もしも遺言書が複数見つかった場合、いったいどの遺言書に従えばよいのでしょうか。その判断は素人には難しいですよね。しかも内容がバラバラだったりしたら、より混乱してしまいます。
今回は、遺言書が複数見つかった場合、どう対応すればよいのかについて解説していきます。
遺言書には必ず作成した日付が記載されているはずなので、まずはその日付を確認しましょう。
まれに日付が記載されていない遺言書もありますが、そういった遺言書はそもそも無効であるため無視してOKです。
なお、本文の中ではなく遺言書を入れた封筒に日付が記載してある場合、遺言の効力を有効とすべきか、無効とすべきかは疑義があります。このような場合は現状のまま専門家の判断を仰ぐのが正解でしょう。
また、例えば『平成29年10月吉日』などのように、日付を特定できないような記載の仕方でもその遺言書は無効となってしまいます。一方で、『平成29年の母の日』といったように、日にちが特定できるものであれば有効です。
遺言の効力があるという前提で、遺言は後に書かれたもの、つまり、最新の日付が書かれた遺言書の内容に従うのが正解です。ただ、次に記載するように過去の遺言も最新の遺言の内容と抵触しない場合は効力が認められる余地はあります。
次に確認することは、遺言書の内容です。複数の遺言書の内容が抵触していなければ(内容が矛盾していなければ)、どの遺言書でも内容すべてが有効となります。
例えば、
『〇〇財産は長男へ、△△財産は次男へ相続する。』
と書かれた遺言書があったとします。同時に、
『〇〇財産は次男へ、△△財産は三男へ相続する。』
と書かれた遺言書も見つかったとします。
この場合、一方では〇〇財産は長男への相続、もう一方では次男への相続ということで、遺言書の内容が明らかに抵触(矛盾)していますよね。こういったケースでは、後に書かれた遺言書(最新の遺言書)が有効となり、その内容が反映されます。
第千二十三条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
引用元:民法1028条
逆に、
『〇〇財産は長男へ、△△財産は次男へ相続する。』
という遺言書と、
『□□財産は三男へ、◇◇財産は長女へ相続する。』
など、抵触していない2つの遺言書が見つかった場合には、そのどちらの遺言書も有効となり、書かれた日付に関係なく、内容どおりの相続が行われます。
公正証書遺言は、公証人立ち合いのもとに作成されるので、自筆証書遺言よりも効力があるのではないかと思われるかもしれませんが、実際にはどちらも同じ効力を有しています。
したがって、公正証書遺言を書いた後に自筆証書遺言を書いたのであれば、もちろん後に書かれた自筆証書遺言の方が効力をもつことになります(内容が抵触していなければどちらの遺言書も有効)。
ただし、自筆証書遺言の場合は、内容が改ざんされるおそれがあったり、書き方によっては無効になったりするケースも考えられますので、より確実な相続を行っていくためには公証人の立ち合いのもと、遺言書を作成することをおすすめします。
ただし効力としてはどちらも同じですので、公正証書遺言と自筆証書遺言を合わせた複数の遺言書が見つかった場合には、基本的には最新の遺言書に従うということを覚えておきましょう。
第千二十三条 前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
引用元:民法1028条
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