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遺言を残す人と遺言を受け取った人が知っておくべき全知識

川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士
監修記事
Yuigon
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遺言とは、形式や内容にかかわらず広く故人が自らの死後のために遺した言葉や文書のことをいいます。

自分が生涯をかけて築き上げてきた大切な財産を、最も有効かつ有意義に活用してもらうための意思表示です。

被相続人が生涯をかけて築き上げた財産を、残された遺族が奪い合うのは悲しいものです。

遺族が醜い争いを避けて、スムーズに相続ができるように、遺言を残しておく必要性やその方法をご紹介します。

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この記事に記載の情報は2023年12月05日時点のものです

遺言の目的|相続人同士の争いを最小限に抑えるため

遺言は何のためにあるのか?」その答えは、相続人たちの争いを最小限に抑えるためといえます。

遺言がないために、遺産を巡って親族間で争いが起こるケースが珍しくありません。

それまでは仲の良かった者達が遺産を奪い合う、泥沼の争いを起こすことほど、故人にとって悲しいことはありません。

遺言は、このような悲劇を防止するため、遺言者が自分の残した財産どう扱うかを決めて、遺産を巡る争いを防止しようとすることに最大の目的があると捉えることも可能です。

遺言の利用率と遺言でできること

相続人間の争い事を無くすために用意する遺言書ですが、そもそも遺言を利用している、活用している人はどの程度いるのでしょうか?

また、遺言で何ができるのかも知っておく必要があります。

遺言の利用者数は年々増加している

遺言は死ぬ直前に書くものだから、あまり自分には関係のないもの。

そうお考えの方も多くいるとは思いますが、遺言の存在は確実に身近なものになってきています。

全国・遺言公正証書件数

平成17年

69,831

平成18年

72,235

平成19年

74,160

平成20年

76,436

平成21年

77,878

平成22年

81,984

平成23年

78,754

平成24年

88,156

平成25年

96,020

平成26年

104,490

平成26年1月から12月までの1年間に、全国で作成された遺言公正証書は、ついに10万件を超え、10万4,490件に達しました。
少子高齢化の中で相続・遺言に対する関心が高まっており、遺言公正証書の作成件数が年々増加傾向にあって、平成26年は前年比8,470件の増加となりました。
なお、任意後見契約公正証書の作成件数も、前年比705件増の9,737件となっております。
引用元:平成26年における遺言公正証書等作成件数について

この件数はあくまでも「公正証書遺言」のみの件数です。

「自筆証書遺言」を含めれば、実際に遺言を作成している人はもっと多くなるでしょう。

自筆証書遺言の作成数は不明ですが、家庭裁判所が検認した遺言の数は、年13,632件に登り、過去10年間で約1.5倍となっております。

65歳以上の人しか遺言を書かなかったと仮定しても、1,000人に3人の割合で遺言を作成しているという計算になります。

遺言でできること

こういった背景の裏には、やはり相続人同士の「争族」があることがあげられます。

遺産の奪い合い、内縁者の扱い、遺産を渡したくない相続人がいる、できるだけ自分の相続分を多くしたいなど、争いのタネは尽きません。

遺言書でできるのは以下のようなことです。

相続分の指定

相続人の相続分は法律で規定されていますが、遺言者は、遺言で任意の相続分を決定したり、第三者に決定の委託をすることができます。

推定相続人の排除

相続人となる予定の人について、その相続人に遺産を渡したくない場合には、当該相続人の排除を希望する旨の記載をすることができます。

遺産分割方法の指定または指定の委託

相続財産は、通常全ての相続人と協議を通じて遺産の分割方法が決定されますが、遺言者は、当該分割方法(遺産をどのように分割するか)を指定し、または指定することを第三者に委託することができます。

【例】
1,000万円の預貯金と2,000万円相当の土地を、子2人が相続する場合に、子Aには預貯金を、子Bには土地という分割方法を指定するなど。

財産の処分

遺言者の財産は、原則として法定相続人(配偶者や子など)に相続されることになりますが、遺言者は法定相続人とならない第三者(内縁の妻や相続人以外の人)や団体に対し、相続財産を遺贈することができます。

認知

結婚をしていない女性(内縁の妻)との間にできた子がいる場合、遺言者は遺言でこれを認知(正式に自分の子であると認める)することで、自分の子として相続人に加えることができます

