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相続で遺留分がもらえない?知らないと損する7つのケースを解説

ゆら総合法律事務所
阿部 由羅
監修記事
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兄弟姉妹以外の相続人には「遺留分」が認められていますが、相続に関する状況によっては遺留分を請求できないケースもあります。

遺留分を請求できるかどうかの判断には専門的な検討を要するため、正確に判断するのは大変です。

どのように対応すべきか分からない場合は、弁護士にアドバイスを求めましょう

本記事では、相続人が遺留分を請求できないケースなどを解説します。遺産分割トラブルや遺留分問題にお悩みの方は、本記事を参考にしてください。

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遺留分とは?一定の法定相続人に保障された最低限の遺産取得分のこと

「遺留分」とは、相続等によって取得できる財産の最低保障額です。

兄弟姉妹以外の相続人およびその代襲相続人には、民法の規定に従った遺留分が認められています(民法1042条1項)。

生前贈与・遺贈・相続によって取得できた相続財産等の金額が遺留分を下回る場合は、財産を多く取得した者に対して「遺留分侵害額請求」をおこなえば、不足額に相当する金銭の支払いを受けられます民法1046条1項)。

遺留分侵害額請求をおこなうことができるのは、ほかの相続人が多額の生前贈与を受けていた場合や、遺言書の内容が偏っている場合などです。

生前贈与や遺言書の内容に納得できない方は、弁護士のアドバイスとサポートを受けながら、遺留分侵害額請求を検討しましょう。

相続人が遺留分を請求できないケース7選

遺留分が認められている相続人であっても、ほかの相続人などに対して、常に遺留分侵害額請求をおこなうことができるわけではありません。

たとえば以下の7つのケースにおいては、遺留分侵害額請求ができないのでご注意ください。

  1. そもそも遺留分を請求する権利がない場合
  2. 相続欠格に当たる場合
  3. 相続廃除の審判を受けた場合
  4.  相続放棄をした場合
  5. 遺留分を放棄した場合
  6. 遺留分額を超える相続財産等を取得した場合
  7. 不公平な内容の遺産分割に同意した場合

1.そもそも遺留分を請求する権利がない場合

遺留分が認められているのは、兄弟姉妹以外の相続人および代襲相続人です(民法1042条1項)。

それ以外の人は、そもそも遺留分が認められていないので、取得した相続財産等の金額にかかわらず、遺留分侵害額請求をおこなうことはできません。

たとえば以下の人には、遺留分が認められていません。

  • 被相続人の兄弟姉妹
  • 被相続人の甥・姪(被相続人の兄弟姉妹を代襲相続した場合も同様)
  • 被相続人の伯父(叔父)・伯母(叔母)
  • 被相続人のいとこ
  • 被相続人のはとこ
  • 被相続人と離婚した元配偶者
  • 被相続人の内縁の夫・妻
  • 被相続人の不倫相手(愛人)
  • 被相続人が生前お世話になった、親族以外の人 など

2.相続欠格に当たる場合

相続に関してきわめて悪質な行為をした相続人は、相続権の一切をはく奪されることになっています。これを「相続欠格」といいます。

相続人の欠格事由は、以下のとおりです(民法891条)。いずれかの欠格事由に該当した相続人は、遺留分を含む相続権の一切を失うため、遺留分侵害額請求ができなくなります

  • 故意に被相続人または相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、または至らせようとしたために、刑に処せられた者
  • 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、または告訴しなかった者(是非の弁別がないとき、または殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときを除く)
  • 詐欺または強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、または変更することを妨げた者
  • 詐欺または強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、または変更させた者
  • 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、または隠匿した者

3.相続廃除の審判を受けた場合

遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待もしくは重大な侮辱をし、または推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は家庭裁判所に対して廃除を請求できます(民法892条)。

家庭裁判所によって廃除の審判を受けた推定相続人は、遺留分を含む相続権の一切を失うため、遺留分侵害額請求ができなくなります。

推定相続人の廃除の意思表示は、遺言によってもおこなうことができます民法893条)。

遺言によって廃除の意思表示がおこなわれた場合は、遺言執行者が遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければなりません。

なお、被相続人はいつでも、推定相続人の廃除の取消しを家庭裁判所に請求できます(民法894条1項)。

廃除取消しの意思表示は、廃除の意思表示と同様に、遺言によってもおこなうことが可能です(民法894条2項)。

4. 相続放棄をした場合

「相続放棄」とは、被相続人が有していた資産および負っていた債務を、いずれも一切相続しない旨の意思表示です。

相続放棄をした者は、はじめから相続人にならなかったものとみなされます(民法939条)。

すなわち相続人ではなくなるため、相続人の権利である遺留分も失うことになり、遺留分侵害額請求ができなくなります。

相続放棄には、被相続人の債務を相続せずに済むなどのメリットがある一方で、遺留分を含む相続権を一切失ってしまうデメリットがある点に十分ご注意ください。

5.遺留分を放棄した場合

遺留分は、放棄することも認められています(民法1049条)。遺留分を放棄した相続人は、取得した相続財産等の金額にかかわらず、遺留分侵害額請求をおこなうことができません。

ただし、被相続人の生前に遺留分を放棄する際には、家庭裁判所の許可を受ける必要があります。

家庭裁判所の許可なくおこなわれた、被相続人の生前における遺留分の放棄は無効です(民法1049条1項)。

相続人間の公平を確保するため、家庭裁判所は被相続人の生前における遺留分の放棄について、以下の観点から厳格な審査をおこないます。

たとえば特定の相続人を遺産相続から排除する目的で、被相続人やほかの相続人が遺留分の放棄を強いたと思われるような場合には、家庭裁判所は遺留分の放棄を許可しません。

  1. 放棄が遺留分権利者の自由意思に基づくこと
  2. 遺留分放棄の理由に合理性および必要性が認められること
  3. 遺留分放棄の十分な代償が与えられていること

