何も知らなかったら困るといった直接的な意味ではなく、終活を通して親に恩返しができるかなと考えたのがきっかけです。
酒井:なるほど。差し支えなければ恩返しの部分を詳しく教えていただけますか?
山本:はい。私は以前少し親と距離を取りたいなと思った時期があり、その時に心配とかさみしい思いをさせたのではないかと思って今まで生きてきました。
そして自分も40代になり、そろそろ意地を張ってないで恩返しをしたいなと思っていたタイミングに終活と出会いました。親の終活をきっかけにいろいろ手伝うことができるし、最後に終活を通じていい人生だったなと思ってくれたら親孝行ができるなと考えたんです。
酒井:終活を始めようと最初両親に伝えたときはどんなリアクションを取られましたか?
山本:まずは自分が終活についての勉強を始めたことから伝えて、その時にいいこと始めたねと言われ、自分たちも始めないとなという反応だったので、ごく自然に進めることができました。
しかし、いざ実際に進めるとなると止まってしまって、手を付けられないままそのまま2年くらい経ちましたね(笑)。
酒井:結構始めるまでに時間がかかったんですね(笑)。どのようにして、終活を再開させることができたのですか?
山本:最近上級の資格を取るときに、実際に誰かに終活ノートを書いてもらうという課題があったので、これはいいと思って、やってもらいました。
酒井:今まで終活はどのようなことをやってきましたか?
山本:まずは終活ノートを書いてもらいました。親はまだまだ元気なので、相続とか家族会議といった終活はまだ始まってはいないです。ただ、近々両親の気持ちに沿う形で始めたいと思っています。
それ以外でやっていることは、親の生活のサポートをすること。親のもとへ通う回数を増やしていろんなことに気づいて、生活のサポートをやっています。実はその様子がなかなか可笑しくて、それをマンガにしています。
酒井:終活ノートや生活のサポートから始めるのがスムーズかもしれませんね。ちなみに、他の専門家の方から終活ノートを書ききれる方は全体の5%くらいしかいないと聞いたのですが、やはり終活ノートを書ききることは難しそうな印象でしょうか?
山本:例えば私の母親は文章を書くのが嫌いな人なので、書けるところだけ書くようにって言っていますね。そもそも私はノートを書ききること、埋めることをあえて重視していないんですよね。伝えたい人にどうしたら伝えられるかを重視してサポートしていきたいと思っています。
酒井:全部書ききるとなると相当大変ですよね。おすすめの終活ノートはありますか?
山本:書くのが苦手な人にはノートタイプの終活ノートではなく、項目タイプの終活ノートもおすすめです。項目タイプのほうが目的を明確に伝えやすくなると思います。
書店等でたくさん売っていますし、自分らしい終活ノートを書いてみたい方は終活カウンセラーなど専門家に相談されるのもいいかと思います。
酒井:終活を初めて山本さん自身が変わったことはありますか?
山本:自分の両親や高齢者の方に寄り添うようなことを普段から考えたり、実際に活動していくことで、自分が行く道を想像することができるようになってきたなと実感しています。
だからこそ、今すべきこと、周りの人がどうすれば幸せになれるかを具体的に考えるようになりましたね。
酒井:終活に興味はあるけどまだ始められてない方は、何から始めるのがいいでしょうか?
山本:まずは終活ノートから始めるのがいいのではないでしょうか。
終活は本当に範囲がひろくて、自分が何から始めるべきなのかわからない人はたくさんいます。
もちろん終活ノートを書くことも大変ではあるのですが、終活ノートを見てどんな内容があるか把握するだけでも、どんなことが必要なのかと気づくことができます。
それに、自分が書いてみることで両親に終活を始めるきっかけを話しやすくなるのもポイントですね。人によって終活を親に話すのは中々ハードルが高いことですので。
酒井:最後に、終活を検討している方へメッセージをお願いします。
山本:終活は実務的なことだけではなくて、一緒に過ごしたりだとか、いろいろなことに気づいてあげたりとか、今親が持っている不安を軽くなるように手助けするのも含まれると思っています。
ただ、今の日本は離れて暮らしてる家族も多いので、親の手助けができる人も限られていますよね。そういう場合は、少しでも親の暮らしを気にしてるんだよと伝えるだけでも大きく違うと思います。
私は終活とは自分の人生に責任を持つことだと思っています。若者でも高齢者でも、病気を持っている方でも健康な方でも皆さんにやってほしいと考えているので、これからも終活を広げるために活動していきます。
【山本さんのプロフィール】
生損保代理店で営業の仕事をしながら、終活カウンセラーとして活動を開始しました。現在は自身と両親の終活に取り組むほか、その様子をマンガにしたブログを開設。