後見人の指定

残された子が未成年であり、遺言者の死亡により親権者が不在となるような場合などは、遺言者は第三者を後見人とすること当該未成年者の財産管理などを委ねることができます

後見人制度について詳しくは「成年後見制度とは?成年後見人を選出すべきケース・なれる人・申し立て手続きの方法」をご覧ください。

相続人相互の担保責任の指定

遺産を相続したのに財産が他人の物であったり欠陥があった場合、法律上は他の相続人は担保責任を負うことになります。

遺言者は、当該担保責任の負担者や負担割合についても、遺言により指定することができます。

遺言執行者の指定または指定の委託

遺産相続の結果、相続財産の名義変更(相続登記など)が生じる場合、事務手続きが必要となる場合があります

遺言者は、このような遺産相続を実施する上で必要となる手続きをおこなう人(遺言執行者)を指定することができます。

または、第三者に指定を委任することができます。

遺産分割の禁止

被相続人の死後、相続人同士で遺産をめぐる争いを回避するために、一定期間の間遺産分割そのものを禁止し、「頭を冷やして考える時間」を設けることができます。

この期間は最大5年とされています。

遺留分減殺方法の指定

相続人には、<遺言によっても除外できない最低限の相続分(遺留分)が定められています。

もしも遺言の内容が遺留分を害する場合には、遺留分権利者は、遺留分減殺請求により当該侵害する部分を取り戻すことができます

遺言者は遺留分を害する場合には、遺言によって遺留分減殺の順序を指定することができます。

詳しくは「遺留分とは相続人が必ずもらえる財産|割合と取り返す方法」をご覧ください。

様々な効力を持つ遺言書ですが、書き方や手順を踏まないと遺言書の効力が無効になるケースもあります。

遺族が揉めないように書いた遺言書なのに、無効になる場合もあります。

この点は、「遺言を残す人と遺言を受け取った人が知っておくべき全知識」で詳しく解説しています。

※法改正(2019年7月1日施行)により、遺留分減殺請求は「遺留分侵害額請求」と呼ばれるようになりました。

遺言の必要が特に強い場合9つのケース

遺言でできることは意外と多くあったでしょう。

なお、遺言が特に必要になることが多い9つのパターンをまとめましたので、参考にしてください。

  1. 自分の財産を自由に分配したい
  2. 夫婦の間に子供がいない
  3. 特定の人に全財産を渡したい
  4. 相続人以外の人にも財産を渡したい
  5. 相続人の相続分を指定したい
  6. 自分の事業を継続してもらいたい
  7. 再婚をし、先妻の子と後妻がいる
  8. 相続人が全くいない
  9. 自分の死後に一定期間、相続人同士で揉めて欲しくない

自分の財産を自由に分配したい場合

自分が生涯をかけて築きあげてきた財産なのだから、自分の意思で自由に財産の配分を決めたい場合、遺言者自身の意思で配分することが遺言で可能です。
※ただし、遺言によって遺留分を侵害していた相続人がいた場合、その相続人は「遺留分減殺請求」ができます。

夫婦の間に子供がいない状況で、妻に多く遺産を残したい場合

夫婦の間に子供がおらず、兄弟がいる場合、法定相続分で相続するとなると、夫の財産は妻が4分の3、夫の兄弟に4分の1の割合で分けることになります。

しかし、長年連れ添った妻に全財産を相続させたいと思う方も多いでしょう。

このような場合には遺言をしておくことが絶対に必要です。

兄弟には遺留分はありませんので、遺言財産を全て妻に渡すという遺言を残しておけば、妻に全て残すことができます。

特定の相続人に全財産を渡したい場合

たとえば、被相続人に生前から貢献してくれたり、世話をしてくれた特定の相続人に全ての財産をあげたい場合です。

被相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人には、遺産分割の際に、「寄与分」を主張することが可能です。

しかし、この「寄与分」は主張・立証が難しく、認められることも滅多にありません。

特定の相続人に全財産を確実に渡したいのであれば、あらかじめ遺言書を作成しておかなければなりません

相続人以外の人にも財産を渡したい場合

下記のような「相続権のない人」にも相続財産をあげたい場合は、遺言を活用しないといけません

なお、その際、遺留分に気をつける必要があります。

  1. 内縁の妻 など
  2. ただの愛人
  3. 孫(子供が相続人となる場合)
  4. 介護など、身の周りのお世話をしてくれた人
  5. 娘の夫、息子の妻