6.遺留分額を超える相続財産等を取得した場合

遺留分は、相続等によって取得する財産を最低限保障するための制度です。

したがって、すでに遺留分額を超える相続財産等を取得した場合には、ほかの相続人などに対して遺留分侵害額請求をおこなうことはできません。

遺留分額の計算の基礎となるのは、以下の財産の合計額から相続債務を控除した額(=基礎財産額)です(民法1043条1項、1044条1項・3項)。

  1. 相続財産
  2. 遺贈
  3. 被相続人が相続人に対して、相続開始前10年間におこなった生前贈与(婚姻もしくは養子縁組のため、または生計の資本として受けたものに限る)
  4. 被相続人が相続人以外の者に対して、相続開始前1年間におこなった生前贈与

各相続人の遺留分額は、基礎財産額に遺留分割合を乗じて計算します。

遺留分割合は、直系尊属のみが相続人である場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1です(民法1042条1項)。

(例)

基礎財産額が3,000万円、遺留分割合が6分の1の場合

→遺留分額は500万円

上記の方法によって計算した遺留分額と、実際に取得した基礎財産の額を比較しましょう。

取得額が遺留分額を下回っていれば、不足額について遺留分侵害額請求をおこなうことができます。

これに対して、取得額が遺留分額以上である場合には、遺留分侵害額請求をおこなうことはできません。

7.不公平な内容の遺産分割に同意した場合

遺産分割によって取り決めた遺産の配分は、遺留分侵害額請求によって覆すことはできません。遺留分侵害額請求の対象は、贈与または遺贈に限られているためです。

したがって、遺産分割の内容が不公平であっても、それが相続人全員の合意で決めたものであれば、遺産を取り戻すために遺留分侵害額請求をおこなうことはできません

遺産分割協議書を締結する際には、その内容が不本意でないかどうか慎重に確認しましょう。

なお、調停や審判によって遺産分割の内容を決めた場合にも、遺産分割協議をおこなった場合と同様に、遺産を取り戻すために遺留分侵害額請求をおこなうことはできないのでご注意ください。

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遺言書に遺留分を放棄するよう書かれていた場合はもらえない?

被相続人が遺言書を作成する際には、相続人に揉めてほしくないとの思いから、

  • 「遺留分を放棄するように」
  • 「遺留分侵害額請求はしないでほしい」

などと記載するケースがよくあります。

このような記載は「付言事項」と呼ばれるもので、相続人に対する法的拘束力はありません

したがって、上記のような内容が遺言書に記載されていたとしても、遺留分を行使するか、それとも放棄するかについては、各相続人が自由に判断できます。

遺言書の記載に惑わされることなく、ご自身の権利内容や家庭の状況などを考慮したうえで、遺留分侵害額請求をおこなうべきかどうかを適切に判断しましょう。

遺留分に関する悩みは弁護士に相談・依頼するのがおすすめ

生前贈与や遺言書の内容に納得できず、ほかの相続人に対する遺留分侵害額請求を検討している方は、弁護士への相談・依頼をおすすめしまう。

遺留分に関する悩みについて、弁護士に相談・依頼することの主なメリットは以下のとおりです。

  1. 遺留分の基礎財産の調査を依頼できる
  2. 遺留分の金額を正確に計算してもらえる
  3. 遺留分侵害額請求の手続きを任せられる|調停や訴訟も依頼可能

1.遺留分の基礎財産の調査を依頼できる

適正額の遺留分を確保するためには、基礎財産に当たる相続財産・遺贈・生前贈与について漏れなく調査することが大切です。

弁護士には、遺留分の基礎財産の調査を依頼できます。弁護士が法的知識や実務経験を活かして、さまざまな方法を用いて財産調査をおこなうことにより、確保できる遺留分の増額が期待できます。

2.遺留分の金額を正確に計算してもらえる

遺留分の計算に関する民法のルールは複雑であるため、一般の方が遺留分額を正確に計算するのは非常に大変です。

弁護士に依頼すれば、遺留分額を正確に計算してもらえます。併せて、遺留分侵害額請求の相手方や成否の見込みなどについても、状況に応じた適切な判断に基づくアドバイスを受けられるでしょう。

3.遺留分侵害額請求の手続きを任せられる|調停や訴訟も依頼可能

実際に遺留分侵害額請求をおこなう際には、相手方との協議や調停・訴訟への対応が必要になります。

遺留分侵害額請求の手続きには専門的知識を要し、さらに多くの労力がかかります。

弁護士に依頼すれば、遺留分侵害額請求の手続きを一括して任せることができます。

法的手続きである調停や訴訟についても、弁護士を代理人とすれば戸惑わずに対応できるので安心です。

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さいごに|ベンナビ相続で遺留分の請求が得意な弁護士を探そう!

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「ベンナビ相続」には、遺留分問題に関する無料相談を受け付けている弁護士も多数登録されており、電話やメールで直接問い合わせることが可能です。

生前贈与や遺言書の内容に納得できず、遺留分侵害額請求を検討している方は、「ベンナビ相続」を通じてお早めに弁護士へご相談ください。

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この記事の監修者
ゆら総合法律事務所
阿部 由羅 (埼玉弁護士会)
不動産・金融・中小企業向けをはじめとした契約法務を得意としている。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。
ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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