相続分を指定したい場合

通常は、法定相続分で相続人に分ける相続財産の割合は決まっていますが、遺言によってその財産の割合を決めることができます。

たとえば、配偶者は子供がいる場合は必ず1/2ですが・・・

  • 配偶者:1/4 など
  • 子A:1/4
  • 子B:1/4
  • 子C:1/4

自分の事業を継続してもらいたい場合

遺産に株式があり、法定相続分に応じてこれを分ける場合、事業の経営・財産基盤を弱体化させる可能性があります。

相続を境にして、事業が衰退してしまう事例は多くありますので、遺言により後継者に配慮した遺産の配分指定をおこなう場合は、遺言を活用しましょう。

再婚をし、先妻の子と後妻がいて揉めそうな場合

先妻の子と後妻との関係ですと、とにかく感情的になりやすく、遺産争いが起こる確率も高まります。

この争いの発生を防ぐために、遺言を活用することができます。

相続人が全くいない場合

相続人が全くいない孤独な状態の場合には、特別な事情がない限り、遺産は国に帰属します。

したがって、特別お世話になった人に遺贈したいとか、お寺や教会、社会福祉関係の団体などに寄付をしたい場合などは、その旨の遺言をしておく必要があります。

自分の死後に一定期間の遺産相続の禁止をおこなう場合

遺産相続を機に、相続人同士で争いとなるケースはたくさんあります。

このような場合、遺言者自らが自分の残した財産の帰属、あるいは相続を巡る争いを防止するために一定期間の遺産相続の禁止をおこなうことができます。

遺言をおこなう場合の手続き

遺言はどこかしらの機関に依頼をしておこなうものではなく、自筆証書遺言であれば紙とペン、そして印鑑があればいつでも作成が可能です。

しかし、公正証書遺言などは特別な手続きが必要になりますので、詳しく解説していきます。

遺言をおこなう4つの方法

まず、遺言には4つの種類がありますので、それぞれの内容を確認します。

自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、遺言者が下記の手順で作成するものです。

  1. 自由な書面に
  2. 遺言書の作成年月日、遺言者の氏名、遺言の内容を記載
  3. 自署(パソコンは不可)で記入し
  4. 自身の印鑑を押印する(br)(実印である必要はありませんが、実印のほうが確実です。)

民法で定められている遺言の方式としては一番簡単なものになります。

遺言者が自分で字を書け、印鑑を所持していれば、いつでも自由に作成が可能です。

自筆証書遺言のメリット

特定の書式も決まっておらず、遺言者が自分で書けばよいだけですので、費用もかからず、いつでもかけるというメリットがあります。

遺言書の紙の種類は問いませんので、便箋やノート、あるいは紙の切れ端に書いたものでも有効です。

自筆証書遺言のデメリット
  • 法律的に見て不備となる危険性がある
  • 訂正の仕様も厳格に決められているため無効となる可能性がある
  • 遺言書を検認する手続きをおこなう必要がある
  • 病気等で手が不自由な場合は利用できない

公正証書遺言

遺言者が公証人の面前で遺言の内容を口授し、それに基づいて公証人が遺言者の真意を正確に文章にまとめるというものです。

幾つかの手順を踏んで作成するため、遺言書の作成には時間がかかるものの、遺言書の形式的な不備が問題となることがありません。

しかし、専門家が間に入る分、自筆証書遺言と違い費用が発生します。

公正証書遺言のメリット
  • 遺言書の真正性が問題となることが通常はない
  • 遺言書の効力に疑義が生じることが少ない
  • 不備で遺言が無効になる恐れがほとんどない
  • 検認の必要がなく速やかに遺言内容を実現できる
  • 隠匿や改ざんの心配が全くない
  • 公証人が遺言者の署名を代書できる
公正証書遺言のデメリット
  • 作成に時間がかかる
  • 費用が発生する
  • 証人の2名の立会いが必要なためいつでも作れるわけではない
公正証書遺言の費用

目的財産の価額

手数料の額

100万円まで

5,000円

100万円を超え200万円まで

7,000円

200万円を超え500万円まで

11,000円

500万円を超え1,000万円まで

17,000円

1,000万円を超え3,000万円まで

23,000円

3,000万円を超え5,000万円まで

29,000円

5,000万円を超え1億円まで

43,000円

1億円を超え3億円まで

43,000円に5,000万円超過ごとに13,000円を加算

3億円を超え10億円まで

95,000円に5,000万円超過ごとに11,000円を加算

10億円超

249,000円に5,000万円超過ごとに8,000円を加算

公正証書遺言作成に必要な書類等
  1. 遺言者の実印・印鑑証明書
  2. 遺言者と相続人との続柄を表す戸籍謄本(相続人以外の人に遺贈する場合、住民票など)
  3. 証人の住民票と認印など
  4. 通帳のコピー
  5. 不動産の場合は、登記簿謄本および固定資産税評価証明書など

※公証役場によっては、準備する書類等が異なることがあります。

秘密証書遺言

自筆証書遺言と公正証書遺言の間のような遺言です。

  1. 遺言内容(全文が自署である必要はない)に署名・押印(実印である必要はないが、実印のほうが適切)
  2. 当該遺言書を封筒に入れて封をして
  3. 封印に押印したものと同じ印章をし、
  4. 公証人にこれを提示して所定の処理をする

という方式で作成されるものになります。

秘密証書遺言の特徴としては、遺言書が遺言者本人のものであることを証明できることと、遺言の内容を秘密にできることが併存する点が挙げられます。

秘密証書遺言のメリット
  • 遺言者本人のものであることを明確にできる
  • 遺言の内容を秘密にできる
秘密証書遺言のデメリット
  • 公証人が遺言書の内容を確認できない
  • 内容に法律的な不備が残る可能性がある
  • 紛争の種や無効となる危険性が残る
  • 家庭裁判所で検認手続きを受ける必要がある
  • 手数料として、11,000円がかかる(定額)

検認の方法は「【注目】遺言書の開封方法は?トラブルを防ぐ正しい開け方を解説!」をご覧ください。

特別方式の遺言

普通方式の遺言書とは少し違い・・・

  • すぐにでも他界してしまうなどの緊急時である場合
  • 船の上で事故によって死亡した場合
  • 伝染病などにかかり外界と隔離されている状態 など

日常生活とは懸け離れた場合などの特殊なケースに置かれた人が残す遺言になります。

この場合にも4つの方式がありますが、この遺言方式を使うことはほとんどないと思ってよいでしょう。

  • 一般危急時遺言
  • 難船危急時遺言
  • 一般隔絶地遺言
  • 船舶隔絶地遺言

それぞれの詳しい内容は「特別方式の遺言書とは?」をご覧ください。

遺言に関する約束事

遺言を作成、あるいは開ける際などには、いくつかのルールがありますので、確認しておきましょう。

自筆証書遺言の開封には検認手続きが必要

相続開始後に、父親の部屋から遺言書が出てきても、その場で開けてはいけません。

TVドラマのように、自分たちで遺言書を開封してしまうと罰金を取られる可能性がありますので、すぐに中身を見たいとは思いますが、必ず裁判所の「検認」作業を受けるようにしましょう。

裁判所のホームページから検認の方法をご確認ください。

裁判所ホームページ 遺言書の検認」をご覧ください。

共同遺言の禁止

民法975条「共同遺言の禁止」には、【遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることができない。】とされています。

これは、1枚の遺言書に2名以上の者が遺言をすると、取り消しや撤回に不便をきたすこと、また、どちらが先に亡くなるかでその法的な関係が変わってきてしまうことから、2名以上での遺言は禁止されています。

遺言の撤回や取り消しは自由にできる

遺言は最終意思を保護しようという制度ですので、訂正や取消し(撤回)はいつでも、また、何回でも可能です。

遺言書の保管に関して

銀行に遺言書を預ける、遺言信託というサービスが存在します。

たとえば「りそな銀行」の場合、公正証書遺言なら公証人を通して預けることができ、定期的な内容変更の確認や、有事の際には遺言執行者として、遺言内容の実現のために必要な手続きをとり、遺産の管理、名義変更、引渡しなど、相続人・受遺者の方に遺産の分配までをおこなってくれます。

遺言書の存在を確認したい場合

自筆証書遺言で書かれた場合は、家の金庫やしまってありそうな場所などしか探す手段がなく、確実な方法はありませんが、公正証書遺言か秘密証書遺言があるかないかは、公証役場で確認することができます。

1989年(東京都内は1981年)以降に作成された遺言であれば、公証役場名、公証人名、遺言者名、作成年月日等が公証役場で管理されています。

遺言書の書き方とポイント

最後に、遺言書を書く際のポイントをお伝えします。

自筆証書遺言の書き方と手順

おおまかな書き方としては以下の手順でおこなうとよいでしょう。

基本的に自分一人で書くため、間違いがあった場合その遺言書は無効となる可能性があるので注意しましょう。

  1. 自筆証書遺言は必ず本人の手書きで書く
  2. 作成した日付(年月日)は必ず記載
  3. 遺言者の署名・押印をする
  4. 財産の特定はわかりやすく正確に記載する
  5. 作成後は紛失等に注意して保管
  6. 夫婦であっても遺言は別々に
  7. 封筒にも実印の押印をする

もっと細かいポイントや具体的な書き方は「【最新版】自筆証書遺言書の書き方ガイド|法改正の変更点も解説」で解説しています。

公正証書遺言の書き方と手順

公正証書遺言の大まかな作成の手順をご覧頂ければと思います。

  1. 遺言者が遺言内容を考えて原案を作成(メモ程度で可)
  2. 公証役場に連絡し、①で作成した原案を伝えて公証人と内容を確認・検討
  3. 公証人から求められた必要書類を用意し、公証役場へ届ける
  4. 公正証書遺言を作成時に立ち会ってもらう証人2名を決める
  5. 遺言者、証人2名、公証人で公証役場に行く日程を調整(平日のみ)
  6. 日程調整をした日に遺言者、証人2名で公証役場へ出向く
  7. 公正証書遺言の内容を確認し、間違いがなければ遺言者、公証人、証人2名が署名・押印
  8. 公正証書遺言の正本が遺言者に渡され、公証人の手数料を現金で支払う

人によって多少の違いは出ますが、全ての作業を終えるのに、およそ2週間から3週間程度を見ておくとよいでしょう。




1 遺言書の案文をつくる

どういう内容の遺言にするかをメモ等に整理し、原案を作ります。

2 証人二人を依頼する

信頼できる人(二人以上)に証人を依頼します。
もし、適当な人が用意できないときは公証人に相談してみるとよいでしょう。

3 公証人に依頼・打合せ

事前に公証人役場に行き公証人に依頼します。
このときに案文と必要書類、資料を持参するとスムーズです。
なお、遺言者本人でなくても代理人や使者でもかまいません。


4 遺言公正証書の作成

指定された日に、遺言者と証人二人が公証人役場に出頭します。

5 遺言公正証書の完成

遺言書案は公証人があらかじめ用意しているので、当日は、公証人が遺言者から遺言書の趣旨の口授を受け、その内容が用意された遺言書案と違いのないことを確認した上、あとは署名押印などの形式を踏んで公正証書が完成します。
遺言公正証書の原本は公証人役場に保存され、遺言者には、通常正本と謄本各1通が交付されます。


公証人が間に入って作成する遺言ですので、詳しい内容はこちらの「公正証書遺言の効果とは|自筆した場合との違いや書き方を解説」をご確認ください。

遺言に関するまとめ

遺言に関することは以上になります。

もし、「遺言書の内容があまりにも自分にとって理不尽な内容であった場合」や、「遺留分を無視した内容である場合」など、相続人全員が遺言の内容に不満があるときには、相続人全員の同意で、遺言に従わずに遺産分割をすることも可能です。

しかし、相続人全員の同意はなかなか難しい部分も多くありますので、こういった場合は「遺留分とは相続人が必ずもらえる財産|割合と取り返す方法」なども参考にして、弁護士などに相談するとよいでしょう。

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この記事の監修者
川崎相続遺言法律事務所
関口 英紀 弁護士 (神奈川県弁護士会)
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ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)編集部
編集部

本記事はベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)を運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。 ※ベンナビ相続(旧:相続弁護士ナビ)に掲載される記事は弁護士が執筆したものではありません。 ※本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。

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